京都大学高等教育研究開発推進センターの機能存続を!

12,052人の賛同者が集まりました

署名活動の主旨

日本の大学教育を改善するべく、30年にわたって中核的機関として、教育の公開や、コロナ禍におけるICT活用について全国の大学の教育活動を支援し、リードしてきた「京都大学高等教育研究開発センター」の機能存続を求めます。

 

京都大学高等教育研究開発推進センター(以下、京大高等教育センター)が、2022年9月30日をもって廃止されることが、2022年8月4日に京大高等教育センターのWebページにて公表されました。これに伴い、京大高等教育センターが所掌してきた教育支援業務のほとんどが移管されることなく、終了されることも同時に公表されました。

京大高等教育センターは、1994年に学内共同利用施設として設立された高等教育教授システム開発センターを前身とし、2016年度より京都大学の全学機能組織として活動されてきました。また、2010年度から5年間、教育関係共同利用拠点(拠点名称:「相互研修型FD共同利用拠点」)として、文部科学大臣より認定を受けて活動してきました。

FD(Faculty Deveopment:ファカルティ・ディベロップメント)は、「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」で、2008年より義務化されています。京大高等教育センターでは、FDが義務化される前から、公開実験授業や授業検討会などをはじめ、FDに関するさまざまな取組を実践して、その知見を広く提供してきました。

毎年3月には「大学教育研究フォーラム」を開催し、大学教育に関する発表やシンポジウムなどを行い、500名前後の参加者が集まって、情報共有や議論をできる場を提供してきました。2022年が第28回となっています。

このように、これまで大学教育を学生中心のものに改善する上での中核的な機関として、国内のFDの拠点としての機能を果たすとともに、日本の高等教育の発展に大きな貢献を果たしてきました。

また、ICTを活用した教育についても、重要な取り組みを行ってきました。

まず、2020年からのコロナ禍によって、急遽、オンライン授業の実施が必要となりましたが、京大高等教育センターは「Teaching Online」というWebサイトを構築し、学内における研修を多数実施するとともに、学外にも大変重要な情報を提供しました。

京都大学におけるOCW(OpenCourseWare)は、2005年に開設され、京都大学の授業をはじめ、公開講演や最終講義を無料で公開しています。コンテンツの多くは、YouTubeで配信されており、京大OCWチャンネルの登録者数は約10万人、視聴回数は2千万回を超えています

京都大学におけるMOOC(Massive Open Online Course:大規模公開オンライン講座)の取組として、2013年5月に日本で初めてedXへの加盟を発表し、これまでに、14のコースを提供しています。MOOCは無料で受講することができるだけでなく、通常の大学の講義のように一定期間が設けられて開講され、課題や試験に合格した者には能力証明となる修了証が発行されます。現在までの京都大学MOOCの受講者数は28万人を超えています。

このように、日本におけるオープンエデュケーションの中心としても、京大高等教育センターが役割を果たしてきたことがわかります。

しかしながら、京大高等教育センターの廃止や業務の終了について、学内での十分な議論や検討も行われず、執行部の判断のみで決定したとみられ、そのような形で、わが国の高等教育とオープンエデュケーションを公に担ってきた中核機関が理不尽に失われることに、大きな失望と憤りを抱くばかりでなく、何よりも、教育を支える公共財に対する攻撃に対する危機感を禁じ得ません。

通常、組織の改廃の際には、機能の移管があわせて実施されることが多いと思いますが、今回の京大高等教育センターの廃止については、ほとんどの業務が終了する、ということが報告されています。これは、日本を代表する大学である京都大学が教育を軽視しているということ、そして、これまで京都大学が日本の大学教育に果たしてきた役割をも切り捨てる、と判断した、と認識せざるを得ません。

