Petition update求む「守り人」! 若者と地域を侵す香川県のゲーム規制条例を改廃させよう!ゲーム条例関連時事レポート(2024年10月~2025年8月)
きしもと みつひろJapan
Aug 28, 2025

キャンペーンに賛同いただきました皆様へ

 

お世話になっております。

 

私は、香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(以下、ゲーム条例)そのもののほかに、ゲーム行動症の報道のされ方など、関連する動静も追っています。

今回は、2024年10月から2025年8月中旬までに、香川県内外で起こった関連時事を紹介させていただきます。

なお、訴訟関係は こちらのレポート で扱っていますので、本稿では除外させていただきます。予めご了承ください。

 

[ 補足 ]

2024年9月19日、厚生労働省は、WHO(世界保健機関)のICD-11(国際疾病分類および関連健康問題 第11版)に収載されている「Gaming Disorder」の日本語訳を「ゲーム行動症」とすることを正式に決定しました。これを受けて、本キャンペーンでは、以降「ゲーム依存症/ゲーム障害」は「ゲーム行動症」と記述および呼称します。

 

< 1.国政におけるゲーム条例関連の動静 >

1.第3期第1回 のゲーム行動症勉強会が開催される > 関連情報

2025年3月4日、衆議院第二議員会館で、自民党所属の赤松健氏と山田太郎氏の主催によるゲーム行動症勉強会が開催されました。この勉強会の開催目的は、厚生労働省や文部科学省、警察庁、こども家庭庁などの政府機関の関係者に対して、科学的根拠に基づかないICTサービスの使用規制を国の施策に変換させないよう、エビデンスベースの正確な知識やデータを共有してもらうためです(Evidence-Based Policy Makingの推進)。

今回は、Peer心理教育サポートネットワーク理事長の小山秀之氏を招き、ゲーム行動症と不登校の関係をテーマに講演が行われました。

誤ったメディアの報道や行政による啓発資料では、ゲームを遊びすぎると不登校になりやすい旨の記述がされますが、実際は逆です。そのようなことを勉強会で扱ったものと推測します。

 

2.参議院議員選挙で山田太郎氏が再選される

2025年7月20日、参議院議員選挙が行われ、山田太郎氏が再選されました。氏は、前述の官僚向けゲーム行動症勉強会の主催をはじめ、科学的根拠に基づかないICTサービスの使用規制を国の施策に変換させないための職務活動に精力的に取り組んでいます。赤松健氏も同じ理念の下国会議員としての職務活動を行っていますが、赤松氏は政務官の職に就いているので柔軟に動くことに少し制約があります。また、赤松氏は、知財関係は強いですが、子どもの自殺や不登校対策など、ゲーム行動症関連の施策を合わせて手掛けている山田太郎氏ほどの専門知識は備えていません。そのため、山田太郎氏が再選されることは、国策としてエビデンスベースの正しいゲーム行動症対策が行われる道筋が確実に確保され、延伸されていくことを意味します

科学的根拠に基づかないICTサービスの使用規制が正しいと誤認している官僚は多いです*1。それもあることから、山田太郎氏の再選は、ゲーム条例等の非科学的ゲーム(含む個人用ICTサービス)規制に抗う有志や地方議員にとって頼もしいサポートになります。

 

< 2.香川県内におけるゲーム条例関連の動静 >

1.県議会でゲーム条例に関する議論が行われる > 報道記事

2024年10月2日、香川県議会の文教厚生委員会で、植田 真紀県議がゲーム条例について、効果があったのか、また、効果測定を第三者に検証してもらい、結果を公表する意思があるのかを質しました。これに対する県の回答ですが、効果があったのかについては「一定の効果が出ている」、一方、第三者による検証については「県議会には報告している」との答えが返ってきました。また、ネット・ゲーム依存症という言葉についても植田氏は質問。それについて、県は「疾病名ではなく、条例上で定義する状態像」と回答。

しかし、植田氏が記者のインタビューで答えたとおり、正確な専門知識のない人は、依存症という名前が付された時点で、その対象を「病気」と認識します。ゲーム条例なら「ゲームを遊びすぎるとゲーム行動症という病気になる」の認識になります。このような認識になるからこそ、ゲームを普通に楽しむ子どもまで巻き込んで偏見や誤解を与える恐れのあるゲーム条例について、私も、最低でも見直しは不可避と考えています。

さて、効果はどうか、と先ほどありましたが、「ない」ようです。県教委の調査によると、小学4年生以上では、ゲーム条例で定めた「1時間以内」は減り、「3時間以上」が増えています。県教委は「児童生徒と保護者との間で認識の差がみられるので、ルールの内容や設定方法について親子で一緒に考える機会を増やす対策をしていきたい」とコメントをしています。

