
2021年9月25日(土)にDOCOMOMO Japan 2021 第5回(最終回)選定記念WEBシンポジウム
「戦後日本モダンムーブメント建築の拡張 」と題し、ウェブシンポジウムが、開催されましたので、ここに報告いたします。
Docomomo Japan による選定建築物についてはこちらを
ご参照ください→https://bit.ly/2Z2B5o4
※2021/12/8 本サイトには、海外からのアクセスも多くありますので、英語による報告を追記いたしました。
The fifth commemorative symposium for the buildings selected by DOCOMOMO Japan in 2021 was held on the 25th of September, 2021, entitled the 'Expansion of the Modern Movement in Post-War Japan.' For an outline of the selected buildings, please see: https://bit.ly/2Z2B5o4
Speakers highlighted a number of the key features of the modernist architecture on the campus of the International Christian University (ICU) in Mitaka, which were the basis for their selection as buildings of significance by DOCOMOMO Japan.
It is striking that this rare collection of modernist buildings that represent the post-war modern architectural movement in Japan, are all found on one single campus and embody the founding principles of the university. Through this symposium, the value of the early buildings of the ICU were once again affirmed, and we renew our hope that they will continue to be protected as important assets of the university.
Alumni sincerely hope that current and prospective students can continue to enjoy this valuable and unchanging landscape, through the preservation of these and other early buildings including the dormitories, which are of architectural, historical, and personal significance. It is critical for the integrity of the university itself that students past, present and future are able to build and share memories of important formative days of their lives within the same precious landscape.
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シンポジウムメニュー
話題1 国際基督教大学小史 ーキャンパスと建物を中心にー 岸 佑(国際基督教大学アジア文化研究所)
話題2 国際基督教大学三鷹キャンパスのマスタープランにみられる建学の思想 山﨑 鯛介(東京工業大学)
話題3 モダニズム建築へのテクニカルアプローチ 加藤 雅久(居住技術研究所) モダニズム建築へのテクニカルアプローチ
質疑
司会:大宮司勝弘(DOCOMOMOJapan事務局長)
国際基督教大学の歴代の主任建築家によって共有されてきた価値観に基づいて建設された , 建学の理念を今に伝える歴史的建造物群である。
国際基督教大学 は戦後の日本に自由な大学教育をもたらすことを目的に、国際協力の基に開設 された日本で最初の 4 年制教養学部大学であり、軍需施設であった中島飛行機 三鷹研究所の跡地を自由・自治と科学教育 , 国際化に立脚した大学施設へと転換した経緯をもつ。
大学設置に際し、建学の理念に対応する施設として、大学本館、教会会館 ( 学生センター )、礼拝堂、図書館、理学館等が計画され、それらは 3 名の主任建築家 ( ヴォーリズ、レーモンド、稲冨昭 ) のリレーにより 20 年近い時を経て、本館、ディッフェンドルファー記念館 ( 現 : ディッフェンドルファー記念館東棟 )、 教会堂 ( 現 : 大学礼拝堂 )、図書館 ( 現 : 図書館本館 )、理学館として実現した。
初期キャンパス計画を現在に伝える記念碑的モダニズム建築群であり、大学キャ ンパスの中心部分において豊かな歴史的環境を形成している。( 加藤雅久 )
(上記はDocomomo Japan ウェブサイトより→https://bit.ly/2XkDx8w
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当日はICU関係者のみならず、近代建築に興味を持つ方々も多くご参加されたようです。
このシンポジウムを通じて、
ICUの建築物は、他のDocomomo Japan選定建築物とも異なる特徴があることが分かりました。
近代建築の父、ウィリアム・メレル・ヴォーリズから、アントニン・レーモンド、
そしてウィリアム・メレル・ヴォーリズの事務所に所属し直接ヴォーリズのもとで建築を学んだ日本人の建築家である稲富昭、この3名によるリレー、
そしてその後の前川國男(「湯浅八郎記念館」を担当)から隈研吾による建築にいたるまで
「一つの大学キャンパスの中に日本のモダニズム建築がすべて網羅されている」という指摘に、驚かされました。
ICUという大学に何かほかの大学と異なる特徴があるとするならば
それは建学の理念を継承した建物たちが果たした役割が非常に大きいということを改めて感じました。
ICU草創期を支えてきたOBOGの方々も、令和の時代にキャンパスに来る学生たちも
共通して同じ風景が見られることの価値、
何年経過しても、思い浮かべられる光景が同じであることの
価値を、引き続き、重んじていただくことを切実に望みます。
また、今回Docomomo Japanに選定された建築物だけではなく、
すべてのICUの草創期を支える建築物が大学の理念を体現する重要な建築物であるとの指摘もありました。
何より、ウィリアムメレルボーリズの手紙など、貴重な資料が
ICUアーカイブとして図書館に保存されていることが
今回のDocomomo Japanによる選定および、今回開催されたシンポジウムにおいて重要なことであったようです。
今回のシンポジウムは、アーカイブがまとめられ保存される予定とのことです。
近年建設された寮や体育館など、新しい建築物は、これまでICUキャンパスに存在していた建築物とのデザインや建物のサイズなどの整合性が全くとれていないこと、
次々と建設された建設物により多くの樹木が伐採され、風景が大きく変わってしまっていることに関して、本サイトに対しては、サイト開設時より疑問の声が多く届いております。
特にICUの創設期を支えた初期のOBOGの方々からは
公共事業のような開発は切実にやめてほしい、という意見も届いています。
ICU草創期の建築物の価値を改めて感じるとともに、今後もICUの財産として大事に使用し、次の世代のICU生たちも同じ景色が見られるよう保存していってほしいという思いを新たにしたシンポジウムでした。