Petition update公益通報者の命と尊厳を守ってください ― 鳥取大学の補助金流用問題が示した制度の欠陥を改めてください出張報告書の書き換えを適切とした不当判決――補助金不正流用を継続した鳥取大学と公益通報の無視
松江 和子HachiÅji, Japan
12 Oct 2025

~判決の不当性:公務員、専門職である医学部教授が、出張報告書の書き換えを事務職員へ命じるのは、適切と言えるのでしょうか?~

 署名へのご支援をありがとうございます。

 今後、しばらくは、2025年9月25日の未払賃金等請求事件の地裁判決が、いかに公益通報者保護の観点から不当であるかついて、随時ご説明します。本日はその1回目です。

 鳥取地方裁判所は、被告鳥取大学の不法行為として、5つのパワハラを認定しましした。そのうちのひとつが、教授が原告に対して「お前なんかに鳥大をよくしてもらおうなんて思わんわ」と発言したことです。

 しかし、不法行為を認めたものの、このことに関する判決には以下の点で不当です。

① 出張報告書の本人以外による書き換えを容認

 2015年8月27日、鳥取大学附属病院で行われた会議では、「会計検査院対応を想定した未来医療の使い方」と題した資料が配布されました。 この資料には、「過去の出張報告書の書き換え・修正指示」が含まれていました。

 この会議で、この教授は「出張報告書の書き換えは事務にやらせればいい。」と発言。 原告は冷静に「鳥大(鳥取大学)を良くしていこうと思わないのですか」と指摘しましたが、教授は「お前なんかに鳥大を良くしてもらおうなんて思わんわ」と原告を罵倒。この直後に、 事務職員のAさんは、事務職員は出張報告書を書き替えることはできないんです。」と明言しました。

 当時のこの会議のやり取りは、鳥取大学事務職員によって録音されており、原告と事務職員のAさんの発言は鳥取大学医学部の公式マニュアルに沿った正当なものです。しかし、鳥取大学は裁判でこの録音と録音記録の開示請求をしたにもかかわらず、情報開示しませんでした。

 鳥取大学医学部 出張・旅費に関する標準マニュアルには、 

出張報告は、出張内容及び結果について旅行者本人がしてください

とあります(上記掲載画像のとおり)。

 この規定は、出張報告書が出張者本人の経験に基づく記録であることを明確に示しており、第三者による修正や代筆は原則として認められていません。

 しかし、裁判所は以下のように判決文で記述し、本人以外による修正を容認しました:

「監査における指摘を前提に過去の報告書を修正することは、誤りを認めて事後的な処理を行う趣旨であると考えられ、不正の隠蔽を意味するものではない。

「修正作業は〇〇教授自身が担当すべき事務ではないという以上の意味はなかったと認められる。」

「原告が〇〇教授の上記発言について事務方に不正な書類を作成させる趣旨であると解したのは、誤解であったといえる。」

 これらの判断は、大学の規定と明確に矛盾しています。

  

 つまり、裁判所は、大学規定と客観的証拠を無視し、本人以外による報告書修正を「不正ではない」と認定したのです。しかも、裁判所が事実認定で採用した事実は、この教授の証言記録、補助金の不正流用をしていた教授と准教授の尋問での証言によるものでした。これらの教授や准教授も、この裁判で、別途、原告に対する違法なパワハラ行為やパワハラ行為への関与を認定されています。判決では、公益通報者である原告の指摘を「誤解」としました。これは、裁判所が、組織的な不正を容認する極めて不当な判断です。

 本来、修正すべきは、出張報告書の内容であるはずがありません。修正すべきは、鳥大学の補助金の流用体質です。すなわち、出張報告書を修正すべきではありませんでした。出張報告書から補助金の流用が認められるものを抽出し、そこから、不当に国へ請求した補助金額を算出して、文部科学省へ返還すべきでした。この時に、私たちの税金から成る補助金を国へ返却することであったはずです。

② 教授が補助金流用の責任者であった事実を裁判所が軽視

 補助金の不正流用は、主に鳥取大学医学部附属病院次世代高度推進センターで起こりました。この教授は、2014年度は次世代高度医療推進センターのセンター長、2015年度は副センター長を務めていました。すなわち、文部科学省、厚生労働省、AMEDなどの補助金の不正流用のあった事業の責任者のひとりです。この立場にありながら、出張報告書の修正を事務職員に任せるよう発言したことは、責任の放棄であり、組織的な不正の一端とみなされるべきです。 しかし、裁判所はこの責任構造に言及すらしませんでした。

