

私たちの病歴を勝手にAI開発に渡さないで!改正個人情報保護法の「特例」に歯止めを!
署名活動の主旨
■署名の要約
↓30秒で分かる署名の概要はコチラから!動画の拡散もお願いします🙇♀️
https://youtube.com/shorts/rjWMozxETpQ?feature=share
2026年、個人情報保護法が改正されようとしています。国会審議にて7/10に参院でも可決となりました。
この改正には、病歴・診療情報といった「要配慮個人情報」を、AI開発や統計作成の目的であれば【本人の同意なし】に【第三者へ提供】できるという新しい仕組み(統計作成等の特例)が盛り込まれています。
この特例は、提供先の審査がほとんどなく、氏名や住所を含んだ生データが渡り得るなど、特に病歴のような機微な情報にとって危険性の大きい制度です。
この法案が成立を止めるのは、今の国会情勢からするともはや極めて難しい状況です。
しかし、まだできることがあります。
実は日本には、医療データを安全に利活用するための仕組みとして、すでに「次世代医療基盤法」という法律が存在します。オプトアウトの保障、匿名加工、国の認定を受けた事業者への限定など、今回の特例にはない安全策が備わっています。
私たちが求めているのは、医療データのAI開発・統計利用は、緩い抜け道である統計作成等の特例ではなく、すでにある安全な次世代医療基盤法のルートを使うことを原則とすることです。
ただし、要求は以下の2点を原則として設計・優先順位付けしていきます。
①実現可能性を重視し、現行法を変えずに対応可能な事項を優先する②次世代医療基盤法側の課題解決も同時に求める
つきまして個人情報保護委員会、および関係省庁に対し、以下を求めます。
- 今回の個人情報保護法改正に伴う運用ルールで実現を求める内容:
・医療分野全般において、原則的に次世代医療基盤法に基づく枠組みを優先的に活用することが望ましい旨をガイドラインに明記すること
・課徴金の減免要件である「相当の注意」の判断において、次世代医療基盤法が利用可能だったにもかかわらず、あえて緩い統計作成等の特例を選んだ場合は「相当の注意を怠った」と評価され得ることを明記すること
・提供に関する情報公開を一元的に集約・公開し、提供したデータ項目を明示すること(次世代医療基盤法を使わない事例が可視化される仕組みとして) - 関連制度の見直しで実現を求める内容:
・厚生労働省が、保険医療機関に対して次世代医療基盤法の優先活用を求める通知を発出すること
・医療系研究の倫理審査委員会の審査基準に、次世代医療基盤法の優先活用を組み込むこと - 次世代医療基盤法改正で実現を求める内容:
・通知手続のデジタル化や軽量な認定トラックの検討など、安全性を落とさずに手続き負担を軽くすること
この署名を、どこに・いつ・どう届けるか
以下の3段階の流れで進めています。
今すぐ〜8月中:団体・有識者への働きかけ
全国保険医団体連合会・日本医師会・日本医療情報学会など同じ問題意識を持つ団体に、署名の状況を共有し、署名受理のご相談など連携を申し込みます。
あわせて発起人個人のつながりで、医療情報分野の有識者にもアドバイスやコネクションのご相談をしていきます。
2026年秋頃:制度設計への働きかけ ★1番の勝負どころ
個人情報保護委員会・厚生労働省で、政令・委員会規則の内容を詰める検討会・有識者ヒアリングが始まる見通しです。
規則の中身に最も反映されやすいこの段階で、本署名が非公開の有識者ヒアリング等で参照されることを目指し、ロビー活動を進めます。
具体的には、検討会やヒアリング開始前に、前述の団体や有識者に署名と要望書を再提出します。
パブリックコメント期間:正式な意見として行政記録に残す
2026年末〜2027年頭頃に政令・委員会規則案、2027年夏〜秋頃に医療分野ガイドラインのパブコメが見込まれます。
団体経由の要望に加え、この機会にもパブコメでの署名提出と厚労省等の関係省庁への署名提出を行い、行政の正式な記録として残させます。
その後、2028年4月頃に改正法が施行される見通しです。
※時期はいずれも前回改正(令和2年)のペースに基づく見込みで、確定ではありません。進捗があり次第このページを更新します。
■署名の詳細
●立ち上げの背景
私はこれまで、大きな病院や研究機関で、データ利活用・分析に関わる仕事に携わってきました。
医療データが正しく使われれば、新しい治療法の開発や医療の質の向上につながることを、現場で見てきた一人です。
だからこそ、データ利活用そのものを否定するつもりはありません。
しかし、今回の改正内容を知り、看過できないと感じました。
現場の皆様は「患者様の命と安全を守る」という医の倫理に基づいて、これまで厳格なデータ管理に取り組まれてきました。
今回の改正による例外追加は、その努力を毀損し、患者様と医療機関の関係性を揺るがしかねないと感じたからです。
