Petition updateいのちのバトンがつなげられる日本の移植医療システム整備と普及を!【移植医療普及のための署名】日本の臓器移植の現状/肝臓移植と当事者の思い
及川 幸子Japan
Jan 13, 2024

ご挨拶が遅くなりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

また、このたびの災害において被災されました地域の皆様に心からお見舞いを申し上げると共に、一日も早いすべての方の救出と復旧復興をお祈りいたしております。

大きな震災や事故が続き、改めていのちの重さや日々起こることの理不尽さを感じ、心を痛める年始となりました。この臓器移植についてのお知らせを書くにあたり、何を書くべきか、また、書くことでご不快な思いをされる方がいらっしゃるのでは、と正直迷いました。
しかし、年末年始から今も消えそうな命と共に移植を待つ方やこれまで移植にたどり着けずに亡くなられた方、これから移植が必要になる方達の大切ないのちに関するはなしであるという考えに至り、お知らせを再開させていただくことに致しました。

よろしければ、お読み頂けましたら幸いです。

 

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皆様からの賛同と拡散、change~さんの広告へのご支援のおかげで1月13日現在 20,153名からの賛同をいただいております。
このオンライン署名活動を応援していただき、本当にありがとうございます。
また、昨年末の最後のお知らせには温かいコメントをたくさんいただきありがとうございました。大変励みになります。


引き続きよろしくお願い致します。

 


■臓器移植に関する記事紹介

はじめに昨年末と年始に配信された『日本の臓器移植の現状』がわかる2つのWeb記事をご紹介させていただきます。

世の中に伝わっていない日本の臓器移植が抱える問題について、最近ではたくさん報じていただけるようになり大変ありがたいです。
一方で記事の内容は、私たち当事者にはもどかしい内容でもありました。

 

この署名のお知らせでも何度かお伝えしていますが、実際に臓器移植に関わる方をはじめ医療現場の方達は、人手不足や労働環境などにたくさんの問題がある中、患者のために一生懸命対応して下さっていることを闘病などを通して見聞きしています。
しかし、移植を受けることができずに亡くなられた方の無念、移植に辿り着けるか不安でいっぱいの中で闘病や介護をされている方、また、万が一の際には臓器提供をと考えて下さっている方たちの思いを叶えることが難しい現状は変える必要があるのではないでしょうか。

現場の努力だけでは難しいこれらの問題解決の為、なるべく早く国が主導して1つ1つ検証し、本気で臓器移植の体制整備に力を入れていただきたいです。

 


■肝臓移植について

ここからは発起人の及川も経験した肝臓移植についてお伝えします。
当事者になって知った『肝臓移植について』が世間では知られていないことに疑問を感じたのも、わたしがこの活動をはじめようと思ったきっかけの1つです。

「健康診断の結果、肝機能の数値が悪かった」よく聞く言葉ではないでしょうか?もしかしたら他人事ではないかもしれない肝臓移植について知っていただけたらと思います。


◇肝臓移植とは

「肝臓」はヒトの体で最も大きい臓器です。栄養などの合成や代謝、解毒、血液貯蔵、胆汁排泄などさまざまな機能をしており、生命維持に不可欠な臓器のひとつです。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われているように悪くなってもなかなか自身で症状を自覚することはありません。
その為、異常に気付いたときには病気がかなり進んでいることがあります。再生力や代償能力(失った機能を補うこと)がある為、早い段階で障害の原因を取り除くことができれば元の状態に戻ることも期待できますが、肝機能低下が進行すると肝不全・肝硬変へと移行し、非代償性(再生力や代償能力を超えた状態)となった場合には他に治療方法がなく、肝臓移植が唯一の救命の手立てとなります。


◇肝臓移植の対象となる病気の例

進行性の肝疾患・難病のため末期状態にあり、従来の治療方法では余命1年以内と推定されるもの。
※ただし、先天性肝・胆道疾患、先天性代謝異常症等の場合には必ずしも余命1年にこだわらないとされています。

  • 肝硬変
  • 肝臓がん(大きさや個数の条件あり)
  • 劇症肝炎(肝炎ウイルスへの感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などが原因で急に肝臓が悪くなる)
  • 原発性胆汁性胆管炎や原発性硬化性胆管炎など胆管の特殊な病気
  • アラジール症候群やベイラーなど先天的に胆管形成不全がおこる遺伝性疾患
  • アルコールによる非代償性肝硬変(禁酒の条件あり) など

※病状によっては肝臓移植の適応とならない場合があります。
※難病とは、発病のメカニズムが明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、その疾病にかかることにより長期にわたり療養が必要となるもので、令和3年11月1日時点で338疾病が「指定難病」とされており、多種多様です。
参考:難病の患者に対する医療等に関する法律 東京都保健医療局 疾患情報

 

