
八木和也弁護士による第3回口頭弁論レポートに続き、第2回口頭弁論のレポートをお届けします。前回のレポート発信から80人以上の方に署名へのご賛同をいただきました。ありがとうございました!
3月4日の結審までに1万人の署名を目指しています。1人でも多くのご友人やご家族などにお声がけ、SNSでの拡散など、ご協力ください。
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第2回口頭弁論レポート
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期日・日付:2025年12月18日
主な争点・議論内容:
①業務の過重性
②発症
②自死か転落死か
▼ 弁護団側の主張
①清島さんは出向前から統括部長に対し、「自分がCKEでどのような業務をするのかを、川重とCKEの中国人幹部との間で明確にしてほしい」と2回にわたってメールしていたが、統括部長はこれに答えなかった。
清島さんは出向時点では機械のトラブル対応が自分の仕事であるか否か、あいまいな状態にさせられていた。また、清島さんは出向前に、川重の設計担当の人員不足から、川重が遅滞していた設計業務の対応を命じられ、深夜から早朝にかけてこの業務にあたっていた。出向後も引継ぎはなく、引き続き先輩社員の指示のもとでCKE社に勤務しながら川重の設計業務にも従事した。
②清島さんは6月21日に業務上のミスで謝罪に追い込まれ、それ以降は5日間パソコンに触れず、それ以降7月10日に亡くなるまでに発信したメールはわずか12通だった。7月2日には、清島さんの担当だったCKEでの設計業務4件をすべて川重に引き取ってもらう屈辱を味わっている。清島さんはあきらかに業務を遂行する力がなくなっていた。
③清島さんは7月10日、自責の念にかられており朝から飲酒した。腹痛や頭痛にも襲われ、風邪薬や痛み止めを飲んだ。すでにうつ病を発症していた清島さんは飲酒や市販薬の服薬で死にたい気持ちが増幅し、ベランダから飛び降りてしまった。
▼ 裁判官の対応等
川重の方で反論してください。
▼ まとめ:出向後の業務内容の事前確認をせずに、川重にとって都合のよい働き方を清島さんに強いたことを認めてほしい
清島さんは中国へ出向する際、「どのような仕事を自分が担当するのかを、川重の幹部と出向先CKE社の中国人幹部との間で明確にしてほしい」と要望を出していたにもかかわらず、黙殺されています。出向後まもなく、川重の幹部から、川重の仕事もするように指示されています。出向から間もない時期に川重とCKEとの二重雇用が始まりました。また、川重はCKE出向後は川重の設計業務はさせていないなどと言っていましたが、これは嘘でした。残されたメールのやりとりで分かるように、川重は確かに清島さんへ川重の設計の仕事をさせていました。清島さんは、CKE社の従業員として働きながら、同時に川重の仕事もこなさなければならず、むしろ川重の仕事で業務がひっ迫し、CKEの仕事を放置せざるを得ませんでした。この結果、清島さんはうつ病を発症し、自死しました。
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第2回口頭弁論報告集会
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第2回口頭弁論も傍聴席は満席となりました。終了後の報告集会も多くの支援者が集い、熱心に弁護団の説明に耳を傾け、原告を支持する力強いご発言もいただきました。報告集会だけでも、と午後からかけつけてくださった支援者もいらっしゃいました。
▼ 原告・験馬綾子スピーチより
本日はお忙しい中、早朝よりお集まりいただきありがとうございます。夫が亡くなってから12年が経ちました。その間、ずっと変わらず寄り添ってくださっている方々が、今日もこの場に来てくださっています。
弁護士の先生方とは約7年、そして支援者の皆さまとは、裁判を始めてから3年、本当に長い時間を一緒に歩いてきていただきました。正直に言うと、一人では、ここまで来ることはできませんでした。途中で何度かやめようと思いました。それでも、先生方が7年かけて真摯に向き合ってくださり、事実を掘り起こし、支援者の皆さまが離れずに支え続けてくださって、点と点が線になっていくのを、私は目の前で見てきました。
今日、第2回口頭弁論を終えて、「終わりが見えてきた」そんな感覚を、今は静かに受け止めています。結果がどうであれ、ここまで一緒に歩いてくださったことは、私にとって一生の支えです。今日ここに集まってくださった皆さまに、心から感謝しています。本当にありがとうございます。
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この事件の概要
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川崎重工業㈱(以下、川重)で働いていた35歳のエンジニア・清島浩司さんが、中国の合弁会社へ出向し、わずか3カ月後の2013年7月10日に、自宅マンションから飛び降り自死した事件です。
▼ 中国で二社板挟み・二重雇用状態に
清島さんは、妻・綾子さんと1歳と5歳のお子さんを日本に残したまま赴任していました。合弁会社に所属していながらも川重からも業務指示を受け、二重雇用の過重労働であっただけではなく、それぞれの会社の板挟みにあった清島さん。
▼ 労災認定にもかかわらず、川重は過重労働を否定
川重側は、清島さんの中国での仕事は日本での業務の延長で、「過重なものではなかった」と説明しました。しかし、神戸東労働基準監督署は清島さんの業務は過重な業務であったと労災認定しました。遺族が川重へ謝罪と賠償を求めたところ、川重は責任を認めませんでした。
▼ 地裁へ。業務と自死は関係ないとの川重の主張
遺族は2022年5月に神戸地裁へ提訴。川重側は、誤って転落しただけではないか、自死であったとしても業務は過重なものではなく、自死とは関係ないなどと主張しました。2025年1月の一審判決では、自死は認めましたが、他方で業務が過重でなかったとして川重の責任を否定しました。
▼ 控訴中の現在。過重労働の実態が浮き彫りに
現在継続している控訴審では、清島さんが業務で使用していたパソコンに残っていた作業データをあらためて解析しています。清島さんが二重雇用の状態となっており、相矛盾した命令を受け、苦悩していた実態が浮き彫りとなりました。
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今後の予定
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▼ 第4回口頭弁論
日時:2026年3月4日(水)11:00〜
場所:大阪高等裁判所
ぜひ、傍聴支援をお願いいたします。詳細は、海外労働連絡会Webサイト「取り組み」に掲載いたします。