Обновление к петицииファナックはイスラエルの“死の商人”に武器製造ロボットを売るな! #StopFANUCNow拡大するデュアルユース問題とファナック社のジェノサイド加担
BDS Japan BulletinЯпония
5 дек. 2024 г.

拡大するデュアルユース問題とファナック社のジェノサイド加担 

 昨年10月7日以降、イスラエルのガザ攻撃が長期化する中、あらためて日本企業のジェノサイドへの間接的な関与が市民社会の重要な課題となっている。

 イスラエルの占領とアパルトヘイトに対する企業の責任を問う運動としては、BDS(ボイコット・資本引揚げ・制裁)キャンペーンが2005年以降、20年にわたり取り組まれている。10・7以降、同キャンペーンの対象とされている日本企業として、世界有数のロボットメーカーであるファナック社(本社・山梨県南都留郡)がある。同社が、ガザで使用されている155mm榴弾の製造工場にロボットを供給しているためである。

1. ガザにおけるジェノサイドと155mm榴弾

 155mm榴弾は、地上からの砲撃に用いられ、着弾後2000以上の破片を爆風とともに四方に炸裂させ、半径300メートル以内にいる人間を殺傷する兵器である。通常、誘導装置がなく誤差がおよそ25mと大きいため、人口密集地で用いられれば、国際人道法で義務付けられている戦闘員と非戦闘員との区別を行うことが不可能である。そのため、2008-9年および2014年のガザ攻撃においても、イスラエルが戦争犯罪を行っていることの根拠として、この兵器の多用が指摘されていた。

 ロシアのウクライナ侵攻後、西側諸国からウクライナへの155mm榴弾の供給不足が大きな問題となった。2023年1月には、米国がイスラエルと協定を結び同国に設置している戦時武器弾薬庫に貯蔵されていた155mm榴弾数十万発をウクライナに供給する計画を米国防省が発表、危機感を持ったイスラエルは155mm榴弾の国内生産体制拡大を目指すことになり、2023年8月以降、同国最大の軍需企業エルビット・システムズ社が独占受注するに至った(2023年度内で7億6000万ドルの受注)。

 こうして、大量かつ高速の榴弾生産を可能とする体制の構築を急いだエルビット社は、すでに英米大手軍需企業で実績のあるファナック社のロボットを導入することとなったのだと推定される。鋼製の榴弾本体を鋳造するのに1000~2000度に熱せられた数十キロの鋼鉄の塊を何工程にもわたって移動させていく必要があり、その移動を素早く安全に行うため高性能の産業用ロボットが決定的な役割を果たしているのである。

 10・7が勃発すると、イスラエルからウクライナへの155mm榴弾移送計画は中断し、榴弾の一部をイスラエルの地上作戦のために転用する計画が持ち上がった。これに対し、人道支援NGOオックスファムや多数の人権団体が、戦争犯罪防止の観点からイスラエルに対する155mm榴弾の供給中止を米国にもとめる声明や公開書簡を発表し、155mm榴弾問題は、人道問題・人権問題として再び注目を集めることとなった。

2.155mm榴弾製造に用いられるファナック社製ロボット

 この155mm榴弾の製造工場でファナック社のロボットが使われているという情報が、私の関わっているBDS Japan Bulletinに寄せられたのは今年1月のことである。当初は、イスラエルに155mm榴弾を輸出している可能性の大きい米ジェネラル・ダイナミクス社や英BAE社の工場でファナック社製ロボットが使用されていることが当該企業の宣伝映像やニュース映像から確認されていたものの、エルビット社での使用は必ずしも明確ではなかった。

 しかし、その後、イスラエル防衛省のフェイスブックページでエルビット社の155mm榴弾製造工場でファナックのロボットが稼働している様子がはっきりと映っていることが確認された。加えて、イスラエルの他の軍需企業(BSEL社、ローゼンシャイン・プラスト社等)でもファナック社のロボットや電動射出形成機などが使用されていることが、企業のホームページ等から判明した。

 これらの事実にもとづき、私たちは、今年2月から署名キャンペーンを開始、これまで3月22日と6月27日に、山梨現地や東京の市民グループと協力して提出行動を行ってきた。

 オンラインメディア「ハフポスト」の取材で「イスラエル軍事企業にファナックの製品・サービスを販売した事実」の有無について質問されたファナック社は、「当社および当社欧州子会社からイスラエル企業に対して、軍事的な用途の販売は行っていません」と回答している(Maya Nakata「『イスラエルの虐殺に加担しないで』ファナックに対する署名活動に賛同広がる。産業用ロボットの世界4大メーカーの一つ」、2024年3月20日付)。