●この特例は、病歴データにとって特に危険です
現在、病歴・診療歴などの「要配慮個人情報」を第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。
今回の改正案では、「統計作成等」という目的(AIの学習・開発の一部もここに含まれます)であれば、次の条件を満たせば【本人の同意なしに】提供できるようになります。
- 提供する側・受け取る側それぞれが、自社の名称や統計作成等の内容をインターネット等で「公表」していること
- 提供先が、公表した目的の範囲内でしかデータを扱わないこと
一見、公表という手続きがあるから安心、と思われるかもしれません。
ですが、実際にはこの「公表」は各事業者が自社サイトの片隅に載せるなど、患者本人がそれに気づき、提供を止める機会は実質的に失われる形になりかねません。
同意の代わりになるはずの手続きが、ほとんどの人にとって「知らないうちに終わっている」状態になりかねないのです。
また、ここで提供される情報は、最終的に作られる「統計情報」そのものではありません。
提供元から提供先に渡る元データの段階では、氏名や住所が含まれたままのケースもあり得ます。
個人を特定できない形に加工されるのは、あくまで最終成果物の段階です。
●なぜ要配慮個人情報の第三者提供はここまで危険なのか
取り返しがつきません:
一度どこかに渡ってしまえば、後から「やっぱり嫌だ」と撤回することは事実上できません。
提供先の審査が、既存の医療データ利活用制度に比べてかなり緩やかです:
次世代医療基盤法では、医療情報を匿名加工して第三者に提供する事業者は、国の認定を受けた「認定匿名加工医療情報作成事業者」に限られ、セキュリティ体制などについて厳格な審査があります。
ところが今回の特例では、提供先の事業者に国の認定や資格は求められておらず、「公表」と「契約」があれば足りるという、かなり緩やかな枠組みになっています。
しかも提供先の所在地についても明確な制限は設けられておらず、海外の事業者や個人事業主が提供先になり得る可能性も指摘されています。
具体的に懸念されるのは、生データの流出や目的外利用により、以下のような悪用が生じることです。
「表向きはAI開発目的でデータを受け取りつつ、実際には内部の担当者が特定の個人(著名人等)のレコードを検索し、氏名から住所や要配慮個人情報を抜き出す」
「精神科や泌尿器科のような機微な疾患データから氏名や住所を抜き出し、「口止め料」を請求する」
「認知症患者のリストを作成し、特殊詐欺に悪用する」
こうした行為は法律上「目的外利用」として禁止されていますが、事業者内部で一件のレコードを検索する行為は外形的に通常業務と区別がつかず、外部から検知することは極めて困難です。
さらに、目的外利用に対する課徴金制度には「影響を受けた本人の数が1,000人を超えること」という人数の足切りがあります。
大量の患者データを一括で漏洩・悪用するような事案は課徴金の対象になり得ますが、著名人や少数の個人を狙い撃ちして情報を抜き出すような「小口の標的型悪用」は、そもそも課徴金制度の対象から外れる可能性が高いのです。
悪意がなくても、漏洩リスクは常にあります。:
サイバー攻撃やヒューマンエラーによる情報漏洩を完全に防ぐことはできません。病歴のような機微な情報が漏洩した場合の被害は、通常の個人情報以上に深刻です。
漏洩・悪用されれば、個人の人生に直接影響しかねません。:
精神疾患の通院歴が漏れて転職活動で不利に扱われる、犯罪被害の経験が漏れて二次被害につながる、感染症の既往歴が漏れて偏見を受ける——こうしたことが起こり得ます。
病歴だけでなく、生体認証情報も⁈: 「要配慮個人情報」には、犯罪被害歴、障害の有無、健康診断の結果、逮捕歴なども含まれ、これらすべてが対象になり得ます。さらに、DNA・指紋・声紋・虹彩・顔認証データといった「個人識別符号」(生体認証に使われる情報)も、この特例の対象から除外されていません。これらはパスワードと違って一生変更できないという別種の深刻さを持っています。しかも、この特例には「提供する項目を必要最小限に絞らなければならない」という縛りがないため、氏名・住所・病歴・生体認証データが一つのレコードにまとまっていれば、それらをまとめて提供することも制度上は妨げられません。
●海外はもっと慎重です
「研究やAI開発のために、同意なくデータを使える仕組み」自体は、実はEUやアメリカにも存在します。しかし中身を比べると、日本の制度がいかに踏み込んだ緩和なのかが分かります。
- EU(GDPR・EHDS):研究目的での例外規定はありますが、可能な限り匿名化・仮名化を優先し、識別可能なデータのまま扱えるのは目的が達成できない場合に限るという厳格な原則があります。医療データに特化したEHDS(欧州健康データスペース)規則では、二次利用に対する本人のオプトアウト権や、独立した審査機関(Health Data Access Body)による許可制度が明記されています。
