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今回のお知らせでは『臓器移植の啓発活動をしてこられた当事者の方の思い』をご紹介します。
■臓器移植の普及啓発活動について
最近はテレビや新聞などメディアが扱ってくださる臓器移植の話題が多岐にわたるようになり、厚生労働省やグリーンリボンキャンペーンなど関連する組織のSNSなどでも普及啓発の情報発信が少しずつ増え、この変化を嬉しく感じております。
しかし、少し前まで臓器移植に関する話題や情報発信は一部のものであったり、非公開で語られることが多く、当事者や関係者、それ以外の方たちはとくに、自分から興味を持って情報を探さないと臓器移植の情報にふれる機会がほとんどなかったと思います。
会員限定で行われる講演会やそれらに登壇された移植医の先生が「自分は普及啓発をする立場にない」という旨の発言をされているのを拝見して、残念に感じたこともありました。
臓器移植の普及啓発活動を担うグリーンリボンキャンペーンの啓発活動方針も『個人の善意や想いに基づく、主体的な理解促進および普及、啓発につながる行動を大切にしています。例えば、移植医療について調べてみることや考えてみること、話してみること、そして関連する取り組みへ参加してみること、関連情報の発信や共有等もひとり一人ができる支援です』とあります。
引用:グリーンリボンキャンペーンサイト この取り組みについて
この背景には予算や人員不足、そして世間の移植に対するネガティブなイメージの影響もあったように思います。
それでも移植が必要な方たちはいて、厳しい日本の臓器移植の状況を世の中に知ってもらう必要がありました。その為、臓器移植の普及啓発活動は当事者が集まり活動を行ったり、個人でメディアに出たりと当事者たちに任されていた部分が大きくありました。
しかし、当事者が臓器移植の啓発について語ることには難しさもあります。
◇当事者が普及啓発をするうえでの負担
- 移植待機者、経験者、それらの家族は体調の波や看病もある中、生活と仕事と普及啓発活動などを両立する必要がある
- 生活・闘病するためにはお金や休日が必要だが、体調への考慮も必要で仕事をセーブしている方が多く収入も多くない。そんな中で普及啓発活動をする場合、お金や時間などを使い無償ボランティアでやることになる
このように生活と両立することだけでも負担がありますが、さらに難しいのが移植の当事者は立場や経験、病状、考え方などにより臓器移植への思いも異なり、言葉によって他の立場の方を傷つけてしまうことがあります。
例えばー
- 移植を受けらない方が大多数の日本の現状で、移植を受けられた方の幸せなエピソードはご家族を亡くされた方にはつらいのでは?
- 待機者としては臓器提供してくださる方が増えると救われる、一方で大切な方を亡くされるという悲しい出来事がおこり臓器提供の選択をされたドナーご家族にとって「ドナー不足」という言葉は不快では?
- ドナー家族や移植にたどりつけず家族を亡くされた方が経験談を語ることは悲しい出来事を何度も思い出すことになる
- 移植のための環境整備は重要なことですが、厳しい労働環境の中で患者さんたちの為に踏ん張られている医療者の方たちが患者の立場の人からケアや整備の不足という言葉を聞いたら?
- ドナーの健康な体にリスクを負わせてしまった生体移植のレシピエント経験者は生体ドナーへの罪悪感から「素晴らしい医療だ」と言い切ることが難しい
- 当事者が「臓器提供の意思表示について考えてみてください」と言うと「臓器が欲しいから言ってるんでしょう」や「他人から臓器を奪ってまで生きたいか」「そこまでして生かす価値があるのか」など心無い言葉を言われることがある
など、様々な葛藤や思いがあります。さらには医療や医療現場での知識を求められることもあり、医療者でない当事者には難しいこともあります。
このように移植の普及啓発を当事者がするには立場の違う方への配慮や、精神面、体力面、生活や金銭的な負担もあり、相当な覚悟が必要です。
そんな中でも発信してきてくださった方たちのおかげで、少しずつ臓器移植への理解が広がってきました。
今回はその中のおひとりである玉井さんの言葉をお伝えしたいと思います。
■小児心臓移植待機を経験された玉井敬子さんの思い
私が臓器移植に深く興味を持ったのは、自分の子どもが当事者になってからだった。
それまではニュースやアニメ、小説で軽く触れる程度だった。
それがある日、この子心臓が動いてないよ、と医師に告げられ私の世界に突然臓器移植が深く入り込んできた。
当時は病院のベビーベッドに子どもと2人寝転びながら臓器移植についてスマホで検索する日々だった。
検索結果で表示されるのは幼い子どもの渡航移植に関する記事や難しそうなページが多く、SNSで同じような境遇の親子を探したが、なかなか出てはこなかった。
