

この署名を立ち上げ、要望書を作成するに当たり、改めて「地域猫活動」について調べてみました。 日本全国で地域猫セミナーの講師として「地域猫活動」の普及啓発に尽力なさっている特定非営利活動法人ねこだすけ理事長工藤久美子さんに解説していただきました。
【地域猫活動始動】
『2001年度に開始されました「東京都飼い主のいない猫との共生モデルプラン」 このプランは町会地域住民、管轄行政、ボランティア、この3者が協力し合い野良猫問題解決を目指す、と言う実に画期的なプランでした。 それまでは全国統一されたように、餌やり禁止。これで問題解決を図りましたが、古今東西餌やり禁止で解決した例は皆無です。』
一一2001年は猫の殺処分数は273,000頭。 環境省が発足し、動物愛護管理行政を所轄するようになった年です。
『それまでは全国統一されたように、餌やり禁止。これで問題解決を図りましたが、古今東西餌やり禁止で解決した例は皆無です。 餌やり禁止により増え続けた苦情と猫の数、これを解決すべく当時の青島幸男東京都知事の命の元、東京都動物保護審議会で提示されたプランでございます。 このプランは大成功を収め、その後環境省は全国自治体へ向けて基本指針等を通じて、この活動を推奨するようになりました。 当時の状況から「地域の合意」これは外せませんでした。なぜならば、餌やりをまず認めてもらう、地域住民に納得をしてもらう、この当時としては恐ろしく高いハードルを超えるためには、厳しい文言が必要でした。』
一一発足したばかりの環境省が鳴り物入りで推奨した地域猫活動。 とても画期的な制度ですが、それまで「餌やり禁止」「ノラ猫への餌やりは悪」と刷り込まれていた人の意識は急には変わりません。 地域猫の管理の為の餌やりすら認めがたい人も多く、地域猫活動を普及させる為には高いハードルが必要でした。 時代背景や人の意識を思うと「地域の合意」という厳しい要件は仕方なかったのでしょう。
『しかし時代は変わり、地域猫という言葉、活動が大きく定着、前進した今、この「合意」という言葉に変わり「理解と協力」これが全国自治体でも使われるようになりました。』
一一地域猫活動という言葉が広がり、受け入れられるとともに、ハードルを下げる地方自治体が増えていったそうです。
【地域猫活動の法令の根拠】
『①動物愛護管理法基本指針。 これは全国の動物行政、政令都市、中核都市などに告示されるものです。地域猫活動、と言う言葉が現れた2006年の最初の指針では「地域住民の合意」とありましたが、その後2013年の指針では「十分な理解」さらに2020年には「理解の促進」と変化して参りました。』
一一動物愛護法基本指針とは、正式な呼称は「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」といいます。 環境省の告示であり、動物愛護管理法に基づく自治体向けの指針です。 基本指針の文言も時代とともに
地域住民の合意→十分な理解→理解の促進と 文言が変化しているのが分かります。
『また多くの自治体で重要視している要素は「住民への活動広報」 この広報を通じて地域住民の理解と協力を得る、その方向に変化しております。』
一一まさに、この署名と要望書で求めていることそのままです。 自治会長の合意書という形式的要件である書面ではなく、広報、理解や協力を得るための周知の方が地域猫活動では大切です。
『②環境省「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」 2010年発行のこのガイドラインの地域猫のパートには、確かに「合意」という文言があります。 しかしながら内容は素晴らしく、例えば「地域住民は野良猫を排除するのでは無く、地域住民が飼養管理する事で、この活動は野良猫のトラブルを無くすための試みであることを理解しなくてはならない。」或いは「飼い猫を捨てることは犯罪になることを周知し、捨て猫の防止を徹底していく必要がある。」と強く地域住民への理解協力を促しております。 必ずしも「合意」がなくても少なくとも、地域猫活動の目的への理解、遺棄防止への努力を求めていると分かります。』
一一基本指針とは別の、同じ環境省の「ガイドライン」が出てきました。 大阪市の街ねこ制度は このガイドラインを受けて策定されているとの回答を得ています。 ガイドラインでは合意、理解という文言が混在しています。 基本指針とガイドラインの関係については 回を改めて工藤さんに深く解説していただきます。
【合意という文言の弊害】
『以上の事からも「合意」に変わり「理解と協力」。 まずこの活動を住民の方々に知って頂く、そして地域に根付いた地域活動として位置づけて行く、その為には何よりも住民の皆様方への活動広報、それによりご理解を頂く事、これが重要と感じております。 「合意」と言う言葉が活動推進への大きな弊害となっている、これは事実でございます。』
一一以上、工藤久美子さんに、地域猫活動の始動から現状について解説していただきました。
知っているつもりで 知らないことも沢山ありました。 繰り返しになりますが、さまざまな考えや立場の人がいる中で地域猫活動を迅速に推し進めるには 先ずは地域住民に地域猫活動を知っていただくための「周知」「広報」をして「理解と協力」を得ることが大切であり、旧態依然とした「合意」という文言が地域猫の広がりを阻害している弊害が改めて浮き彫りになりました。
次回以後、地域猫活動の今後のあり方、基本指針とガイドラインの関係などについても 工藤久美子さんに引き続き解説していただきます。
文章で読むと簡単にも見えてしまいますが、何も無いところから「地域猫活動」を始め、普及させてきた方々のご苦労は如何ばかりだったでしょう。 こんなに良い制度を活用しないのは、とても勿体無く、大きな損失です。 しかし、時代と実情に即した制度にしていくよう行政に働きかけるのも、他ならぬ市民の役割です。 皆様の声を届けるためにこの署名をお友達やご家族にもシェアして引き続き応援してください。