- 米国(HIPAA):患者の同意なしに識別可能な医療情報を渡す方法は限られており、独立した倫理審査委員会(IRB)が必要性を個別審査して初めて認められます。同意なしで渡す代替手段(限定データセット)を使う場合でも、氏名・番地は必ず除外しなければなりません。
つまりEUもアメリカも、「識別可能なデータはなるべく避け、例外的に渡す場合も独立した第三者機関が審査する」という二段構えです。日本の新制度には、この独立審査という要素がありません。
●成立を止めるのは難しい。それでも、まだできることがあります
ここまで読むと、絶望的な気持ちになるかもしれません。すでに衆議院を通過し、参議院でも審議が最終盤に入っている今、法案そのものの成立を止めるのは、正直なところ極めて厳しい情勢です。
ですが、たとえ成立しても、この特例が実際にどう運用されるかは、これから策定される政令・委員会規則・ガイドラインで決まります。 ここには、まだ声を届ける余地が残っています。
そして何より重要なのは、この問題を解決するためのピースは、実はもうすでに日本に存在しているということです
●すでにある解決策——次世代医療基盤法
日本にはすでに、医療データを安全に利活用するための専用の法律「次世代医療基盤法」があります。これは、医療情報を匿名加工して研究・AI開発に役立てるための仕組みで、以下のような、今回の統計作成等の特例にはない安全策を備えています。
- オプトアウトの保障:医療機関は患者に提供内容を通知・公表し、患者が拒否すればその情報は対象から外れます。
- 匿名加工:識別可能な形のまま渡ることはありません
- 国の認定を受けた事業者への限定:「認定匿名加工医療情報作成事業者」という、セキュリティ体制等について厳格な審査を受けた事業者しか、データを受け取れません
つまり、今回の統計作成等の特例が抱える弱点——提供先の審査がない、匿名化されない、オプトアウトがない——のすべてに、次世代医療基盤法はすでに答えを持っているのです。
問題は、今回の改正によって、事業者がこの安全な仕組みをわざわざ使う理由がなくなってしまうことです。
次世代医療基盤法は、認定事業者制や匿名加工など、それなりに手間とコストがかかる仕組みです。
一方、新しい統計作成等の特例は「公表するだけ」で済んでしまいます。合理的な事業者ほど、安くて楽な統計特例のルートに流れ、せっかく整備された安全な仕組みが「誰も使わない制度」になってしまいかねません。
だからこそ私たちは、「医療データをAI開発・統計利用する場合は、次世代医療基盤法のルートを使うことを基本とする」という運用を、これから決まる規則・ガイドラインの中で実現したいと考えています。
ただし、次世代医療基盤法側にも課題はあります。
それは安全管理に係る運用コストや、ベンチャー企業など新しく尖った技術を持つ新興企業にとって参入障壁が高いことなどです。
次世代医療基盤法側にも、患者の権利の保護を大原則としながらも、時代に合わせた改正を求めることが、真の「次世代医療基盤法活用」に繋がります。
●私たちが求めること
この法案の成立を止めるのは、今の国会情勢からすると極めて厳しい状況です。
そこで今は、今ある法律の枠内で、医療データについては次世代医療基盤法の利用を実質的な原則とし、統計作成等の特例はやむを得ない場合の例外とすることを目標に、以下を要請します。
より根本的な制度改善については、今後の見直しの機会に向けて、引き続き問題提起を続けていきます。
私たちが目指す運用の骨格は、次のような二段構えです。
① 原則:医療データをAI開発・統計目的で第三者提供する場合、まず次世代医療基盤法が使えるかを検討することが望ましい運用とする。
②例外と説明責任:次世代医療基盤法の対象範囲外である、緊急の公衆衛生上の必要がある、対応可能な認定事業者が実質的に存在しないなど、限定的な理由がある場合に統計作成等の特例を使うとしても、なぜ次世代医療基盤法を選ばなかったかを具体的に公表する(説明責任)。
この説明責任と、課徴金の「相当の注意」の判断等を連動させることで、法改正を伴わずに事実上の誘導力を持たせる。
この骨格を実現するために、以下を要請します。実現の道筋がそれぞれ異なるため、どのタイミング・どの制度改訂に乗せて実現するかで3つに分けています。
【①今回の改正の運用ルールに、今すぐ盛り込むこと】
- 課徴金の減免要件である「相当の注意」の判断基準に、次世代医療基盤法の優先活用を明記すること。
次世代医療基盤法が利用可能であったにもかかわらず、あえてそれより緩い統計作成等の特例を選んで問題を起こした場合は、「相当の注意を怠っていた」と評価され得ることを、ガイドラインまたはQ&Aに明記してください。 - 統計作成等の特例を利用する場合、次世代医療基盤法をなぜ選ばなかったかの説明を、公表事項に含めるよう義務づけること。
