

ヤマト運輸の長尾裕社長は、6月19日に開いた記者会見で「(2024年1月31日の一斉契約解除・解雇後の)次のキャリアをどう作っていくか、全力でサポートを推進していく。丁寧に進めて参りたい」と発言したと報道されています。
参考記事:https://toyokeizai.net/articles/-/708464?display=b
「全力でサポートを推進」という言葉から想像されるのは、たとえばヤマト運輸から日本郵便にネコポス・DM便の業務が移管されるわけですから、ヤマト運輸から契約解除・解雇されるみなさんが日本郵便で同等の労働条件で同種の業務に就けるように、ヤマト運輸と日本郵便で取り決めを行う、といったことでしょうか。
しかしその実態は、こうした想像からはかけ離れたものであることが判明しました。私たちの元に、とある方からの情報提供により、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社が発行した「セカンドキャリア支援利用マニュアル」という資料が届いたのです。
このマニュアルによると、ヤマト運輸が「全力でサポートを推進」した結果を受け取るには、まずはヤマト運輸が準備した特設サイトにユーザー登録を行う必要があるとのことでした。就職・転職サイトなどでよくみられるパターンですね。そして登録後に受けられる「サポート」は以下の通りです。
以下の「求人案件の閲覧」と「応募」が可能となります。特設サイトのトップ画面には5つのリンクがあり
①日本郵便(JP)の求人の検索
②JP以外の求人の検索
③希望のエリアや現在地から検索
④4つの職種から検索
そして
⑤パソナキャリア支援サービス(!)への外部リンクにとぶ
ということができるというのです。2023年8月にヤマト運輸人事部が出した文書に記載されている「転職支援プログラムについて」という項目には、「雇用求人情報のご紹介となります。業務委託契約のご紹介ではありません」と書かれています。あっせんではなく「求人情報のご紹介」だということは、これは検索の幅が絞られているということ以外、よくある転職サイトと一体なにが違うのでしょうか?
そしてサムネイル画像にもなっている⑤についてです。この資料には「パソナキャリア支援サービスについて」というページがあり、「■パート&クロネコメイトの方々に向けに専用サイトを構築致します~パソナでは専用サイトを構築し、各エリアのパート求人情報と応募に向けたノウハウ提供を実施致します」と書かれています。どんなノウハウが提供されるのか、挙げられている例をすこし紹介したいと思います。
基本編
●求人情報のつかみ方
-求人情報の探し方
-ハローワークの活用
-応募時の電話対応
●応募書類
-履歴書の基本
-良い履歴書の例
ノウハウ・応用編
●再就職活動の心構え
●応募書類のポイントを動画で振り返る
●応募書類の送り方
●面接の受け方
などなど
書いていてだんだんと腹が立ってきましたが、これは「はじめてのアルバイト」とか「はじめての就職活動」とかのマニュアルなのでしょうか? 社会経験あるクロネコメイトやパート職員のみなさんが、ヤマト運輸に契約解除・解雇された後の「サポート」だと称して、このようなテキストを読まされるのだとしたら、これほど人を馬鹿にした話はないのではないでしょうか。これは労働者の尊厳を著しく傷つけるものです。
そして、このような特設サイトを構築するには、おそらくそれなりの金額がかかることでしょう。今ヤマト運輸がすべきことは、このようなサイトをパソナや業者に発注することではなく、そのお金を自分たちの都合で契約解除・解雇しようとしている労働者のために使うことではないでしょうか?
ヤマト運輸はその名を知らぬ人がいないほどの巨大有名企業であり、2023年3月期の売り上げは1兆6845億円、内部留保金は1864億円あるそうです。ヤマト運輸が本気で「全力でサポートを推進」したならば、こんな支援策になるはずがないのです。10/16の記者会見のあと、ある記者の方が私たちにこう漏らしました。「どうしてわざわざ切るんですかね? (業務移管で)仕事があるんだから(ヤマト運輸から日本郵便に)スライドできるようにすればいいじゃないですか? 非合理的ですよね」。まったくその通りだと思います。
ヤマト運輸の「全力」をみせてください。その力を労働者のために使ってください。
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