9月14日(水)東京高裁判決に向けて #3 菅野明代表委員


政府や財界は「多様な働き方」、「ライフスタイルに合わせて選択できる働き方」などと歯が浮くような言葉で喧伝している。そして、非正規雇用の労働者が増え続けている。
しかし、会社が非正規雇用を拡大し、期間の定めのない雇用を狭めれば、労働者の意志だけで安定した雇用契約により働くことは至難である。多くの労働者は賃金も雇用期間も社会保障も不十分な非正規雇用を強いられているのが実態である。
労働契約法に、有期雇用の労働者が継続して5年を経過したときには無期雇用への転換を申し出る権利が明記された。原告は働き続ける意志を示し、職場上司も期待していた。原告も家族と共に期待を膨らませて4年11か月が経過していた。
ところが日本通運は原告の雇用が5年経過する1日前に非道な雇止めを通告した。いとも簡単に地獄に突き落とすような仕打ちを行った。
日通は公益性や社会性の強い企業だ。高価な美術品や冷凍マンモスの運搬で活躍するCMもあった。日通には社会の規範となるべき遵法精神と倫理性が求められる。
しかし、実際は労働者がモノのように扱われた。雇止めのやり方も「脱法的」だが、一審でも会社は屁理屈を羅列した。さらに、日通は、非正規の原告が加入できない「全日通労組との合意=労使合意」をも根拠にして正当性を主張した。
一審判決は“法律の主旨と精神よりも会社の都合を優先”する屁理屈、“労働者の雇用、家族の生活よりも会社の都合を優先”した。利用される企業労組も情けない限りである。
会社の体質だから犠牲は原告だけにとどまらない。本件雇止めを「先例」にして脱法を固定化しようとする。さらに犠牲となる労働者を出すことは許されない。
9月14日、高等裁判所での判決を迎える。日本(日本国憲法に基づく)の裁判だ。
高等裁判所には、言葉尻や揚げ足取りを断じて容認しない、原告はじめ労働者とその家族が裁判に訴えて求めてきたことにこたえる判決、労働契約法の無期転換申し出の権利に「生命」を吹き込む判決を心から望んでいる。
(菅野明 支援共闘会議代表委員・川崎労働組合総連合議長)