Petition update私たちの病歴を勝手にAI開発に渡さないで!改正個人情報保護法の「特例」に歯止めを!

【要望書提出】個人情報保護委員会に要望書を提出しました!

Suzuki nKanagawa, Japan
Sep 2, 2026

「私たちの病歴を勝手にAI開発に渡さないで!」にご賛同いただきありがとうございます。

本日、私たちの要望をまとめた「要望書」を、個人情報保護委員会に送付しました。
(内閣府・厚労省・デジタル庁にも参考送付しています)

最終的に送付した要望書は、こちらからご覧いただけます。
●要望書_統計特例の医療分野における運用について
https://drive.google.com/file/d/1K7XMn4XE8piysSXW8wpWhcIPSx3Llbgq/view?usp=sharing
※クリックするとクラウドストレージ上のpdfファイルが表示されます

来週以降、要望書がどのように扱われているかなどを、
個人情報保護委員会に問合せるフォローアップを進めていきます。
その際の反応などを、またご共有させていただきます。

引き続き応援・見守りのほど、どうぞよろしくお願いいたします!


※要望書ファイルがうまく見られない方のために、以下に要望書の文章を転記いたします。
視認性が悪く恐縮ですが、ご参考になれば幸いです。

改正個人情報保護法「統計作成等の特例」の
医療分野における運用に関する要望書

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日頃より、個人情報保護行政の推進にご尽力いただいておりますこと、心より敬意を表します。

このたび、令和8年7月10日に成立した改正個人情報保護法における「統計作成等の特例」について、医療分野での運用に関し、下記のとおり要望申し上げます。

敬具

一、要望の趣旨

医療分野での「統計作成等の特例」の運用にあたっては、「実効性ある事前通知・オプトアウト」の実現を必須で求めます。あわせて、匿名化・仮名化についても既存制度と足並みを揃えるよう求めます。

なお、本要望書における「実効性ある事前通知」とは、個別の提供の都度、逐一本人に通知することを必ずしも意味するものではありません。一元的なオプトアウト管理の仕組みと組み合わせる場合には、データが実際に提供される前に、拒否権(オプトアウト)を行使できることを本人が知る、実効性のある機会が確保されていることを意味します。

その実現にあたっては、現行法を変えずに対応可能な事項を優先し、実現可能性を重視した提案とします。


 

二、要望の背景

(1)国会附帯決議、及び貴委員会の取組方針との整合

改正個人情報保護法の成立にあたり、参議院では以下の附帯決議が採択されております。

「個人情報取扱事業者による統計作成等を目的とする要配慮個人情報の取扱いに際しては、漏えいや不適正な利用等による個人の権利利益の侵害が生じないよう、個人情報保護委員会による重点的な監督の対象とすること。特に、病歴等を含む要配慮個人情報の第三者提供に関しては、医療分野の事情を踏まえたガイドラインを改正するなどして医師等の守秘義務や「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」等との関係等を明確に示すこと」(参議院附帯決議 四)

また、貴委員会は改正法の円滑な施行に向けた取組方針として、次の考え方を示しておられます。

「個人や事業者等多様な主体から広く丁寧に御意見を伺いながら、検討を進める」

「特定分野に対応したガイドライン等についても、当該分野における制度の議論等とも整合的なものとなるよう、関係省庁と連携して検討を進める」(令和8年7月31日付資料)

これらを踏まえ、本要望書は、附帯決議が名指しする特定分野(医療分野)のガイドライン改正について、貴委員会が「当該分野における制度の議論」との整合を掲げておられることを根拠に、ガイドラインとその前提となる委員会規則一部に関して、具体的な要望を申し上げるものです。

(2)「当該分野における制度の議論」の内容について

「当該分野における制度の議論」に該当するものとして、内閣府「医療等情報の利活用の推進に関する検討会」(以下「検討会」)が挙げられます。検討会が令和8年8月31日に公表した資料では、患者本人の適切な関与の在り方について、次のような方向性が論点として示されています。

「データ収集時に同意を取得する『入口規制』からデータ利活用時に利活用の適切性の審査等を行う『出口規制』への転換という考え方や、EHDS規則第71条のオプトアウトの仕組みを踏まえ、悉皆的なNDB・介護DB等の基本的な医療等情報の国・公的機関への提供に当たっては、現行どおり本人同意やオプトアウトの仕組みを要せず、追加的な医療等情報の民間の認定事業者への提供に当たっては、本人への事前通知を要しないオプトアウトの仕組みによることとする」

