Petition updateあなたとあなたの家族を守るための緊急署名!:地方でのがん治療医と血液内科医の不足を解消するため具体策を求める

【血液専門研修/教育施設の現状調査(第1報)】:  小児血液診療科における地域格差が見えてきました!

一戸 辰夫Hiroshima, Japan
Jul 6, 2026

本活動をご支援いただいている皆様へ

おはようございます。今日は七夕ですね。

本活動事務局が、現在実施中の「血液専門医研修認定/教育施設の現状調査」には、日々大変ご多忙のところ、ご協力をいただき、深く御礼申し上げます。今回は、まず本調査のはじめの中間報告として、小児血液疾患の診療科(小児科)のみを対象とする大都市圏(首都圏・愛知県・京阪神)と大都市圏以外を比較した解析を行いましたので、まず皆様にご報告させていただきます。

はじめの解析対象として小児施設を選んだ理由は、小児血液がん診療科では施設の集約化が進んでおり、各自治体で「血液がん」の治療を行える施設は限られているため、各施設のハード面(病床数・検査機器など)の格差は成人診療科より小さく、人的資源の比較を行うには成人診療科より特徴がわかりやすい面があるからです。ただし、今回は調査へのご協力をお願いした小児診療科107施設のうち、15施設(14%)からいただいた回答の分析結果ですので、施設バイアス(注)が大きい可能性があることを前提にお読みいただければと思います。(注:回答してくださった施設の顔ぶれに偏りがあることで、全体のデータが実態からズレてしまう現象のことです。まだ回答数が少ないため、「特に医師不足が深刻な地域」や「特定の診療スタイルの施設」のデータだけが強く反映されている可能性があり、これが日本全体の縮図とは言い切れないことにご留意ください。)

なお、今回の解析対象となった診療科の所在都道府県の内訳は以下の通りです。

大都市圏(5施設): 埼玉県、千葉県、愛知県、京都府

大都市圏以外(10施設): 山形県、群馬県、新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県、広島県、香川県、高知県

1.    週間外来受診者数の比較:

まず、大都市圏の小児診療科と大都市圏以外の小児診療科で、診療規模の大きな差がないかを週間外来受診者数で比較してみました。

1)大都市圏(首都圏・愛知県・京阪神)の現状

大都市圏に該当する小児科は5施設あり、その内訳は以下の通りです。

50名未満:4施設

50〜100名:1施設

2)大都市圏以外の現状

大都市圏以外の地域に該当する小児科は10施設あり、その内訳は以下の通りです。

50名未満:9施設

50〜100名:1施設

3)まとめ

大都市圏・大都市圏以外ともに、約8割〜9割の施設で週間の外来受診者数が「50名未満」となっており、現時点の回答データからは圏域による大きな傾向の差は見られません。

2.    全体の医師数比較:

大都市圏と大都市圏以外における、1施設あたりの平均医師数(常勤・非常勤の内訳)を比較しました。

大都市圏: 常勤医 8.4名、非常勤医(大学から) 0.8名、非常勤医(大学以外) 1.2名(合計 10.4名)
大都市圏以外: 常勤医 3.9名、非常勤医(大学から) 0.0名、非常勤医(大学以外) 0.3名(合計 4.2名)
 
大都市圏の施設では、常勤医・非常勤医ともに平均医師数が多く、特に常勤医の数は大都市圏以外の2倍以上の規模となっています。

3. 年齢階級別の医師数比較:

常勤医の年齢階級別平均医師数を比較しました。

20代: 大都市圏 2.4名 vs 大都市圏以外 0.3名

30代: 大都市圏 1.6名 vs 大都市圏以外 1.1名

40代: 大都市圏 2.2名 vs 大都市圏以外 1.0名

50代: 大都市圏 1.4名 vs 大都市圏以外 1.2名

60代以上: 大都市圏 0.6名 vs 大都市圏以外 0.3名

特に20代の若手医師において顕著な差が見られ、大都市圏以外では若手常勤医の確保が非常に厳しい現状が伺えます。40代の中堅医師数でも大きな開きがあります。

4. 2024-2026年度の新規採用者数比較:

過去3年度における、1施設あたりの新規採用常勤医師数の平均を比較しました。

2024年度: 大都市圏 1.6名 vs 大都市圏以外 1.0名

2025年度: 大都市圏 1.6名 vs 大都市圏以外 0.9名

2026年度: 大都市圏 1.8名 vs 大都市圏以外 0.2名

大都市圏では安定して毎年1.5名以上の新規採用があるのに対し、大都市圏以外では2026年度にかけて採用数が平均0.2名まで減少しており、今後の医師偏在がさらに拡大する懸念が示唆される結果でした。

皆様は今回の中間解析の結果をご覧になり、どのような感想をお持ちになられましたでしょうか? もし今後の解析でも同様の傾向が確認されれば、地域によっては、お子さんが血液疾患を発症した際に、限られた人数の医師で診療を支える施設で治療を受けざるを得ない状況が広がることも懸念されます。こうした課題は、特定の地域や医療機関だけの問題ではなく、日本全体で将来の小児血液がん診療をどのように支えていくかという課題でもあります。

なお、次回のお知らせ投稿では、これまで調査にご協力いただいた成人診療科(92施設)に関する中間解析の結果を報告させていただく予定です。さらに精度をあげて、小児・成人血液診療科における地域格差の有無を明確にするため、ぜひ「匿名」で差し支えございませんので、より多数のご施設からの回答を引き続きお待ちしております。

一戸辰夫(「若手がん治療医・血液内科医を支援する会」発起人)[連絡先:tatsuo.ichinohe@icloud.com  いつでも皆様からの建設的ご批判・ご意見をお待ちしています]

 

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