Petition updateいのちのバトンがつなげられる日本の移植医療システム整備と普及を!【移植医療普及のための署名】心臓移植待機と家族の負担~補助人工心臓(VAD)介助②~
及川 幸子Japan
9 Nov 2023

皆様からの賛同と拡散、change.orgへのご支援のおかげで11月10日現在 19,858名からの賛同をいただいております。
このオンライン署名活動を応援していただき、本当にありがとうございます。

引き続きよろしくお願い致します。


前回のお知らせ

心臓移植待機と家族の負担~補助人工心臓(VAD)介助①~ 

で心臓移植の待機期間はVADを装着する必要があり、待期期間が長いことで介助者の方たちにも大きな負担があることをお伝えしました。
その介助者に対してのケアも今は充分とはいえない状況があります。
移植医療の体制が整備され普及し待期期間が短くなると、介助者の方たちの負担を減らすことにもなります。

今回のお知らせでは心臓移植経験者である河合容子さんによる『VAD介助者アンケート』から介助者の方たちの声の一部をお伝えします。

 


■VAD介助者アンケート(大人~小児VAD装着患者の介助者合わせて40名が回答)

 

◇介助生活についてお聞きかせ下さい

Q.VAD患者と過ごす時間は一日あたりどれくらいですか?
ほぼ一日中 67.5%
だいたい半日 22.5%


Q.VAD患者と過ごす頻度は週あたりどれくらいですか?
ほぼ一週間毎日 90%


Q.訪問看護は利用されていますか?
利用している 17.5%
利用していない 82.5%


Q.訪問看護を利用していない理由を教えて下さい

  • 利用制度をよく知らない
  • 介助者が常に居るから
  • 障害者ではあるが、手足の不自由も無く視覚、聴覚も問題なく、介護度が認定されない
  • そのようなサービスがない。
    →「(体調が安定しているので・介助者がいるため)必要がない」という声も多い一方、「資格がある人、対応できる人がいない、そのようなサービスがないから頼れない」という声も多くありました。


Q.患者のVAD装着によって介助者にも制限のある生活(常に同行など)が強いられますが、それについてお答え下さい
大変 37.5%
やや大変 22.5%
どちらともいえない 20%
あまり大変ではない 10%
大変ではない 10%

 

■介助者の声

ここからは、VAD介助をされている方々の不安や悩みなどの声をお伝えします。
※小児の心臓移植待機については改めてご紹介させていただきます。
※回答内容はお答えくださった方個人のご意見です。読みやすくするためにニュアンスはそのままに一部編集しています。


◇介助者の身体的・精神的負担

  • 一人にさせられないのであらゆる予定が立てられない。体調を崩せない。自身の体調管理に敏感になる。VADに異常はないかと常にアンテナを張らないとならない。自由に息抜き出来ない。など精神的負担も強いられている。
  • 介助者が他にいないので自分がなんでもしないとならない。
  • 自分の趣味とかもあったが、そんな時間はまったくとれない
  • 孤独感。介助者は自分の今までの生活を患者に合わせなければならず(通院等)、自身に使える時間が激減する。結果、介助者仲間に相談する時間も相談に乗る時間もないため悩みがあっても一人で抱えるしかない。
    介助者が必須な医療であるにも関わらず介助者は「患者に従うか」「患者を見捨てるか」どちらかしか道がない。
  • 常に行動をともにするため、お互いのプライバシーもなければ行動する際に色々と制限があるため、単独なら5分で済むコンビニへの買い物もVAD患者を連れ、予備バッテリーを準備し共に行く…どちらかは用もないのに付き合わなければならない。
  • 疲れて一人になりたくても離れられない
  • 不具合を起こしたら対応できるのか、など不安。また、VADをつけるまでの入院期間に死ぬかもしれないと思ったことなどを思い出して苦しくなる時がある。今でも涙が出てくる。トラウマ的な感じなのかなと思ってるけど誰にも相談できてない。
  • 眠りが浅い。いつも何かに怯えている。動悸がする。
  • 「自分の不安、恐れ、苛立ち、怒り」よりも「装着者の不安、恐れ、いらだち、怒りの矛先になる」のが精神的にきつかった。逃げ場がない。友人と会ったりできないことが寂しいです。
  • 高齢になってきて肉体的に自由が効かなくなってきた上に介助生活が始まったので、自身の健康問題と並行して介助する事に不安は増大した。

 

◇家庭の問題

  • 自分に遠距離介護の親(老人ホーム入居中)がいること。VAD患者の闘病が落ち着いた頃子どもが不登校になった。自分の健康状態(心身ともに)。
  • 患者が独り身の為、別世帯の介助者が24時間一緒にいなくてはならない精神的な葛藤。
  • 介助者が兄弟だったので介助者自身の家族に負担がかかり、優先順位が違い申し訳なく、気持ちが重くなる事もあった。
  • 高校生の時には学校に毎日一緒に行きました。息子が友達や彼女と遊ぶ時にはストーカーのようについて行きます。その間見えるところでひたすらひとりで待ちます。距離や対応には気を遣っていますが監視されている息子はストレスがたまります。わたしと喧嘩になります。精神的なストレスから息子がひきこもるようになり、わたしも外へ行けなくなり毎日リビングで過ごすようになりました。誰とも話もせず毎日を過ごすようになりました。社会とは完全に孤立してしまいました。