現行の改正法30条の2は、次世代医療基盤法の利用可能性を特例使用の法的な条件とはしていません。委員会規則で「利用条件」そのものを新設することは委任の範囲を超える可能性が高いため、今回は公表事項の一つとして、理由の説明を求める形にとどめます。次世代医療基盤法の対象範囲外である、緊急の公衆衛生上の必要がある、対応可能な認定事業者が実質的に存在しない、といった理由の類型を例示した上で、統計作成等の特例を利用する事業者に対し、その理由を具体的に公表するよう義務づけてください。これは法的な使用制限ではなく公表による説明責任の強化ですが、上記1の「相当の注意」の判断とも連動させることで、事実上の抑止力を持たせることができます。 - 提供に関する情報公開を、個人情報保護委員会が一元的に集約・公開すること。
各事業者が自社サイトにバラバラに掲載するだけでなく、委員会が一元的に公表する仕組みを整備し、上記2の理由公表とあわせて、次世代医療基盤法を使わなかった事例が可視化されるようにしてください。 - 公表事項として、提供したデータ項目、特に要配慮個人情報・氏名・住所が含まれるか否かを明示すること。
統計作成等の特例で渡された元データにどのような項目が含まれるかを具体的に公表するよう義務づけてください。
今後の課題として:
本来であれば、次世代医療基盤法の利用可能性を統計作成等の特例(30条の2)の法的な要件そのものに組み込むことが望ましいですが、これには法律改正が必要であり、今回のガイドライン・規則策定では実現できません。次の3年ごと見直しに向けた論点として、引き続き提起していきます。
【②関連制度の見直しにあわせて、求めること】
個人情報保護法とは別に、それぞれ独自の改訂サイクルを持つ制度です。
今回の改正と直接連動するものではありませんが、関係省庁への働きかけとして並行して求めます。
- 医療系研究の倫理審査委員会の審査基準に、次世代医療基盤法の優先活用を組み込むこと。
日本の医療機関には、研究目的のデータ利用について倫理審査委員会の承認を得る仕組みがすでにあります(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づくもので、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の共管です)。この審査基準に「統計作成等の特例を用いる場合、次世代医療基盤法の枠組みが利用可能であればそちらを優先すべき」という観点を組み込むよう、文部科学省・厚生労働省に働きかけてください。 - 厚生労働省が、保険医療機関に対して次世代医療基盤法の優先活用を求める通知を発出すること。
療養担当規則に基づく厚生局の指導・監査という実効性のある枠組みを活用し、既存の掲示義務(同規則第二条の六等)に、次世代医療基盤法の利用を原則とし、統計作成等の特例を利用する場合はその旨、次世代医療基盤法を優先しなかった場合はその理由を含めるよう求めてください。
【③次世代医療基盤法の見直しで、検討を求めること】
内閣府健康・医療戦略推進事務局が所管する次世代医療基盤法自体の運用改善です。
安全性の水準(匿名加工・患者関与・第三者監督)を下げることなく、AI開発・統計作成という目的に限定して、手続き負担を軽くすることを求めます。
個体の再識別・長期追跡を必要としない用途であれば、次世代医療基盤法の中でも最も軽い「匿名加工医療情報」の枠組みで十分対応できるはずです。
- 患者への通知・公表手続きのデジタル化を徹底すること。
初診時のオンライン受付・電子同意プロセスに、次世代医療基盤法上の通知を標準搭載できるようにし、書面交付の負担を軽減してください。 - AI開発・統計目的に限定した、より軽量な認定基準(簡易トラック)を検討すること。
薬事目的等のフルスペックの認定基準とは別に、個体追跡を伴わないAI学習用途に限定した、より軽量な認定・運用基準の新設を検討してください。 - 中小病院が共同で認定事業者を利用する際の手続きを簡略化すること。
次世代医療基盤法の活用が大病院・ナショナルセンターに偏らないよう、体力のない医療機関でも参加しやすい仕組みを整備してください。
● 最後に
医療データの活用は、これからの医療の発展に欠かせないものだと私は信じています。
だからこそ、患者の信頼を損なわない形で制度が運用されることが、遠回りのようで一番の近道だと思います。
この署名は、「自分の病歴がどう扱われるか、自分で選べる仕組みであってほしい」という、ごく当たり前の願いを可視化するためのものです。
法案の成立はもう止められないかもしれませんが、幸い、それを解決する道具はすでに日本にあります。あとは、その道具をきちんと使わせる仕組みを、私たちの声で作るだけです。
賛同いただける方は、ぜひ署名や拡散にご協力をお願いいたします。
