神宮外苑】10/22 神宮外苑創建の日にあらためて考える
*今日は明治神宮外苑創建の日
*何故樹木を守らなければならないのか
*再開発における東京都の責任は?
*イコモスのヘリテージアラートとは?
*東京都が事業者に出した要請と伐採延期について
*来年の東京都知事選に向かって
〈今日は明治神宮外苑創建の日〉
明治神宮外苑は、明治天皇崩御の後、国民の憩いの場となることを目的として整備されました。澁澤榮一などが名を連ねる「明治神宮奉賛会」の呼びかけで、広く国民から集められた献金と献木、青年団の勤労奉仕により国民的事業として造営され、1926年(大正15年)に完成、10月22日明治神宮に奉献されました。その際、奉賛会は将来にわたり遵守するべき要望を神宮側に申し入れています。それが「外苑将来ノ希望」であり、外苑造営の理念やその使用目的、使用方法について厳しく定めたものです。神宮外苑創建の日である今日、心に響く「将来の希望」を読んでみましょう。
【外苑将来ノ希望】現代語訳 https://note.com/nagato_hagi/n/n1d771ec0478b
注)創建当時、奉賛会から明治神宮に「奉献」されたのは施設のみで、土地はすべて国有地のまま無償貸与。土地が明治神宮に払い下げられたのは戦後の1956年。
そしてあらためて、今起きていることに向かいあい、なぜ神宮外苑を守りたいのか、守らなければならないのかを考えます。
〈何故樹木を守らなければならないのか〉
都市環境における樹木は、その木陰によって気温を下げてヒートアイランド現象を緩和し、またCO2を吸収して脱炭素化に貢献するという重要な役割を果たしています。樹齢を経た体積の大きな木ほど、その能力は高くなります。
地球温暖化による気候変動が急激に進行する今、東京の夏はますます暑くなっています。私たちは成熟した樹木を大切に保護していかなければなりません。
樹木を守り増やすことは、現在パリやニューヨークなどの都市で進められている世界のトレンドです。また、神宮外苑の樹木は100年前の緻密なランドスケープデザインによって植えられた、歴史的価値を有する都市の文化遺産であり、国民の手によって造られた創建の経緯から見ても、国民の共有財産でもあります。樹木はその場で育まれた生態系を含めて生きているのであり、簡単に移植したり、代わりの木を植えれば済むというものではありません。
かけがえのない貴重な樹木が再開発によって失われてしまうことがあってはならないのです。
〈再開発における東京都の責任は?〉
東京都と小池都知事の責任は大きく3つあると考えます。
1つは、そもそも神宮外苑の再開発構想は東京都が発案したものだということ。
今、言われているような、明治神宮の財政問題から端を発したのではありません。
2012年に当時の都副知事と技監が森元首相に神宮外苑の再開発構想をプレゼンし、この計画のためにはこれから明治神宮を説得する必要があると話した記録が残っています。ですから、明治神宮の財政難というのは、後からつけた理屈です。この記録は情報公開されており、誰でも東京都のサイトで閲覧できます。https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei07_05.htm
もうひとつは、東京都が計画の策定プロセスにおいて事業者と手を組み、積極的に推進してきたことです。計画の枠組みを決める委員会は御用学者と都の職員で構成された閉鎖的なものであり、その中で計画に合わせた制度づくりをして、事業推進のレールを敷いてきました。
また、環境アセスメント審議会を強引にコントロールし、審議委員長がまだゴーサインは出せないと発言したにもかかわらず、都知事が施行認可してしまった責任は重いと思います。神宮外苑の風致地区規準を、最も厳しい制限から再開発が可能な区分に変更するよう、(許認可権のある)新宿区に密かに依頼したのも東京都です。そしてこういったプロセスの中で、重要な情報はまったく開示されず、私たち市民が知った時には、すべてが決められた後でした。
このような非民主的な計画を認めるわけにはいきません。
三つ目は、小池都知事はこの再開発計画を認可した最高権者であり、計画に問題があると思えば、それを止める権限があるということ。それにもかかわらず、知事は、この再開発が民間事業であるとして、自分には責任がないように言い逃れしようとしています。現在、起こしている神宮外苑再開発認可取消し訴訟は、東京都、つまり小池都知事を相手取り、その責任を問う行政訴訟です。
〈イコモスのヘリテージアラートとは?〉
ICOMOS(国際記念物遺跡会議)とは、ユネスコの世界遺産に関する諮問委員会であり、世界130ヵ国の国々が参加する権威ある国際的専門機関です。
ヘリテージアラートは、文化的遺産の保全・継承を促進し、文化的遺産が直面している危機に対して、学術的観点から問題を指摘し、未来世代に向けた保全と継承に向けた解決策を促進するために発する声明です。
そのイコモスの日本における国内委員会は、早い時期からこの神宮外苑再開発事業について懸念を示し、樹木伐採やいちょう並木の実態調査や環境アセスメントの検証など、都や事業者に対して数多くの提言、要請を行い、警鐘を鳴らしてきました。