 

◇仕事と収入の問題

  • 介護のために仕事を辞めたので、収入が無くなった。経済的にいつまで持つのか不安。また、もし移植が受けられたとして、私自身が年齢的にも再就職は難しい。これからの経済的な面で見通しが立たず、将来に不安がある。
  • 生活していくために仕事を辞めることができないので、仕事と介助を両立することが若い世代(共働き)は難しい。
  • 常に行動を共にするため、どちらかが仕事が出来ず生活水準が下がる。特に働き盛りのパートナーが会社の理解が得られず働かせてもらえないなどまだまだ理解が低く、働くにしても責任はとれないと投げ出されてしまう。
  • 会社の理解が得られず退職に追い込まれそうな状況。今はトラブルなくきているが5分後にはどうなっているかわからないという不安が常にある。
  • 仕事を辞めなければいけなかったこと。収入がなくなることと、自分のキャリア自体を諦めなければいけなかったことは辛かった
  • なんとか前向きにと思ってはいるけど、社会との関わりが大きく減ったことで、介護する前と比べると笑えないし、感情が動かなくなっている。ただ、2年経って、この状況を受け入れるしかないと、腹を括ることはできてきたと感じている。自宅でなにかできる仕事はないかと探し始めた
  • 共働き世帯がいきなり二人共無職になり、将来への不安しかなく精神的に相当きつい。

 

◇サポートの問題

  • 充電出来る施設がほとんど無かったため泊まりの出かけが出来なかった。
  • 独身と高齢の母親の生活だったので、介助者がいないと感じた。兄弟での全面的なサポートを伝えても甘える事へのためらいがあった。
  • 訪問看護師もVAD対応の経験がなく、最初は介助者と本人の話を聞くだけで、勉強になりますと言われ少しへこんだ。
  • 訪問看護さんもVAD患者の対応は初めてらしく、訪問看護さんが来た時も介助者が同席していなくてはならないので、外出する事ができずメリットを感じられない。
  • VAD患者本人の肉体的、精神的援助はされても、介助者の精神的援助までには気がまわってないように思います。
  • 世間から見放された感。自分の人生を犠牲にしている感。

 

◇待機期間について思うこと

  • 行政の助けなどが欲しかった
  • VADの実績が良くなったとはいえ待機期間が延びる、このパラドックスには悶々とします。地域差のせいでVADに辿り着けずに苦しんでいる人も多いでしょう。
  • とにかく今の日本の待機期間は長いと思う。いつどうなるかわからない生活の中で、移植がゴールではないが、1日でも早く移植を受けれるようになってほしいと常に思っている。
  • これだけ長いので精神的なケアや年齢によっても何か支援が必要だと思う。
  • 息子がVADを装着する時に医師から、7年8年待機になると言われました。それまで息子が無事に生きていられるかどうか不安になりました。
  • 本当に移植できるのか心配した時期もありました。でもこればかりは本当に選ばれなければ移植はできないので、モチベーションを保って諦めないで日々暮らすことが大変でした。
  • 移植さえ終われば働ける、何かがかわるという希望だけで今は耐えている

 