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署名活動の主旨
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2026年、個人情報保護法が改正されようとしています。国会審議にて7/10に参院でも可決となりました。
この改正には、病歴・診療情報といった「要配慮個人情報」を、AI開発や統計作成の目的であれば【本人の同意なし】に【第三者へ提供】できるという新しい仕組み(統計作成等の特例)が盛り込まれています。
この特例は、提供先の審査がほとんどなく、氏名や住所を含んだ生データが渡り得るなど、特に病歴のような機微な情報にとって危険性の大きい制度です。
この法案が成立を止めるのは、今の国会情勢からするともはや極めて難しい状況です。
しかし、まだできることがあります。
実は日本には、医療データを安全に利活用するための仕組みとして、すでに「次世代医療基盤法」という法律が存在します。オプトアウトの保障、匿名加工、国の認定を受けた事業者への限定など、今回の特例にはない安全策が備わっています。
私たちが求めているのは、医療データのAI開発・統計利用は、緩い抜け道である統計作成等の特例ではなく、すでにある安全な次世代医療基盤法のルートを使うことを原則とすることです。
ただし、要求は以下の2点を原則として設計・優先順位付けしていきます。
①実現可能性を重視し、現行法を変えずに対応可能な事項を優先する②次世代医療基盤法側の課題解決も同時に求める
つきまして個人情報保護委員会、および関係省庁に対し、以下を求めます。
- 今回の個人情報保護法改正に伴う運用ルールで実現を求める内容:
・医療分野全般において、原則的に次世代医療基盤法に基づく枠組みを優先的に活用することが望ましい旨をガイドラインに明記すること
・課徴金の減免要件である「相当の注意」の判断において、次世代医療基盤法が利用可能だったにもかかわらず、あえて緩い統計作成等の特例を選んだ場合は「相当の注意を怠った」と評価され得ることを明記すること
・提供に関する情報公開を一元的に集約・公開し、提供したデータ項目を明示すること(次世代医療基盤法を使わない事例が可視化される仕組みとして) - 関連制度の見直しで実現を求める内容:
・厚生労働省が、保険医療機関に対して次世代医療基盤法の優先活用を求める通知を発出すること
・医療系研究の倫理審査委員会の審査基準に、次世代医療基盤法の優先活用を組み込むこと - 次世代医療基盤法改正で実現を求める内容:
・通知手続のデジタル化や軽量な認定トラックの検討など、安全性を落とさずに手続き負担を軽くすること
この署名を、どこに・いつ・どう届けるか
以下の3段階の流れで進めています。
今すぐ〜8月中:団体・有識者への働きかけ
全国保険医団体連合会・日本医師会・日本医療情報学会など同じ問題意識を持つ団体に、署名の状況を共有し、署名受理のご相談など連携を申し込みます。
あわせて発起人個人のつながりで、医療情報分野の有識者にもアドバイスやコネクションのご相談をしていきます。
2026年秋頃:制度設計への働きかけ ★1番の勝負どころ
個人情報保護委員会・厚生労働省で、政令・委員会規則の内容を詰める検討会・有識者ヒアリングが始まる見通しです。
規則の中身に最も反映されやすいこの段階で、本署名が非公開の有識者ヒアリング等で参照されることを目指し、ロビー活動を進めます。
具体的には、検討会やヒアリング開始前に、前述の団体や有識者に署名と要望書を再提出します。
パブリックコメント期間:正式な意見として行政記録に残す
2026年末〜2027年頭頃に政令・委員会規則案、2027年夏〜秋頃に医療分野ガイドラインのパブコメが見込まれます。
団体経由の要望に加え、この機会にもパブコメでの署名提出と厚労省等の関係省庁への署名提出を行い、行政の正式な記録として残させます。
その後、2028年4月頃に改正法が施行される見通しです。
※時期はいずれも前回改正(令和2年)のペースに基づく見込みで、確定ではありません。進捗があり次第このページを更新します。
■署名の詳細
●立ち上げの背景
私はこれまで、大きな病院や研究機関で、データ利活用・分析に関わる仕事に携わってきました。
医療データが正しく使われれば、新しい治療法の開発や医療の質の向上につながることを、現場で見てきた一人です。
だからこそ、データ利活用そのものを否定するつもりはありません。
しかし、今回の改正内容を知り、看過できないと感じました。
現場の皆様は「患者様の命と安全を守る」という医の倫理に基づいて、これまで厳格なデータ管理に取り組まれてきました。
今回の改正による例外追加は、その努力を毀損し、患者様と医療機関の関係性を揺るがしかねないと感じたからです。
●この特例は、病歴データにとって特に危険です