「上記のオプトアウトの仕組みについて、国・公的機関が一元的なオプトアウト管理を行う」

すなわち検討会では、事前の同意取得を前提とする「入口規制」から、利用段階での監督を重視する「出口規制」へ転換する方向性が示されており、その中でも、患者本人が拒否できる「オプトアウト」の存在自体は前提として維持されています。その論点は「オプトアウトをなくすかどうか」ではなく、「一元的な管理の仕組みと組み合わせながら、いかに実効性のある形で担保するか」に置かれています。

この点については、日本弁護士連合会も同検討会に対する意見書(令和8年7月16日付)において、「オプトアウトについては、ウェブサイトなどにより知り得る状態に置くにとどまらず、個別に通知を行い、多様な利活用に供されることを告知することを必須とすべきである」と、同様の懸念を表明しています。

私たちは、統計作成等の特例の医療分野における運用についても、この検討会の方針と足並みを揃え、実効性と医療機関の負担軽減を両立する形で、患者への周知とオプトアウトの機会を担保することを求めます。

なお、上記の検討会資料が示す「本人への事前通知を要しないオプトアウトの仕組み」は、国による安全管理措置等の審査を経た「民間の認定事業者」への提供を前提としたものです。統計作成等の特例には、こうした認定の仕組みが存在しないことから、同様の緩和を統計特例の運用に単純に適用すべきではなく、むしろ事前の実効性ある周知の必要性は、認定事業者向けの制度以上に高いと考えます。

(3)多数の市民からの要望であること

本要望は、専門家や医療機関の現場のみの要望にとどまるものではありません。私たちはオンライン署名活動「私たちの病歴を勝手にAI開発に渡さないで!改正個人情報保護法の『特例』に歯止めを!」を実施しており、2026年9月1日時点で35,698筆(Change.orgによる認証済み賛同者数)のご賛同をいただいております。

これは、医療分野での統計・AI開発に際して事前通知とオプトアウトの機会を求める声が、専門家や医療現場だけでなく、幅広い市民の間にも存在することを示すものです。本活動は東京新聞(2026年8月18日付)でも取り上げられ、社会的な関心の高さがうかがえます。

参考:オンライン署名ページ https://www.change.org/ProtectPersonalData
東京新聞オンラインページ https://www.tokyo-np.co.jp/article/509176

(4)データ利活用の持続可能性と、日本の医療データが持つ資産価値について

私たちは、医療データの利活用そのものに反対する立場ではありません。むしろ、その価値を高く評価しているからこそ、本要望を申し上げるものです。

提出者は医療情報分野での実務経験の中で、海外の電子カルテ由来データを取り扱った際、記録上は存在するはずの項目が実際には欠測だらけで、分析に耐えない事例を数多く経験してきました。これに対し、国民皆保険制度のもとで長年にわたり整備されてきた日本の医療データは、国際的に見ても品質・網羅性の面で高い競争力を持つ資産であると認識しています。

この資産価値は、患者との信頼関係の上に成り立ってきたものです。信頼を欠いた拙速な制度運用によりオプトアウトや記録の拒絶等が急増し、データの代表性が損なわれれば、経済発展にも医療の発展にも資さない結果を招きかねません。署名に寄せられた以下のコメントは、その可能性を示唆しています。

「「医者や役所に本当のことを言うと、データが企業に売られる」と考えるようになり、病院で本当の症状を隠したり、精神科の受診をためらうようになります。」

実効性ある事前通知とオプトアウトの担保は、この資産価値を将来にわたって維持するためにも重要と考えます。

(5)匿名化・仮名化を原則とすることが望ましい理由

あわせて、匿名化・仮名化を原則とすることが望ましいと考えます。理由の一つは、識別性を下げることが、患者本人の拒否率そのものの低減にもつながり得る点にあります。上記署名に寄せられた、国指定難病(骨形成不全症)の当事者の方からの、次のコメントがその趣旨を端的に表しています。

「僕は国家指定難病、骨形成不全症を持っている障害者です。医療の発展のため、情報共有をスムーズにするという点で、本法の施行には賛成します。円滑な情報共有によって、より多くの苦しんでいる人たちが、医療の施しを受けられるのなら賛成しない理由はありません。ただ、本法には匿名性と本人確認が保障されておらず、そればかりが懸念です。僕のような立場の人たちが、もし本法の施行によって差別が助長されるなら……それだけはあってはならないと思います。なぜ、病気で苦しむ人が、さらに苦しまなければならないのですか?本法のそうした箇所への言及、そして明記が、この署名によって為されることを、どうかどうかと切に願っています。」

