令和8年(2026年) 7月24日
鎌倉市文化観光部
部長 高橋 謙司 様
旧前田邸を保存活用する会
代表 瀧下 嘉弘
公開質問状等の回答に対する質問、及び提案
令和8年(2026年) 7月13日付で回答(1公開質問状について、2鎌倉文学館大規模改修及び増築等事業について)いただきました内容について、回答に疑問がありますので再度質問させていただくと共に、費用的にも、景観的にも、地球環境にとっても、より良い計画のための提案をさせていただきます。
1−1 公開質問状の1において、旧前田邸利用検討等の記録文書について、「保存期間が経過しており
存在しません」との回答ですが、旧前田邸は現在も存在しており、その利用については継続して検討
すべき事項です。継続する事項について、一般的な保存期間が過ぎていることで廃棄した場合、事業
の継続性が保証されません。鎌倉市は継続して検討しなければならない事業に関する文書を、廃棄し
ているのですか。
1−2 旧前田邸における落石防護柵設置について、重機(12トンラフタークレーン等)が使用できない
との回答ですが、将来南庭へのアプローチとして、車寄からバリアフリーのためのスロープを設置す
ることを考えた場合、その部分を利用して車寄から重機用の仮設のスロープを設置すれば、重機は南
庭に配備することができます。12トンラフタークレーンの作業範囲は20mを超えるので、西側の施
工は可能です。また、北側については新築計画の管理棟の北側について防護柵を計画していることか
らも分かるように、車寄等から施工可能です。再度、防護策設置に重機が使用出来ない理由をご説明
ください。
法面保護について、「鎌倉文学館全体の景観にも大きな影響を与える」と回答されていますが、新
築を計画している、休憩所棟などについては景観に影響しないのでしょうか。文学館本館と庭園は
一体的にデザインされています。そこにビスタ(見通し・視線を遠くの景色へと誘導する空間構成の手
法・別紙1)を破壊するガラス張りの、本館よりも間口が広いと思われる建物ができることの方が、「鎌
倉文学館全体の景観にも大きな影響を与える」のではないでしょうか。そうでないとお考えであれば、
理由をご説明ください。
1−3 登録有形文化財の登録について、旧前田邸は解体することになっていたので、登録は行わなか
ったとの回答ですが。では、いつ解体と決まったのでしょうか。本事業は「文学館大規模修繕事業」
として、事業内容は「鎌倉文学館の劣化調査を行い、修繕計画を策定し、必要な修繕を行います」と
あります。
令和3年度には「劣化調査・修繕計画策定」として、14,256千円が支出されています。旧前田邸の
劣化調査結果は公開されましたか。劣化調査と修繕計画策定は並行して行われたのでしょうから、そ
の時点で旧前田邸の解体は決定されていないはずですので、劣化調査は行われたものと思われます。
解体しなければならないほど劣化していたのでしょうか。この時点で登録有形文化財の登録は可能性
はなかったのですか。
1
1−4 「構造上バリアフリー化は困難であると判断した」との回答ですが、全館バリアフリーでなく
とも利用の仕方で、券売所、休憩所(カフェ)、ショップの機能は果たせます、多目的トイレも設置可
能です。したがって、市が予定している機能は旧前田邸を改修することで実現可能です。また、市が
当初計画していた、遠足や修学旅行で文学館を訪問した生徒たちがお弁当を食べる場所(東屋)として
の機能も、2階に設けることもできます。現在の新築計画では生徒たちがお弁当を食べる場所はどこ
にあるのでしょうか。
1−5 「寄贈当時の複数の新聞情報」として「外観の一部」、あるいは「建物の一部」を残してもらえ
れば嬉しい、といったコメントがあったと説明をされていますが、新聞社名とその記事をお示しくだ
さい。当時の朝日新聞によれば旧前田邸を鎌倉市に寄贈した前田家18代当主前田利祐(まえだ とし
やす)氏の話として「建物の外観を残すことや、旧前田邸と表示することを希望した」となっていま
す。どこにも「一部」という言葉はありません。また昨年12月の朝日新聞の記事には、前田利祐氏
に記者が直接取材し「寄付した時にカフェなどの活用を提案した」とあります。市長の説明は建物の
一部(ステンドグラス、瓦)を残して、全体を解体するための詭弁ではありませんか。
1−6 「活用方法を検討する中で、風入れや・・・維持管理を行なっていました」とありますが、解
体を決めた後は放っておいたということですか。建物をリスペクトして維持管理を行なっていれば、