 ところが、回答の全体をよく読むと、欧州法人が、商社・システムインテグレータ等に製品・サービスを販売する際の安全保障上の制限は大量破壊兵器用途かどうかに限られ、そうした中間業者経由でイスラエルの企業に製品・サービスが販売された場合、それらが(大量破壊兵器以外の)軍事的用途かどうかのチェックは、事後的にイスラエルへの販売が判明した場合に限られるということである。したがって、エルビット・システムズ社がファナック社欧州法人から中間業者を通じて155mm榴弾製造用にロボットを購入する場合、事前にチェックされることはないということになる。同じことが米国法人経由の場合にも言えるであろう。

 ファナック社は、日本企業として、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」を軸とする日本の安全保障貿易管理制度の下で国際ビジネスを展開している。日本の輸出管理制度は、規制対象をリスト化した「リスト規制」と、「リスト規制」非該当で、用途や需要者に応じて規制する「キャッチオール規制」を二本柱としている。米国や西欧諸国については「グループA」としてそれらの規制を大幅に免除されているが、イスラエルは「グループA」には入っておらず、核兵器保有国でもあるため、ロボットや工作機械の輸出が規制対象となる可能性がある。ところが、欧州(あるいは米国)の子会社と中間業者が間に入ることで、そのリスクを事実上スルーできるのである。

 こうした問題はファナック社に限ったものではない。昨年11月、日経新聞の調査で、世界最大手の工作機械メーカーであるDMG森精機ドイツ法人が製造した五軸加工機が、中国の核開発研究機関「中国工程物理研究院」(CAEP)で使用されていることが明らかにされ、業界に衝撃が走った。森精機によれば、このケースは、別企業に民生用で販売したものが移転されたのだという。

 なお、高精度の五軸加工機は、ウラン濃縮技術に必要な真空ポンプの製造に使えるため、「リスト規制」の対象で輸出許可申請が必要となっている。しかし、155mm榴弾の製造にかかわるファナック社のロボットについては、核兵器製造とも関係なく、また、イスラエルは「国連武器禁輸国」でもないため、「リスト規制」対象外であり、現状では「キャッチオール規制」の対象となる可能性も高いとは言えない。そのため、ファナック社は、外為法を盾に、まったく悪びれる素振りを見せていない。

3.問われる企業および日本政府の「虐殺防止責任」

 それでは、日本製ロボットが、4万人を超す犠牲を生んでもなお止まる気配のないガザ虐殺で使用されている兵器の製造に用いられている状況を阻止する手立てはないのだろうか? これについては、大きく二つの可能性を指摘することができる。

 第一に、「ビジネスと人権」に関する国際的な認識の高まりの中で、ファナック社が主体的に問題に向き合うことを期待したい。ファナック社が、市民の声に謙虚に耳を傾け、イスラエル軍に武器・弾薬を供給する軍需企業に対する製品・サービスの直接・間接の提供を全面的に中止する決断を行うことは、ロボットの軍事利用に歯止めがかからない現状に対する一企業による重要な行動モデルの提示という意味を持ち得るものである。

 同社が「国連ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的人権規範の尊重を「人権方針」の中で掲げていること、また、2024年1月の国際司法裁判所(ICJ)による暫定措置命令で、ジェノサイドを防止するためのあらゆる措置を取ることがイスラエルに命じられ、これを踏まえ伊藤忠商事がエルビット・システムズ社との協力覚書を終了した前例があることを考えれば、決して非現実的な期待とは言えない。

 なお、2022年9月には、日本政府は「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を定め、「指導原則」が求める人権デューデリジェンスに関して、「企業は、自ら引き起こしたり(cause)、又は、直接・間接に助長したり(contribute)した負の影響にとどまらず、自社の事業・製品・サービスと直接関連する(directly linked)人権への負の影響についてまでを、人権 DD の対象とする必要がある。また、実際に生じている負の影響だけでなく、潜在的な負の影響も人権 DD の対象となる」としている。

 第二には、日本政府が、現行の安全保障輸出管理制度を改正し、イスラエルに対する武器およびデュアルユース製品の供与について、より厳格な基準を採用することを期待したい。2023年1月、日本政府はロシアに対する輸出禁止貨物にロボットを追加する閣議決定を行った。ここでのロボットの位置づけは「軍事能力等の強化に寄与し得る汎用品」である。これは、それ以前の工作機械等の輸出禁止措置など、段階的に行ってきた制裁措置の一つである。

