キャンペーンに賛同いただきました皆様へ
お世話になっております。
2024年5月8日、担当弁護士である作花様の弁護士事務所を介して、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(以下、ゲーム条例)住民訴訟の上告審の結果が判明しました。
この時事は、ニュース映像として、香川県・岡山県ローカル局のKSB(瀬戸内海放送、テレビ朝日系)で報じられました。
この時事を報じたKSBのニュース映像は こちら からご覧いただけます。
また、ゲーム条例住民訴訟の上告に用いたすべての文書は、こちら から閲覧、入手いただけます。
注意:判決文を閲覧するICT機器にて、PDF文書の読み込みができるアプリが導入されていることの確認をお願いいたします。
[ 原告側の上告は却下され、控訴審判決で本訴訟の結果が確定 ]
私含む原告側は、上告の申請においても、ゲーム条例の違法性、また、ゲーム条例国家賠償請求訴訟(以下、国賠訴訟)に投じた被告人側の弁護士契約費用の過剰さを訴えました。しかし、第二審の判決と同様に、その申請は退けられてしまいました。当時高校生だった渉さんの起こした国家賠償請求訴訟の結果が、裁判所の判断に大きな影響を与えていることは容易に推測できます。
本キャンペーンに賛同および支援いただいた方の期待に叶う結果を導くことができず、大変申し訳なく存じます。
[ 傷を知恵に変えて ]
本訴訟の結果からいえることは
「ゲーム条例の違憲性を問う方針」で同条例を改廃させることは極めて困難であること
です。この方針では、訴える側の勝訴の確率が極めて低い(10%未満といわれる)国家賠償請求訴訟の形でしか訴訟が起こせなかったことにも起因しています。これは、当時高校生だった渉さんが勇気を振り絞ってそれに挑戦したからこそ判明したことです。本訴訟は、渉さんの起こした国家賠償請求訴訟の内容を継承して臨んでいるため、同じ理由を当てはめることができます。
換言すれば、それ以外の方針で法廷闘争を行えば、ゲーム条例を改廃させる嚆矢を放てるかもしれません。例えば、ゲーム条例の施行によって「具体的な数字や現象を伴う」業務上の不利益や機会逸失、あるいは、精神的な苦痛が発生したことについて損害賠償を香川県に起こす…は、まだ試されていません。
他の選択肢もあると推察します。ただ、一番確実な選択肢は、ゲーム条例に反対している(香川県議会)方を1人でも香川県議会の議場に送ること、ではあります。
『ルポ ゲーム条例』を読めばわかりますが、ゲーム条例が生まれた背景には、市民の政治への無関心が生んだ、「民主主義の学校」とも評される地方自治が機能不全になりつつある情勢があります。これは、国内すべての地方自治体に横たわる問題です。香川県では、それから生まれた「膿」が、ゲーム条例という法令の形で顕現されたわけです。
その意味では、ゲーム条例や埼玉県の留守番禁止条例案*1など、地方政治の暴走を止められるのは、議員の質以上に、市民の質、特に、お住まいの地域の政治や行政に関心を持てる方の数とその投票行動にかかっています。
ちなみに、世界的に見れば、ビデオゲームについては、その可能性を良い方向に引き出し、生活の質の向上につなげる方向で、WHOなどの関係機関は啓発や研究などを行っています(COVID-19感染拡大状況下で展開された #PlayApartTogetherキャンペーンの支援など)*1。現在、ゲーム行動症は、ICD-11(国際疾病分類および関連健康問題、第11版)に収載されていますが、当時のWHOは、ゲーム行動症をICDに収載することには「質の高いエビデンスが不足している」として、慎重な姿勢をとっていました*3 。
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補足:ICDの更新により、ゲーム行動症の診断基準は厳格化されました。これにより、ゲーム条例を含む、国内で多く知れわたっているゲーム行動症の診断基準や報道記事・論説の内容は「健康を損ねる恐れの高いビデオゲームの使い方に関するもの」に属するようになりました*4。なお、ICD-11に基づけば、これは疾病ではありません(運動不足などの一般的な健康問題と同列の扱いです)。
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確証性の担保すらし難い低品質なエビデンスと、一部の議員が個人的に信奉する子どもの教育方針をベースに制定されたゲーム条例は、上述した世界的な動きからも逸脱しています。
前述のように、ゲーム条例はすでに形骸化フェーズに入っています。しかし、その形骸化したものに貴重な県税が毎年千万単位で投入され、あまつさえ、前述した低品質なエビデンスの下で行われる関連施策に、未成年を含めた県民が巻き込まれています *5 *6。
それは放置してよい事象でしょうか。
個人的には、放置してよいとは考えていません。ゲーム行動症対策を真面目に行政の視点で行うなら、児童精神科医の育成支援や未成年の引きこもり寛解支援などに県のもつ資源を充てることが望ましいと考えているからです。それに、ゲーム条例については、パブコメ不正の疑惑など、地方自治を考えるうえで明らかにしなければならない問題も付随しているのですから。
[ 不当なゲーム規制への抗いでは、(将来的には)勝つか、学ぶか、のどちらかしかないから ]
「違憲性を問う方法では、ゲーム条例の改廃は、現時点では難しい」
それを私たちは学びました。
本訴訟の結果が何であれ、ゲーム条例は、それが存在する限り、香川県在住の未成年者やその親御さん、そして、国内各地にいる、ゲーム行動症に苛まれている方の枷そのもの、もしくは、その素材になり続けます。それに加えて、国内の子どもがビデオゲームで遊ぶことや、スマートフォンなどのICT機器を使い個人的な娯楽を享受する行為自体に対する不当な偏見や蔑視を生む土壌にもなりえます。
地方行政や国政において、その御旗となる「ゲーム条例」の改廃、最低でも廃止-を実現させる活動に対しまして、引き続き、ご支援並びにご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
もし、可能であれば、本キャンペーンにおける署名への協力を依頼いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
主催者 きしもと みつひろ
[ 参考資料、引用元 ]
『ルポ ゲーム条例』著作:山下 洋平 (河出書房新社)
*1 朝日新聞Globe+「埼玉『子ども留守番禁止』条例案撤回 ドイツは大人に監護義務、でも、日本と大きな違い」(https://globe.asahi.com/article/15027212)
*2 WIRED 日本語版「広がる #PlayApartTogether:WHOのゲーム推奨は『ゲーム=悪』の図式を改めて否定した」(https://wired.jp/2020/04/25/play-apart-together/)
*3 日本経済新聞 「ゲーム依存は病気 WHO、国際疾病の新基準」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45280950V20C19A5MM8000/)
*4 篠原菊紀氏のnoteで分かりやすく解説されている
・「ゲーム障害の必須要件(ICD-11)」(https://note.com/s96hige/n/n3358e3061884)
・「『ゲーム行動症(ゲーミング障害)』と『危険な遊び方』は違う、責任あるゲームプレイを」(https://note.com/s96hige/n/n2c49b055b447)
*5 篠原菊紀氏のnote「香川、ネット・ゲーム学習シート(中学生版)について。今後、この手の学習ツールを作ろうとする場合の注意点。」(https://note.com/s96hige/n/nc0d906ad52f3)
*6 日本行動嗜癖学会「香川県・ネット・ゲーム依存予防対策学習シートに関する公開質問状」(https://jssba.org/?p=1651)