難病やがん以外にもアルコール、健康食品やサプリ、薬などがきっかけでの肝障害から肝不全・肝硬変になり移植が必要になるケースもあります。


◇肝臓移植の種類

肝臓移植には【脳死肝移植】のほか、健康なドナーから肝臓の一部の提供を受ける【生体肝移植】があります。

【脳死肝移植の場合】
日本で唯一移植の斡旋が認められている機関『日本臓器移植ネットワーク(以下JOTと表記)』に登録が必要です。近年では脳死ドナーから提供いただいた貴重な肝臓を最大限に活用するため、肝臓を二つに分割して二人の患者に移植する方法も取られています。移植の優先順位は待機期間は考慮されずにより重篤な患者が優先されるようになっています。また、18歳未満のドナーから臓器が提供される場合には、18歳未満のレシピエントの中から選択され、18歳未満のレシピエントがいない場合に18歳以上のレシピエントの中から選択されます。

【生体肝移植の場合】
生体肝移植に対応できる病院で行われます。健康なドナーから肝臓の一部を提供いただいて移植します。1人のレシピエントが2人のドナーから提供を受けるケースも少ない例ですがあったそうです。ドナーの肝臓は提供後は再生し、容積は提供前とほぼ同等になります(形は元に戻りません)。機能も容積の回復に伴い回復します。しかし、「健康な人にメスを入れる」ことになり、ドナー手術にもリスクや合併症が起こることがある為、ドナーになる方の十分な理解と同意が必要です。ドナーはあくまでも本人の自発的な「自由意思」である必要があり、報償を目的とするものや強制されるものであってはなりません。また、レシピエントの血族または配偶者に限られます。ドナーの適格性の判断基準は施設により違いがあります。

 

日本での脳死肝移植と生体肝移植の成績は同等であると言われています。
移植後に血流障害、拒絶反応、感染症、ウイルスの再感染、自己免疫性疾患の再発、胆道合併症、その他さまざまな要因で移植された肝臓が再び機能不全に陥ることは一定頻度認められ、移植臓器が機能不全になった場合には再肝移植が必要となります。

 

国立社会保障・人口問題研究所ホームページ 人口統計資料集(2023) 年齢別死因順位2021年によると
40~59歳の死因の第5位に肝疾患が入っています。(60~69歳では第4位) 

また、一般社団法人 日本移植学会 ファクトブック2022によると

年間2,000人近くの方々が、肝移植の適応がありながら肝臓移植を受けることができずに亡くなっていると推定されているそうです。

 

◇日本臓器移植ネットワーク 2023年12月末日時点 脳死移植待機登録者数(同時移植希望含む)
心臓/865人、肺/572人、肝臓/376人、腎臓/14,330人、膵臓/155人、小腸/9人

◇2023年11月末日時点 脳死移植待機登録者372名 年代内訳
0-9歳/11人、10-19歳/11人、20-29歳/28人、30-39歳/47人、40-49歳/90人、50-59歳/118人、60-69歳/65人、70歳以上/2人

 

肝臓移植は他の臓器に比べると一見少ないように見えるかもしれません・・・
しかし、それは肝臓移植が必要な患者の多くが余命1年以内であり、例えば心臓移植でいう補助人工心臓や腎臓移植の透析治療のように延命できる方法がない為、待機期間が長期にわたると残念ながら亡くなってしまいます。

 

◇2023年11月までに脳死肝移植を希望して日本臓器移植ネットワーク(JOT)に待機登録をした4,170名のうち

  • 実際に日本で脳死・心停止肝移植を受けることができた人:887名
  • 待機期間中に亡くなった方:1,733人
  • 生体肝移植へ切り替え:669人

さらに、肝臓移植が必要な方の場合、提示される待期期間が余命より長いため、待機登録をしないケースも多くあります。
(及川も脳死移植の待機登録を検討していた余命1年とされる時期に伝えられた待期期間は3年以上ということで、JOTへの待機登録は断念し生体移植をすることになりました。)
つまり、JOTが公表している数字は脳死提供による移植の待機者数ということで、上記の脳死移植待機登録者数に含まれない移植が必要な方はたくさんいらっしゃいます。

◇2021年12月末までに行われた成人・小児を合わせた肝移植総数10,839例のうち

  • 脳死移植:715例、心停止移植:3例
  • 生体移植:10,121例

欧米では移植件数全体における脳死肝移植の件数が多く割合も高いのですが、日本では脳死肝移植件数が少ないため生体肝移植の割合が非常に高くなっています。

 

他に移植を受ける選択をされなかった方もいらっしゃいます。
こんなにもたくさんの方が肝臓移植が必要になっている事をご存知でしょうか。

 

参考資料:日本移植学会 ファクトブック2022日本移植学会 臓器移植Q&A 肝臓日本臓器移植ネットワーク 移植希望登録者数 肝臓 


■肝臓移植当事者の思い

ここからは匿名アンケートに寄せて下さった肝臓移植経験者の方たちの思いをお伝えします。

 

