Petition update神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!【神宮外苑】再開発に警告を発したイコモスのヘリテージ・アラート。それに対する「事業者見解」を明確に批判する:大方潤一郎先生
Rochelle KoppJapan
Oct 2, 2023

大方先生が下記をフェースブックに投稿して、彼の許可でこちらにもシェアします。とても貴重なご意見なので、是非読んで下さい。

この朝日新聞記事「神宮外苑再開発、「森」巡り応酬 イコモスのアラートに事業者が反論」に関するコメントです。

以下は大方潤一郎先生の投稿よりコメントを引用)
大方潤一郎

記事中『国際機関が「貴重な都市の森」と位置づけたのに対し、事業者側は「『森』はわずか」と主張。』・『事業者側は29日に示した見解で、「神宮内苑の大きな森と異なり、外苑の計画エリアで一部の方々から『森』と称される場所は建国記念文庫の敷地のみ」と指摘。面積は再開発計画全体の約1・7%で、その樹木の多くを保存・移植すると説明した。』とある。(語るに落ちるとは、このことかと思う)。

まさに、神宮外苑という「都市計画公園」に残された「森」はわずかで貴重なものであるからこそ、これを守る必要があるのだ。わずかしかないから、無くして良いのではなく、わずかしかないから、なんとしても残さなければならないのだ。イコモスがアラートを発出したのも、まさにそのためである。(なお、残したい貴重な緑としては、建国記念文庫の森の他に、ラグビー場前の(港区道に立ち並ぶ)2列の銀杏並木と、もちろん4列の銀杏並木、および絵画館前広場の縁辺部に散財する樹齢百年超の樹木たちも大切である)。

また、建国記念文庫の森について、事業者側は「その樹木の多くを保存・移植する」といっているわけだが、建国記念文庫の森の南半分は、新ラグビー場の敷地になるので、伐採されるか、引っこ抜かれて、どこかに移されてしまう。

事業者は移植によって他の場所で保存されると詭弁を弄するが、単独の樹木ならともかく、まとまった生態系としての森は移植して他の場所に移せるようなものではないし、そもそも、まとまった森の形で移植する場所もどこなのか明らかにされていない。このように事業者側のいう「移植による保存」というのは欺瞞でしかない。

また、地区計画では「保存緑地」に指定されている建国記念文庫の森の北半分については(当然のことながら)伐採せず残置されるようだが、すぐ南に新ラグビー場の壁が迫るので、その日影等で生態系が大きく劣化することが予想される。

こうした問題に対して事業者は(アセスメントの評価書において)ラグビー場の設計の工夫で伐採樹木を減らすよう「できるだけ」対処すると言っているが、未だにその「設計の工夫」は示されていない。これを示すよう都もようやく先日、事業者に要請したところだ。この要請に対し、事業者側は、すぐには答えられないので、今着手しようとしていた第二球場解体のための第二球場敷地の樹木伐採についても(建国記念文庫の森や4列銀杏並木などの)「樹木保全の具体策を示した後の年明けにずれ込む」ことにしたわけである。つまり、まだ、設計の工夫などによる「樹木保全の具体策」については考えがまとまってないということのようである。

また『日本イコモス国内委員会が「伐採本数を抑えられる」とする神宮球場の現在地建て替え案にも言及し、「工事中は競技を中断せざるを得ない」「実現性は限りなく低い」と否定的な見方を示した。』とあるが、そもそも、同じ公園内に施設を移転して新築する場所があるということは一般にはないことであり、今回のケースでも、一見、同じ公園内に施設を移転・新築できそうに見えて、微妙に移転先の敷地が狭く、貴重な森や並木や樹木を破壊しないと新しい建物が収まらないのであるから、そもそも「競技を中断せず玉突き式に場所を移して建替える」という再開発の基本的な構想に本来的な無理があるわけなので、これを白紙に戻して見直す必要があるのだ。

現在地で(今ある建物を取り壊して新たに建てるという)「建て替える」方式では確かに解体・新築工事に時間がかかるだろうが、建て替えではなく、現在の施設を保全しつつ増改築して改修するリフォームあるいはリノベーション方式で施設を改善するなら、設計と工事の工夫によって、ほとんど競技を中断せず、改修工事を行うことができる(甲子園球場の先例もある)。改修なら工事費も最小限で済むので、その費用は将来の施設の使用料で回収することが十分可能なはずである。工事にともなうCO2排出量も最小限で済む。そうすれば歴史的建造物である神宮球場も秩父宮ラグビー場も保全できるのである。また、短期間であっても、どうしても工事中に競技を中断したくないのであれば、工事中は、他の場所で(たとえば隣接する新国立競技場で)競技を行えば良いだけのことである。

このように、事業者の反論は、そもそも反論の体をなしていないものである。
樹木の移植では樹齢百年超の緑地の環境は保全できないのですから、この緑を潰すスクラップ・アンド・ビルド型の再開発事業は白紙に戻し、緑環境を保全育成しつつ、歴史的建造物である神宮球場と秩父宮ラグビー場を現地保全改修によって再生するコンサベーション型公園修復事業に変えるべきです。

Copy link
WhatsApp
Facebook
Nextdoor
Email
X