

今回のトピック
①「この広告は、きわめて欺瞞的」事業者の全面新聞記事について都市計画の専門家大方先生のコメント
②5月6日(土)のオンラインセミナー「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」
①「この広告は、きわめて欺瞞的」事業者の全面新聞記事について都市計画の専門家大方先生のコメント
都市計画の専門家大方潤一郎先生は、先日フェイスブックに以下の投稿をしました。大方先生の許可を得てこちらに紹介します。先日の神宮外苑再開発の4事業者による新聞全面広告に関するコメント、再開発への意見です。
【事業者が出した新聞全面広告について】
まず、「未来につないでいく」としているけれど、実際には、現存する樹木のうち現地保全されるのは半分以下、歴史的建造物である神宮球場と秩父宮ラグビー場は跡形もなく破壊される。つまり「未来をつくる」ことは分かるけれど、「未来につなぐ」べき過去や現在の歴史的自然的環境の多くは、未来に継承されない。
次に「緑を増やします」というが、「緑の割合が増える」というのは、現在の絵画館前広場の軟式野球場の内野の土になっていて芝が生えてない部分を現状の緑に数えていないのと、屋上緑化などを開発後の緑に含めているから。「樹木の本数が増える」というのは、樹齢百年超の立派な高木を多数伐る一方、細くて低い若木を神宮球場の解体跡地などに多数植えて、本数だけは増やすということ。木の樹幹で覆われる木陰の面積は小さくなる。つまり緑の質も量も劣化する。
そもそも、事業者側のデザイナーには、これだけ重要な歴史的自然的環境を備えた公園の再開発を行うだけの力がないように見える。特に、緑の保全に関して、(志と)能力と労力が決定的に不足していて、やるべき調査もしないまま、紙の上で適当に建築図面を描いて、この配置計画では樹木がダメになることが今になってはっきりしてきたわけだけど、今更、計画変更が許されそうもないので、アセス審議会向けには「モニタリングしながら(できるだけの)対応をします」といって誤魔化し、(坂本龍一氏の遺言的メッセージで盛り上がった)世論向けには宣伝による情報操作で誤魔化して、三井(と明治神宮・伊藤忠および都知事)のブランドイメージを護ろうとしているように見える。
イコモスの石川先生の調査で、建国記念文庫の森は、落葉広葉樹と常緑広葉樹の混交林であって日当たりが悪いと常緑広葉樹が枯れてしまうこと(だから高さ55mのラグビー場の北側直近では現在の建国記念文庫の森の樹林の構成は保全できない)、4列の銀杏並木も幹から6mのところに野球場の壁や基礎が迫っては、枯れてしまうことが明確になってきている。この問題について、事業者側としては、まともな回答はできないでしょう。銀杏並木の保全については、次回の環境審議会総会で事業者からの説明があるそうなので、根系調査の結果の報告も含め、どんな説明がなされるか、興味津々。
【神宮外苑再開発の問題点】
神宮外苑再開発の問題は、ラグビー場と野球場を移設するため、⓪歴史的建造物である神宮球場や秩父宮ラグビー場が失われてしまうこと、また、緑環境については、①建国記念文庫の森の過半を新ラグビー場が潰し、(地区計画では緑地として残すことになっている)残りの樹木についてもラグビー場の壁が迫り日影を落とすので枯損のおそれが高いこと、②新野球場が現在のラグビー場前の銀杏並木を潰すこと、③新野球場に追い出された会員制テニスクラブを移設するため絵画館前広場の多数の樹木が潰され、また、オープンスペースが広場の1/3程度になってしまうこと、④さらに4列の銀杏並木に新野球場の壁が迫って銀杏の木を枯損させるおそれが高いこと、など(その他、野球場による騒音の問題や超高層ビルの風害や景観の問題、動線計画の不備などもある。)
つまり、多数の施設を新設するために、多くの樹林地を更地にするわけだが、一部の樹木は伐採するのではなく根こそぎ抜いて(どこか適当なところに)移植しますとか、他の新しく作る緑地に新木を多数植えるから、全体として見れば木の本数は増えますとか、(土のところを緑地に含めず)芝地や屋上庭園を緑地に含めれば緑地率は上がりますとか、予約しないと使えない軟式野球場が公開の通路状の広場になるからオープンスペースの比率も上がりますとかいって、樹齢百年超の樹木が多数失われる損害(現存する樹木のうち現地保全されるのは半数以下)を数字のトリックで誤魔化していることが大問題。現存する樹齢百年超の樹林を現地保全できるのは、どれだけなのか、移植や新植によって、どんな樹林ができるのかを、正確に示して、それを評価することが環境アセスメントの役割のはず。
また、保全するとしている建国記念文庫の森(の北半分)や、4列の銀杏並木が、建物に近接している状態で、確実に保全されるのかが、まったく立証されていないこと、ラグビー場前の銀杏並木を移植するといっているが、どこにどうやって移植するのかも、移植して根付き育つのかどうかも立証されていないことも大問題。
また、建築計画については、新野球場の基本設計の前に銀杏の根系調査を行い、必要に応じて基本設計を見直すとしている段階なので、つまり、新野球場の建築の基本設計もできていないのに、地区計画を決めた際の「参考図」だけで、環境影響評価書が告示され、市街地再開発事業の施行認可を(都が)下ろしてしまったことも大問題。
現況調査をきちんとやってないし、そもそも影響評価のもとになる建築計画がボンヤリしているから、影響の予測がきちんとできないわけで、これでは、審議会も開発による影響を評価しようがない。騒音問題などについても実施設計の段階で配慮しますという言い訳を審議会が認めてしまったのも大問題。
つまり、環境影響評価書に間違いや虚偽があるというより、そもそも必要なことが書いてないわけで、要するに評価書としては未完成な欠陥品。事業者は、環境アセスメント審議会でも、調査データの不足や予測の確度が低いことを指摘されているのに、「これから工事を進めながら、緑の状態をモニタリングして、適切に処置します、大丈夫です。」としかいわない。未完成の欠陥レポートを出しておいて、これでなんとか単位を下さいといっている学生のようなもの。
②5月6日(土)のオンラインセミナー「神宮外苑まちづくりについてよくある誤解」
5月6日(土)朝10時~12時。申し込みはこちら。 今回は初めてゲストなして、私(ロッシェル・カップ)が話します。
神宮外苑再開発について、東京都や事業者サイト、そしてネット上の投稿には、誤解を招く情報が多数飛び交っています。そんな状況を整理し、間違った情報によるミスリードを防ぐため、今回のオンラインセミナーを企画しました。
このセミナーで神宮外苑再開発に関してよくある誤解を解きます。例えば:
*神宮外苑は全部明治神宮の私有地である
*神宮外苑再開発の理由は、明治神宮の財政難対策
*明治神宮の森は内苑だけで、外苑にはない
*神宮外苑にあるのは人工の森だから価値がない
*再開発してもイチョウ並木は保全される
*再開発は、むしろ樹木の数が増えるので良い
*再開発は、オープンスペースの面積が増える
*多くの樹木は移植で保全されるから大丈夫
*スタジアムは老朽化しているから建て替えるしかない
*事業者は伐採計画を見直して、伐採樹木の数を4割減らした
*再開発に反対しているのは左翼の人だけ
*再開発を反対している人は何も代替提案をしていない
などなど。。。
神宮外苑再開発のことをきちんと正しく知りたい方は是非、参加してください。そして、周りの家族や友人にも教えてあげましょう。