前代未聞の「留学生修学環境整備費」増設に反対


前代未聞の「留学生修学環境整備費」増設に反対
署名活動の主旨
進捗フォロー:
はじめに
2024年4月、文部科学省は国立大学が外国人留学生に求める授業料の上限を撤廃しました。今までは、日本人学生と外国人留学生とで授業料の差はありませんでしたが、この上限撤廃により、外国人留学生の授業料を値上げすることが可能になりました。
これに連動するように、2024年7月11日、武蔵野美術大学(以下、武蔵美)は「留学生修学環境整備費」という名目で、留学生1人当たり年間363,000円を追加徴収するとの通知を出しました。
東京新聞の記事:大学は留学生を「稼ぐ手段」にしていないか 武蔵野美大の「36万円整備費」発表に学生ら「留学税だ」の声
Japan Art Newsの記事:武蔵野美術大学で学生らがデモ。留学生に対する学費値上げ決定に混乱広がる
この公開書簡は、上記の「環境整備費新設の発表」を機に武蔵美の学生たちの間で交わされた様々な意見の中から、私たちが日本の皆さまに特に知っていただきたいと感じた学生たちの”気持ち”をまとめたものです。
一人でも多くの方に、私たちの中に渦巻く様々な心情の一端をお伝えできれば幸いです。
整備費新設の発表に対する留学生の「3つの気持ち」
1.経済的に余裕のない受験生の悲しみ
2.近年の武蔵美の学費に関する対応への不信感
3.「留学生」という明確な区分の発表によって生まれた喪失感と不安
1.経済的に余裕のない受験生の悲しみ
これをお読みの皆さまは、日本に留学してくる学生たちの経済的な状況にどのようなイメージをお持ちでしょうか?海外留学という選択をするぐらいなのだから、経済的に余裕がある学生が多いのでは、というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
もちろん、そういったイメージが間違っているという訳ではありません。一人娘、一人息子を海外に留学させたとしても、直ちに経済的に逼迫するという状況ではない家庭だからこそ、日本に来たという学生も多数も存在します。
しかし、全ての留学生がそのような経済的な背景を持つ訳ではありません。留学生に許可されている週28時間の上限までアルバイトをして、自身の生活費と学費を稼ぎながら学業に取り組んでいるという留学生もいます。また、日本の大学に入学するために、大学受験予備校の学費と自身の生活費を稼ぎながら勉強に励む受験生も存在します。
Aさんは中国中部出身の女性です。彼女はとある場所で武蔵美に勤務する教授のBさんと出会いました。AさんはBさんの柔らかい物腰と優しい言動に惹かれ、将来はBさんの働く大学で芸術の道を志すと心に決めました。中国で日本語の勉強をして、現在は武蔵美への入学を目指して都内の予備校に通っています。
Aさんは前述したような、経済的には必ずしも余裕があるとはいえない受験生です。アルバイトをしながら予備校に通い、武蔵美に入学できたとしても引き続きアルバイトを続けて学費を支払う計画を立て、自分の夢に向かって努力を続けていました。
そんな中、武蔵美から発表された整備費新設の案内。彼女はこの発表を見て、日頃から受験の相談をしていた友人にこう伝えました。
「私は武蔵美に入学する夢を断念しなくてはなりません」
彼女が武蔵美の学生になるために用意できるお金には限界がありました。今回の整備費新設として必要な363,000円という金額は彼女の用意できる経済的な限界を超えていたのです。
363,000円という増額が大きな負担にはならないという学生もいます。自分の娘、息子が日本の歴史ある大学に入学できるのであれば、それだけの価値があると考え、納得して学費を納める家庭もあります。その一方で、Aさんのようにその学費を用意できないために、自分の思い描いていた夢を諦めざるを得ない人も存在します。
今回の整備費新設の裏で、人知れず生まれる悲しみ。これが皆さまにお伝えしたかった私たちの「1つ目の気持ち」です。
2.近年の武蔵美の学費に関する対応への不信感
コロナ禍が終息の兆しを見せ、世界的に移動の制限がなくなってからしばらくが経ちます。今ではコロナ禍で起こった問題やその対応は過去のものとなり、それらを振り返る機会も少なくなりました。
