高橋 信之神奈川県中郡大磯町大磯, Japan
09.06.2026

拝啓

先日、法務省から防衛省への「回付」の通知を受け、改めて防衛省に憲法九条堅持を求める請願書を送りました(内容は私のホームページに掲載しています)。
小泉防衛大臣の国際会議での中国批判が、一部の有識者からは「強い姿勢」として評価されたようですが、こうした強気の発言は事態を硬直させるだけで、平和的解決にはつながりません。中国の軍事力と比べて日本の軍事力はまだ小さいから問題ないという発想ではなく、平和憲法と九条の精神に照らして、自分たちの進めている軍拡政策そのものを反省すべきです。
高市内閣のもとで防衛費は急速に膨らみ、今後5年間で43兆円を超える規模の防衛力整備計画が進められています。その多くがアメリカ製の装備購入など、海外への巨額支払いを伴う形で進められていることにも、私は強い疑問を感じています。
そして今、その負担を軍需産業を活性化させ、人を殺傷する兵器を国内外に売ることでまかなおうとし、さらには「防衛増税」という名で法人税や所得税などの引き上げまで検討しています。身近な例でいえば、家族の中に、自分の欲望を抑えられずに多額の借金をつくり、その返済のために周囲を巻き込んでいる人がいたら、大変な迷惑です。高市内閣はそれと同じことを、国民全体に対して行おうとしています。
先日も石破氏がニュースで「もう軍隊なのだから仕方ない」と言わんばかりの発言をしていましたが、このように既成事実を重ね、国民に十分な説明もなく軍備を拡充させ、九条を骨抜きにしていくのが自民党保守右派の常套手段です。彼らのやっていることは、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めた九条二項の趣旨に明らかに反しています。
現在の高市内閣の下では、本来国会で時間をかけて議論すべき重要な政策が、ほとんど閣議だけで決定されています。国民や野党から異議が出ても、「十分に議論した」と言い張り、実際には中身のある議論を避けている姿勢が、小泉防衛大臣を含め、ほとんどすべての大臣に共通しているように見えます。
彼らは「世界は危険になっており、日本はスパイや戦争の脅威にさらされている」「戦後の平和主義や人道主義が行き過ぎた結果、日本は無防備になった」と繰り返しながら、国民の自由を制限し、監視を強化し、国家を守らなければならないと主張します。そして、「一応は民主主義の手続きを踏んでいるのだから独裁ではない」と言い訳をしながら、実際には国民を踏み台にして兵器を増強している自分たちを正当化しています。私はこの流れを、九条と戦後日本の平和主義を土台から崩していくものとして、強い危機感をもって見ています。
高市内閣は非常に腐敗していると感じています。財務大臣の片山氏は不正会計の疑いで東京地検特捜部に告発されていますが、彼女を大臣に任命した高市首相からも、片山本人からも、国民に対する明確な説明や謝罪の言葉は聞こえてきません。さらに、特定秘密保護法や経済安全保障関連法制、国家情報局の設置構想、スパイ防止法の議論などをまとめて進めることで、軍事・経済・市民社会を一体で監視する枠組みをつくろうとしているように見えます。そして、それらを首相の裁量ひとつで動かせるような仕組みを構築しようとしていることにも、強い危機感を覚えます。
しかし請願書は、公的な記録として残ります。第二次世界大戦中のレジスタンス運動もそうでしたが、こうした小さな抵抗が、やがて権力にひびを入れていくと私は確信しています。
中国の習近平国家主席は、「人類運命共同体」などの構想を掲げ、「世界は一つの家族」という考え方を打ち出し、少なくとも建前の上では世界の平和を語っています。政治家ですから本音と建前があるのは承知のうえですが、それでも「世界の平和」を口にする習近平に比べ、小泉防衛大臣や高市首相、トランプ元大統領らのやり方は、あまりにも挑発的で、けんか腰に過ぎます。彼らの口からは、「どうしたら世界が平和になるのか。そのために日本は何をすべきか」という言葉はほとんど出てきません。
その代わりに、実態のよく分からない「見えない敵」の脅威ばかりを強調し、国民の不安をあおりながら、自分たちの軍事化路線を正当化しているだけです。とりわけ問題だと感じるのは、社会保障や医療の予算を削りながら、軍備費用だけを際限なく増やしている現在の政治姿勢です。結局、「二年間消費税を廃止する」といった公約もどこかへ消え、国民生活を支えるはずのお金が、軍事化のためにどんどん吸い取られているように見えます。
最後の砦は、「憲法九条の改憲」を彼らが国民投票にかけてこようとしたときです。そのときには、絶対に同意しないことが何よりも重要だと私は考えます。
とくに、20代から40代の若い世代に伝えたいです。いま、彼らは若い人たちを「同意させる」ことを狙っています。どうか一度立ち止まって、「憲法九条」とは何か、自分自身の問題として真剣に考えてください。
兵器ではなく平和を発信し、「地球人」として生きる道を選ぶことこそ、ほんとうの意味での安全と平和につながっていくと、私は信じています。敬具

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