【子どもは調査結果を待てない】重大事態10件|国の「途切れない支援」を現実に
ご賛同くださっている皆さまへ
本署名は、8月25日時点で36,501筆となりました。
一人ひとりの声が、いじめ重大事態の被害児童生徒を孤立させない仕組みを求める、大きな力になっています。
心から感謝申し上げます。
この署名は札幌市への働きかけから始まりましたが、目指しているのは、住む地域にかかわらず、被害を受けた子どもが必要な支援につながれる仕組みです。
【札幌市が、重大事態10件を公式資料に掲載】
札幌市教育委員会は、市長への報告日が2026年5月20日から7月15日までのいじめ重大事態10件を、「重大事態調査の開始における公表」として公式資料に掲載しました。
公表された事案には、暴力、暴言、器物破損、仲間外れ、嫌がらせ、情報の拡散、恐喝などが含まれています。
調査開始に関する情報を社会で共有できるようにしたことは、大切な一歩です。
しかし、「10件」は単なる調査件数ではありません。
その向こう側には、重大な被害を受けた疑いのある子どもと、その子どもを支える家族がいます。
調査が始まったとき、同時に決めてほしいことがあります。
「この子の安全と回復を、誰が、どのように支えるのか」
ということです。
【調査の道筋はある。では、支援の道筋は?】
札幌市には、いじめ重大事態の調査と調査結果の公表に関するガイドラインがあります。
また、本日札幌市教育委員会からは、園・学校と保護者等が連携・協働するための「羅針盤(コンパス)」も示されました。
「一人一人の子どもの最善の利益のために」という目的を共有し、互いに尊重しながら対話することの大切さを示すものです。
この理念は、とても大切です。
対話に一定のマナーやルールが必要であることも、そのとおりだと思います。
しかし、私たちが確認した限り、重大事態の発生から調査中、そして調査終了後まで、被害児童生徒を医療、福祉、犯罪被害者支援、補償、学習支援などへつなぐ実務の流れを、一体的に示した被害者支援のガイドラインは公表されていません。
個別の支援【制度】は、すでに存在します。
見えないのは、
「いつ、誰が、支援の必要性を確認するのか」
「誰が制度を案内し、支援先へつなぐのか」
「誰が支援全体を継続して調整するのか」
という道筋です。
【国は「途切れない支援」を掲げています】
2026年3月17日、政府は「第5次犯罪被害者等基本計画」を閣議決定しました。計画期間は、2026年4月1日から5年間です。
この計画では、犯罪被害者等が複数の機関を訪れ、そのたびに同じ説明を繰り返す負担や、二次的被害の危険が指摘されています。
そのうえで、必要な支援へ漏れなくつなぐために、
・犯罪被害者等支援コーディネーターを中心とした多機関ワンストップサービス
・経過や要望を共有して説明負担を軽減する「被害者手帳」
・支援経過を記録する「カルテ化」
・教育委員会と警察、児童相談所、保健所、医師会、弁護士会、民間被害者支援団体等との連携
などを進めることが示されています。
いじめの中には、暴行、傷害、恐喝、性暴力など、犯罪に当たり得る行為も含まれます。
そのような被害を受けた子どもを、教育上の「いじめ対応」だけにとどめず、犯罪被害者等支援にも確実につなぐ必要があります。
私たちが求めている支援台帳や支援調整の仕組みは、まったく新しい特別な制度ではありません。
国が進めようとしている「途切れない支援」を、いじめ重大事態の被害児童生徒にも届く形で実装してほしいのです。
【全国110件の回答から見えてきたこと】
現在実施している全国実態調査には、重大事態認定の有無を問わず、110件の回答が寄せられています。
最新の集計では、
・複数の機関へ同じ経緯を「何度も」または「少し」繰り返し説明する負担があった
107件中57件
・「支援台帳・被害者手帳」のような仕組みが、説明負担の軽減につながると思う
109件中89件
・支援制度について「学校・教育委員会から案内があった」
104件中9件
という結果でした。
一方、支援制度を「自分で調べた」は36件、「案内はなかった・知らなかった」は27件でした。
国が問題としている構造と、全国実態調査に寄せられた声は重なっています。
これは、札幌市だけではなく、全国で共通して向き合う必要がある制度上の課題です。
【保護者からの連絡が増える背景】
いじめ重大事態における保護者からの連絡は、通常の相談や要望だけではありません。
子どもの生命や心身の安全、学習、医療、福祉、補償などに関わる、切迫した確認や支援要請である場合があります。
回答が得られないために、同じ事項を繰り返し確認する。
担当部署が分かれているために、それぞれへ一から説明し直す。
調査が長期化する一方で、誰が子どもの回復を支えるのか決まらない。
こうした事情によって連絡が増えている場合と、相手を威圧したり不当に拘束したりする行為は、明確に区別される必要があります。
連携・協働は、保護者が連絡の仕方を整えることだけでは実現しません。
学校・教育委員会が、必要な事実確認、回答、支援への接続を適切な時期に行うことと、両輪であるはずです。
【札幌市との面談を次の検討へ繋げるために】
7月7日には、札幌市教育委員会と子ども未来局との意見交換の場で、全国実態調査に寄せられた声をお伝えしました。
当初は、この一度の面談で一区切りとなる流れでした。
しかし、札幌市には調査に関するガイドラインがある一方で、被害児童生徒を必要な支援へつなぎ、調査終了後も回復を支える具体的な道筋が示されていないことを、こちらから強く指摘しました。
そのうえで、検討の継続と、次回の面談を要望しています。
札幌市からは、今後の検討状況について9月18日までに連絡をいただくことになりました。
次回面談の日程は、現時点では決まっていません。
だからこそ、9月18日までの連絡が「検討しました」という説明だけで終わらず、
「誰が、いつまでに、何を検討し、何を実施するのか」
という具体的な取組につながるよう、確認を続けます。
言葉として掲げられた「子どもの最善の利益」と、国が掲げる「途切れない支援」を、現実の支援につなげるためです。
札幌市での検討を一つの足がかりとして、全国の自治体にも共有できる支援の仕組みへつなげたいと考えています。
「重大事態として調査を始めました」という知らせを、
「この子の安全と回復を支える取組を始めました」
という知らせへ。
調査のための調査ではなく、支援につながる調査へ。
被害児童が何度も説明し直さなくてよい仕組みへ。重大事態調査と被害者支援を、切り離さない仕組みへ。
札幌市から、全国の子どもたちを守る仕組みへ。
36,501人の皆さまからいただいた声とともに、引き続き求めていきます。
【参考資料】
札幌市教育委員会「いじめの重大事態調査の開始における公表について」
https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/sidou/jidouseito/huzokukikan/documents/kaishi080810.pdf
警察庁「第5次犯罪被害者等基本計画」