北海道札幌聾学校日本手話訴訟 札幌高裁判決を受けて
本日、札幌高裁で、北海道札幌聾学校日本手話訴訟の判決がありました。
控訴棄却でしたが、その理由付けも含め、全く納得のいくものではありませんでした。
憲法26条のいう教育を受ける権利について、同条1項が「法律で定める」という文言が入っていることをもって、同条2項が定める学習権について、関係法令によって具体的な権利性が定められるものであるとし、一般的には日本語による授業が想定されているとしました。
しかし、これは明らかに不当です。原告たちは同じ国民、しかも帰化した国民ではありません。外国人など日本語がわからない外国人の問題はまた別にあるのですが、先天的に聴覚に障害がある子は一定数、産まれてきますが、同じ国民であるこうした子にとって第一言語である日本手話で学ぶことが人権なのかが問われているわけです。
これでは障害者だから基本的人権がない、保障されないと言っているのと同じではありませんか。
聴覚障害を持つ子には人権は保障されないという発想は、日本国憲法下では決して許される解釈ではありません。
その基本的人権の実現のためにどのような施策があるのか、予算等々の問題ですぐに実現できないのかもしれない、ということでいうのであればまだわかります。
しかし、基本的人権保障がないというのは障害者差別も甚だしいと言わざるを得ません。
法令がなければ具体化されないという解釈も明らかに誤りです。憲法と法律はどちらが上なのですか。行政、立法に追随するような司法判断は求められていません。これでは裁判所の役割の放棄です。
そして北海道札幌聾学校の管理職には担任の配置について幅広い裁量権を認めました。
日本手話で授業を受ける権利がない、法令上の根拠がないという論旨からいえば、管理職の行為が違法だと判断されることがないことになってしまいます。
もっとも北海道札幌聾学校は日本手話を基軸とした二言語クラスを儲けていることから担任の配置に濫用がなかったかどうかという観点から検討しています。
しかし、問題なの原告らが受けた授業がもはや授業として成り立っていないという主張に対して、控訴審も原審と同じように授業がどの程度のものかということについては事実認定を行ないませんでした。
日本手話単語もわからない担任の教員がほぼ音声で語りかける、用いるのもほとんどが日本語対応手話というのであれば、授業が成り立っていないことは明らかです。だから北海道側は、原告らの授業が成り立っていないという具体的な主張に対しても全く認否すらしないという応訴態度だったのに、しかも控訴審では原告の1人が実際にどのような授業だったのかということを証言すると証人申請したにもかかわらず、その必要がないと却下したのです。
それでいながら、控訴審判決では「日本手話を活用し、そのほかに指文字、日本語対応手話、音声言語を用いて授業を行っている」と認定し、その実施された授業には問題がない認定しました。
裁判所は、言語について本当にわかっていないんだなとしか言いようがありません。
第一言語で通じないときに別の言語を用いれば補完されるなんていうことはあり得ません。原審も同じような低レベルの認定をしていましたが、原告らはそもそも聴覚障害があるのですから、音声言語が何の意味があるのですか。担任が指文字や日本語対応手話を用いるのは、日本手話ができないからというだけの理由でそちらを用いた方がわかりやすくなるからという積極的な理由ではありません。むしろわかりにくくなります。
この点は繰り返し裁判所に対し、主張してきたところだけに、憤りしかありません。
事実認定としてかなりいい加減なところを指摘しておきます。「授業において日本手話による意思疎通がより必要と判断された場合には、日本手話を補助する教員を立ち会わせるなどの対応が取られた」とするのですが、これは事実に反します。
小学6年生の原告はこのような対応は一切、ありません。
小学3年生の原告は、提訴前に代理人弁護士も交えて協議も行い、そのような対応をすると言ってきましたが、結局、担任が全く日本手話ができないことからスポットで入っても意味がなく、しかも実際に補助教員が教室に入っていても何もしないという状況ですから補助とは言い難いものです。当時、要求したのが担任の交代です。それだけはできないと札聾からは拒否され、その代わりに補助教員の活用を言われました。
裁判中も道教委側から協議したいと言ってきました。そのとき、補助教員を充てるということがありましたが、これは裁判に向けたパフォーマンスに過ぎません。基本的な対応は以前と変わらず、結局、補助教員がスポット的にいるだけです。考えてみれば常時、配置できるのであれば、その補助教員が授業をやった方が合理的です。
その補助教員こそ適任ということであるならば、現に配置されていた教員について裁量権の濫用とはならざるを得ないと思うのですが。
本当に酷い事実認定です。
上告するかどうか検討中です。