じゅんぺい 日本で生まれ育った29歳Japan
May 25, 2023

性的虐待の問題を目の当たりにして、「とても苦しい」「つらい」と感じている人はとても多いと感じます。

先日のツイートでも書きましたが、この問題は当事者も当事者以外もすべての人が傷つきます。誰一人として無痛ではいられません。
それほど規模や影響が大きくなるまで、私たち社会は過ちを止められなかったのです。

すべての要素が近すぎるからとてつもなく苦しい。
だけど本当は少しずつ別物で「こっちは愛してこっちは変える」という選択肢があるんだよ、ということに気づいてほしい。

絡まった想いを注意深くほどいていくことは、この問題をよりよい出口に導くことに繋がり、同時にあなたの心を守ることにも繋がります。
感情の嵐に支配されることを防げるんです。

 
現役タレントと事務所

ジャニーズ事務所を批判することは事務所に所属する現役タレントたちを苦しめることに繋がるのではないか?
彼らを応援しているから、事務所の批判もしない。そういう人たちもいると思います。

タレントたちは事務所に所属して、トレーニングを受けたりステージに立ったり仲間と長い時間を過ごしたりして成長していきます。
さらに、事務所のプロデュースによって、世に売り出されたくさんのファンが付き、大きな感動を生み出していきます。

所属タレントと芸能事務所は密接な関係にあります。経済的にも感情的にも結びつきは深い。
だから、事務所を批判すると所属タレントに少なからず影響が出る、というのはその通りだと思います。「影響が出ないように守ります」と言えたらどれほど良いだろうかと思うこともありますが、私にはそこまでの力はありません。

でも一方で、当然のことながらタレントと事務所は別物です。関係性は深いけれどイコールではない。
たとえば、大きな成長を遂げた思い入れの深い事務所を退所して、新たな道を歩み出すタレントもいます。
たとえば、所属タレントが不祥事を起こしたからといって、その事務所のすべてが否定されるわけではありません。

両者は相互に影響を及ぼし合う関係性にあるけれど、それぞれに野望があり未来があり、目指すものがある。そのせめぎあいの中で発展していく関係性だと感じます。

彼らを本当の意味でリスペクトしているのなら信頼しているのなら、関係性が近かろうが遠かろうが見過ごせない事態に対して声を挙げてほしい。
誰かを応援すること・好きでいることと、都合の悪いものに蓋をしてイエスマンになることは違います。「ジャニーズの世界が好きだ、でもこのときのこの行為はだめだよね」ということは両立するし、両立させていいと、私は思います。

 
調査することと彼らを守ること

これは非常に難しい問題です。
これだけのショッキングな出来事になると、当事者に共鳴してつい同情や感情的保護のみを考えようとしてしまいます。
でも、ちょっと待ってほしい。

思い出すのがかわいそうだから調査までしなくていいんでは? という意見は、
『とても悲しいことがあったね、守ってあげなきゃね、ちゃんちゃん』
という態度です。
それは被害者に寄り添っているようでいて、実はとても不誠実で無責任な態度です。

なぜなら、できる限り実態を解明して、適切な心のケアや再発防止といったより良い未来に繋げる、というアクションを放棄しているからです。
『二度と自分たちと同じ思いをする人が出ないでほしい』という、当事者の切実な声を無視しているからです。
(同じ過ちを起こさないように世の中を変えていくというのは、当事者ではない第三者の私たち(つまり社会)が果たすべき重要な役割でもあります)

どれくらいの問題があって、どれくらい傷ついた人たちがいるか分からなければ、この先どういうケアが必要か、どういう方針で事務所を運営していけばいいかは分かりません。
私たち社会は、「かわいそうだから調査をしない」という思考停止ではなく、「どうすれば限りなく負荷の少ない安全な調査ができるのだろうか」という部分にエネルギーを注ぐべきです。

これまでの数々の証言を聞く限り、彼らは単純に話さないことを選んだというよりも、自分の力だけではどうにもできない様々な壁の前で口を閉ざさざるを得なかったのです。
もちろん、もう一切話したくないという人もいるであろうことは理解しています(そういう人たちが話すことを拒否できる仕組みを調査に組み込む必要があります)。
ただ、数百人にも及ぶと言われている被害者たちの多くが調査を望んでいないと、なぜ当事者でもない私たちが言えるのでしょうか?

