一戸 辰夫Hiroshima, Japan
Jul 24, 2026

いつも温かく本活動をご支援いただいている皆様

早くも全国各所で酷暑日・猛暑日が続いており、皆様がご体調を崩されませんよう、日々お祈りしております。

本日、おかげさまで署名数1900を達成いたしました!!
本活動にご賛同していただける方々が着実に増加していることを私たちも大変嬉しく思っております。そして、皆様の「住む地域によらず、良質ながん治療・血液疾患治療を受けられる社会を守りたい」という熱い思いを必ず「形」にしなければならない、と気持ちを引き締めているところです。

さて、これまで『全国の都道府県がん拠点病院の9割で「がん薬物療法医」が不足』、施設バイアスの影響の可能性もありますが、『血液内科専門医教育施設の36%で3年間にわたり新人採用なし』など、皆様も大変驚かれたと思う「現実」をお伝えしてきました。そこで、今回のオフトークでは、最近の若手医師の立場になり、なぜ「がん治療・血液疾患治療」を専門に選びにくいのかについて、皆様とともに考えてみたいと思います。

まず、本日はじめに提示したグラフは2024年1月に厚生労働省で開催された検討会で示されたもので、研修医師教育にかかわる医師には良く知られているものですが、とても重要な現実が見えてきます。

1)全体の医師数は、平成20年(2008年)から令和4年(2022年)までの14年間で、およそ20%増えている。
2)しかし、20%以上増えている診療科は7診療科のみであり、特に突出して増加率が高い科は、リハビリテーション科(約60%増)、形成外科(約52%増)、麻酔科(約47%増)、放射線科(約40%増)の4診療科である。
3) 内科は、全体として医師数の伸び率と同様に増えている。
4) 外科は全く増えておらず、むしろ減少傾向にある。

私がこのグラフを見て、まず感じた印象は、特に増加率が高い診療科に共通していることは、「ワークライフバランス(業界内ではWLBと略されることもあります)」がとりやすい科である、ということでした。実際、2016年に日本医師会総合政策研究機構(日医総研)が公表した「若手医師の診療科選択プロセスに関する調査」(https://www.jmari.med.or.jp/download/WP369.pdf) においても、初期研修医・若手医師の専門診療科選択の意思決定は以下のようなプロセスで進むことが報告されています(一戸の要約です)。

『志願時〜学生時代には志望科の選択肢が広がるものの、臨床実習(5・6年)から初期研修にかけて急速に2〜3科へ絞り込まれる。選択の決め手には「自身の興味関心」に加え、「将来的なスキル向上」「期待するライフスタイルの実現性」が強く影響している。耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、形成外科などを志望候補に残す割合が増加傾向にあり、その理由としては、「働きやすさ」が評価されている側面が窺える。』

がん治療や血液内科の志望者が少なくなっている原因をこれに沿って考えると、臨床実習から初期研修の期間を通じて、「興味関心を持ちにくい」、「将来的なスキル向上が見えにくい」、「期待するWBLを実現しにくい」専門分野と認識されている可能性が浮き上がってきます。

皆様が聞かれると驚かれると思いますが、国民の半数以上が「がん」に罹患する時代であるにもかかわらず、実は現在の卒後臨床研修2年間のうちに経験しておくべき事項として、「がんに対する薬物療法を実際に行う」ことは含まれていません。また、内科専門医を取得するために必ず経験しておくべき患者さんの中にも、「がんや血液疾患に対する薬物療法が必要な患者」は同様に含まれていないのです。

すなわち、医師としての教育過程の中で、「経験がない」ことが「興味関心を持ちにくい」ことや「スキル向上が見えにくい」ことにつながっているのではないかと個人的には危惧している次第です。この署名活動にご賛同していただいている皆様は、「うちの街から、がん薬物療法や血液疾患の専門医がいなくなることは困る」とお考えになられている方がほとんどと思いますが、その実現のためには、医学教育のあり方が重要な役割を果たしていることをご理解いただけると嬉しく思います。

本日の内容は、あくまで私の独断と偏見に満ちた見解ですので、ぜひ、現役の医学生や若手医師の皆さんからのご批判・ご意見を楽しみにお待ちしております。

一戸辰夫(「若手がん治療医・血液内科医を支援する会」代表)[連絡先:tatsuo.ichinohe@icloud.com  いつでも皆様からの建設的ご批判・ご意見をお待ちしています](なお、このオフ・トークの内容はあくまで一戸個人の見解であり、本署名活動のサポーター方々や後援団体の立場を表明するものではありません。)
 

 

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