渡航移植しか選択肢はないのかと思いながら受けた初めての臓器移植の説明。
そこで国内移植ができる現状を知り、待つことができるならと国内で移植待機することにした。
それから3年ほどが経った。
移植を目指していたが子どもの身体はとうに限界を迎えており、移植待機を諦めて看取りの決断をした。
どうすれば私の子は助かったのだろうと振り返っても仕方のない思いばかりが募っていたが、もうどうすることもできずにただ見送った。
あの子の人生は辛いことも多く短かったが、多くの人に愛してもらえた悪くはない人生だったと思う。
その人生の中で出会った同じ目標に向かって頑張っていた子たちはまだ病院にいた。
せめてその子たちはどうか元気になって欲しい。そんな思いから何かできないかなと考えた。
私たちが移植を目指した時より移植の件数は増えていたものの、まだ移植医療は身近なものになってはいなかった。
だから、まず国内で移植待機をしている子ども達がいることを知ってほしかった。
待機をしている時はSNSでオープンに話すことは良い事とされなかったが、もう亡くなったのだからとSNSで亡くなったことと、臓器移植に興味を少しでも持ってほしいとポストした。
そのポストを見てくださった方が話してくれませんか?と声をかけてくださり、何度かメディアを通して話す機会をいただいた。
ただ、私ができるのは長く移植待機をした子どもが亡くなった悲しい話だけ。
それは移植待機をしてもたどり着けるのはたった2%という移植医療の悲しい一面でしかない。
それでも誰か一人でもいい、移植医療に目を向けるきっかけになればと思い何度も話した。
ただ、話していくうちに臓器移植にはいい面もあるのに、という気持ちがふわりと沸いた。
2023年は国内移植もまた少し増えはじめた。
子どもと同じ時期に入院していた子どもたちも移植へとたどり着き、退院をして普通の子のように幼稚園や学校へと通う子もいる。
その子たちを見て、命のバトンを託されたその後の話をたくさん語って欲しいと思った。
たどり着いた日の事、そのあとの日常や移植医療の想いと想いを繋ぐ素敵な一面を誰かに伝えることができるのはたった2%の人たちだけ。
だからこそ語って欲しい。
きっとまだ多くの人は移植医療が自分たちの身近にあることを感じることはない。
その多くの人たちに臓器移植についてもっと知ってもらい、より身近に感じてもらうためにもたくさんの当事者の声を世界に届けてくれることを願います。
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玉井さんありがとうございました。
玉井さんが取材を受けられた記事と動画はこちらです。よろしければご覧ください。
- 毎日新聞 医療プレミア 「心臓が動いていません」4歳児を襲った突如の悲劇と両親の決断<連載「命脈 露と消えた4歳児」>(有料会員限定記事)
- khb東日本放送|臓器臓器移植法の施行から25年 3年半にわたり息子の心臓移植を待ち続けるもかなわず(YouTube)
■臓器移植の普及啓発活動をされている団体の一部をご紹介
臓器移植の普及にむけた啓発活動や毎年国会請願署名を集め提出されています
「移植医療の素晴らしさを国民の皆様に広くお伝えするために」とスポーツイベントや関係機関への働きかけをされています
臓器移植医療の普及啓発のため、市民の皆様が参加できるイベントやセミナーなど幅広い活動をされています
各団体では全国で様々な臓器移植啓発のためのイベントなども行われています。よろしければ参加してみてくださいね。
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この署名活動をする中でも色々な声をいただいたり、難しさや大変さも感じてきました。しかし、それぞれの立場での経験や思いを伝えたからこそ、理解が広がっていくことも実感しております。
玉井さんがおっしゃるとおりで移植を受けられた方の元気な姿や経験談、感謝の言葉こそ臓器移植の力をとくに伝えられるものであると思います。
と同時にこれからもっともっと当事者だけでなく様々な立場の方たちでも普及啓発の役割を分け合うことができ、たくさんの臓器移植についての会話が増えるといいなと思います。
そして、それによって臓器移植への理解が広がることを願います。
それは「みんなが臓器移植を受けるべき」とか「臓器提供をするべき」ということではなく、選択肢があって選ぶことができるということを知ることにつながるためです。
誰でも当事者になる可能性がある日本の医療・社会のはなしだからみんなでもっとはなしませんか?
移植を受けて救われた命、これから救われる命のためにこれまで普及啓発活動をしてきてくださった方たちへ、心から感謝の気持ちをこめて。
今回のお知らせは以上になります。
引き続きどうぞよろしくお願いします。