今、口を開いていないからというのは理由にはなりません。
なぜなら、一般人にも広く知れ渡るメディアで語るというのは、相当な心理的負荷と今後の人生への影響を覚悟しないとできないことだからです。

彼らに何があったのかなかったのか、そしてそれらをどう話すのか話さないのか、それは私たちが決めつけるものでも強制できるものでもありません。
それは彼ら1人1人の意志であり、それを私たちは尊重すべきです。

彼らが、自らや周囲に起こった出来事について話したい、あるいは実態を解明することに協力したいと思ったときに、それができる安全な機会を私たちが一方的に奪ってはいけません。
だから私は、第三者委員会による調査の必要性を感じているのです。
ここでいう「調査」とは、『ちゃんと話せ!』と強要する場ではなく、『あなたにはプライバシーが守られた状態で話す機会があります。無理のない範囲で話を聞かせてください。』という場のことです。

彼らの声に注意深く耳を傾ける、それが最大のリスペクトだと考えます。

 
‘ジャニーさん’ への感謝と非難

性的虐待の加害者とされているジャニー喜多川氏は、長年「ジャニーさん」という愛称でタレントやファンや日本中から愛されてきました。
たくさんの人に親しまれ感謝されてきたような人がこんなことをしていた可能性があるなんて・・・と、たくさんの人が心が分裂するようなショックを受けているのではないでしょうか。

これまで証言してきた元Jr.の方々のお話でも、ジャニーさんには感謝している、憎めない、お世話になったという気持ちが語られています。
元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんも
『ジャニーさんのおかげで人生が変わったし、エンターテイメントの世界でジャニーさんが育ててくれた。感謝は消えない。親にされてると思ってほしい。』
といったような内容を語っています。

これも非常に難しい問題です。
なぜなら、彼らは大きくそして複雑な構造の中に取り込まれてしまっているからです。
当時者にとって、ジャニーズ事務所は被害を受けた場所でもあり、同時に夢を追いかけたりタレント活動によって自分の人生が変わったりした場所でもあるからです。
良い思い出か悪い思い出かという簡単な話ではなく、たくさんの感情とたくさんの記憶とたくさんの自分の人生が詰まった場所なのです。

彼らがジャニー喜多川氏に対して抱いている感謝や尊敬の念が、100%思い込みや洗脳かというと、私は個人的にはそうは思いません。
グルーミングなどの影響の可能性はあるにせよ、ジャニー喜多川氏にも人として良い面はたくさんあったのだと思いますし、多くの証言者もそれは語っています。
それらの気持ちをすべて否定しようとは私も思いません。

一方で、日本社会は性暴力や性教育といった性のトピックに関して、社会全体の理解が遅れていると常々私は感じています。
そういう意味でBBCのグルーミングの指摘は、本問題を考えるための重要な示唆をくれるものでした。
ただ、ある感情や反応がグルーミングによるものであるかどうかといったことは、当人だけでは容易には判別できません。専門家を交え慎重なアプローチでカウンセリングを受けるような類いのものだと考えます。

だから、自身の心の状態に不安がある人には専門家の力を全力で借りられる環境が必要で、そして世間は当事者たちの感情を軽率に「グルーミングだ」「嘘だ」「勘違いだ」とジャッジ・糾弾しないことが重要です。
 

ジャニー喜多川氏は、この社会にも大きな影響を残しました。
彼が築き上げたエンターテイメントの世界は、多くの人々を魅了しました。輝かしいタレントたちの活躍を通して、ある人は生きる喜びや希望を感じ、時には生きる意味すら見出した人もいるかもしれません。
その功績や愛は決して消せるものではありません。

あのとき、泣き、笑い、ドキドキし、叫び、眠れなくなったり、希望を感じたり、、そういう1つ1つの感動や思い出は、決して消えませんし間違いなどではありません。
それは、みんな1人1人の大切な想いとして、ずっと心の中に持っていてよいものです。

でもね。だからといって見過ごしてはいけないものがあります。
どんな人にも、良い面と悪い面が必ずあります。100%良い人、100%悪い人などいない。
だから、その人がそのとき行った「行為」が許されるものであったかどうかを、見てほしいのです。

