水と緑のまち 牛久を守る会茨城県牛久市さくら台, 日本
2025/08/29

8月19日付けで牛久市長への下記要望書を当活動の中心的組織であるNPO法人・アサザ基金より書きの要望書が送付されしました。

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ノーモア・メガソーラ宣言の表明および、条例改正を求める要望書

牛久市長 沼田和利様

2025年8月19日
NPO法人アサザ基金代表理事 飯島 博

先の市議会では、太陽光発電設備の適切な設置及び管理に関する条例(以下条例)の改正を求める住民の請願を不採択としました。これは、議員の多くが、牛久市が置かれている状況を理解できず、住民が抱く危機感を十分に共有できなかった結果だと思います。
現在の条例には、牛久市の特性が反映されておらず、牛久市として守るべきもの(牛久市が街づくりの中で大切にしている具体的なもの)が不明確なため、市民が抱く不安や危機感に応えられず、実際に生じている問題やトラブルに対応できるものとして十分に機能していません。
端的に言うと、現在の条例は業者に有利で住民に不利なものとなっています。

私たちが、条例に反映させるべきだと考える牛久の特性や特色は以下の通りです。
牛久市は、市内の全域が霞ヶ浦水系と牛久沼水系の谷津田がネットワークに覆われ、台地上には森林と農地が織りなすパッチワークが展開しています(図参照)。

牛久市は、首都圏50キロ圏内にありながら、里山の原風景が残る数少ない地域となっています。
また、市内全域に見られる谷津田地形は、牛久市が霞ヶ浦および牛久沼の重要な水源地であるということを示しています。

谷津田には、周囲の森林を水源とした湧水が見られ、蛍やサワガニ、オニヤンマなどの多様な生物が生息しています。
かつては、牛久市のほぼ全域で夏になると光を放ちながら舞う蛍を賞でることができ、今でも数多くの谷津田が蛍の生息地として残されています。牛久市内の各地では、今でもホトトギスの爽やかな鳴き声が響き渡っています。それらは、谷津田地形に覆われている牛久市の特性によるものです。
牛久で暮らしているお年寄りは、「夏になると谷津田から森を通して涼しい風が集落に入って来るんだよ」と教えてくれます。市内全域に広がる谷津田と森のネットワークは、猛暑の中でも牛久の街全体を冷やしてくれている天然のクーラー(ヒートアイランドを防いでいる冷却装置)といえます。
谷津田のネットワークとパッチワーク状に広がる森林が織りなす典型的な里山の景観こそが、水と緑のまち牛久を象徴するものです。
多くの人々が、このような水と緑のまちに魅力を感じ移り住んできことを忘れてはいけません。

今更いうまでもなく。それらの里山景観を作り上げてきたのは、先人達が培ってきた自然と共存する暮らしと文化の伝承です。持続可能な社会へ向けて、私たちが今まさに学ぶべきは、牛久の伝統的な暮らしと文化ではないでしょうか。
牛久市民憲章にある、「水と緑を愛し美しいまちを作りましょう」という言葉は、抽象的なイメージの共有を市民に求めるものではなく、市民一人ひとりが牛久という土地の成り立ちや、土地の特色に根差した自然や文化、人々の暮らしの歴史への理解を深めていくことで、初めて市民皆が共有するもの(郷土愛)となって実を結ぶものではなのではしょうか。

そして、牛久市に実りある市政を実現するために必要なのは、市民憲章が持つ意味を市民一人ひとりが自らに問いかけ、みなが共に足元にある自然と文化を学ぶことではないでしょうか。
少子高齢化が進む牛久市においては、これからの街づくりを担う若い世代を誘致するために、この水と緑の牛久(牛久の魅力)を失うことなく守り続けていくことが必要です。

私たちは、水と緑のまち牛久の魅力を生かした街づくりを考える総合学習を、教育委員会の協力を得ながら20年以上、市内の小中学校で行ってきました。
牛久市の特色を理解し、牛久らしい街づくりを提案する学習の中からは、地域住民や企業などと協働で実際に谷津田や里山の森林を保全再生する先進的な事例も生まれてきました。
牛久市立神谷小学校では、2004年から子ども達が学校の横にある霞ヶ浦の水源地谷津田の再生に取り組み、市立南中学校では2010年から近くにある牛久沼の水源地と遠山地区の谷津田や里山の再生に取り組み始めました。神谷小学校の取り組みは、教科書(新しい公民)にも取り上げられました。
南中学校では、生徒達が首都圏の大学生たちと谷津田の再生計画や谷津田で採れた無農薬栽培の米の商品化(オリジナルのせんべい)などの先進的な取り組みを行い、マスコミでも取り上げられました。
この二校以外でも生徒達がそれぞれの学区内の環境を調べ、牛久の特色を生かした街づくりの提案を行ってきました。
現在では、これら小中学校の取り組みに共感した企業5社が牛久市内谷津田で保全再生活動を行っています。
 
しかし、これらの長年の努力を無にするような動きが各地で見られます。森林伐採を伴う太陽光発電所が、生徒達や住民、大学生、企業などの協働によって保全再生が行われてきた地域で計画されはじめています。
市内での太陽光発電所設置はすでに飽和状態に向かっており、残された用地(多くが谷津田に隣接する水源林)を求めて業者が動いており、子ども達や住民等が長年保全再生に取り組んできた地域や、牛久市の里山景観づくり保全地域など、本来なら手の付けにくい谷津田や森林にまで手を伸ばし始めています。
牛久市による条例は、このような状況には全く対応できていません。
牛久の土地が持っている持続可能性や再生可能性が、再生可能エネルギーの名の下に、根こそぎ奪われようとしています。
もう、森林伐採を伴う太陽光発電所の設置はこれ以上認めるべきではありません。
この危機的状況を放置すれば、牛久は水とソーラーパネルの街になってしまい、未来の市民に莫大な負債を残すことになってしまいます。
そして、牛久市は環境を重視するこれからの世代から見捨てられてしまうでしょう。

今まず、私たちがやらなければならないことは、牛久市の魅力(水と緑・特色ある風土)をこれ以上損なってはならないこと、そして、これからも大切に守り未来の街づくりに生かしていきたいという意思を表明することだと思います。
そのためには、まず牛久市が宣言を発し、水と緑を守り抜く基本的な姿勢を内外に表明することが必要です。
宣言には、法的な効果はありませんが、私たちが何を大切にし守ろうとしているのかを伝えることが、この危機的状況を打開するための第一歩となります。
そして、それは牛久を愛する市民の想いや声に応えようと懸命に努力する市職員たちを励ますことにもなります。
以上の理由により、私たちは、牛久市がノーモア・メガソーラー宣言を表明することを求めます。
以上の要望について、2025年9月19日までに、文書にてご回答ください。     

NPO法人アサザ基金       

図 霞ヶ浦水系と牛久沼水系の谷津田 
に覆われた牛久市
出典 エコロジカルデザイン
   ぎょうせい 1993年 土地を見てつくる生物と生き物のネットワーク

#ノーモアメガソーラー宣言
#牛久市

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