【大都市圏における血液内科医師不足の実情が見えてきました】新サポーターをご紹介します!!🥳


日頃よりご支援いただいている皆様へ
血液専門医研修/教育施設の実態調査につきましては、すでに101診療科より貴重なご回答をいただいており、迅速なご協力に深く感謝申し上げます。一戸も予測していなかったのですが、地方のみならず、大都市圏(首都圏・京阪神・愛知県)のご施設においてさえも深刻な人材不足が生じていることに驚いております(注1)。解析結果については、小児診療科の実態も含め、来月前半までに一度「中間報告」という形で、必ず皆様と共有させていただきます。(注1:回答をいただいた86施設の成人血液内科に限りますと、2024-2026年度の合計新規採用者数の1施設あたり平均人数は大都市圏でも2.1名、大都市圏以外の地方ではわずか1.4名でした)。
さて、また欣喜雀躍のニュースです!! 最近、巷で評判になっております『「ふつう」ってなんだろう 病気と健康のあいだ (講談社現代新書 )』をお書きになられた医療社会学者の美馬達哉さんが、このたび本活動の署名サポーターになってくださいました!
美馬さんは神経内科を専門とされる医師であるとともに、医療社会学(注2)の専門家でもあり、がん治療医や血液内科医の偏在がなぜ起こるのかを、社会の構造や医学/医療の歴史など広い視点から分析していただける方です。(注2:医療や健康・病気に関する問題について、歴史や社会のあり方からその特徴を分析して、問題解決に必要な科学的な根拠を提供する人文科学の一分野)
以下に美馬さんからいただきました、支援者の皆さんへの応援メッセージを全文掲載いたします。
「傍らからのエール:がん医療の未来」(美馬達哉)
畏友であり、私が尊敬する先輩医師でもある一戸辰夫さん(あえて「先生」ではなく「さん」で)が、このような社会啓発の活動を始められたことに驚きました。
もっとも、京都大学時代の学生自治会やサークル活動で、少し照れながら正義感を見せていた若き日の一戸さんを知る者としては、「初心に帰ったのかな」とも思います。
昔話はさておき、たしかに、地方における血液内科やがん専門医療の状況が厳しくなっています。実は私も、この署名活動のお話をうかがった直後、友人から中国地方での白血病診療について相談を受けました。血液を専門としない医師が白血病の診療を担わざるを得ない場面が増えていることを知り、決して他人事ではないと感じました。
ただ、私はこの問題の解決策については、一戸さんとは意見が違います。医学教育や研修制度を見直すことだけで解決できるとは思っていません。少子高齢化が進み、人口が減っていく日本では、あらゆる専門分野の医師を全国の隅々まで十分に配置することはできそうにないからです。
むしろ今後は、少数の中核病院を軸に、インターネットを使った遠隔診療や医療AIなどの新しい技術を活用して、どこに住んでいても質の高い医療を受けられる仕組みを作っていかなければならないでしょう。
もちろん、そのためには医療保険制度や法律、病院の仕組みなど、さまざまな改革が必要になります。医療費をどう支えるかの問題もあります。しかし、どのような未来を目指すにしても、まず必要なのは現状を知ることです。がん治療の現場で何が起きているのか。専門医不足がどれほど深刻なのか。その危機感を社会全体で共有しなければ、何も始まりません。
署名活動は、そのための第一歩です。医療の未来を決めるのは、一戸さんや私のような医師だけではありません。病気になる可能性のある私たち一人ひとりが自分事として考えるべき問題です。
ぜひ多くの方に現状を知っていただき、よりよい医療の未来について一緒に考えていきましょう。」
美馬さんがこれまでに出版されてきたご著書の一部をご紹介しておきます。
『脳のエシックス――脳神経倫理学入門』(2010年, 人文書院)
『感染症社会――アフターコロナの生政治』(2020年, 人文書院)
『臨床と生政治――〈医〉の社会学』(2024年, 青土社)
この署名活動を通じて、より良い未来の医療を設計していくためにも、美馬さんのお知恵が大きな力になることは間違いありません。引き続き、私も皆様とともに歩みながら、多くの若手医師が活躍し、新時代のがん医療が実現される社会を創造することを目指して、力を尽くして参ります。
一戸辰夫(「若手がん治療医・血液内科医を支援する会」発起人)[連絡先:tatsuo.ichinohe@icloud.com いつでも皆様からの建設的ご批判・ご意見をお待ちしています]