  ◇生体肝移植経験者Aさん

【病名】先天性胆道閉鎖症。何らかの原因で胆道が閉鎖もしくは消失、排出困難な胆汁が体内で溢れ黄疸・白色便などの症状が出て肝硬変となる病気
【原疾患の発症】0歳
【移植が必要になった時期】11歳。脳死提供による移植待機の場合の待期期間は2年。移植後は黄疸(皮膚や目の白いところが黄色く見える状態)が消失し生活が改善できると説明された。
【移植が必要だと分かった時の気持ち】かなり病状が悪化していたため、子供ながらに余命があるのではと感じていたし黄疸から早く解放されたかった。
【移植までの体調と生活】鼻血を頻回に出すようになり。肝機能の数値(ALT)3桁・黄疸・痒みは日常となり、肺内シャント(呼吸不全)・肺高血圧もあり酸素も下がり始めて来ていた。
進行がゆっくりだったので比較的日常生活できていたが症状は悪化を辿っていた。
【移植について伝えたいこと】いつ病状が変化するかわからない中での生活なので、体調を見ながら本人のやりたいことをできるようにサポートしてもらえたらと思う。
【移植を受けられてよかったですか?】半分半分です。移植から27年が経過しようとしている現在も拒絶反応や感染症・胆管炎に悩まされ、入院している場合もあるので。
痒みも伴うためQOL(クオリティ オブ ライフ:生活の質、生命の質)がしばしば低下してしまう。
【日本の移植医療について思うこと】もっと正しい情報と知識の拡散をお願いしたいです。

 

  ◇生体肝移植経験者Bさん

【病名】B型肝炎(B型肝炎ウイルスに肝臓が感染して炎症(肝炎)を起こし、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝がん(肝細胞癌)へと進展する可能性がある)から劇症肝炎(肝臓の機能が急激に低下し、意識障害などの重篤な症状が現れる)に
【移植が必要になった時期】24歳
【移植が必要になった時期】10日後。意識不明の重体でいつの間にか移植手術が終わっていました。
【移植が必要になってからの体調】わかりません
【移植を受けられてよかったですか?】よかったと思います。

 

◇生体肝移植経験者家族、生体ドナー経験者Cさん

【ご本人の病名】胆道閉鎖症。1万人に1人の病気。生まれつき胆管がないため肝臓の胆汁が排出できずに肝硬変になってしまう病。 早期発見が大切だが中々気づけない難病。生後1ヶ月検診以降で判明する事が多く、肝臓機能の低下により脳出血の合併症が起こることも。腸を肝臓に繋げる葛西手術を生後3ヶ月くらいまでに行うことがほとんど。改善が見られなければ肝移植が必要。
【原疾患の発症】生後2ヶ月
【移植が必要になった時期】生後5ヶ月頃。担当の外科ドクターからお話があった。葛西手術で少し肝機能数値は良くなったものの正常値には中々落ち着かず、体重を増やし体調が安定してる時に移植をおこなったほうが今後の息子のために良いのでは、というお話でした。移植手術は生後9ヶ月の時。
【移植が必要だと分かった時の気持ち】息子が1日も早く元気になり、家族みんなで当たり前に暮らしたいと思いました。そのためには息子には移植しか道がありませんでした。母としても、家族も迷いはありませんでした。
【移植までの体調と生活】息子は肝臓の影響からか口から飲むと吐き出してしまう傾向が強く、体重と栄養のために移植までは鼻から胃と腸まで管を通してミルクを注入していました。黄疸が出てる以外は笑顔や活気があり、発達はゆっくりでしたが寝返り、おすわりまではできていました。待機期間には一時退院して自宅で生活が出来ました。上の子の幼稚園生活は変わらずの日常を過ごしながら。息子は移植まで感染に気をつける必要がありました、経管栄養で鼻から管を通していたので外出は一切せず。自宅のベッドからほぼ移動できずでした。ミルクの注入に時間がかかり夜は中々わたしは眠れず、ミルクが管の中でつまらないか、熱を出さないかなど緊張しながら過ごしていました。それでも家族で過ごせる期間を有難く思いながら生活していました。
【移植までに困っていたこと、不安】不安はたくさんありましたが、移植後のことはその時はあまり考えないようにしていました。不安や心配ごとは都度、担当ドクターやコーディネーターの看護師さんに連絡を取って聞いてもらっていました。
【移植を受けられてよかったですか?】受けられて良かったです。この医療があったから今息子は元気に生活できています。我が子は生体肝移植ができたから良かったですが、脳死肝移植しか道がなかったらと思うとまた考え方は違ってくるかもしれません。我が子を自分が助けてあげられるならという思いだったので、条件や状況が大丈夫ならばと生体肝移植に対して当時こわさはなかったです。移植後に家族で外にお出かけができたことが嬉しかった。ベビーカーに乗せて散歩したり家族で過ごせることが息子の成長や発達にもとても良いと感じられた(生まれて2ヶ月目からほとんど入退院生活だったため)
【日本の移植医療について思うこと】移植に関する先入観や偏見が少しでも減って正しい理解が広まってほしいなと思います。

 

今回のお知らせは以上です。

 

肝臓移植が必要になったら移植準備から移植までを余命の間、そして移植に耐えられる体の状態の内に終えなくてはなりません。その為、生きたいと思ったら移植を受けるかどうか早めの決断が大切です。もし、自分や大切な方に肝臓移植が必要になった時のために覚えておいていただけたらと思います。


次回のお知らせでは肝臓移植までの闘病と生体移植について、及川の経験談からお伝えしたいと思います。


引き続きどうぞ宜しくお願い致します。

 

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