(例えが極端すぎると感じる方がいるかもしれないことは承知の上で書きますが)
たとえば、過去に殺人を犯した人が猛勉強をして医者になり、その後の人生で1,000人の患者の命を救ったとしても、その一度の殺人はチャラになりませんよね。
どんなに善行を積んでもどんなに功績を残してもどんなに愛されていようとも、その殺人はなかったことにはならないのです。被害者がいなかったことにはできないし、させてはいけないのです。

タレントやファンや日本中の人々に、ジャニーさんへの個人的な想いがあることは私も尊重したい。
けれど一方で、どれだけJr.たちが優しくされたとしても、才能を開花させ一流のアイドルになれたとしても、過去に受けた被害はプラスマイナスゼロにはならないのです。
全体的に善人寄りだから全部OK、悪人寄りだから全部アウトではなく、そのときその人の行った行為がどうだったのかを見てください。
 

心が分裂しそうで苦しい人もいるかと思います。
もしそうなら、ジャニーさんに対する愛や感謝やポジティブな気持ちは、持ったままでいいのではないかと私は思います。
苦しいということは、きっとあなたにとってそれは揺るぎない大切な感情でしょうから。

私にその苦しみを解消する有効な知識や能力がないのがとても悔しいですが、まずは、そのあなたの気持ちをケアしてください。
そして、少し落ち着いたら、今証言されている「行為」がどういうものなのかを考えてほしいのです。

 
ジャニーズタレントの危機と未来

この問題が大きく報じられるようになり、この先事務所と所属タレントたちがどうなってしまうのだろう?と不安を感じている人も多いかと思います。
署名で言いたいことは分かるけど、タレントたちが路頭に迷ったら困る、と。

私も正直、この先どういう展開になるのかは予測できません。できませんが、1つだけ見据えているものがあります。
それは、現役タレントたちが中長期的に輝き続け、自分の人生を力強く歩めるようにしたいという未来像です。

近年のジャニーズ事務所を振り返ると、幾度ものグループ解散や所属タレントの退所がありました。事務所規模が大きくなった分入れ替わりも増えたのだろうとも言えますが、中には疑念や不満が残ったケースもあると聞いています。
また、2019年には公正取引委員会がSMAP元メンバーの番組起用に関して、独占禁止法に基づきジャニーズ事務所を「注意」しました。

そして、さらに今回の性的虐待疑惑です。
私はファンではありませんが、日本に住む1人の人間として、ジャニーズ事務所に対する世間の信頼が確実に右肩下がりになっていることを感じています。
また、今回の問題への対応次第では、海外メディアへのタレント出演も絶望的になるとも言われています。

現役タレントの海外進出が難しくなり、ジャニーズを目指す子どもも減り、事務所を信用して子どもを預ける親も少なくなる。
これがジャニーズ事務所が本当に目指したい方向なんでしょうか。所属タレントをなんとしてでも守るというこれまでの言葉とは、真逆を行っているように私には見えます。日本の若い才能をつぶす方向にばかり向かっているように見えます。

たくさんの才能を開花させ、世界中に感動を届け、ジャニーズ事務所が築いてきた素晴らしいエンターテイメントをこの先もずっと残し続けていく。そのための岐路に、今事務所は立たされていると私は思っています。

20年前、事務所そして私たち社会は、自分たちの過ちを振り返ろうとしませんでした。もう今がラストチャンスです。
現役タレントに「性的虐待疑惑」という十字架を、この先もずっと背負わせ続けることはやめてほしい。
この問題に真摯に向き合って事務所が生まれ変わり、ジャニーズの築いてきた ‘光’ を末長く残していってほしいと願っています。

 
最後に

署名ページの冒頭にも書いた私の想いを、再度ここで表明します。

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この署名にはジャニーズの現役タレントを誹謗中傷したり、ジャニーズ事務所をつぶす目的はありません。
私はジャニーズ事務所に、過去の大きな過ちと向き合い、タレントやファンを含めた関係者をリスペクトし、新しい未来のために生まれ変わることを求めます。
ーーーーーーーーーーー

すべてが近すぎて、誰もが痛みを感じる。とても難しい状況に私たちは立たされています。
そんな中、彼らの気持ちや自分自身の気持ちを大切にしながらも、より良い未来に向けて動いていくことはできるはずだと、1人でも多くの人に感じてもらえたら嬉しいです。

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