原田 玲子Osaka-shi, Japon
11 nov. 2023

  日本全国で地域猫セミナーの講師として「地域猫活動」の普及啓発に尽力なさっている特定非営利団体法人ねこだすけ理事長工藤久美子さんに地域猫活動の法令の根拠につき、解説していただきます。

   ***工藤久美子さんへのQ &A***

Q.基本指針とは何ですか?

 A.基本指針は、環境省の自治体向けの告示です。法に準じるものであり、動物愛護管理法の規定に基づき策定され、地方自治体の施策執行の根拠となります。正式な呼称は「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」といいます。 2006年に策定され、2020年に最終改訂されました。

 Q.ガイドラインとは何ですか?

 A.ガイドラインは言わば、手引書、マナーブックのようなものです。 正確な呼称は「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」といいます。 人と人との距離や人と犬や猫の距離が近く、人と犬や猫とが共生していくために種々の配慮が必要となってくる住宅密集地(集合住宅を含む)において、人と犬や猫が調和した快適な居住環境の維持向上、人と犬や猫が共生できる町づくりを図るための基本的なルールを示すことを目的として2010年に環境省が作成しました。

 Q、基本指針とガイドラインはどちらが法令の根拠として上位なのですか?

 A.ガイドラインは当然、法に基づいた内容ですが、残念なことにその内容が見直される事はなく、その法的位置付けは極めて曖昧、とも言えます。
一方、基本指針は動物愛護管理法改正に合わせて改正されることから、 法令の根拠として重要なのは基本指針です。

 Q.基本指針の改正の過程について教えてください。

 A.基本指針は、動物愛護管理法改正とともに見直され、改正されます。地域猫活動に関する記述では 2020年の最終改正では、講ずべき施策が、従来の 『ア  住宅密集地等において地域住民の十分な理解の下に飼い主のいない猫への不妊去勢の徹底や給餌若しくは排せつ物の管理等を実施する地域猫活動の在り方に関し検討を加え、適切な情報発信を行うこと。』に加えて 『イ  生活環境被害の防止や犬又は猫の適正飼養の観点から、所有者等のいない犬又は猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについての普及啓発の強化や、地域猫活動に対する理解の促進等を通じ、所有者等のいない子犬及び子猫の発生を防止するための取組を推進すること。』が新たに付加されました。 元来あったアにも「地域住民の十分な理解の下」と言う文言がありますが、その後に「地域猫活動のあり方に関し検討を加え」とあります。 しかし、アの文言のみからは、何を何の目的で検討するのか、読み取れません。 それを明確化したのが、素案の改正案のイの文章です。

  改正案では『生活環境被害の防止や犬または猫の適性飼養の観点から、所有者等のいない子犬子猫の発生を防止するためには、所有者のいない犬または猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについて普及啓発を強化すること。』と「地域猫活動」という文言が無く、餌やりは望ましくないという方向性ばかりが強調されていました。 これでは餌やりは望ましくないと唱えるだけで、所有者のいない猫発生の根本的な予防策である、不妊手術した猫を地域で見守る地域猫活動普及の妨げになると強く危機感を頂き、文言の改正を環境省に働きかけ その結果、文言が下の現行の基本指針のように変わりました。

「生活環境被害の防止や犬または猫の適性飼養の観点から、所有者等のいない子犬子猫の発生を防止するためには、所有者のいない犬または猫に対する後先を考えない無責任な餌やり行為が望ましくないことについて普及啓発の強化や(地域猫活動に対する理解の促進等を通じ所有者等のいない子犬及び子猫の発生を防止するための取り組みを推進すること)。」 ( )内が追加された文章です。

 この『地域猫活動に対する理解の促進等を通じ所有者のいない子犬及び子猫の発生を予防するため取り組みを推進すること』の文言が無ければ、無責任な餌やりは望ましくないという、猫の問題の解決には程遠い方策だけが広がるところでした。 ですが、さすが環境省は国の機関としてプライドをお持ちでしょうから、文言を追加し変更をしてくださいました。 基本指針の文言である、地域猫活動への「理解の促進」を行政は重んじるべきです。

   より詳しく遡って解説すると 「ガイドライン」が2010年年に公表された直後から、「合意」という文言は将来に必ず地域猫活動を阻害すると危惧し、国会議員にも改正を働きかけました。 多くの方々の働きかけもあり、その結果、2013年の「基本指針」、同じ環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」にはじめて「地域猫対策」の文言が盛り込まれた際には、「合意」ではなく「十分な理解」と変わり、現在の「理解の促進」という表現に至ります。 ガイドラインは具体的に、とても細かく書かれたいわゆる手引書ですので、これを参考にする行政も多くいらっしゃると思います。 しかしながら、その後に発布された二つの告示、法改正に併せ改正される基本指針、こちらをまず文字通り基本として行政は進めるべきでしょう。

一一ガイドラインの「合意』という文言に危機感を抱いた地域猫活動の先駆者の長年のロビー活動の末、より法令の根拠として重視すべき基本指針の改廃が重ねられたことを初めて知りました。その結果、基本指針の文言も「合意」→「十分な理解」→「理解を促進」と変化しています。ガイドラインを受けて策定された大阪市の街ねこ制度は、その後改正を重ねた基本指針を全く無視しているという謗りは免れません。

 Q.環境省告示「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」とは何ですか?

A.動物愛護管理法に基づく国民向けの基準です。 「飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数の削減に配慮した管理を実施するよう努めること。」と述べられており ここからは、「不妊去勢手術を施して、周辺地域の住民の十分な理解の下に、給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策」という地域猫活動の定義が導き出されます。

 Q.何故大阪市は基本指針等の告示ではなく、手引書に過ぎないガイドラインを根拠として「理解」ではなく、「合意」にこだわっているのですか?

 A.理解できません。 ガイドラインを信頼し、それに従うのであれば、先の文章に書きました、地域住民の理解の促進、「飼い猫を捨てることは犯罪になることを周知し、捨て猫の防止を徹底していく必要がある」という部分も採用すべきでしょう。大阪市のような大都市が旧態依然とした「合意」、自治会長の「合意書」という制度を採用していることに少々驚きました。 現状に即した、自治単位としての自治会の枠を超え、ガイドラインでなく、基本指針にのっとり、形式的書面の「合意書」はおろか、「合意」ではなく、「理解と協力」「広報」という要件で、地域猫活動を推進していくことが住民の理解に資することになるのは明らかです。」

一一大阪市の街ねこ制度がガイドラインをうけて策定されていることの法令の根拠が乏しく、不当であることがより浮き彫りになりました。

  地域猫活動を語り、活動する方々のうち、一体どれだけの人が、ガイドラインや法令の根拠である環境省告示の基本指針を熟読し、理解なさっているでしょうか? 地域猫活動草創期から現在に至るまでの先駆者の皆様方のロビー活動、政策提言の歴史を知り、このバトンを受け継ぐ私達が先ずは知り、深く学び、伝え、一人ひとりが声をあげていくことの大切さを再認識いたしました。

  大阪から日本の動物愛護行政を変えていきましょう。 引き続き、この署名をシェアして 応援してください。

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