

1月30日午前11時、神宮外苑再開発にかかわる環境アセス審議会総会が開催されました。しかし、その直前に事業者の着工届(1月17日提出)を都知事が承認=公示という衝撃的なことがありました。
そしてほぼ同時に、日本イコモス国内委員会より、都知事、都議会、東京都環境アセス審議会に対して、「環境影響評価書に、数多くの「虚偽の報告、資料の提出」が行われているとし、知事の勧告を求める緊急要請が出されました。
これまでに、
1)日本イコモスや専門家からの、大量の樹木伐採、イチョウ並木保全、環境アセス、調査データの不備などの問題について数々の提言や要請、
2)再開発の抜本的見直しを求める超党派国会議員連盟の結成と要請や申し入れ、
3)ラグビー関係者による秩父宮ラグビー場建て替えについての異議と反対署名、
4)野球関係者による神宮球場建て替えについての批判と反対署名、
がありましたが、
これらの批判や異議を無視して、環境アセス評価書の縦覧期間が終わる前、しかも環境アセス審議会総会の前に、事業者は着工届を出し、東京都=都知事がそれを承認したのです。着工開始日の1月30日、すぐに工事の「準備」が始まり、建国記念文庫の森は柵で囲われ、立入禁止になってしまいました。
1月30日の環境アセス審議会総会では、日本イコモスから突きつけられた、評価書の「虚偽の報告・資料」があるという疑義について議論された結果、事業者への反証説明が言い渡され、その検討のため、再度異例の形で審議会が開かれることになりました。また審議会では複数の委員から、その他の問題点が相次いで指摘されて、時間内におさまらず、審議は次回へ持ち越しとなりました。
環境アセス審議会柳会長からは、以下の重みある発言がありましたが、事業者は気にもとめていないようです。
「虚偽という指摘を受けながら、(環境アセス審議会にその)権限があるわけではないが、着工届を受け止めるというわけにはいかない。虚偽と指摘された部分については事業者に反証をしていただくしかない」
環境アセスの専門家によれば、通常評価書の縦覧期間が終わっていないうちに、着工届と事後調査計画書が提出されるのは不可解なことであり、これを可能にしているのは、都の条例に縦覧後に提出するとは『書かれていない』ためとのことです。
このように法の隙をついたやり方は、条例違反にはならないまでも、環境アセスという制度の趣旨に反する、法的モラルを欠いた行為だといえます。このまま、着工届を認可すれば、環境アセス制度の破壊に都が加担したことになるでしょう。これは確実に、世界の環境アセスの歴史に残る悪い事例になるのではないでしょうか。
日本イコモスという権威ある第3者から虚偽と指摘され、審議委員からの強い懸念を指摘されて継続審議になったにもかかわらず、着工に強行するのは、環境アセスを全く軽視している証拠です。
環境アセスを担当する環境局椿野課長が「本日公示となり手続きは済んでいることになるので、虚偽の案件とは切り離して進めさせていただく」と発言。環境アセスでの審議委員のこれまでの議論を、単なるプロセスのひとつとして無効化する暴挙です。
このようなことが通用するのであれば、この環境アセス制度自体が時間と税金と労力の無駄になるのです。そして日本が「環境後進国」であることをあらためて世界に示すことになります。
このタイミングでの着工届の提出自体、異常なことですから、これを正常に戻すには「認可をしない」ことが最も簡単です。都知事に着工届を認可しないよう強く求めます。
尚、三井不動産の行動はESGを宣言している一流企業としてふさわしくありません。「人と地球がともに豊かになる社会をめざします」「共生・共存」「持続可能な社会の実現」「環境負荷の低減」等々、実に立派な理念や運営方針等を公表しています。これらは単なるうわべだけの、商売上、営業上、ビジネス上のうたい文句に過ぎないのでしょうか。
もし、このまま市民、専門家、と環境アセス委員会の問題指摘を無視して、この計画を強行突破するならば、三井不動産の企業ブランドや社会的信頼を大きく損なうことになります。
建国記念文庫の森の周囲を緑色の柵で囲って封鎖し、わざと目立つように、工事を「既成事実化」することによって、私たちに「あきらめ」させようとしているように思えます。そんな事業者の思惑には乗らず、私たちは反対し続けることが重要です。
皆様に提案したいアクションは、三井不動産に手紙を送って、意見を伝えることです。
住所は〒103-0022 東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号 三井不動産株式会社
宛先として考えられるのは社長、広報部長、サステナビリティ推進本部長、サステナビリティ推進部長、IR室長、各取締役と審査役(特に社外)。
社外取締役と審査役のうち、直接な住所を特定できるのは下記の方なので、彼らに送る場合、これを使って下さい。
社外取締役 河合 江理子 〒606-8306 京都市左京区吉田中阿達町1 京都大学東一条館1階 京都大学 大学院 総合生存学館
社外審査役 真砂 靖 〒100-8124 東京都千代田区大手町1-1-2 大手門タワー 西村あさひ法律事務所 y.manago@nishimura.com
社外審査役 尾関 幸美 〒162-8473 東京都新宿区市谷本村町42-8 中央大学法科大学院
三井不動産に対して、どう思っているか、直接伝えましょう!
