
9月30日(月)三鷹市議会本会議を傍聴しました。今年度第3回定例会日程の最終日でした。
前回ご報告しましたが、〈国立天文台周辺地域まちづくり特別委員会〉にて賛成多数で採択された鈴木さんの陳情が、この度市議会全体で審査されました。
反対討論2、賛成討論1を経て、賛成少数(賛成12 反対14)で陳情は否決という結果になりました。
賛成 きらり(3)野村羊子 伊沢けい子 石井れいこ
共産(4)大城美幸 栗原けんじ 前田まい 柴野あすか
立憲(3)谷口敏也 岩見大三 おばた和仁
維新(1)中泉きよし
参政(1)蛯澤征剛
反対 自ク(6)土屋けんいち 加藤こうじ 池田有也 吉田まさとし
太田みつこ 吉野けんさく
公明(4)粕谷稔 赤松大一 大倉あき子 佐々木かずよ
都ファ(2)山田さとみ 原めぐみ
無所属(1)半田伸明
つなぐ(1)成田ちひろ
議長:伊藤俊明(自ク) 欠席:高谷真一朗(立憲)
討論内容要旨を以下に。
大倉議員(公)反対討論:
陳情で引用された調布市や狛江市の避難所開設事例について言及。両市が多摩川などに接し「地域内に適切な指定緊急避難場所を確保できない特殊事情にある」とし「一律に論じることは適切とは言えない」としました。
【野川下流域にある狛江市では浸水想定区域内にある12箇所の施設を指定緊急避難場所としており、それらは住民にとって500m程度の移動距離で配置されています。一方、羽沢小が避難場所に指定されてない現況下、野川流域(大沢4、5丁目)の住民にとっては指定避難場所である第七中及び大沢台小に移動するためには2km以上距離があります。大倉議員の発言は「大沢4丁目・5丁目の住民が現状、適切な緊急避難場所を確保できてない」事実や、「羽沢小を緊急避難場所に指定することが住民の喫緊の要望である」ことを無視した、現状把握への無知・無理解がうかがえます。】
また、先日発生した能登半島での豪雨被害を引き合いに出し、「何よりも大事なことは災害発生時において市民の生命を守るための安全な場所の確保と確実な避難につなげる市民への周知である」とし、「本陳情採択にした場合、あたかも我々三鷹市議会が浸水の危険がある場所であっても緊急避難場所として指定することに問題がないと考えているかのような誤ったメッセージを市民に発信することにつながりかねない」と反対しました。
【まず現在の羽沢小移転計画には、東京都作成の浸水ハザードマップ存在が前提条件にあるのです。地理的条件、河川条件が異なる各地での残酷な災害を脅しのように引用すべきではないと考えます。
また大沢4丁目、5丁目の住民にとって、想定最大降雨(153mm/時、690 mm /24時
)の状況下で、2㎞以上離れた避難所まで避難することが、安全な場所の確保、確実な避難につながるでしょうか。
審査対象である今陳情は、市民の正確な情報を得る権利として、また理解共有として避難所関連における言葉の訂正を求めたものと捉えられますが、議員の発言は「市民の知る権利と理解の共有」という論点を「市議会の姿勢」へとはぐらかし、陳情にまともに向き合ったものとは言えません。また三鷹市は既に浸水想定区域内にある連雀CCを避難所に指定している事実もあります。】
中泉議員(維)賛成討論:
「陳情背景にある内容全てに賛同できるか否か更なる検討が必要。そのためにも市側へ正確な資料提供と一層の丁寧な説明を求める。今陳情の賛否を”避難所の定義”についてのものと認識し、この要望に大いに肯首する。緊急時の用語として、三鷹市のみならず、他自治体・中央省庁などと連携する際、使用単語での齟齬がある、そのような懸念は予め除去すべき。」という賛成討論でした。
半田議員(無)反対討論:
「最後まで悩まされた。天文台のまちづくりについては反対の立場だが、本陳情には論理的帰結として賛成できない。だが、陳情者が最も訴えている〈指定緊急避難所〉と〈指定避難所〉に関する概念を市と市民が理解し共有することを望むという部分は全くもってその通り。この両概念をきちんと説明し、〈なぜ羽沢小につき指定緊急避難場所に指定しないのか〉につき、きちんと説明を加えていくべき。物事には必要条件と十分条件の両者を備えなければならないと考える。〈なぜ羽沢小を移転しなければならないのか?〉というその必要条件の説明がやっぱり足りてなかった。前置きもなく〈避難所として開設できない〉とするのは誤解を生んでも仕方がない。そのような背景があったからこそこのような陳情が出てきたと解釈した。このまちづくりに賛成だろうが反対だろうが、きちんとした必要条件の論点理解が大切になってくる。本陳情には事実誤認の部分があるので反対するが、本陳情に書かれてある内容を市側がきちんと認識し、今後の市民説明では意を用いてほしい旨、指摘して反対討論とする。」