あれほど建物が傷むことはありません。いつまで風入れや除草を行っていたのですか。
締めくくりとして、「旧前田家住宅の敷地を鎌倉文学館と一体として活用することにより、鎌倉文
学館全体の魅力向上が大きく図れるものと考えています」とあります。旧前田邸と文学館を一体とし
て活用することが最善の方法であることは間違いありません。旧前田邸を解体し、今時どこにでもあ
るようなガラス張りの建物を鎌倉文学館の正面に建てることは、庭園と一体としてデザインされた鎌
倉文学館の魅力を限りなく破壊してしまうものです。
計画を見直し、物語が蓄積した旧前田邸を利活用し鎌倉文学館の魅力を向上させ、鎌倉市民をはじ
め鎌倉文学館を訪れる方々に、鎌倉の別荘文化の素晴らしさを楽しんでいただけるような計画とする
よう、何卒、よろしくお願いいたします。
■2の「鎌倉文学館大規模改修及び増築等事業についての質問、確認事項」は主に確認事項であるため、
2−3についてのみ再度質問いたします。
2−3 令和8年3月19日付で開示された、令和5年度の「敷地全体計画 将来案(以降「将来案」という)」(別紙2)と令和6年市議会総務常任委員会報告事項の「鎌倉文学館全体配置図(以降「報告案」という)」(別紙3)の建物配置が大きく異なる点について、「設計方針を見直した」とありますが、その根拠として、地形を挙げています。「将来案」も「報告案」も佐藤総合計画が作成しているので、令和5年度と令和6年度の間で地形が変わっていない限り、計画の変更の重要な根拠の一つが、地形にあるということは「将来案」が地形を把握せずに作成されていたということでしょうか。
また、当会が以前、市からお聞きしているところでは、修学旅行などで鎌倉文学館を訪れた中高生がお弁当を食べられる場所を計画しているとのことでした、1−4と重複しますが、現在の計画ではその場
所はどこでしょうか。
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回答では、東屋を設置しないことについては情報開示請求せよということですが、開示まで2週間かかる可能性があります、本来であれば市には理由を簡潔に説明する義務があるのではないでしょうか。
■ 提 案
「旧前田邸を保存活用する会」では、
・費用を倹約しつつ鎌倉別荘文化を守ることが出来る、
・庭園や既存建物に大きな変更を加えないので、景観を守ることができる、
・解体や新築を行わないのでCO2の排出量が少なく、地球環境を守ることになる、
などの点から、強く、旧前田邸の利活用を提案します。
【費用について】
新築工事の費用については、入札中のため非公表となっているので、令和8年(2026年)3月19日付で公開された行政文書に基づき、AIの情報を参考に予想費用を算定してみました。
また、旧前田邸の改修費用については、構造・旧耐震対策費用、アスベスト(石綿)事前調査・除去
費用、現況調査・図面復元・適合性確認費用などの付加的費用も加味して、昨今の状況も踏まえたAI
の情報を参考に予想費用を算定してみました。
その結果、旧前田邸の利活用による費用は新築による費用の約3分の1になります。
下水道などインフラの整備等に多くの費用が必要な中、億単位の節約は市民にとっても、行政にとっても大きなメリットとなります。
【景観について】
旧前田邸は文学館の成立背景と矛盾しない建築です、特に重要なのは、建物が主役になりすぎない、という点です。 鎌倉文学館は、建物+庭園+周囲の山の稜線で価値が成立している場所です、 旧前田邸は、その構造を壊していません。
新築案は鎌倉である必然性は、ほぼ感じません。 歴史と切断された風景の上に、新しい建築を置いています、 鎌倉らしさとは、 時間の積層が感じられるかどうかです。「ありきたりな公園カフェ」に置き換えてしまうことは、鎌倉文学館の価値を長期的に下げるリスクの方が大きいと感じます。
【環境保全について】
鉄筋コンクリート造の解体におけるCO₂排出量は、延床面積1㎡あたり約30〜80kg-CO₂/㎡ 程度(解
体ガラの運搬・中間処理を含める)、旧前田邸は延べ床面積 264 ㎡なので、約8トン〜21トンのCO₂削減に寄与します。
以上、費用・景観・環境保全について、AIの力を借りて、検討しました。
旧前田邸を利活用することが、市民にとっても、行政にとっても有効だと言わざるを得ません。
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旧前田邸の利活用を強く提案します。

