
9月20日、日本イコモスが「江戸時代より 400 年、慈しみ継承されてきた「国指定史跡・玉川上水」の都心に残された最後の開渠区間である「第三号橋~笹塚橋」間の保全と再整備に関する提言」を発出しました。
京王線笹塚駅前の「第三号橋~笹塚橋」間は、玉川上水の開渠が残る国の重要な史跡です。本年6月、この史跡の土留め工事が突如始まり、驚かれた方も多いと思います。
(工事は現在、休止されています。)
その後、日本イコモスは、渋谷区と世田谷区に跨がるこのエリアの詳細な現地調査、文献調査を行い、この度「玉川上水の歴史遺産を保全・継承していくための」四つの提言を行っています。以下、要約します。
- 「歴史的・文化的資産」の次世代への継承と地域住民の声を聞いた再生へ
- 「ネイチャーポジティヴ(自然再興)の最先端」としての位置づけと発信
- 都水道局、渋谷区、世田谷区の協力による「市民の憩いの場」としての活用
- 東京都による「玉川上水・下流域 再生検討会」の立ち上げ
これらは全文69ページに及ぶ緻密な学術調査の成果であり、きわめて具体的かつ説得的な提言です。
東京都知事、水道局長、都市整備局長、環境局長、教育長、ならびに渋谷区、世田谷長と区議会議長に向けて発出されたこの提言本文を、皆様、是非読んで下さい。都市空間の整備・再整備にとって何が大切かを考えるヒントと知恵に満ちています。広く拡散を御願いいたします。
《日本イコモスHPより抜粋》
提言1:国指定史跡玉川上水「第三号橋~笹塚橋」の区間は、玉川上水の原形である「素掘り開渠」が入念な保全と管理により、現存している地区です。笹塚橋に隣接し「三田用水取水口」があり、国指定史跡として重要な連続する空間となっています。これらを「歴史的・文化的資産」として明確に捉え、現状の変更を可能な限り最小限とし、次世代へと繋いでいくことを提言いたします。渋谷区、世田谷区におかれましては、国指定史跡が区内に存在しており、区民の憩いの場となっていることから、地域住民の声を聞き、東京都 水道局と協力をして、再生にあたられることを要望いたします。
提言2:東京都水道局による入念な史跡管理と下草刈、陽光・雨水・地下水により育まれてきた当該地区には、絶滅危惧種、準絶滅危惧種21)を含む多数の野草が生育しています。玉川上水・400年の蓄積による生物多様性の場を、国際社会が取り組んでいる「ネイチャーポジティヴ(自然再興)」の最先端の場とて位置付け、発信していくことを提言いたします13)14)
提言3:市民・行政の協働により、長い年月をかけて護られてきた「大都市の真ん中にある史跡」を、柵に囲われた空間ではなく、安全性を確保した上で、市民に開かれた文化かおる、美しい憩いの場として活用できるようにすることを提言いたします。このためには、工事の施工者である東京都水道局と、地元自治体である渋谷区、世田谷区が互いに協力をし、貴重な文化的資産が市民の暮らしの向上に資するよう、努力されることを要望いたします。
提言4:東京都におかれましては、 「玉川上水・下流域 再生検討会」等を立ち上げられ、次世代に向けた礎を築いていかれますことを提言いたします。