廃止の理由については、Business Insiderの取材(「京大の「知の共有財産」喪失に危機感。組織改編で廃止のセンター、軒並み「業務終了」」22/8/8)によると 「高等教育研究開発推進センターの廃止は、大学全体の全学機能組織の見直しの中で決まったものです。オンライン教育・ICT教育については、本学の学習支援システム(PandA)やZoom等のオンライン会議システムを活用して対応しています。個別具体の検討状況はお答えしかねますが、時代のニーズに対応した教育内容・体制の改善を進めていきます」(京都大学広報課)という回答がなされています。しかしながら、今回の京都大学高等教育センターの廃止や業務終了と、今後のオンライン教育・ICT教育で対応するとしている回答の内容がずれており、適切な理由の説明になっていません。

京都大学OCWのWebサイトには「OCWは今世紀に入りオープンエデュケーション/教育のオープン化と呼ばれるムーブメントの中で広がってきた取り組みで、2019年にはユネスコでOER勧告(ICTを利用した教育のオープン化に関わる教材のグローバルな普及促進に関する勧告)が全加盟国の一致でなされています。国連加盟国である日本もユネスコの勧告を受け、今後、教育のオープン化に関わる取り組みが広がってくると思われます。2005年の立ち上げ以降、その一端を担ってきた本学のOCWがこのような形で失われることは残念でなりません。」とあります。このように、国内、海外においても、オープンエデュケーションや教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が指摘されている状況で、このような判断をした理由を説明する責任があると考えます。これまで長い年月をかけて蓄積されてきた教育コンテンツや、構築してきた教育支援の組織体制を一度失ってしまうと、再度構築することは難しく、大きな労力がかかる、ということを知っていただきたいと思います。

京都大学執行部には、京大高等教育センターをなぜ廃止としたのか、なぜ、ほとんどの業務を終了としたのか、その理由を説明していただきたい。そして、日本の高等教育の発展のためにも、京都大学 高等教育研究開発推進センターの機能存続を求めます。

 

この文章を読んでくださった皆さん、どうか、署名への賛同をお願い致します。

 

<発起人>(敬称略)

・村上 正行(大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部 教授/スチューデント・ライフサイクルサポートセンター 副センター長)

・重田 勝介(北海道大学情報基盤センター 准教授/大学院教育推進機構オープンエデュケーションセンター 副センター長・オープン教育開発部門長)

<賛同人>(敬称略)

・杉本 義行(成城大学)
・本間 正人(京都芸術大学)
・望月 俊男(専修大学)
・山田 剛史(関西大学)
・神藤 貴昭(立命館大学)
・杉原 真晃(聖心女子大学)
・大山 牧子(大阪大学)
・畑野 快 (大阪公立大学)
・河井 亨 (立命館大学)
・斎藤 有吾(新潟大学)
・蒋 妍  (早稲田大学)
・谷 美奈 (帝塚山大学)
・小山 理子(京都光華女子大学短期大学部)
・長沼 祥太郎(九州大学)
・澁川 幸加(中央大学)
・山田 勉 (名古屋市立大学)
・鄭 漢模 (三重大学)
・勝又 あずさ(成城大学) 
・神谷 健一(大阪工業大学)
・坂田 信裕(獨協医科大学)
・道幸 俊也(関東学院大学)
・大津 史子(名城大学)
・鈴木 浩子(日本薬科大学)
・木村 修平(立命館大学)
・芳賀 瑛 (東京大学)
・矢野 浩二朗(大阪工業大学)
・吉冨 賢太郎(大阪公立大学)
・田中 浩朗(東京電機大学)
・杉山 芳生(藍野大学)
・上野 雄史(静岡県立大学)
・駒込 武 (京都大学)
・藤原 辰史(京都大学)
・大河内 泰樹(京都大学)

<メディアでの報道>

「京大の「知の共有財産」喪失に危機感。組織改編で廃止のセンター、軒並み「業務終了」」(Business Insider 2022/8/8)

「どうなる京都大学のユーチューブ講義 10万人登録も廃止方針、研究者反発」(京都新聞 2022/8/19)

「京大の“無料講義”が存続危機 センター長「教育資産の損失は計り知れない」」(Abema Times 2022/8/21)

「京大が無料公開動画「終了」表明 学内外から異議「時代に逆行」」
(朝日新聞 2022/9/10)

 

オンライン署名の最新情報