【半田議員の反対根拠は、内閣府の手引きには〈指定緊急避難場所〉と〈指定避難所〉の区別につき、どちらを使ってもよいとある。だからこの陳情は意味をなさない、ということのようです。
内閣府の手引きは、誰に向けて出されたのか。市民はそのことをどのようにして知ることができるか。市から市民に向けての説明が無いにもかかわらず、市側しか知らない情報に基づいた対応には問題がない、それが通用すると考えること自体、市民の代表である市議のなすべきことなのか、大いに疑問の余地ある発言です。しかもそのこと以外は、陳情内容に同意する趣旨の発言をしているのですから、同市議の反対理由は、論拠希薄と言わざるを得ません。この内容が市議会議員の口から出たことに驚きを禁じ得ません。】
否決は残念でしたが、
市側が当該まちづくり構想の起因・根拠としている〈羽沢小の立地状況と移転の必要性〉、この構想の根本といえる部分において市側の論拠が、正(精)確性を欠いた、乱暴かつ脆弱なものであることが、本陳情と討論で一層浮き彫りとなった、という印象をもちました。
その他、天文台周辺地域まちづくりに関することでは、教育長の任命と教育委員会委員1名の任命、二つの人事案件について議論されました。
教育長・まちづくり推進本部長であった貝ノ瀬滋氏が任期満了にて、教育部長であった松永透氏をあらたに教育長(ひいてはまちづくり推進本部長も引き継ぐ形となる)に任命することについて
質疑・反対討論要旨
伊沢議員(きらり):
教育長が都市再生部の事業を推進する長を併任するのは行政と教育の一体化であり、教育の独立性が失われている。行政の長である市長が本部長として責任をとるべきではないのか。
本まちづくりプロジェクトは巨大な複合施設建設計画だが、国立天文台北側ゾーンは天文学を研究するための公有地・国民の共有財産である。また義務教育学校は、適正とは言えない学校統廃合とそれに伴う教育予算の削減が目的であるため反対。また財政的にも現在示されている額より更なる必要予算が見込まれるため反対である。これまでまちづくり推進本部事務局次長、事務局長を務めてきた松永氏がさらに同プロジェクトを推進することに反対であることから、本議案に反対。
前田議員(共):
長きにわたり三鷹市の教育に携わり、教育委員会における職を務めてこられた松永氏の教育長任命には同意する。しかし任命後には推進本部長に着任予定とのこと。
まちづくりについては、学校統廃合という子どもたちにも地域コミュニティにも大きな影響を及ぼす方針が示され、また義務教育学校制度の導入も検討されているが、これまで教育的観点からの検討と議論が明らかに不足している。また子どもの意見、住民意見の反映を行わないまま進められている。教育長においては誰よりもまず三鷹の子どもの最善の利益を考え、子どもの権利を守る立場で当該まちづくりに関わるべきで、学校統廃合を軸とするまちづくり推進の先頭に立つべきではない。この機会に教育長の推進本部長への就任を見直すよう求める。教育長任命についての本議案には賛成。
賛成多数(賛成23 反対3)にて原案に同意という結果。
※教育長の任命ではありますが、この人事が天文台まちづくりの推進に大きくかかわるものと理解しました。
教育委員の任命について
反対討論要旨
前田議員(共):
今回の任命対象である三瓶恭子氏が2021年10月に市長、教育長宛に提出した要望書について。おおさわ学園コミュニティスクール(以下CSと表記)委員会会長として羽沢小・大沢台小合併などを希望した内容であった。つまり学校統廃合について賛成の立場をとる人物と推察される。まちづくりの議論において市はとりわけこの要望書の存在を持ち出し、あたかも大沢台小関係者の多くが学校統廃合を望んでいるかのように説明する根拠にしてきた。が、要望書について実際は保護者らへの周知は全くなく、関係者の考えが集約されたものでも反映されたものでもない。いわばCS委員会での議論のみで、当該要望書が作成され提出されたこと自体、適切ではなかった。
一方、教育委員会での議論は子どもの利益を考えた公平中立なものであることが求められる。天文台のまちづくり計画を進める最中、広範な市民の反対意見表明が想定される、このタイミングでの三瓶氏の任命(〜令和10年10月)は、教育委員会の中においても<学校統廃合を軸としたまちづくり>を推し進める目的に特化した人事ともとれる。教育委員会での公平中立な議論が保障されない可能性があり、適切な人事とは言えない。よって本議案に反対。
伊沢議員(きらり):
同要望書の、事実に基づかない記述箇所を指摘。
今回、新たな教育委員として市長が提案されている三瓶恭子氏は、2021年10月8日、おおさわ学園CS委員会会長として、国立天文台土地利用計画に関する要望書を市長、教育長宛に出している。この要望書は、羽沢小に加えて大沢大小を国立天文台敷地に移転する根拠として、議会の議論の中でも市長と教育長がたびたび引用してきた。しかしこの要望書の内容には事実に基づかない点と論理の飛躍があり、結果から言えば、市側が進めているまちづくりをなぞることによって、それを推進するためのものとなっている。
