

2月16日、小池都知事は17日に神宮外苑地区再開発事業の施行を認可すると発表しました。しかし、その数日前に行った記者会見での環境アセス重視などの発言は、無責任極まりないものでした。みなさん、都知事のミスリードにごまかされてはいけません。
2月13日、小池都知事は日本外国特派員協会で、「東京・持続可能な都市実現への課題」をテーマに講演しました。講演後の質問時間に、記者から神宮外苑再開発計画についていくつかの質問がありました。録画はこちらでご覧いただけます。(このリンクから神宮外苑関連の質問部分が始まります)
神宮外苑に関する質問が出たことは想定外だったのか、小池都知事の回答は歯切れが悪く、まったくの事実誤認、あるいはわかっていながら事実をねじ曲げて言い逃れしようとするものでした。
例えば、実際には緑の質も変わり体積も減るのに、「むしろ緑が増える!」と繰り返せば人々の心に残るだろうという、まるでトランプのような印象操作をする場面が何度もありました。
最後に記者に続いて、司会者自身がより難しい質問をしたのは、インパクトがあってよかったと思います。これからも神宮外苑再開発について、都知事に厳しい質問をつきつける機会があることを期待したいです。
以下は小池都知事の回答に対する私の意見です。外国人記者たちがどのように理解したか確認するため、日本語と英語の両方を聞き、まとめたものです。担当の通訳は最善を尽くしたと思いますが、このプロジェクトの詳細や専門用語に精通していなかったために、時々言葉が混乱したようで、理解しづらい部分もありました。
①最初の質問は、日本イコモスから環境影響評価書に虚偽があるとして出された要請について、条例に従い「都知事の勧告」、つまり環境アセス審議会の再審や事業者に見直しを求めるつもりがあるかどうかというものでした。
都知事は、環境アセスメントの審議は、手続きを踏んで進めている、イコモスの要請については、まさに今審議会で検討しているところ、とだけ答えました。
しかし、実際は審議会の委員長が「現時点では審議会としてゴーサインを出せない」と発言したにもかかわらず、都は審議会同日に工事着工を告示し、事業者は神宮外苑の一部をフェンスで囲い、着工準備を始めているのです。先日、日本青年館ホテルの階上から解体予定の第二球場を見ましたが、すでにグラウンドが掘り起こされ、何らかの工事が始まっていました。都が事業者を後押しして強引に進めようとしていることは明らかです。
②都知事は、神宮外苑の再開発事業を「東京都の事業ではない」、明治神宮が主な事業者であると強調する驚きの発言をしました。どの施設を残し、新たに造るかは明治神宮と他の事業者が計画したことだと答えたのです。
これは事業者、特に地権者である明治神宮に責任を押しつけて、批判から逃れようとする、都の最高責任者としてあるまじき態度です。
共産党原田あきら都議が入手し公開した、「2012年の都の役人と森喜朗元総理による会議記録」にある通り、そもそもこの再開発計画は、都が元総理に提案したものであること、その際にどうやって明治神宮を説得するか話し合ったことは周知の事実、有名な話です。そのことを都知事が知らないはずがありません。
③都知事は「イチョウの木が伐られると誤解している人がたくさんいる」と発言しました。これも反対意見をミスリードしようとする印象操作です。聖徳記念絵画館に続く道路沿いの4列は伐採されないことは誰もが知っています。強く危惧されているのは、ラグビー場に続く2列のイチョウ並木、そしてイチョウの木からわずか数メートルという新球場の建設により、イチョウの生育が阻害され、やがて枯れてしまうことです。イチョウ並木の危機については、日本イコモスも都知事に提言しています。市民の不安や専門家の意見を無視した、不誠実な発言です。
イチョウ並木について司会者から再び質問されると、都知事は「今イチョウ並木の目の前にあるカフェより新球場は離れている」と苦し紛れの発言。既存のカフェと新設される球場は、建築物の規模が大きく違い、40メートルもの地下に打ち込まれる杭など構造物の影響が大きいのですから、単に距離だけで比較するのは全く意味がありません。
④都知事は、再開発で新しく木を植えるので、本数が増えるというスライドを見せました。しかし、これもミスリードをするための詭弁です。新たに植える若い木より、緑の体積が大きい樹齢100年の巨木の方が、CO2の吸収量や冷却効果が圧倒的に高いのです。本数を増やせばいいというものではありません。このことは多くの気候変動や脱炭素化などの専門家が指摘しています。
同時に都知事は「緑の割合が増える」と主張しました。しかし、彼女が示した試算は緑の表面積であり、そこには芝生や、背の低い植え込みや屋上緑化の鉢植えなどが多く含まれています。緑の面積は増えますが、実際には大木が伐採されるため、緑の体積は大きく減ります。これくらいの緑の量では、3つの高層ビルや2つのスタジアムの建設に伴う膨大なCO2排出量を補うことなどできません。ここでも司会者から、先にプレゼンした「2050年のゼロカーボン目標」に、この再開発は逆行(この言葉を使わないように通訳は苦労しているように見えました)するのでは?と聞かれ、都知事は「緑は増えるので問題ない」という、稚拙な答えしかできず、せっかくのゼロカーボン目標を台無しにしてしまいました。
都知事は、オープンスペースの割合が上がると言いましたが、これも誤解を招く発言です。示したスライドには、最も広いオープンスペースである軟式野球場の部分が入っていないのですから。
そして、最後に都知事は「再開発や樹木の植え替え、新たに献上される樹木を植えることで明治神宮を作った時の志が保たれる。新たな100年を作っていこうというものだと報告を受けている」と言いました。100年の歴史的樹木を切り倒し代わりに新たな木を植えることを、いつの間にか先人の志にかなうことだとすり替えていました。
そこには少しのリスペクトも感じられません。先人たちは自分たちが寄付した木が切り倒され、高層ビルが建つことをどう思うでしょうか。昨年神宮外苑で行われたプロジェクションマッピングを「神宮外苑が愛されている理由のひとつ」といったのには呆れるしかありません。その場をとりつくろうために、藁にもすがる思いだったようです。
ジャーナリストの皆さんには、まるでトランプのような小池都知事の詭弁を見破り、どんどん厳しい質問を突きつけてくださるよう期待しています!