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お世話になっております。
2021年6月14日、高松地方裁判所において、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(以下、ゲーム条例)違憲訴訟の第一審、第三回口頭弁論が執り行われました。私も裁判を傍聴しました。
今回のお知らせで紹介する時事を報じたニュース記事は こちら からご覧いただけます。
前回は、原告側のターンだったので、今回は被告となる香川県側のターン、つまり、原告側の論旨展開に対する反論が主軸となっています。
香川県の反論の骨子については、以下のとおりです。
- ゲーム条例は、ネット・ゲーム依存症の治療や予防の必要性を記した複数の医学文献に基づいているので、立法する根拠は存在している
- ゲーム条例は、あくまでも「目安」という「努力目標」を定めているだけなので、県民の利益を侵害するものではない
報道では扱われていませんが、閉廷後の記者会見にて、香川県が提出した資料に対する見解について、作花弁護士が説明くださいました。この模様については、この裁判の傍聴のためなどに来県していた参議院議員、藤末 健三氏のブログに詳しくレポートされています。
そのブログエントリーは こちら からご覧いただけます。
原告の弁護士である作花氏の見解は、以下のとおりです。内容をわかりやすくするため、補足などを加えて説明させていただきます。
原則として、条例は、日本国憲法第94条「地方公共団体が策定する条例の内容に関する制限(法律の範囲内で条例を制定しなければならないルール)」に則って策定されます。これは、条例は、根拠となる国内法が存在していなければ策定できないことを意味しています。
例えば、路上喫煙防止条例は、たばこのポイ捨てを罰することを定めた「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という国内法によって、一定の法的根拠を取得できます。
しかし、ゲーム条例には、そのような準拠できる国内法が存在していません。作花弁護士曰く「香川県が提示した資料にそれが一切記載されていない。なので、それについて香川県に問い合わせた。しかし、回答がなかった」のです。
ゲーム条例が定める、ビデオゲームをはじめとするICTサービスの使用規制を明文化した根拠法が何かについては、香川県側から改めて回答があるようです。これについては、回答が示されれば、ゲーム条例に懸念を抱く国会議員らによって、国会での質疑応答等で容赦のない検証がされることは確実でしょう。
一方、ゲーム条例にいう「ネット・ゲーム依存症」を定義した法的根拠も明確ではありません。少なくとも、国(≒厚労省)レベルでは、ゲーム症(ゲーム障害の正式名称、以下はこちらで記載)を重点研究対象として「記載した」ICD-11(国際疾病分類データベース 第11版)が正式版として発行される2022年以降でないと、ゲーム症の定義すらできません。また、国会答弁でも「ビデオゲームの時間を規制する(世界的に確証の取れた信頼性の高い)科学的根拠はない」と国が回答している*1ので、「明確ではない」というより、「形すら存在しない」と書いたほうがよいでしょう。
加えて、ゲーム条例を策定する際、大いに香川県にプッシュされた久里浜医療センター自身も、「ビデオゲームのプレイ時間を一律に規制することは悪手である」と文献や資料で明記しています。
以上のことから、作花弁護士は「ゲーム条例は“地方自治体の権限を逸脱して策定された条例”と考えることができる」と結論付けています。
それと同時に「県民に対する具体的な権利侵害があるか否かも、論争のポイントになる」と作花弁護士は説明しています。
個人的には、この件については、以下のように捉えています。
- 香川県の言う「ネット・ゲーム依存症の治療や予防の必要性を記した複数の医学文献」は、エビデンスとしては使い難い
- 同条例の法的根拠は存在しない
- 同条例18条2項で「ビデオゲームのプレイ時間については、目安や努力規定であって強制ではありません」とどれほど香川県が謳っていても、法令の一部としての記載である以上、条例の記載事項はすべて強制力があるものとして一般の人は解釈すると思われるので、香川県の解釈は論理的に破綻している
法的根拠については、同条例の策定を行った委員会において、法曹関係者が誰も招聘されなかった、つまり、条例の内容を考える際、法的な検証を一切しなかった事実から判断しています。
加えて、ゲーム症をはじめとする精神病理は、予防ができません。
はっきり申し上げますと、ゲーム条例の内容は、ゲーム症の病気への認定結果などが国内で確実に定まるであろう2023年4月以降より、家庭、教育機関、医療機関などに「ガイドライン」として展開すれば何も問題はなかったのです。ここについては、渉さんほか、ゲーム条例の内容に懸念を抱く方の持つ考えと全く同じです。