日常生活で受けるあらゆるサービスや娯楽がオンラインでのアクセス前提で構築されている日本国内の現状では、そのアクセスの窓口として主に使われるスマホ等のモバイル端末の使用時間が長くなるのは必然といえます。このため、使用時間を上から目線で一方的に制約する方向ではなく、タイムマネジメント力の育成や、使用時間が長くなっても健康を損ねにくい知識の啓発のほうが妥当と個人的には感じます。

 

2.県主催のゲーム条例に関する勉強会が行われる > 報道記事

臨床現場の面では、昨年に続き、ゲーム条例の誤った内容を演繹的に指摘する動きが見受けられます。

2024年9月26日、香川県坂出市にあるこころの医療センター五色台高松市で、香川県の主催によるゲーム行動症に関する学習会が開催されました。この学習会で講演したセンター長の佐藤 仁氏は「不登校(引きこもり)になった子どもにとってはゲームが唯一の居場所。これを取り上げることは、その居場所すら奪う残酷極まりない行為。親などの支援者は、ゲームを取り上げるよりも、まず、ゲームばかりするようになった背景をもう一度立ち返って一緒に考えてあげてほしい」と説いていました。

昨年開催された同様の学習会でも、境 泉洋氏(宮崎大学教授)は異口同音で同様のことを話しました。

これは、ゲームなどの個人向けICTサービスの過剰使用、すなわち、ゲーム条例に言う「ネット・ゲーム依存症」は必ずしも「異常な状態ではない」ことを指摘した形になります。香川県および香川県議会はこれを真剣に受け止める必要がありましょう。

 

3.ネット・ゲーム依存予防対策学習シートの致命的な誤りに対して改善が入る > 関連情報

ゲーム条例の施策の一環として、県内の小中高校に配布されている啓発資料「ネット・ゲーム依存予防対策学習シート」について、今年のもの*2 は、専門家から指摘されていた重大な誤りの1つ「ゲームの過剰使用による脳への影響を示す図と、それに関する説明」が削除される改善が入りました。また、心の深刻な悩みとゲームの過剰使用との関係についての臨床的に正確な記述が追加されるなど、改善の傾向があります。しかし、全体的に見れば、欠陥のほうが相変わらず目立っています。そのため、エビデンスに則した記述ではない箇所については、引き続き、改善を求めていかなければなりません。

この改善で注目したい点は、学習シートを改善すればするほど、学習シートは、学習シート自身とゲーム条例に対してそのデタラメさを指摘する形で牙を剥く結果になることです。先ほど、「心の深刻な悩みとゲームの過剰使用との関係についての臨床的に正確な記述」が追記された改善点を挙げましたが、これは、同時に、ネット・ゲーム依存症という「ゲームの過剰使用の状態」は「異状ではない場合がある」事実を、学習シート自身とゲーム条例に突き付けた結果になっています。当然の帰結です。ゲーム条例やそれに準拠した啓発の内容がそもそも異常だからです。

これにより、ゲーム条例は、素案の公表時から県外から内容の誤りを指摘され続けている今の状態に加え、県内、しかも、仕事仲間(の県教委)からも内容の誤りを実質的に指摘され始める、内憂外患の事態へ陥り始めたといえます。

 

4.県主催のゲーム行動症寛解支援キャンプが行われる > 報道記事

お盆休み明けの2025年8月17日から23日まで、高松市にて、県税を投入した形では3回目になるゲーム行動症治療キャンプが実施されました。キャンプの主催者は香川県、実施者は、高松市内でゲーム行動症の診察を行っている三光病院です。参加者の目線では、このキャンプでゲーム行動症が少しでも寛解すればよいことになりますが、治験としては疑問が残ることが行われています。それは、以下の事柄が挙げられます。

  • 「効果が薄い」とのエビデンスがある認知行動療法を採用している*3キャンプ内講演会に招聘したゲーム行動症罹患経験者が、実はゲーム行動症になっていなかった疑いがある*4
  • 三光病院は、効果が出そうな被験者のみを選抜したうえでキャンプを実施した疑いがある*5

特に、最後の項目は、治験データの属性を偏らせ、「効果がある」との検証結果を導きやすくする細工が容易にできます。それを受けた事後検証の結果も、必然的に「結果ありき」の「偏ったもの」になる確率が高くなります。