コロナ禍の当時、国内の各大学はオンライン授業を余儀なくされました。武蔵美と同じく東京に校舎を構える多摩美術大学も、対面授業を中止してほとんどの授業をオンラインに移行していました。
この対応により多摩美術大学の学生たちの間に不満が募っていきました。学生の不満の声とともに、一部の教員からは「充分な教育機会を提供できない中で、教員が満額で給与を受け取るというのはいかがなものか」という旨の発言も見られました。それらの声に応えるように、多摩美術大学は授業料の約2割を学生に返還するという通知を出しました。
多摩美術大学がこのような対応をとった一方で、武蔵美は学生が登校できず学内施設を利用出来ないという状況にあっても、施設使用料を含む授業料の返還を実施することはありませんでした。
武蔵美の学生たちは、2020年4月21日から始まったオンライン授業の期間中に「授業料の減免やその一部返還」などの措置を大学側に求めるとともに、授業料の内訳の公表を求めました。学生たちはこの要求に関する署名活動も行い、最終的には1,000人以上の署名を集めました。
しかし、これらの一連の行動に対して大学側からの正式な回答はなく、学生たちは武蔵美に支払った施設使用料がどのように利用されたのかを知る事ができませんでした。こうした大学側の対応の記憶が残る中で、今回の整備費新設の使途についても本当に適切な利用がなされるのか、武蔵美に対して不信感を抱いている学生が少なくない数存在します。
このような経緯を経て私たちの中に生まれた武蔵美に対する不信感。これが皆さまにお伝えしたかった「2つ目の気持ち」です。
3.「留学生」という明確な区分の発表によって生まれた喪失感と不安
留学生の母国によっては、その国内において芸術による自由な表現が許されていないという国もあります。これを読んでいただいている皆さまには信じられないかもしれませんが、日本では想像できないような言論統制が敷かれている国も存在しています。
そんな国を母国とする学生が武蔵美に通い始めて得た気づきがあります。それは、武蔵美にいる学生はみんながそれぞれそのままの違う人間で良いということでした。それは日本では当たり前の日常かもしれません。しかし、その日常を初めて体験する学生にとってはすばらしく特別な日常でした。
その日常の中では、学生も、教員も、それぞれ個性ある人間で、それぞれはただそのままに生きていて、ただそのままに違っていて、ただそのままにそれぞれを理解し合おうとしていました。
私たちはそんな環境で芸術を学び、表現することで、それぞれがそれぞれに違ったままで良いということ、つまり自分たちが自分たちのままで生きていて良いということを学びました。本当の自分を生きることを喜び、本当の自分の心と向き合うことで真の芸術が生まれる、私たちはそう思っていました。
しかし、今回発表された「環境整備費の新設」の通知では、私たちのそのような気持ちとは裏腹に、「あなたは日本の学生とは違う区分の学生である」ということを明確に示した「留学生」という表現が繰り返し使われていました。
その表現はまるで、私たちの気持ちは、ただの片思いだったということを知らせるラブレターの返信のようでした。そして、もっと言えば、武蔵美によるその「留学生」という表現に対し、私たちは大学側からの「ある種の差別的な扱い」を押し付けられていると強く感じたのです。
そのように感じた私たちの心の中にできた小さな穴のような喪失感。これが今回皆さまにお伝えしたかった「3つ目の気持ち」です。
おわりに
以上、武蔵美の「留学生修学環境整備費の発表」を機に、私たちの心の中に渦巻いた3つの気持ちをご紹介しました。
今回ご紹介した3つの気持ちは、留学生たちの中で渦巻く心情の一端でしかありません。ここではお伝えすることのできなかった様々な気持ちが、今も留学生一人一人の心の中に存在しています。
私たちは、留学生である前に一人の人間であるということを武蔵美の学生生活を通じて学んできました。その学びを胸に、この公開書簡が、今後の日本のより良い未来への一助となれば幸いです。
P.S.