要望書中、
・羽沢小学校は土砂災害警戒区域であるとの記述は誤り。 羽沢小学校は土砂災害警戒区域には入っていない。入っているのは学校隣の一部区域。
・大沢台小学校は校舎が老朽しているから羽沢小移転と合わせて合併して新たな学校を創立すべきとの記述。三鷹市では小学校の老朽化には関しては建て替えで順次対応しているのであって、合併すべきというのは論理に飛躍がある。
・要望書のまとめとして、新たなコミュニティセンター建設などを含めて開発を実現できるようにとの記述あり。これは当時の市側の計画と全く一致するもので、独自の要望とは言い難い。
よって市側が進めようとする国立天文台周辺地区まちづくりを推進するために、市長が4人しかいない教育委員のうちの1人に三瓶氏を任命するのは、三鷹市の子どもたち全体の責任を担うべき教育委員として相応しくないと考え、本議案に反対する。
賛成多数(賛成18 反対8)により原案に同意。 反対(共4 きらり3 維1)
※各議員の発言、討論は要旨まとめにつき、議会での実際の言葉、言い回しとは異なる部分あり、逐一一致してはいない旨おことわりいたします。三鷹市議会はネット中継(録画)で視聴できます。
議会傍聴後の感想:一体誰のためのまちづくりなのか?
「当該まちづくり計画は〈学校を核とした地域づくり〉だから、教育長をもってまちづくり推進本部長に充てる」と、市長は答弁しました。
では〈学校を核とした地域づくり〉を望み計画している、その主体は誰なのか。
そもそも〈まち〉〈地域〉をつくり、担っているのは他ならぬ住民のはずです。
住民たちは、市長の横暴とも言える、理に適ってない計画に沿って〈まち〉〈地域〉をつくり、生活環境変更を余儀なくされ、不利益が生じようが仕方なく従うべき存在なのでしょうか。
主体をはき違えたおかしな話です。
任命された教育長が、まちづくり推進本部長を兼任することについても疑問があります。
〈まち〉〈地域〉は老若男女、さまざまな人間たちで構成され、生活形態は千差万別です。
三鷹市の学校教育全般の指揮をとることと、地域がもつ特性、自然環境、防災・防犯、住民の生活環境がどうあればよいか等、地域の姿、そこに住む人々のいとなみ、その全体像を見据えることは、全く別ものです。
あくまで羽沢小の移転、大沢台小も含めた学校統廃合のうえで「新しい学校=義務教育学校」を作ることを最優先し、それに固執している当該まちづくり計画では、広範で多様な大沢地域の住民生活は軽視され、そこに対する想像がはじめから欠如しています。非常に偏った、バランス悪いものと言わざるを得ません。
そして、このまちづくり計画は国立天文台北側用地を起(基)点としています。地図からは一目瞭然ですが、防災を唱え、〈学校を核とした地域づくり〉と唱えながら、北側とは生活圏を別にする天文台南側の坂下地域、羽沢周辺からは学校がなくなり、近隣住民が歩いて辿り着ける避難所・避難場所は失われることになります。
坂下地域の住民が被る不利益、苦痛、地域の軋み・衰退・ダメージは少なくないでしょう。これは非可逆的なものでもあります。学校を廃校・校舎解体してから「やっぱり必要だった。前のままでよかった」と言っても遅いのです。
また今回の教育委員の任命については、4人という委員の人数の少なさにも驚きましたが、もう言葉をもちません。公平性は一体どう担保されるのでしょうか。
教育委員に任命された三瓶氏による要望書には「大規模開発は活用できる土地がなくてはできない。この機会に有効活用を願う」旨ありました。国立天文台は三鷹市に所在しますが、天文台敷地およびその環境はそもそも国民の共有財産でもあるのです。軽率かつ浅慮であると感じます。
この開発の果てにできる学校を、恥ずかしげもなく〈森の学校〉と称ぶことにいささかの疑問もなかったのでしょうか。
この気候危機の真っ只中、緑の保全とは裏腹の、多大な自然破壊・生態系破壊のうえに成立する〈まち〉がわたしたちに必要なものでしょうか。
今ある自然、今すでにある良い学校・校舎を大切に守り存続させ、子どもも大人も現在のまま安心して暮らせることを望みます。
当該まちづくり計画によってむしろ不安が募るばかりです。
市長の意向を重んじる以前に、まず住民や土地の実相を、正確な科学的事実も踏まえたうえで吟味すれば、この計画が現在、破廉恥な印象操作を含んで語られている無謀なものだとわかるのではないでしょうか。〈まち〉はパズルのように安直にピースを移動させ入れ替えてできるようなものではありません。
引き続き、計画・構想の見直し、撤回を求めていきたいと思います。