※(ご参考までに、私が6月2日に三井不動産に提出した要望書を下記に貼ります)
私は日本橋浜町の住民です。三井不動産が再開発プロジェクトを手がけた日本橋室町エリアは歩いて行ける距離であり、ふだんよく行く大好きな街です。特に外国から来た友人を連れて行くのが好きです。現代的なデザインと利便性、そして伝統的な「日本」と「日本橋」らしさが見事に融合した都市再開発の好例として、その魅力に惹きつけられています。スマートエネルギーを採用し、環境に配慮した持続可能な方法で行われたプロジェクトは国土交通大臣賞をはじめ、さまざまな賞を受賞していると聞いています。三井不動産が誇るべき素晴らしい作品です。
そのような優れた作品を身近に知っているだけに、御社が主導する神宮外苑地区の再開発事業の内容を知った時には大変驚きました。サスティナブルでもなく、樹木や環境への配慮も感じられず、歴史ある神宮外苑の景観も美観も損なう時代遅れのスクラップ・アンド・ビルドの計画。一般市民が利用するパブリックなスポーツ施設を排除して、収益優先の商業施設を詰め込んだ高層ビル。
環境アセスメント委員会においても、適切に情報公開をしない御社の対応に、委員会は評価の結論を出さず、異例のペンディングになっています。皮肉なことに、審査の最終局面で総括されたのは、環境アセスメントを単なる手続き上のプロセスとして軽んじる御社の姿勢でした。
このプロジェクトの詳細が報道などによって明らかになるにつれ、驚きとともに疑念や不信の高まりはとどまることがなく、本署名も8万人を超えるまでに至りました。そしてこれが本当に三井不動産の事業なのかと、その企業イメージはすでに打撃を受けています。このまま強行すれば、そのブランドイメージがさらに傷つくのは確実です。企業としてこのようなリスクは回避すべきではないでしょうか。
御社のホームページには、SDGsやESGへの取り組みとして「コミュニティへの参画 」が詳しく紹介されています。SDGsにもESGにもそぐわない「コミュニティへの参画」もないままに計画を進めることは、御社の姿勢に反することになるのでは、と危惧しています。
御社は今明確な選択を迫られています。この再開発計画をこのまま強行すれば「神宮外苑を破壊した企業」として皆の記憶に残ります。もし、一旦立ち止まって計画をゼロベースで見直し、全てのステークホルダーが参加できるプロセスで「神宮外苑の未来をコミュニティとともに考える仕組み」を作れば、自ら掲げる持続可能な取り組みの成功モデルとして高く評価されるに違いありません。御社には是非後者の選択をして頂きたいのです。それは、神宮外苑を愛する多くの都民、国民の皆さんと三井不動産双方にとって良い結果をもたらすでしょう。
100年先の未来を見すえて、改めて住民の声に耳を傾け、「コミュニティへの参画 」を取り入れながら、じっくりより良い計画に練り直して欲しいのです。是非、この計画を主導する事業者として、都市計画や環境問題の専門家、そして住民を集めてオープンな協議の場を作って頂きたい。真に持続可能で、真に市民のニーズに応えるプロジェクトを実現して欲しいと願っています。それがこの署名に寄せられた81,422人の賛同者の要望です。