

オンライン署名「生活保護基準引下げは違法!厚生労働大臣は最高裁判決を受け入れて謝罪し、一刻も早く違法状態を是正してください」にご協力いただき、ありがとうございます。
8月29日、厚生労働省の「最高裁判決への対応に関する専門委員会」の第2回会合が開催され、「いのちのとりで裁判」の原告・弁護団・支援者7名が「参考人」として意見陳述をおこないました。
各「参考人」の意見陳述の要旨は厚労省のサイトにアップされているので、ぜひご一読ください。
最高裁判決への対応に関する専門委員会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_62180.html
トップバッターとして発言した弁護団の小久保哲郎弁護士は冒頭、「今日、この場に来ることについて我々には葛藤がありました」と述べ、最高裁での原告判決から2か月たっても謝罪しない国の態度を踏まえると、「国が専門委員会を利用して、最高裁判決の意義を矮小化し、被害回復額をできる限り小さくしようとしているのではないかという不信感をぬぐえずにいる」「ヒヤリングが単なる『ガス抜き』として利用されるのではないかという懸念を抱きつつ、苦渋の決断として、この場に来ています」と述べました。
そのうえで、小久保弁護士は委員会に対し、一般傍聴(少なくとも訴訟関係者の特別傍聴)を認めること、 録画のアーカイブ配信をすることなど、審議の徹底した公開と透明性の確保を求めました。また、原告・弁護団が適宜作成する書面を資料として専門委員会において配布することや、今回だけでなく委員会の審理の終盤に再度、直接意見表明する場を設けることについても要請しました。
大阪訴訟の原告の新垣敏夫さんは「生活保護利用者が今回の引下げでどういう生活をしているのかぜひ、想像してください。最低限度の生活をさらに引き下げられ、食費を削り、光熱費も削り、外出、人付き合いも控え、社会との関係性を失い孤立を深めています。月数千円の引下げが生活保護利用者には多大な影響を及ぼします」と語り、自分の生活も「物価高の中で食費をどう切り詰めるか、猛暑の中でエアコンの電気代をいかに少なくするか、そういうことを考えながら生活しています。また、外に出ることがほとんどなく、人と話すこともほとんどない中で、最近は話すときにとっさに言葉がうまく出てきません」と苦しい状況にあることを語りました。
そのうえで、新垣さんは「私たちの生存権、人権が侵害された状態が続いているということを理解してほしい」と訴え、厚労省が自らの責任を認めてきちんと解決の内容を示し、原告がその内容を承認することなしに解決はないと強調しました。
愛知訴訟の原告の澤村彰さんは、長かった裁判闘争を振り返り、「辛かった、長かった、やっとこれで終わる。やっと報われる。そう思っていました。当事者にしか見えない世界ですが、いつまで、この生き地獄を続ければいいのでしょうか?」と言葉を振り絞り、「全国の1000名を超える原告のうち少なくとも232名が亡くなっています。愛知でも3名、うち1名は最高裁に係っている今年の1月に亡くなりました。明日は自分もどうなるか知れません。一刻の猶予も許されません。生活保護利用者、原告の気持ちは早く遡及支給してほしい。でも、違法な行為をして国民の生活レベルを異常に最低にしたということを謝罪してほしい。生活保護は最低限の生活レベルのラインなのですから」と訴えました。
大阪訴訟の支援者の雨田信幸さんは、「(最高裁判決後の)国の対応は、謝罪はなく解決への道筋は見えてきません。原告のみなさんは傷ついており、私たちはそんな姿や話を聞くたびに国に憤りを感じます」と語り、大阪で実施した生活保護利用者アンケートの結果を提出するので、ぜひ読んでほしいと述べた上で、「社会の中では残念ながら生活保護に関するバッシングが根強く存在しています。自分の顔と名前を出して裁判を闘うことがどれほど苦しかったことか、自分のことだけなく生活保護を利用する人たちのことを考えながら訴えてきた原告の思いに寄り添っていただくことを重ねてお願いします」と委員に訴えました。
原告代理人の尾藤廣喜弁護士は、朝日訴訟や堀木訴訟など生活保護をめぐる過去の訴訟において、国は「当事者から提起された問題について正面から受け止め、訴訟では争いながらも、要求が正当であると考えた場合にはこれを政策として生かす」という対応をしてきたが、今回の最高裁判決後の国の対応は「全く不誠実であり、行政としてはもとより、人間として許されない態度だ」と批判。
