
みなさま
5月28日、参議院で全会一致により、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が可決されました。日本で初めて性暴力に特化した法律です。私は3月22日の与党ヒアリングに参加して意見を述べ、一部の意見がこの法律に取り入れられる見込みであったため、参議院に傍聴に行きました。この法律ではまだ課題も多いことから重たい気持ちではあるのですが、議員の方が全員立って賛同した時は涙が出ました。
新法の内容は、もちろん他の方が主張していたこととも重複していると思います。しかしながら、私が政策提言を提出した昨年9月12日から1年足らずで新法が成立したことは、みなさまの応援やご協力のおかげです。
Change.orgで掲げていた私の提言10 のアクションと他の意見がどう新法に反映されたか、簡単にお伝えします。
(1)文部科学省による懲戒処分の基準・調査方法の統一。原則、懲戒免職を求める。→ X (新法)明記されず。懲戒処分については、文科省が原則懲戒免職と教育委員会等に通知していますが、いまだに実行されていません。新法では懲戒免職の明記がありません。
(2)第三者委員会による調査を必須とする。→ X (新法)専門家の協力を得て調査、と明記されましたが、「中立」「公平」「透明性」などの文言がありませんでした。
(3)教員免許の再取得を不可とする→△(新法)児童生徒に性暴力をおこなって免許を失効した者には再交付不可。各教育委員会の裁量権によって再交付が可能。
(4)依願退職・異動によって教師に責任回避させない。追跡調査できる仕組みを作る。定年退職した教師に対しては、退職金返納など何らかの罰則を設ける。→ X(新法)記載なし。4月9日の文科省から私立学校への通知に記載あり。
(5)他の教師による通報の義務化、連携できる職場環境→△(新法)教員や保護者による通報義務が明記。ただし内部告発のリスクからどう教員を守るかの記載はなし。自治体と警察などと連携する連絡会などの提案の記載あり。
(6)疑いのある教員を一時的に現場から離れさせる。→ X(新法)記載なし。
(7)教員への、性暴力やその対応に関する研修。→◯(新法)記載あり。
(8)生徒及び教員への定期的な実態調査。→◯(新法)記載あり。
(9)教員採用時に、子どもへの性暴力の可能性チェック。→X(新法)記載なし。
(10)恋愛など教師と生徒以外の関係の禁止。ヒアリングでは「在学中、18歳未満、高校生は恋愛や疑似家族などの関係を禁止」と主張。→◯(新法)在学中、卒業後も18歳未満または高校生は禁止。ただし有害なものに限る。(16歳以上の女子で真摯な恋愛による結婚を考慮)
今回の法律で重要なのは、(10)の内容です。児童生徒に同意があっても教員による性的な行為を禁止しています。ただ、条文ではわかりにくい記載です。
他に私の意見が反映されたのは、「児童生徒性暴力」という名称です。「わいせつ教員」とよく報道されますが、「被害を矮小化し、被害者も傷つく表現なのでわいせつではなく、性暴力と明記してほしい」と要望しました。
上記のように、新法で意見が反映された部分もありますが、第三者委員会等による調査や懲戒免職など保証されていない部分や罰則規定がないので、今後どのように政府や文部科学省が基本方針を作り、教育委員会や私立の学校法人に運営されていくかがポイントです。
皆まさには、新法ができて万歳、ではなく、注視してもらいたいと思います。
ご協力ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
2021年5月31日 石田 郁子