 2024年4月には、経産省の諮問機関である産業構造審議会に設置された安全保障貿易管理小委員会が安全保障貿易管理のあり方を検討する「中間報告」を取りまとめ、「汎用品・汎用技術の軍事転用可能性の高まりに対応した補完的輸出規制の見直し」が提言された。補完的輸出規制とは、主としてキャッチオール規制のことである。

 ジェノサイドを予防するあらゆる措置の義務化を要請したICJ暫定措置命令を尊重するのであれば、日本政府は、すべてのイスラエル企業およびイスラエルと取引関係にある軍需企業への武器・デュアルユース製品の全面禁輸を実施しなければならない。

 また、ファナック社等、日本のロボットメーカーは、海外法人経由や中間業者によるイスラエルの軍需企業へのロボットや工作機械の輸出を防ぐための具体的措置を取ることが必要である。そのためには、システムインテグレータ等中間業者への販売を含め、エンドユーザーが在イスラエル企業となる場合の軍事用途使用防止の確約や移設検知装置搭載を条件付けることが必要である。また同時に、イスラエルに武器を輸出している欧米企業等への製品・サービス販売についても、同様の措置を取ることが必要であろう。

 もしこうした措置による実効性の確保が困難なのであれば、日本の企業は、日本政府による対イスラエル輸出規制厳格化に先立ち、イスラエルへのロボット・工作機械の輸出中止を自ら率先して実施すべきである。

4.ファナック社がスポンサーに名を連ねる日本ロボット学会学術講演会

 最後に、2024年9月3日から6日にかけて大阪工業大学で開催された日本ロボット学会の「学術講演会」についても触れておきたい。会員3600人で、発表数802件というメガ学会によるメガイベントの「ゴールドスポンサー」にはファナック社が含まれており、同社社員による発表もあった。

 BDS Japan Bulletinは他の市民団体とともに8月26日付で、学会理事会および大会実行委員会宛に、ファナック社等の問題を指摘し、「ロボットの軍事利用・戦争犯罪加担を防ぐための議論の場を早急に設け」ること、そのうえで、「行われた議論を次回のスポンサー選定などの機会に活か」すこと等を求める要請書を送付したが、10月1日現在、学会からの回答はない。また、大会初日には大阪で活動するパレスチナ連帯グループ「関西ガザ緊急アクション」による抗議行動が呼びかけられ、参加者へのビラ撒きなどが行われた(ページトップの写真)。

 注目されるのは、5日午後のプログラムに掲載されている、防衛大の研究者5名(辻田哲平・佐久間大・山田俊輔・江藤亮輔・黒﨑将広)による「ロボット兵器システムによる特別保護対象者に対する攻撃の国際人道法に基づいた規制方法の検討」という発表である。残念ながら筆者は参加できなかったが、これは、防衛省において自律型(致死)兵器に関する研究が具体的に進められていることを示している。

 問題は、こうした極めてデリケートかつ重要な問題に関する研究が狭いサークルに閉じたかたちで行われていることであるように感じる。安全保障研究、平和研究、国際政治論、国際法等の様々な専門分野、さらには関連NGO等、市民社会に議論を開いていく仕組みが決定的に欠けている。これだけ大きな学会でありながら、ロボットの研究・開発が日本社会・人類社会に及ぼす影響について議論するセッションが一つも用意されていない状況は、研究者の集団として無責任としか言いようがなく、早急に是正されるべきである。

 ファナック社の問題は、デュアルユースやAI兵器といった人類的課題における氷山の一角に過ぎない。本来であれば、関連企業や業界団体等のロボット・工作機械業界や関連行政、政治家、国際機関関係者、研究者、市民団体を含めたかたちで幅広い視野から議論することが必要な問題である。そうした共通のプラットフォームの形成は、それぞれの「タコツボ」から各自が手を伸ばしてみないことには始まらないように感じる。(役重善洋)

※この文章は、『軍学共同反対連絡会ニュースレター』 第94号(2024年10月15日)掲載記事を同会の了解を得て転載したものです(関連リンクや若干の修正を加えています)。なお、『軍学共同反対連絡会ニュースレター』 のバックナンバーは、同連絡会HPより全号を閲覧することができます。

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