このコメントが示す通り、多くの患者は医療データの利活用そのものに反対しているわけではありません。むしろ、匿名性が十分に担保されるのであれば、円滑な情報共有を歓迎する声も少なくありません。匿名化・仮名化を原則とすることは、患者の権利保護に資するだけでなく、拒否率の低減を通じてデータ利活用の円滑化にも資するものと考えます。

(6)制度への不信や不満が、データ利活用そのものの停滞を招くリスクについて

令和8年6月10日の厚生労働委員会において、早稲田ゆき議員が「AI開発が進まないのは、大量のデータがないからではなく、国民の信頼度が低いからだ」との趣旨のご発言をされています。

私たちも、署名活動を通じて、同様の実感を得ています。賛同者からは「AIはまだ途上の技術です。AIを活用する未来を信じているからこそ、やみくもに情報を明け渡すべきではありません。」といった、制度への不信や不満をきっかけとした、データ利活用そのものへの慎重な声が、実際に複数寄せられました。

こうした声は、制度への不信や不満が募った場合、AI・統計目的でのデータ利活用そのものへの忌避感につながり、結果としてオプトアウトの急増や、医療現場における一次利用(診療そのもの)への不信にまで波及しかねないことを示しています。実効性ある事前通知とオプトアウトの担保は、患者の権利保護のみならず、データ利活用の持続可能性そのものを守るためにも不可欠と考えます。


 

三、要望事項

以上を踏まえ、個人情報保護委員会、及び関係省庁に対し、以下のとおり要望いたします。

令和8年8月26日公表の「政令・規則等で定める事項の全体像(案)」(以下「全体像」)において、統計作成等の特例に関する委員会規則で「公表の内容及び方法」を定めることが示され、また課徴金に関するガイドラインで「相当の注意を怠った者でないと認められる場合」の考え方を示すことが明記されました。以下の要望事項は、まさにこれらの検討項目に対応するものです。

【改正個人情報保護法 医療分野のガイドラインにおいて実現を求める内容】

1.      医療分野での統計作成等の特例においては、事業者の「基準適合体制」の内容として「実効性ある事前通知・オプトアウト」の確保を必須とすること、原則的に「匿名化・仮名化」が望ましいことをガイドラインに明記すること。

2.      課徴金の減免要件である「相当の注意」の判断において、前号の実施を行わなかった場合には「相当の注意を怠った」と評価され得ることを明記すること。


なお、統計作成等の特例において統計情報等の作成にのみ利用される場合に本人同意を不要とすること自体は、既に成立した法律事項であり、私たちはこれを覆すことを求めるものではありません。私たちが求めるのは、法が委員会規則に委任した「基準適合体制の内容」及び「公表の内容及び方法」の一部として、事前の実効性ある通知と拒否権(オプトアウト)の機会確保を組み込むことです。

また、全体像では、統計作成等の特例に関するガイドライン・Q&Aの検討事項として「基本的な考え方や具体事例等を提示」と示されておりますが、事前通知・オプトアウトについては明示されておりません。この「基本的な考え方」の中に、上記1の内容を明示的に含めていただきたく、重ねてお願い申し上げます。

【改正個人情報保護法 委員会規則において実現を求める内容】

1.      提供に関する情報公開を一元的に集約・公開し、提供したデータの概要(対象患者抽出条件や人数等、患者自身が対象者であるかを判断できる情報)、提供したデータ項目、利用期間(削除時期を含む)、委託の有無、匿名化・仮名化の実施の有無及び実施しなかった場合はその理由等を明示すること(実効性ある事前通知の前提として)。

2.      統計作成等の特例による第三者提供にあたっては、提供先の身元及び利用目的について、提供時点での確認を義務付けること。全体像では、一般的なオプトアウト制度の強化に関して「提供先の身元及び利用目的の確認を義務化する」こととされていますが、統計作成等の特例による提供についても、同様の水準の確認を求めるべきと考えます。特に医療分野の要配慮個人情報については、事後の公表のみでなく、提供の時点で提供先の適格性を確認する仕組みが、実効性ある保護のために不可欠です。