冒頭でお伝えしたとおり、2024年4月、文部科学省は国立大学が外国人留学生に求める授業料の上限を撤廃しました。私たちは今後この方針が武蔵美以外の国内の私立大学にも影響を及ぼし、私たちの今の気持ちと同様のものが日本全国の留学生の中にも広がっていくのではないか、という懸念を抱いています。
私たちはそのような懸念に対して、「私たちの今の気持ち」を武蔵美に伝える事が重要だと考え、この署名活動を開始しました。
「留学生修学環境整備費」の増設に関して、疑問や反対などのご意見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご署名いただければ幸いです。
最後に、ここまでお読みいただいた皆さまへ、感謝の意を申し上げます。
本当にありがとうございます。
皆さまの本件への関心が日本のより良い未来に繋がることを願って。
これからも、芸術が私たち人間にとってすばらしく特別な日常でありますように。
平和と愛の思いを込めて。
武蔵美就学環境整備費反対の会より
6,084
署名活動の主旨
進捗フォロー:
はじめに
2024年4月、文部科学省は国立大学が外国人留学生に求める授業料の上限を撤廃しました。今までは、日本人学生と外国人留学生とで授業料の差はありませんでしたが、この上限撤廃により、外国人留学生の授業料を値上げすることが可能になりました。
これに連動するように、2024年7月11日、武蔵野美術大学(以下、武蔵美)は「留学生修学環境整備費」という名目で、留学生1人当たり年間363,000円を追加徴収するとの通知を出しました。
東京新聞の記事:大学は留学生を「稼ぐ手段」にしていないか 武蔵野美大の「36万円整備費」発表に学生ら「留学税だ」の声
Japan Art Newsの記事:武蔵野美術大学で学生らがデモ。留学生に対する学費値上げ決定に混乱広がる
この公開書簡は、上記の「環境整備費新設の発表」を機に武蔵美の学生たちの間で交わされた様々な意見の中から、私たちが日本の皆さまに特に知っていただきたいと感じた学生たちの”気持ち”をまとめたものです。
一人でも多くの方に、私たちの中に渦巻く様々な心情の一端をお伝えできれば幸いです。
整備費新設の発表に対する留学生の「3つの気持ち」
1.経済的に余裕のない受験生の悲しみ
2.近年の武蔵美の学費に関する対応への不信感
3.「留学生」という明確な区分の発表によって生まれた喪失感と不安
1.経済的に余裕のない受験生の悲しみ
これをお読みの皆さまは、日本に留学してくる学生たちの経済的な状況にどのようなイメージをお持ちでしょうか?海外留学という選択をするぐらいなのだから、経済的に余裕がある学生が多いのでは、というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
もちろん、そういったイメージが間違っているという訳ではありません。一人娘、一人息子を海外に留学させたとしても、直ちに経済的に逼迫するという状況ではない家庭だからこそ、日本に来たという学生も多数も存在します。
しかし、全ての留学生がそのような経済的な背景を持つ訳ではありません。留学生に許可されている週28時間の上限までアルバイトをして、自身の生活費と学費を稼ぎながら学業に取り組んでいるという留学生もいます。また、日本の大学に入学するために、大学受験予備校の学費と自身の生活費を稼ぎながら勉強に励む受験生も存在します。
Aさんは中国中部出身の女性です。彼女はとある場所で武蔵美に勤務する教授のBさんと出会いました。AさんはBさんの柔らかい物腰と優しい言動に惹かれ、将来はBさんの働く大学で芸術の道を志すと心に決めました。中国で日本語の勉強をして、現在は武蔵美への入学を目指して都内の予備校に通っています。
Aさんは前述したような、経済的には必ずしも余裕があるとはいえない受験生です。アルバイトをしながら予備校に通い、武蔵美に入学できたとしても引き続きアルバイトを続けて学費を支払う計画を立て、自分の夢に向かって努力を続けていました。
そんな中、武蔵美から発表された整備費新設の案内。彼女はこの発表を見て、日頃から受験の相談をしていた友人にこう伝えました。
「私は武蔵美に入学する夢を断念しなくてはなりません」
彼女が武蔵美の学生になるために用意できるお金には限界がありました。今回の整備費新設として必要な363,000円という金額は彼女の用意できる経済的な限界を超えていたのです。
363,000円という増額が大きな負担にはならないという学生もいます。自分の娘、息子が日本の歴史ある大学に入学できるのであれば、それだけの価値があると考え、納得して学費を納める家庭もあります。その一方で、Aさんのようにその学費を用意できないために、自分の思い描いていた夢を諦めざるを得ない人も存在します。
今回の整備費新設の裏で、人知れず生まれる悲しみ。これが皆さまにお伝えしたかった私たちの「1つ目の気持ち」です。
2.近年の武蔵美の学費に関する対応への不信感
コロナ禍が終息の兆しを見せ、世界的に移動の制限がなくなってからしばらくが経ちます。今ではコロナ禍で起こった問題やその対応は過去のものとなり、それらを振り返る機会も少なくなりました。
