

今日のトピック
①「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」:アーカイブ録画アップとまとめ記事
② 5月14日(日)オンラインセミナー「環境倫理学から見た神宮外苑再開発」吉永明弘先生
①「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」:アーカイブ録画アップとまとめ記事
5/6の「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」オンラインセミナーは、
ゴールデンウイーク中にもかかわらず、多くのご参加ありがとうございました。皆様からの沢山の質問に、全部答えるようにしましたので、2時間半を超えました。参加して下さった皆様、お疲れ様でした!
録画をこちらで見られます。
資料はこちらです。PDFをダウンロードできます。
このセミナーでは、「神宮外苑まちづくりについてのよくある誤解」として
16の誤解についてわかりやすく解説しました!
最近SNSで飛びかっていた、誤った情報への良い対応策になると思います。
まわりの家族や友人にも教えてあげましょう。
「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」
1. 神宮外苑は全部明治神宮の私有地である
神宮外苑再開発地区の土地は、神宮球場、軟式野球場、会員制テニスクラブ等がある約66%が明治神宮の所有だが、秩父宮ラグビー場等がある約25%は、文科省の独立行政法人である日本スポーツ振興センターの所有地(国有地)。また元々はすべて国有地であり、戦後GHQ接収から国に返還された後、時価の半額で明治神宮へ払い下げられたもの。
2. 神宮外苑再開発の理由は、明治神宮の財政難対策?
明治神宮の財政状況は非公開のため、財政難かどうか不明。2016年のダイヤモンド誌の資料では118億円の収益事業(宴会施設、球場、売店、食堂、テニスコート、ゴルフ練習場、バッティングドーム等)と17億円の公益事業(明治記念館他)の合計140億円と複数の収入源があり、日本一の収益のある神社とされている。神宮外苑の再開発計画はもともとは東京都/電通の発案が発端、2012年5月15日に東京都佐藤副知事、安井技監(当時の都知事 は石原慎太郎)が、森喜朗衆議院議員(当時)に再開発案を提案。実現には、明治神宮を説得しなければいけないが容易ではないという共通認識があった。その2ヶ月後の2012年7月に三井不動産代表取締役会長の岩沙弘道氏が明治神宮の総代に就任。今回の再開発計画は、明治神宮、三井不動産、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事が事業主体。
3. 明治神宮の森は内苑だけで、外苑にはない。
神宮外苑には、建国記念文庫の森など樹齢100年の貴重な生態系の森がある。深遠な宗教施設としての内苑に対し、外苑は国民の憩いの場となることを目的として造られた近代初の本格的西洋式庭園で、スポーツ施設を配した開かれた庭園として設計されている。新国立競技場建設時には、1500本の樹木が伐採され多くの森が失われたが、今回の再開発では、さらに残りの樹林の多くが失われてしまう。
4. 神宮外苑にあるのは人工の森だから価値がない。
神宮外苑の樹木は都市のヒートアイランド化を抑える意味でも大変貴重。夏の外苑の気温は樹木のクーラー効果で周囲の気温に比べて2度程度低い。東京は世界の大都市と比べて急速にヒートアイランド化が進行しており、もっと樹木を増やす必要がある。にもかかわらず、東京では他にも大規模伐採計画があり、逆行している。多くの樹木のある外苑は、都会の憩いの場としての価値も高い。
5. 再開発しても銀杏並木は保全される。
計画では銀杏並木からわずか6mのところに新野球場が建設される予定で、広くはった銀杏の根は傷つき、また地下の水系が絶たれて衰退し、将来的に枯れる可能性が高い。新宿御苑のトンネル整備工事では、トンネルから15m以内の樹木が40年後には、その30%が枯死した例もある。また野球場、高層ビル建設により、日照、ビル風、人工照明などが銀杏並木に悪影響を与えることが予想される。事業者が示した銀杏の根に配慮したとする地下構造の設計変更はあまりにも小さく意味がない。銀杏並木のすぐ横に球場の壁が建ち、銀杏並木の景観は悪化する。
6. 再開発は、むしろ樹木の数が増えるので良い?
事業者によると樹木の本数は5%増えるというが、樹齢100年の大木を伐採し、体積の少ない若木を植えても代わりになるとは言えない。Co2の吸収、クーラー効果は体積の多い大木の方が高い。これまで環境アセスの場で、伐採本数に数えられていたのは3m以上の木のみで、3m以下の低木を含めた実際に伐採される本数は不明だが、現在新宿区から申請許可が出されている部分だけでも約3000本になる。
7. 再開発によって、緑の割合が増える
事業者が発表した現状の緑の割合(25%)には、軟式野球場のエリアが入っておらず、また開発後の緑には屋上の緑化、建物の隙間の植え込みも含めて増やす(30%)など、作為的な計算がされている。日本イコモスの試算によれば、現状の緑の割合は32%、開発後は27%で緑の割合は減る。また、事業者の「緑の割合」は、芝生部分も樹木と同等に扱う面積(緑被率)で計算しているので、実際には体積としては減り、緑の質としては劣化する。
8. 再開発は、オープンスペースの面積が増える
事業者が作成した図では軟式野球場、ラグビー場前など現状のオープンスペースを正しく示さず、わざと少なく表示している。日本イコモスが計算した現状のオープンスペースは約41%で開発後は約43%であり、ほとんど変わらない。
9. 多くの樹木は移植で保全されるから大丈夫 ?