3.      法第18条第3項第7号、第20条第2項第7号及び第27条第1項第8号における「取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかである場合」の基準を定めるにあたっては、病歴等の要配慮個人情報について、漏えい時の影響の重大性、及び本要望書に付した署名活動の結果(本人の意思に反する可能性を具体的に示す証拠)を踏まえ、安易に「明らかである」と判断されることのないよう、医療分野における適用を厳格に限定すること。少なくとも、事前の実効性ある通知と拒否権(オプトアウト)の機会が確保されない限り、本規定の適用対象としないこと。


 

四、今後の検討にあたって留意いただきたい論点

上記の要望事項に加え、実効性のある制度とするためには、以下の論点についても十分なご検討をいただきたく存じます。これらは、私たち自身が具体的な解決策を提示できる立場にはございませんが、実務上避けて通れない重要な論点と認識しており、あえて言及させていただきます。

1.      代理人による拒否権の行使のあり方:令和8年8月26日公表の全体像では、16歳未満の者について、法定代理人による同意取得・通知等の対象化が既に検討事項として示されています。認知機能に課題のある高齢者など、同様に自身での意思表示が困難な方についても、同様の枠組みでの検討・手当てをいただきたく存じます。

2.      オプトアウト対応における医療機関の負担軽減策:患者への周知や拒否の受付を、医療機関ごとに個別対応させるのではなく、一元化された仕組み(例えばマイナポータル等の活用)によって、現場の負担を軽減する方策について、あわせてご検討いただきたく存じます。

3.      遺伝性疾患に関する情報の取扱いについて:遺伝情報は本人だけでなく血縁者にも影響が及ぶことが、個人情報保護委員会・経済産業省「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」においても既に指摘されています。統計作成等の特例により遺伝性疾患に関する情報が利用される場合、本人のオプトアウトのみでは血縁者の利益を十分に保護できない可能性があることから、この点についても十分なご検討をいただきたく存じます。

4.      匿名化・仮名化の実効性を高める運用モデルについて:一案として、データ提供元及び提供先が、中立的な第三者(認定匿名加工医療情報作成事業者等)にデータを預託し、当該第三者内で名寄せ及び匿名加工を行った上でデータを提供する方法が考えられます。これにより、匿名化・仮名化の原則と、統計作成等の特例が目的とする複数データソースの結合分析との両立が可能になると考えており、ガイドラインにおいて望ましい実施例として示すことも含め、ご検討いただきたく存じます。

五、意見交換・ヒアリング等への参加について

全体像によれば、今後、貴委員会事務局において、多様な個人の立場からご意見を伺う団体との意見交換及びヒアリングが予定されていると承知しております。私たちも、医療分野における患者・市民の立場を代弁する任意団体として、本要望書の内容について直接お話しする機会を賜れますと幸いです。

六、結び

私たちは、医療データの利活用そのものに反対するものではありません。正しく運用されれば、新しい治療法の開発や医療の質の向上につながる、貴重な社会資源であると認識しております。

だからこそ、患者の自己決定権を最低限担保する仕組みを整えることが、結果として患者と医療現場、そしてデータ利活用者との信頼関係を維持し、持続可能な形での医療データ利活用につながるものと確信しております。

何とぞ、上記要望事項につきまして、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。

以上

【参考資料】

1.      参議院附帯決議(改正個人情報保護法、令和8年7月10日成立分)

2.      個人情報保護委員会「改正法の円滑な施行に向けた取組の方針(案)」(令和8年7月31日付資料) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260731_shiryou-1.pdf

3.      個人情報保護委員会「政令・規則等で定める事項の全体像(案)について」(令和8年8月26日付資料) https://www.ppc.go.jp/files/pdf/260826_shiryou-1.pdf

4.      個人情報保護委員会・経済産業省「経済産業分野のうち個人遺伝情報を用いた事業分野における個人情報保護ガイドライン」 https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/gentec_data_guideline/

5.      内閣府「医療等情報の利活用の推進に関する検討会(第15回)資料1」(令和8年8月31日)https://www8.cao.go.jp/iryou/studygloup/20260831/pdf/s-1.pdf

6.      日本弁護士連合会「医療等情報の利活用の在り方に関する意見書」(令和8年7月16日)

7.      東京新聞「自分の情報が知らない間に…改正個人情報保護法の特例に『運用面での歯止めを』署名を立ち上げた女性の思い」(2026年8月18日) https://www.tokyo-np.co.jp/article/509176

8.      オンライン署名「私たちの病歴を勝手にAI開発に渡さないで!改正個人情報保護法の『特例』に歯止めを!」 https://www.change.org/ProtectPersonalData

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