また、「ICTサービスの利用習慣の見直し」がこのキャンプの目的なら、それは、ICD-11 にいうHazardous Gaming (意訳:健康を損ねる恐れのあるビデオゲームの運用)の是正のほうに該当します。この事象は、ゲーム行動症とは全く別のものであり、かつ、病気として分類されていません。これは、本来の使途から逸脱した用途に県税が投じられたことを示唆します。応募用パンフでも「対象は、ネット・ゲームの利用を見直したい県内の青少年」とある*5ので、本来の使途から逸脱した用途に県税が投じられている懸念は年々高まっているといます。

ちなみに、このキャンプは、テスト版を含めると4回目の実施となります。しかし、上述した懸念事項は一切払拭されていません。

 

< 3.県外におけるゲーム条例関連の動静 > 報道記事

1.ゲーム条例に酷似した条例案が愛知県豊明市で公表される

2025年8月21日、秋田県大館市につづき、ゲーム条例に酷似した、科学的根拠に基づかないICTサービスの使用規制を掲げる法令が、愛知県豊明市で策定されようとしていることが明らかになりました。愛知県豊明市での当該条例の名称は「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例*6」です。

本稿投稿時点では、この条例は、市が議会に提出した「案」です。特徴は以下の通りです。

  • 「市民全員」が対象
  • 「業務以外」に用いる個人用ICT機器とICTサービス全てが対象
  • 上記の用途における個人用ICT機器の使用時間を2時間以内に制限させる
  • 上記の制限時間を守ることは努力規定で罰則は設けない
  • パブリックコメントを募らない
  • ゲーム条例と同じ理念条例

ゲーム条例は素案の段階では、対象の機器が「個人用ICT機器とICTサービス全て」だったので、豊明市の条例はゲーム条例の「人への対象」拡張版といえます。

ちなむと、1日X時間以内に使用時間を制限すればネット/ゲーム/SNS依存(症)が予防できることを確証させた医学的根拠は、本稿掲出時点では「この世にありません」。 このエビデンスから、この条例案も、ゲーム条例と同じで、非科学的な根拠だけで決められた根拠薄弱な法令であることは明確です。条例の制定理由に「不登校の抑止」を掲げています*7が、臨床の現場から見れば、ネット/ゲーム/SNSの過剰使用が不登校の直接的原因ではないことがほとんどです。豊明市は何の資料を見てこの条例を策定したのか、疑問に残ります。

それも含め、以下の点も問題です。これらはゲーム条例のそれと同じです。

  • 規制の数字が非科学的な理由による設定である医学的な問題点
  • 家庭内の問題に政治が介入する内容である法的な問題点がある
  • 業務(勉強、仕事)、余暇の定義が曖昧な点
  • 今の親御さんや子どものICTの利活用のシーンを一切見ていない

また、この根拠薄弱な時間制限の理由を、ICTリテラシーなどの関連分野の知識を捻じ曲げて正当化した内容の啓発や施策が「市税を使って」展開されるであろうことも問題です(香川県が実際にやっている)。「真の有害情報」が市によって学校や医療機関経由で流布されるなど、許してよいはずがありません。

一番の問題点は、法(子ども基本法11条や日本国憲法13条、21条)に抵触する恐れがあるにもかかわらず、行政が市民の自由を不当な理由で拘束しているこの条例に豊明市が一切の非を認めていないことにあるでしょう*8。また、パブリックコメントを募らないので、条例の影響を受ける市民の意見を一切聞かない驕慢な姿勢も見て取れます。

それゆえに、この条例案も、ゲーム条例と同じように、専門家からは、問題点を厳しく指摘する見解が すでに公表 されています。その内容もゲーム条例と全くと言ってよいほど同じです。

 

[ さいごに ]

ゲーム条例の違憲性を問う手段では、同条例の改廃が極めて困難であることが明らかになりました。しかし、同条例の内容が懸念だらけである現実は変わりません。

また、特に未成年を対象とした個人用ICTサービスの使用規制は、香川県限定の問題ではありません。「ゲーム行動症/インターネット依存症の予防」や「健全な青少年の育成」を掲げ、ICTサービスの適切な利活用に対する意欲まで削ぎ取る、非科学的な根拠に従ったICTサービスの使用制限を目論む地方自治体は「これからも出てきます」。それらの施策は、長じれば、日本国の衰退をさらに早めます。

以上のことから、ぜひ、機会を設けて、ご家族や知人らと「行政機関による、ビデオゲームを含めた個人利用のICTサービスの使用規制」の問題点について話し合うことをお勧めいたします。もし、可能であれば、本キャンペーンにおける署名への協力を依頼していただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

主催者 きしもと  みつひろ

 

[ 参考資料、引用元 ]

 

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