裁判に関するレポートは、以上となります。
次回の審理は、2021年9月15日、11:00に開かれる予定です。可能でございましたら、ぜひ、裁判の傍聴に訪れていただきたく存じます。
[ 関連時事の動き ]
以下の動静を把握しております。その内容から、いずれも、ゲーム条例違憲訴訟における原告側のロジックを強固にする動きとなるでしょう。
< 1.パブリックコメント偽造問題に対する刑事告発の進捗状況 >
告発人の1人であり、ゲーム条例違憲訴訟の原告である渉さんによると、香川県警によって、黒塗りされていないパブリックコメントの資料が部分的に県議会から提示されているようです。また、約2~3か月後に刑事告発の受理不受理が決まる見込みとのことです。香川県警の真摯な仕事ぶりに期待しましょう。
< 2.住民訴訟を計画中 >
今回の裁判で香川県が弁護士として立てている3人との契約など、「ゲーム条例関連の県税の使途は無駄遣いに相当する」ことを訴える住民訴訟が計画されているとの情報を得ています。作花弁護士は「今後、この案件に関する住民訴訟が出てくる可能性がある。なお、この訴訟とゲーム条例違憲訴訟の裁判は、内容面では連携することになる。」と言及しています。
なぜ、ゲーム条例に関する県税の使途が無駄遣いになるのでしょうか。それは、前述のとおり、ゲーム条例には法的根拠が存在しないからです。そのような意味のないものに貴重な県税を投じることは、税金の無駄遣いをしているとみなすことができるからです。
この2つの動静も含めた関連時事の動きがあれば、随時お伝えします。
作花弁護士よりコメント
ゲーム条例が現状のままで存在する限り、渉さんだけではなく、ゲーム条例によって損害を受けた香川県在住者、および、世界中のビデオゲーム関連ハードウェアやソフトウェアの開発、流通、販売、ゲームのプレイに伴う通信データの送受信を担うITインフラ関連事業者*2が、国家賠償請求訴訟を起こすことができます*3。よろしくお願いいたします。
Comments from plaintiff lawyer
As long as the Kagawa Prefecture Internet and Video game Addiction Countermeasures Ordinance exists as it is, not only Mr. Wataru, but also Kagawa Prefecture residents who have been damaged by this ordinance, and video game related hardware and software around the world. IT infrastructure-related businesses *2, which are responsible for the development, distribution, sales, and transmission and reception of communication data associated with game play, can file a state redress lawsuit based on Japanese laws and regulations *3. Thank you.
[ さいごに ]
以前のお知らせ でも示しましたが、ゲーム条例は、もはや香川県限定の問題ではありません。このことから、ぜひ、機会を設けて、ご家族や知人らと、ゲーム症の予防を目的とした、行政による、ビデオゲームを含めた個人向けICTサービスの使用時間規制を行う施策の問題点について話し合うことをお勧めいたします。もし、可能であれば、本キャンペーンにおける署名への協力を依頼していただければ幸いです。
どうか、よろしくお願いいたします。
主催者 きしもと みつひろ
[ 参考資料 ]
*1 音喜多 駿 参議院議員による「香川県ゲーム条例質問主意書」デジタルコピー(https://drive.google.com/drive/folders/11lccVgb0kp0iCv7-yhfq0DVwkO0l-c9f )
*2 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例 第11条に基づく(https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/10293/0324gj24.pdf )
*3 作花知志様のツイートに基づく(https://twitter.com/sakkacom/status/1371827112508755972 )