◇その他の思い

  • 常にアラームを気にした生活。血栓の心配。夜中でも気にしている。息子の精神的な不安からそのケアまで苦しい。経済的な不安。食材の買い物も行けないので1週間まとめて配達してもらう。塩分やビタミンKを気にしたり食事つくりもやめたくなる時がある。わかって欲しい旦那とわかりあえず苛立ち関係がこじれる。日曜日しか仕事の休みがない旦那なので、頼れない。娘と一緒に暮らせていない。
  • 仕事も辞めざるを得なかったので収入もなく、人とあうこともできず、社会ともつながることができず、孤独になった。
    自分の病院すらいけず、体調も悪い。友達とも疎遠になった。今後も社会復帰ができるのか不安になる。息子の体調が良いことはとても良いがvad介助者だけで考えると壮絶です。
  • 介助生活する前よりは減ったが、生きていることの大切さ、日常の当たり前の生活がどれだけ貴重で大切な事かが改めて実感できたのは介助生活が始まってからだと思う。日常の小さな幸せは前よりも感じるようになった。又、移植された方のお話しを聞くと希望や安心を得ることが出来た。
  • 現在、主人は審査段階にあります。ケアギバーである私は、生活の為に働かざるを得ない状況です。子供が2人います。まだお金がかかります。
    仕事を辞めるわけにはいかないので私が働いている時間、子供達がケアギバーとなるのですが、それでもどうしても外出しないとならない時には、昔からお世話になっている方がいる職場で仕事の手伝いをしながら過ごしてもらおうと、やっとの思いで私たち夫婦の思いをわかってくださる方に出会いました。何度も話し合いを重ね、家族ぐるみで日中、誰かしらが夫のそばで見守れる体制を作ってくれました。講習にも参加して、機械の操作を覚えてくれると意欲的に考えてくださっています。
    それにあたり、マニュアルを細かく作成しました。日中過ごす見取図、出入口、トイレまでの距離、人の位置関係、タイムスケジュール、もしもの時の連絡方法等、思いつくことすべて、紙に書き起こしてマニュアルとして医師に提出しました。
    ここまでの道のりは本当に険しく、藁をもすがる思いでやってきました。生活できるなら私が仕事を辞めます。それが一番安心であることはわかります。でも実際、そしたらどうやって生きていくのですか?
    今、主人はVAD装着に向けて必要な検査を終えたところです。ギリギリの身体状況、すぐにでもVAD装着しなければならない瀬戸際の状況だと言われました。薬もこれ以上増やすことはできないMAXの状態。
    VADを装着できれば、命を延ばすことができるのに……
    私達のような家族は、実際にはたくさんいると思います。私は、あきらめたくない!だからペンをとりました。
    どうかどうかこの切なる想いが、新しい一歩を踏み出す希望の光と繋がることを心から願っています…

 


最後にアンケートを集められた河合さんからのコメントです。

 

■「VADアンケートを受けて」心臓移植経験者 河合容子さん

2年前に、人工臓器学会から登壇の依頼を受けたときにVAD患者とその家族の現状を知っていただく為に事前アンケートを取らせて頂きました。
あれから2年が経ち、環境が変化された方もきっと多いと思いますが、このアンケートから見えてきたのは大変なのは患者本人だけでなく、その家族にも大きな負担があるということでした。
家族の回復を願って臨んだVAD生活ですが、それぞれが抱える悩みや問題は長い待機期間の中で時には家族に亀裂を作ってしまうような事も多々ありました。
 
根本的な解決は、短い待機期間になることが一番の近道なのだと思いますがそこにはドナー不足だけではなく、インフラ不足、医療従事者不足など簡単ではありません。
たとえ、多少短くなったとしても24時間介助生活となると、患者本人だけでなく、介助家族が失うものや手放す事柄はどうしても生じるものと思われます。
むしろ、患者本人、また介助家族へのサポート体制を整えることはどうでしょうか。介助者の枠を広げる、VADの緊急時対応の精度をあげる、モニタリングが出来るようにするとか、アラームは家族の携帯と連動するなど。
レスパイト入院、レスパイトショートステイ、デイサービス利用などで地域の病院や地域のネットワークの中で家族の負担を担いあえないでしょうか。
また、患者本人だけでなく介助者も情報の共有や交流が出来る機会を得ることによって、少しはその不安が和らぎませんか。
これらの案もアンケートの中に記されていたことです。

人工臓器をつけて、自分らしく生きることを選べる時代になったのですから、あともう一歩。生活する上での必要な制度、しくみまでの整備を患者サイドに立って進めて頂きたいです。
病院だけでは対応出来ない分野ならば、それを整備できる国の機関に繋げて頂きたいです。なんといっても、移植医療は希望の医療です。その先がある医療です。
社会の仕組みや国の政策が弱い人に寄り添うものとなりますように
しくみを変えられる立場の人が勇気をもって携われますように
そして移植医療の理解がもっと深まりますように
移植を願いながら断念せざるを得なかった友のことを覚えながら強く願います。

私は心臓移植経験者です。特発性拡張型心筋症を発症し、長い闘病の後、補助人工心臓を装着、国内で心臓移植のご縁を頂きました。当事者となって、知った移植医療の世界は、知る人だけが知る世界。移植医療は優しさの医療でした。伴走して下さった医療者の方々、そして尊い意志を持って命を繋いで下さったドナーさまとそのご家族には感謝しかありません。限りある命に向き合う事は誰にとっても必要事であると感じています。同時に、逼迫している医療現場へのサポートの必要性も強く願い、この活動に賛同致します。

 

 

河合さんありがとうございました。

 

コメントにもあるとおり移植待機期間の問題だけでなく、移植医療においても環境整備や人員不足などの影響でサポートが必要な人に届いていない現状があります。
そういった問題についてもこのお知らせを通じてお伝えできたらと思います。

河合さんは移植手術を受けられてから社会復帰され、臓器移植の啓発活動や子ども食堂の運営などもされています。

移植医療は患者の闘病だけでなく家族の介護から社会復帰の願いを叶えることもできる医療なのです。

 

今回のお知らせは以上です。

 

引き続き宜しくお願い致します。

 

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