

芸術界から「指輪ホテル」芸術監督の羊屋白玉さん、少数言語界からアイヌ語ペンクラブの横山裕之さんに、今回の出来事をエスペラントの外側の視点から論じ、キャンペーンへの賛同文をいただきました。
横山裕之さんはエスペランティストでもあり「プラハ宣言」のアイヌ語訳をしています。
(芸術・演劇)
■「指輪ホテル」芸術監督 羊屋白玉さん(https://www.echigo-tsumari.jp/art/artist/yubiwa-hotel/)
全編英語で書かれたエスペラントという名のアートカルチャー雑誌“ESPERANTO”。
その存在を知った時、以前抱いたなんだかやりきれない歴史への葛藤を思い出したのです。
2001年セプテンバーイレブン直前のニューヨークで、アジアのアーティストたちとのラウンドテーブルに参加した時、司会の方が、こう言いました。「さあ、あなたたちの国のアートの現状についてシェアしましょう。英語で話してください」と。
その場には、インド、シンガポール、フィリピン、香港などのアーティストがいて、日本人のわたし以外は皆、流暢に英語を話しました。会話の内容は興味深いものでしたが、帰り道、「日本は戦後アメリカの占領下にあったけど、英語は強制されないでよかったね。」と話しかけられたことは忘れられません。確かインドのアーティストだったと思います。「わたしたちは、英語ではなくエスペラント語で話すべきだったのかな。だって、国や民族のバックグラウンドは関係ないからね。でもわたし話せないけどね。」と言うと、「僕もだよ。」と、その人は笑っていました。
エスペラント語は人工語ですが、アートも人工の産物です。そして、世界に散在するエスペランティストもアーティストも、国や民族や母国語の境界線を揺るがすかのように、協働やコミュニケーションの両腕として、それらを用い育てゆったりと結ばれています。
わたしには、言語とアート両方を軽んじていると思えるこの雑誌のあり方に疑問を感じています。
そして、あの時、わたし自身、英語を勉強せずに エスペラント語習えばよかったかなと、わたしも何かに加担してしまったのではないかな?と、この文章を書いた後に思いました。
演出家、劇作家、俳優 羊屋白玉
(少数民族・言語)
■アイヌ語ペンクラブ 横山裕之さん(https://otarunay.at-ninja.jp/taimuzu.html)
英語雑誌に「エスペラント ・カルチャー・マガジン」という名前を商標として登録しようとする行為は、多くのエスペランチストにとって違和感を感じるものであり、歴史や文脈を取り去って「よいイメージ」だけを商業に利用するというのは、数年前にアイヌ民族に断りなしにアイヌ文様の和服を販売した出来事に似ているものと思います。
また、このような行為は、既存のエスペラント共同体に対して敬意を欠いており、侮辱とすら言えると感じます。エスペラントは130年程度の歴史で他の言語に比べて決して長いとは言えず、また民族でもないですが、エスペラント使用者には「同じ言語で交流し、同一の文化をもつエスペラント使用者」というような他の言語と似たような共同体意識があると感じます。
アイヌ語ペンクラブにおいても、このような「文化盗用」を防止するために発行している雑誌「アイヌタイムズ」を商標登録しています。
以上、ご健闘をお祈りします。
アイヌ語ペンクラブ理事 横山裕之