尾藤弁護士は「国は、手続きをやり直せば改めて引き下げてもよいと主張しているようだが、根本的に間違っている。最高裁判所での審理過程や判断を無視して、行政の都合で新たな処分を行ってはならない」とした上で、委員会に対して、「11年以上に及ぶ審理をふまえた最高裁判所での審理経過及び判断の内容を無視して、行政の都合で新たな処分を行ってはならないこと、さらに、特定政党の公約に忖度し、物価偽装を行って、根拠のない引下げを行ったことを真摯に反省し、厚生労働省として、あるべき姿に立ち戻るべきことを貴委員会が明確にされることを求めたい」と述べました。
伊藤建弁護士は36ページに及ぶ資料を提出。新たな水準の引下げが許されない理由として、以下の5点を解説しました。
1. 現時点から遡及して、過去に発生した本件各給付請求権を不利益に変更することは、遡及立法の禁止に違反する。
2.事後的に減額することは、憲法29 条1 項及び憲法25 条1 項、行政法上の比例原則の要請を満たさない。
3.消費を基礎とする減額改定は、本判決の拘束力により禁止されるほか、減額の理由にはならない。
4.ゆがみ調整に加えて水準の引下げを行うことは許されない。
5.本専門委員会で議論すべきことは、ゆがみ調整における増額分についてのみ2 分の1 処理を撤回し、平成25 年報告書のとおり反映することである。
西山貞義弁護士は、「(委員会での審議結果が)私たちも了解できる内容でなければ、訴訟を起こします」と宣言しました。
西山弁護士はまた、専門委員会に関する厚労省の「仕組み作り」、「運用」が訴訟で敗訴した側が全てをコントロールする形になっており、極めて不公平であると批判。
勝訴した原告・弁護団がリアルでの傍聴も許されず、「この意見を述べ終わった後も傍聴できず退席せよと言われている」という点についても抗議しました。
そのうえで、委員に対しては「完敗した敗訴当事者の厚労省の言い分だけで一方的な判断を行わないよう切にお願いいたします」「私たちは、委員のみなさまの専門的知見と専門家としての矜持を信じています」と訴えました。
7人の「参考人」の発言が終わった後、委員から若干の質疑がありました。
その後、小久保弁護士が改めて、ヒヤリング終了後も原告・弁護団がこのまま傍聴することを認めてほしいと発言。この会場から出て、YouTube視聴ができる場所まで移動して、配信を聴けというのはおかしいのではないかと問題提起をしました。
小久保弁護士は、この点について各委員から一人ずつ意見を述べてほしいと要望しましたが、岩村正彦委員長は「これについては今日は伺ったということにさせていただいて、検討させていただきたい」とのみ発言。
小久保弁護士は「委員会は合議体ではないのですか?」「打ち切るんですか?」と質問しましたが、委員長は委員長権限で「休憩に入る」と宣言。会議は一時中断しました。
この間、外部ではYouTube配信が突然中断されたため、会議室で何が起こっているのか、全くわからなくなりました。
数分後にYouTube配信が再開されましたが、その間に原告側は退出させられていました。
原告側が会議室から退出をさせられる場面を見られたくないために配信を一時中断したものと思われます。
委員会終了後、弁護士会館において、原告・弁護団の記者会見が行われました。
小久保弁護士は「ヒヤリング終了後、そのまま傍聴させてほしいと要望したが、委員長権限で退出をさせられた。意見陳述中は、私たちの主張をうなずきつつ熱心に聴いている委員もおり、私たちが退出を迫られたことに戸惑っている感じの人もいた。専門委員会は合議体なのではないか、各委員はどう考えるかを問うたが、委員から何の発言も出なかったのは残念でならない」と述べました。
この日の専門委員会では、行政法を専門とする2人の委員から「当時にさかのぼって追加支給が必要」という趣旨の発言もありましたが、他の委員からの発言は全くなく、議論は低調でした。
専門委員会の第3回会合は、9月8日(月)10時~に開催されます。
厚労省との直接交渉も継続しており、次回は9月18日(木)で調整をしているところです。
引き続き、私たちは謝罪と被害の全面回復を求めて声をあげていくので、ご支援、ご注目をよろしくお願いいたします。