学童保育は子どもにとって大切な「育ちの場」。国の最低基準は撤廃しないで!職員には必要な処遇を!

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働く親を持つ小学生の子ども達が、自宅で独りぼっちにならないようにできた「学童保育」(放課後児童クラブ)

そこは単に、放課後の数時間を遊んで過ごすだけの場所ではありません。

子どもたちはそこで共に生活をします。夏休みのような長期休みには、朝から夕方までの1日を勉強、食事、遊びなどをして過ごします。学年を超えた繋がりの中で多くのことを学ぶ大切な「育ちの場」なのです。

この学童保育で、子どもたちの生活の質を確保するために作られた全国統一の指導員資格・配置の最低基準(「従うべき基準」)が事実上撤廃され、自治体の裁量に任される議論が進んでいます。

「自治体に裁量があるなら自治体で工夫すれば良い。」という声もあります。

しかし実はすでにいわゆる「学童保育」をなくし、自治体の裁量で行われている事業が複数あり、その中には深刻な問題を抱えている自治体もあるのです。

例えば、江戸川区では、いわゆる学童保育を国の「放課後児童健全育成事業」としてではなく、児童福祉法の対象とならない区の独自事業「すくすくスクール」として運営しています。

ここでは、親の就労の有無にかかわらず、放課後に学校で遊ぶだけの子も含め全ての子どもを受け入れるため、いわゆる待機児童は0(ゼロ)です。

しかし一方で、こんな声が届いています。

  • 大きな学校では130名近い登録児童がいるが、すくすくのホームルームは2教室だけ。そのため、弁当を食べるのも宿題するのも机が足りず床の上。それが嫌でやめてしまった子は、2年生から学校休業日でも習い事や留守番をして過ごしていた。
  • 区の判断によって、補食(おやつ)提供が廃止に。親の必死の要望により復活するも、あくまで保護者の「持ち込み」というかたち。しかも、場所や職員が足りないため、子どもの数が少なくなる17時以降まで食べることが出来ない。
  • 夏場に子どもが疲れを訴えたが、少し休ませた後大丈夫と判断されたようで、保護者に連絡なくそのまま下校時刻に帰され、途中で熱中症で倒れた。児童数が多すぎて、一人ひとりにケアが回っていないと感じた。


このような状況で、江戸川区で働く親たちは安心して子どもを預けられなくなり、仕事を辞めたり、仕事の変更を余儀なくされたりしています。また、仕事を変えられない親の家庭では、独りぼっちの自宅で親の帰りを待つ低学年児も出ています。

江戸川区では利用者が改善を求め署名や議会陳情をしても否決され、当事者の声が反映されていません。

このように、一見合理的に見える「地域の実情に合わせて、自治体ごとに基準を決められる」というルールは、安全・安心と矛盾する危険性があるのです。

例えば、保育園で言えば、一定の人数・時間・定期的に子どもたちを預かる施設であれば、国の認可基準ではない保育園であっても、国の定める“最低ライン”を守る必要があります。

同じ子どものための場所でありながら、かたや学童保育においては従うべき基準をなくすことに、合理的理由はあるのでしょうか。

報道によると、今回の「従うべき基準」廃止の主な目的は、待機児童および職員の人手不足の解消であるとされています。

しかし、人手不足を補うために、特定の事情をかかえる地域とそうでない地域も全て一律で、保育の質の基準を緩和したり廃止したりすることが正しいとは思えません。

それよりも、保育園に勤める保育士よりさらに低いとされる学童保育士の処遇(注)を改善することこそが急務ではないでしょうか。

決して単なる「見守り」ではなく、保育園よりもさらに複雑な環境の中で揺らぐ子どもたちの心に寄り添い、育んでくれるのが学童保育の先生です。しかるべき処遇改善がなされない限り人手不足が解消することはありえません。

小学生とはいえまだまだ小さな子どもたちに、健やかな「育ちの場」を提供してくれる学童保育は、働く親たちにとってなくてはならない存在です。


よって、私たちは以下の通り要望します。

  • 学童保育における事実上の国の最低基準の撤廃は行わないでください。
  • 社会の宝である子どもの生活を守るため、職員の処遇改善のための予算を国としてしっかりとつけてください。

 
(注)学童保育士の平均的な給料は、専任でも月収19万円前後。非正規だと時給で1000円程度とされている。

 



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