現在、病歴・診療歴などの「要配慮個人情報」を第三者に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。
今回の改正案では、「統計作成等」という目的(AIの学習・開発の一部もここに含まれます)であれば、次の条件を満たせば【本人の同意なしに】提供できるようになります。
- 提供する側・受け取る側それぞれが、自社の名称や統計作成等の内容をインターネット等で「公表」していること
- 提供先が、公表した目的の範囲内でしかデータを扱わないこと
一見、公表という手続きがあるから安心、と思われるかもしれません。
ですが、実際にはこの「公表」は各事業者が自社サイトの片隅に載せるなど、患者本人がそれに気づき、提供を止める機会は実質的に失われる形になりかねません。
同意の代わりになるはずの手続きが、ほとんどの人にとって「知らないうちに終わっている」状態になりかねないのです。
また、ここで提供される情報は、最終的に作られる「統計情報」そのものではありません。
提供元から提供先に渡る元データの段階では、氏名や住所が含まれたままのケースもあり得ます。
個人を特定できない形に加工されるのは、あくまで最終成果物の段階です。
●なぜ要配慮個人情報の第三者提供はここまで危険なのか
取り返しがつきません:
一度どこかに渡ってしまえば、後から「やっぱり嫌だ」と撤回することは事実上できません。
提供先の審査が、既存の医療データ利活用制度に比べてかなり緩やかです:
次世代医療基盤法では、医療情報を匿名加工して第三者に提供する事業者は、国の認定を受けた「認定匿名加工医療情報作成事業者」に限られ、セキュリティ体制などについて厳格な審査があります。
ところが今回の特例では、提供先の事業者に国の認定や資格は求められておらず、「公表」と「契約」があれば足りるという、かなり緩やかな枠組みになっています。
しかも提供先の所在地についても明確な制限は設けられておらず、海外の事業者や個人事業主が提供先になり得る可能性も指摘されています。
具体的に懸念されるのは、生データの流出や目的外利用により、以下のような悪用が生じることです。
「表向きはAI開発目的でデータを受け取りつつ、実際には内部の担当者が特定の個人(著名人等)のレコードを検索し、氏名から住所や要配慮個人情報を抜き出す」
「精神科や泌尿器科のような機微な疾患データから氏名や住所を抜き出し、「口止め料」を請求する」
「認知症患者のリストを作成し、特殊詐欺に悪用する」
こうした行為は法律上「目的外利用」として禁止されていますが、事業者内部で一件のレコードを検索する行為は外形的に通常業務と区別がつかず、外部から検知することは極めて困難です。
さらに、目的外利用に対する課徴金制度には「影響を受けた本人の数が1,000人を超えること」という人数の足切りがあります。
大量の患者データを一括で漏洩・悪用するような事案は課徴金の対象になり得ますが、著名人や少数の個人を狙い撃ちして情報を抜き出すような「小口の標的型悪用」は、そもそも課徴金制度の対象から外れる可能性が高いのです。
悪意がなくても、漏洩リスクは常にあります。:
サイバー攻撃やヒューマンエラーによる情報漏洩を完全に防ぐことはできません。病歴のような機微な情報が漏洩した場合の被害は、通常の個人情報以上に深刻です。
漏洩・悪用されれば、個人の人生に直接影響しかねません。:
精神疾患の通院歴が漏れて転職活動で不利に扱われる、犯罪被害の経験が漏れて二次被害につながる、感染症の既往歴が漏れて偏見を受ける——こうしたことが起こり得ます。
病歴だけでなく、生体認証情報も⁈: 「要配慮個人情報」には、犯罪被害歴、障害の有無、健康診断の結果、逮捕歴なども含まれ、これらすべてが対象になり得ます。さらに、DNA・指紋・声紋・虹彩・顔認証データといった「個人識別符号」(生体認証に使われる情報)も、この特例の対象から除外されていません。これらはパスワードと違って一生変更できないという別種の深刻さを持っています。しかも、この特例には「提供する項目を必要最小限に絞らなければならない」という縛りがないため、氏名・住所・病歴・生体認証データが一つのレコードにまとまっていれば、それらをまとめて提供することも制度上は妨げられません。
●海外はもっと慎重です
「研究やAI開発のために、同意なくデータを使える仕組み」自体は、実はEUやアメリカにも存在します。しかし中身を比べると、日本の制度がいかに踏み込んだ緩和なのかが分かります。
- EU(GDPR・EHDS):研究目的での例外規定はありますが、可能な限り匿名化・仮名化を優先し、識別可能なデータのまま扱えるのは目的が達成できない場合に限るという厳格な原則があります。医療データに特化したEHDS(欧州健康データスペース)規則では、二次利用に対する本人のオプトアウト権や、独立した審査機関(Health Data Access Body)による許可制度が明記されています。