コロナ禍の当時、国内の各大学はオンライン授業を余儀なくされました。武蔵美と同じく東京に校舎を構える多摩美術大学も、対面授業を中止してほとんどの授業をオンラインに移行していました。
この対応により多摩美術大学の学生たちの間に不満が募っていきました。学生の不満の声とともに、一部の教員からは「充分な教育機会を提供できない中で、教員が満額で給与を受け取るというのはいかがなものか」という旨の発言も見られました。それらの声に応えるように、多摩美術大学は授業料の約2割を学生に返還するという通知を出しました。
多摩美術大学がこのような対応をとった一方で、武蔵美は学生が登校できず学内施設を利用出来ないという状況にあっても、施設使用料を含む授業料の返還を実施することはありませんでした。
武蔵美の学生たちは、2020年4月21日から始まったオンライン授業の期間中に「授業料の減免やその一部返還」などの措置を大学側に求めるとともに、授業料の内訳の公表を求めました。学生たちはこの要求に関する署名活動も行い、最終的には1,000人以上の署名を集めました。
しかし、これらの一連の行動に対して大学側からの正式な回答はなく、学生たちは武蔵美に支払った施設使用料がどのように利用されたのかを知る事ができませんでした。こうした大学側の対応の記憶が残る中で、今回の整備費新設の使途についても本当に適切な利用がなされるのか、武蔵美に対して不信感を抱いている学生が少なくない数存在します。
このような経緯を経て私たちの中に生まれた武蔵美に対する不信感。これが皆さまにお伝えしたかった「2つ目の気持ち」です。
3.「留学生」という明確な区分の発表によって生まれた喪失感と不安
留学生の母国によっては、その国内において芸術による自由な表現が許されていないという国もあります。これを読んでいただいている皆さまには信じられないかもしれませんが、日本では想像できないような言論統制が敷かれている国も存在しています。
そんな国を母国とする学生が武蔵美に通い始めて得た気づきがあります。それは、武蔵美にいる学生はみんながそれぞれそのままの違う人間で良いということでした。それは日本では当たり前の日常かもしれません。しかし、その日常を初めて体験する学生にとってはすばらしく特別な日常でした。
その日常の中では、学生も、教員も、それぞれ個性ある人間で、それぞれはただそのままに生きていて、ただそのままに違っていて、ただそのままにそれぞれを理解し合おうとしていました。
私たちはそんな環境で芸術を学び、表現することで、それぞれがそれぞれに違ったままで良いということ、つまり自分たちが自分たちのままで生きていて良いということを学びました。本当の自分を生きることを喜び、本当の自分の心と向き合うことで真の芸術が生まれる、私たちはそう思っていました。
しかし、今回発表された「環境整備費の新設」の通知では、私たちのそのような気持ちとは裏腹に、「あなたは日本の学生とは違う区分の学生である」ということを明確に示した「留学生」という表現が繰り返し使われていました。
その表現はまるで、私たちの気持ちは、ただの片思いだったということを知らせるラブレターの返信のようでした。そして、もっと言えば、武蔵美によるその「留学生」という表現に対し、私たちは大学側からの「ある種の差別的な扱い」を押し付けられていると強く感じたのです。
そのように感じた私たちの心の中にできた小さな穴のような喪失感。これが今回皆さまにお伝えしたかった「3つ目の気持ち」です。
おわりに
以上、武蔵美の「留学生修学環境整備費の発表」を機に、私たちの心の中に渦巻いた3つの気持ちをご紹介しました。
今回ご紹介した3つの気持ちは、留学生たちの中で渦巻く心情の一端でしかありません。ここではお伝えすることのできなかった様々な気持ちが、今も留学生一人一人の心の中に存在しています。
私たちは、留学生である前に一人の人間であるということを武蔵美の学生生活を通じて学んできました。その学びを胸に、この公開書簡が、今後の日本のより良い未来への一助となれば幸いです。
P.S.
冒頭でお伝えしたとおり、2024年4月、文部科学省は国立大学が外国人留学生に求める授業料の上限を撤廃しました。私たちは今後この方針が武蔵美以外の国内の私立大学にも影響を及ぼし、私たちの今の気持ちと同様のものが日本全国の留学生の中にも広がっていくのではないか、という懸念を抱いています。
私たちはそのような懸念に対して、「私たちの今の気持ち」を武蔵美に伝える事が重要だと考え、この署名活動を開始しました。
「留学生修学環境整備費」の増設に関して、疑問や反対などのご意見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご署名いただければ幸いです。
最後に、ここまでお読みいただいた皆さまへ、感謝の意を申し上げます。
本当にありがとうございます。
皆さまの本件への関心が日本のより良い未来に繋がることを願って。
これからも、芸術が私たち人間にとってすばらしく特別な日常でありますように。
平和と愛の思いを込めて。
武蔵美就学環境整備費反対の会より
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2024年7月30日に作成されたオンライン署名