しかし、いずれも不誠実な対応で、真摯に受け止められることはありませんでした。
事業計画が進むにつれ、神宮外苑が脅かされるという重大な事実がさらに明らかになり、その危機感がイコモスの本部にも伝わり共有され、異例の速さで9/7にヘリテージアラートが発出されました。
しかし、ヘリテージアラートが発せられた岸田総理大臣以下、関係各省庁大臣や長官、東京都知事と都議会、関係各自治体区長と区議会、そして事業者4者などは、いずれもまだ正式な回答を発表していません。
日本の文化遺産保護や環境問題に対する意識が厳しく問われていることを
理解しているのでしょうか。
〈東京都が事業者に出した要請と伐採延期について〉
東京都は9/12、事業者に対し『神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について』の要請をしました。9月末に予定されていたラグビー場敷地内の樹木伐採について、環境影響評価書に示された樹木保全についての検討がまだ未提出であることに触れ、樹木伐採に着手する前にその保全策を具体的に示すよう要請したものです。
東京都はヘリテージアラートとの関連を否定していますが、やはり実際には影響があったと思います。そもそも認可をした当事者が、まるで自分には責任がないかのように要請を出すのは、保身のためとしか思えません。
小池都知事は、これほどまでに世論が高まるとは予測していなかったのではないでしょうか。
またその後の9/29に突然、事業者から「樹木伐採の延期」が発表されました。
この発表を世論の力だと喜ぶ声も聞かれますが、実際は、東京都と事業者が結託して、批判を静める時間稼ぎのために行ったものと考えています。
伐採はただ延期されただけで中止されたわけではありません。
そして、環境アセス審議会に報告するという計画の変更についても期待はできません。
見直し案とか変更届と言うと、まるで何か計画自体を変えるような印象を受けますが、伐採樹木を何本か減らして移植に変更するというような程度のものだと考えられます。
“保全”という曖昧な言葉に惑わされてはいけないと思っています。
彼らの言う”移植”は、保全ではなく、単に伐採に対する批判をかわすための詭弁に過ぎないのです。伐採は一時延期になりましたが、気をゆるめてはいけないと思います。
*この突然の伐採延期については、署名ページのアップデートで以下のように書きました。
https://www.change.org/p/%E7%A5%9E%E5%AE%AE%E5%A4%96%E8%8B%911000%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%A8%B9%E6%9C%A8%E3%82%92%E5%88%87%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7-%E5%86%8D%E9%96%8B%E7%99%BA%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%81%AF%E8%A6%8B%E7%9B%B4%E3%81%97%E3%82%92/u/31955946
〈来年の東京都知事選に向かって〉
今、小池都知事の頭の中は、来年7月の東京都知事選のことでいっぱいになっているでしょう。そのために一時伐採を中止して、様子を見ているのだと思われます。しかし、実施を延期するだけでは、ただの一時しのぎにしか過ぎません。小池都知事は、神宮外苑の案件がこれほど反対の声が高まるとは想定していなかったので、来年の知事選に影響するようなダメージは極力回避しなければと考えているはずです。
グリーンビズ、などと言い出しているのも、そのためかもしれませんが、私たち市民もバカではないので、そんな表面的なごまかしを見抜いています。
メディアを使ってアピールしたものの、逆に批判の対象になり、思い通りにはなっていません。
小池都知事は過去にも築地市場移転の件で、「見直しという時間稼ぎ」をして批判をかわし、その後結局予定通りに計画を断行するという、市民への裏切り行為をしています。
今度こそ神宮外苑の問題をごまかして目をそらすようなことをせず、問題点だらけの不人気な計画を一旦白紙に戻し、市民や専門家の意見を取り入れながら再考するよう、事業者を指導するべきです。
それが自身の身を守る唯一の方法ではないでしょうか。
都知事選との関連については、同じような見方の記事が多く報道されました。
*週刊新潮「誤算:サザンも反対神宮外苑再開発で小池百合子が選挙まで伐採しないで」
*AsageiBiz「小池百合子氏、神宮外苑の“伐採延期”は都知事選のため?「手のひら返し」の舞台裏」https://asagei.biz/excerpt/66090
*都庁OBユーチューブ動画「三井不動産 VS 小池都知事【解説】」https://youtu.be/ngakfrhX7jQ?si=wbLkCc5ZgXB2SePH