- 米国(HIPAA):患者の同意なしに識別可能な医療情報を渡す方法は限られており、独立した倫理審査委員会(IRB)が必要性を個別審査して初めて認められます。同意なしで渡す代替手段(限定データセット)を使う場合でも、氏名・番地は必ず除外しなければなりません。
つまりEUもアメリカも、「識別可能なデータはなるべく避け、例外的に渡す場合も独立した第三者機関が審査する」という二段構えです。日本の新制度には、この独立審査という要素がありません。
●成立を止めるのは難しい。それでも、まだできることがあります
ここまで読むと、絶望的な気持ちになるかもしれません。すでに衆議院を通過し、参議院でも審議が最終盤に入っている今、法案そのものの成立を止めるのは、正直なところ極めて厳しい情勢です。
ですが、たとえ成立しても、この特例が実際にどう運用されるかは、これから策定される政令・委員会規則・ガイドラインで決まります。 ここには、まだ声を届ける余地が残っています。
そして何より重要なのは、この問題を解決するためのピースは、実はもうすでに日本に存在しているということです
●すでにある解決策——次世代医療基盤法
日本にはすでに、医療データを安全に利活用するための専用の法律「次世代医療基盤法」があります。これは、医療情報を匿名加工して研究・AI開発に役立てるための仕組みで、以下のような、今回の統計作成等の特例にはない安全策を備えています。
- オプトアウトの保障:医療機関は患者に提供内容を通知・公表し、患者が拒否すればその情報は対象から外れます。
- 匿名加工:識別可能な形のまま渡ることはありません
- 国の認定を受けた事業者への限定:「認定匿名加工医療情報作成事業者」という、セキュリティ体制等について厳格な審査を受けた事業者しか、データを受け取れません
つまり、今回の統計作成等の特例が抱える弱点——提供先の審査がない、匿名化されない、オプトアウトがない——のすべてに、次世代医療基盤法はすでに答えを持っているのです。
問題は、今回の改正によって、事業者がこの安全な仕組みをわざわざ使う理由がなくなってしまうことです。
次世代医療基盤法は、認定事業者制や匿名加工など、それなりに手間とコストがかかる仕組みです。
一方、新しい統計作成等の特例は「公表するだけ」で済んでしまいます。合理的な事業者ほど、安くて楽な統計特例のルートに流れ、せっかく整備された安全な仕組みが「誰も使わない制度」になってしまいかねません。
だからこそ私たちは、「医療データをAI開発・統計利用する場合は、次世代医療基盤法のルートを使うことを基本とする」という運用を、これから決まる規則・ガイドラインの中で実現したいと考えています。
ただし、次世代医療基盤法側にも課題はあります。
それは安全管理に係る運用コストや、ベンチャー企業など新しく尖った技術を持つ新興企業にとって参入障壁が高いことなどです。
次世代医療基盤法側にも、患者の権利の保護を大原則としながらも、時代に合わせた改正を求めることが、真の「次世代医療基盤法活用」に繋がります。
●私たちが求めること
この法案の成立を止めるのは、今の国会情勢からすると極めて厳しい状況です。
そこで今は、今ある法律の枠内で、医療データについては次世代医療基盤法の利用を実質的な原則とし、統計作成等の特例はやむを得ない場合の例外とすることを目標に、以下を要請します。
より根本的な制度改善については、今後の見直しの機会に向けて、引き続き問題提起を続けていきます。
私たちが目指す運用の骨格は、次のような二段構えです。
① 原則:医療データをAI開発・統計目的で第三者提供する場合、まず次世代医療基盤法が使えるかを検討することが望ましい運用とする。
②例外と説明責任:次世代医療基盤法の対象範囲外である、緊急の公衆衛生上の必要がある、対応可能な認定事業者が実質的に存在しないなど、限定的な理由がある場合に統計作成等の特例を使うとしても、なぜ次世代医療基盤法を選ばなかったかを具体的に公表する(説明責任)。
この説明責任と、課徴金の「相当の注意」の判断等を連動させることで、法改正を伴わずに事実上の誘導力を持たせる。
この骨格を実現するために、以下を要請します。実現の道筋がそれぞれ異なるため、どのタイミング・どの制度改訂に乗せて実現するかで3つに分けています。
【①今回の改正の運用ルールに、今すぐ盛り込むこと】
- 課徴金の減免要件である「相当の注意」の判断基準に、次世代医療基盤法の優先活用を明記すること。
次世代医療基盤法が利用可能であったにもかかわらず、あえてそれより緩い統計作成等の特例を選んで問題を起こした場合は、「相当の注意を怠っていた」と評価され得ることを、ガイドラインまたはQ&Aに明記してください。 - 統計作成等の特例を利用する場合、次世代医療基盤法をなぜ選ばなかったかの説明を、公表事項に含めるよう義務づけること。