③ 鳥取大学は文部科学省からの指導を受けながら、最終的な補助金返還額を公表したのは、約1年4か月後

 文部科学省は、2015年8月の監査で補助金の目的外使用について鳥取大学に注意・指導を行いました。 教授の原告へのパワハラ発言は、その直後の会計監査院対策のために招集された会議で起こりました。判決どおり、教授の発言が正当なものであれば、鳥取大学は、この時に補助金の不正流用を改めていたはずです。しかし大学が最終的に文部科学省事業の不正を認めて返金を決定したのは、この時から1年4か月以上経過した2016年12月26日でした。

 また、この後も、鳥取大学は、厚生労働省、AMED事業の補助金不正流用については認めず、国やAMEDからの再三の指導を受けた後、そして、この教授が原告を罵倒するパワハラ事件があってから約2年2か月後の2017年10月に補助金を返還することを国へ報告しました。一方、原告は、病院長によって2017年1月に休業命令が出された後、2017年3月末で雇い止めとなっていました。

労働基準法違反の疑いの背景を軽視

 鳥取大学が原告へ残業代を支払わなかったため、原告は、労働基準監督署へ通報しました。その結果、労働基準監督署は鳥取大学へ不払い賃金を支払うように鳥取大学へ勧告・指導しましたが、支払いませんでした。鳥取大学は、原告を雇止めにした後、労働基準監督署が原告の告訴状を検察へ送致することを決めたタイミングで一部残業代を支払い、一部は和解で支払いました。

 原告を罵倒した教授は、原告が勤務していた鳥取大学医学部附属病院次世代高度医療推進センターの副センター長であり、かつ大学の役員でもありました。原告の賃金不払いに対して責任ある立場であったことを裁判所は軽視しています。

 

この出来事はパワハラのはじまりでありであったこと

裁判所が認定しただけでも、その後4つのパワハラがあります。これら全て、原告への賃金不払いと補助金流用の両方に対して責任ある立場の人物によって行われていることについての言及が判決文には全くありませんでした。

賃金の不払いや税金の不正流用を阻止しようと行動した公益通報者に対し、鳥取大学内でパワハラが容認され続けてきたことは、極めて深刻な人権侵害であり、制度的な問題を露呈しています。

🧾 鳥取大学が最初のパワハラ発生の約1年4か月後にようやく認めた補助金不正流用の内容(2016年12月26日報告)

・補助金計7600万円の不適切使用と国への返金

・8人の文部科学省事業に専念する義務のある教職員が補助金の目的ではない業務をしていた

・補助金の目的対象外の出張が48件

➅ 公益通報者保護法、労働契約法第5条、労働基準法、公文書と矛盾する判決

 ①~⑤から原告が、大学の補助金不正を告発した後、教授から罵倒を受けたことは、明らかに報復的な不利益な取り扱いであり、公益通報者保護法違反の疑いがあります。公益通報者保護法は、通報を理由とする不利益な取り扱いを禁止しています。また、これによって原告が被った精神的苦痛は、大学が安全配慮義務を怠った証拠であり、労働契約法第5条基づく義務違反と評価されるべきです。

 文部科学省のガイドライン、鳥取大学医学部の公式マニュアル(公文書)に、出張報告書は本人が書くべきものであると記してあるにもかかわらず、裁判所は事務職員による報告書の書き換えを容認しました。これは文書偽造の疑いがある行為であり、書き換えが正当で原告が勘違いしていたと断定する裁判所の判断と教授の罵倒発言は、公益通報者の人格権の侵害を示唆すらします。

 この裁判は、残業代の支払いという労働者としての正当な権利を求めた人を守る観点からも、税金の使途の透明性を守り、不正を正そうと声をあげた人の尊厳を守る観点からも、見過ごすことのできない判例です。 

 9月25日の判決については、今後も、判決文をそのまま引用して、公益通報者保護の観点から何が問題かを引き続きご説明させて頂く予定です。

 公益通報者が現実社会の中で保護されない事例が、現在も次々と報道されています。二度と同じような過ちが繰り替えされないために、一人でも多くの方の署名への賛同が必要です。

 引き続きのご協力をお願い申し上げます。

Copy link
WhatsApp
Facebook
Nextdoor
Email
X