事業者は伐採樹木の数を減らすため、多くの樹木を移植対象に変更したが、実際の移植の場所、方法など明確な計画が示されていない。ラグビー場前の18本の銀杏など、膨大な量の大木をどこに移植するのか不明。新国立競技場の建て替えで移植された樹木は枯損が多く、移植されても保全されるとは限らないことが実証されている。移植した木が枯死しても誰も責任をとらない。
10.計画の結果として、神宮外苑はスポーツクラスターになる
一般市民が使用できるスポーツ施設のほとんどは廃止される。
フットサルコート、軟式野球場、第2球場(ゴルフ練習場)、バッティングドームは廃止され、商業スポーツやイベントが行われる施設だけになる。一般向けのスポーツ施設は絵画館前に移動する会員制テニスクラブ(明治神宮経営)のみ。会員になるためには現会員の紹介と入会金(正会員88万円)と月会費(同18,700円)が必要という、この施設が優先して存続されるのは、国民の健康推進のための運動の場として造られた神宮外苑の趣旨に反するのではないか。なぜ「スポーツクラスター」と呼ぶのか疑問。(ちなみに、スポーツクラスターは意味不明な和製英語)計画されている新野球場と新ラグビー場は、その構造など問題が多く、ファンの視点に沿っているとはいえない。スポーツを利潤追求に利用しているだけである。
11. スタジアムは老朽化しているから建て替えるしかない
神宮球場は2016年に耐震工事を終了したばかりで、必要部分を改修すれば建て替える必要はない。神宮球場よりも古い甲子園球場はシーズンオフを利用して改修し、安全性、快適性を向上して利用されている。 新野球場は高層ビルが真横に建ち、ビル風やビルの影などの影響を大きく受ける。神宮球場の騒音はすでに基準値以上で、移転により都営住宅にさらに接近するため騒音はより悪化する。新野球場では、騒音対策として応援に制限がつく可能性もありファンにとっても悪影響。同様に秩父宮ラグビー場も改修で継続使用できるはず。
12. 事業者は伐採計画を見直して、伐採樹木の数を4割減らした
「4割」とは伐採予定の971本(3m以上の高木のみ、絵画館前広場の伐採樹木は含まない)から、根拠のない工事期間中の枯損推定の311本と、伐採から移植に変更した105本を引いた数。工事中期間中に311本が枯損するとは通常考えられず、施設建設地にある「枯損推定」の311本は、実際は支障木として伐採される。つまり伐採計画を見直したわけではない。移植対象に変更された105本の移植先や方法は示されておらず、実現性に欠ける。メディアが事業者発表の「4割削減」の数字の鵜呑みにして大きく報道したため、事業者がまるで伐採計画を見直したかのようなミスリードを広めてしまった。
13.再開発に反対しているのは左翼の人だけ
思想や主義主張を超えて多くの人が疑問点の多い再開発計画の見直しを求めている。例えば超党派の「神宮外苑の自然と歴史文化を守る議員連盟」は、自民党船田元(はじめ)衆議院議員が代表。他にも地元住民グループ、右派の団体等様々な人々が反対している。
14.再開発を反対している人は何も代替提案をしていない
日本イコモス、新建築家技術者集団東京支部から代替案が提案されている。
15.反対する人はディスカッションをしたくない。
多くの人が話し合いの場を求めているが、東京都知事、事業者は対話の機会を持とうとしていない。東京都と事業者は密室で計画を進め、市民と協議していない。神宮外苑の自然と歴史文化を守る議員連盟の船田元衆議院議員が、計画の大幅修正求める決議文や書簡を、小池都知事に手渡すために2度面会を試みたが知事が会おうとせず、未だに決議文への返答もない。港区の「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」などの市民、また港区長からも協議を求める要請が出されているが、いずれにも応じていない。
16.民間が進める再開発なので、小池知事は何もできません
小池知事は、パフォーマンスに過ぎないとしてもこれまで2回、事業者に要請を出している。それに対する事業者の対応が十分でないと判断するのなら、都民のために一旦プロセスを止めて、見直しをする権限がある。
認可取り消しを含めて様々な対応をとることができる唯一の人は小池知事。
② 5月14日(日)オンラインセミナー「環境倫理学から見た神宮外苑再開発」吉永明弘先生
現代日本の都市再開発について環境倫理学の観点から問題点を指摘します。 自然の価値が評価されているか、プロセスがフェアか、誰が説明責任を負っているのか、環境影響の緩和の優先順位が守られているか、などについて考察します。
吉永明弘先生 プロフィール
法政大学人間環境学部教授。専門は環境倫理学。 著書に『都市の環境倫理』(勁草書房)や『はじめて学ぶ環境倫理』(ちくまプリマ―新書)がある。
5月14日(日)10時~12時
事前申し込みはこちら。