現行の改正法30条の2は、次世代医療基盤法の利用可能性を特例使用の法的な条件とはしていません。委員会規則で「利用条件」そのものを新設することは委任の範囲を超える可能性が高いため、今回は公表事項の一つとして、理由の説明を求める形にとどめます。次世代医療基盤法の対象範囲外である、緊急の公衆衛生上の必要がある、対応可能な認定事業者が実質的に存在しない、といった理由の類型を例示した上で、統計作成等の特例を利用する事業者に対し、その理由を具体的に公表するよう義務づけてください。これは法的な使用制限ではなく公表による説明責任の強化ですが、上記1の「相当の注意」の判断とも連動させることで、事実上の抑止力を持たせることができます。 - 提供に関する情報公開を、個人情報保護委員会が一元的に集約・公開すること。
各事業者が自社サイトにバラバラに掲載するだけでなく、委員会が一元的に公表する仕組みを整備し、上記2の理由公表とあわせて、次世代医療基盤法を使わなかった事例が可視化されるようにしてください。 - 公表事項として、提供したデータ項目、特に要配慮個人情報・氏名・住所が含まれるか否かを明示すること。
統計作成等の特例で渡された元データにどのような項目が含まれるかを具体的に公表するよう義務づけてください。
今後の課題として:
本来であれば、次世代医療基盤法の利用可能性を統計作成等の特例(30条の2)の法的な要件そのものに組み込むことが望ましいですが、これには法律改正が必要であり、今回のガイドライン・規則策定では実現できません。次の3年ごと見直しに向けた論点として、引き続き提起していきます。
【②関連制度の見直しにあわせて、求めること】
個人情報保護法とは別に、それぞれ独自の改訂サイクルを持つ制度です。
今回の改正と直接連動するものではありませんが、関係省庁への働きかけとして並行して求めます。
- 医療系研究の倫理審査委員会の審査基準に、次世代医療基盤法の優先活用を組み込むこと。
日本の医療機関には、研究目的のデータ利用について倫理審査委員会の承認を得る仕組みがすでにあります(「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に基づくもので、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の共管です)。この審査基準に「統計作成等の特例を用いる場合、次世代医療基盤法の枠組みが利用可能であればそちらを優先すべき」という観点を組み込むよう、文部科学省・厚生労働省に働きかけてください。 - 厚生労働省が、保険医療機関に対して次世代医療基盤法の優先活用を求める通知を発出すること。
療養担当規則に基づく厚生局の指導・監査という実効性のある枠組みを活用し、既存の掲示義務(同規則第二条の六等)に、次世代医療基盤法の利用を原則とし、統計作成等の特例を利用する場合はその旨、次世代医療基盤法を優先しなかった場合はその理由を含めるよう求めてください。
【③次世代医療基盤法の見直しで、検討を求めること】
内閣府健康・医療戦略推進事務局が所管する次世代医療基盤法自体の運用改善です。
安全性の水準(匿名加工・患者関与・第三者監督)を下げることなく、AI開発・統計作成という目的に限定して、手続き負担を軽くすることを求めます。
個体の再識別・長期追跡を必要としない用途であれば、次世代医療基盤法の中でも最も軽い「匿名加工医療情報」の枠組みで十分対応できるはずです。
- 患者への通知・公表手続きのデジタル化を徹底すること。
初診時のオンライン受付・電子同意プロセスに、次世代医療基盤法上の通知を標準搭載できるようにし、書面交付の負担を軽減してください。 - AI開発・統計目的に限定した、より軽量な認定基準(簡易トラック)を検討すること。
薬事目的等のフルスペックの認定基準とは別に、個体追跡を伴わないAI学習用途に限定した、より軽量な認定・運用基準の新設を検討してください。 - 中小病院が共同で認定事業者を利用する際の手続きを簡略化すること。
次世代医療基盤法の活用が大病院・ナショナルセンターに偏らないよう、体力のない医療機関でも参加しやすい仕組みを整備してください。
● 最後に
医療データの活用は、これからの医療の発展に欠かせないものだと私は信じています。
だからこそ、患者の信頼を損なわない形で制度が運用されることが、遠回りのようで一番の近道だと思います。
この署名は、「自分の病歴がどう扱われるか、自分で選べる仕組みであってほしい」という、ごく当たり前の願いを可視化するためのものです。
法案の成立はもう止められないかもしれませんが、幸い、それを解決する道具はすでに日本にあります。あとは、その道具をきちんと使わせる仕組みを、私たちの声で作るだけです。
賛同いただける方は、ぜひ署名や拡散にご協力をお願いいたします。
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2026年7月9日に作成されたオンライン署名
