火打山・高谷池ヒュッテの水洗トイレを、速やかにバイオトイレなど、環境への負荷が少ないものに戻してください

0 人が賛同しました。もう少しで 2,500 人に到達します!


現在、火打山(妙高戸隠連山国立公園)の高谷池ヒュッテでは、水源である高谷池の水量が減り、宿泊者には節水を、テント場利用者には水を持参くださいという案内がされています。

理由は、晴天が続いていることによる水不足…ということになっていますが、主な原因は、妙高市が高谷池ヒュッテのトイレを水洗化したことにより、水源である高谷池の水量が減ったためだと思われます。

新潟ライチョウ研究会代表 長野康之と、INField代表(登山ガイド)中野豊和は、この状況の改善を測るため、署名活動にて「バイオトイレなどの設置による環境への負荷軽減活動」への賛同をつのるべく、本サイトで公開します。

 これまで高谷池ヒュッテは環境への負荷が少ないバイオトイレでした。成績もよく(10年間汲み取りなどはなし)、何ら問題はありませんでした(多少においはありましたが…)。水源は高谷池のみであり、計画段階から水洗トイレの問題点は指摘され続けていたにも関わらず、妙高市は水洗化の工事を進めました。これにより、現在になって下記に記すような問題が顕在化してきています。ヒュッテのスタッフも心を痛めています。

 これまで私たちは、妙高市に対して一市民として、ライチョウや高山環境保全の観点から意見を述べてきましたが、いっこうに聞き入れてはもらえませんでした。市長へ要望を文書にして送ったこともありましたが、担当者から当たりさわりのない返事が来ただけです。

 もう、私たちの力だけではどうすることもできません。アメリカCNNの「日本の最も美しい場所31選」にも選ばれた素敵な高谷池が、ただの“高谷池草原”になってしまいそうです。世界有数の豪雪地であるがゆえに保たれている世界に誇れる豊かな妙高の自然が、後世に残せなくなるのではないかととても不安です。

 

高谷池ヒュッテのトイレ水洗化による弊害には以下のものがあります。

1)高谷池の水量減少による乾燥化・陸地化とそれに伴う景観の劣化

 このままの状況が続くと、高谷池は植生変化が生じて、池ではなく草原になってしまう可能性があります。限りある高谷池の水を大量に使いながら、一方で妙高市は「妙高山・火打山地域自然資産地域計画」にて、「年々、高谷池湿原や天狗の庭の湿原の面積が減少してきていることから、湿原を保全していくために、調査と対策事業を実施する。」と矛盾した政策を打ち出しています。

・生命地域 妙高環境会議 妙高山・火打山地域自然資産地域計画の策定について

 

2)春季の水凍結による野外でのトイレ使用が原因の環境汚染

 標高2100mに位置する高谷池ヒュッテでは、春季は水が凍結するために、当然水洗トイレは使えません。したがって、野外でトイレを済ませてもらっており、糞尿が垂れ流し状態(高谷池ヒュッテスタッフ、実際の利用者からの聞き取り)となって環境汚染の原因となります。火打山は日本最北限・最小のライチョウ生息地です。しかし、多くの登山者が入山している乗鞍岳、室堂平(立山)、薬師岳・赤牛岳(北アルプス)の調査では、ライチョウの糞中から人間由来の大腸菌が検出され、人間活動によりライチョウの生息地が汚染されていることが示されています(立山雷鳥研究会 2002)。火打山のライチョウたちにも汚染が広がってしまうのではないかと心配ですし、その他高山環境へ負の影響がおよぶのではないかと懸念されます。

資料:富山雷鳥研究会(2002)北アルプスにおけるニホンライチョウの生態調査 –生活史特性、生息環境と保護・保全をめぐる問題

 

3)発電機の燃料消費量(温室効果ガス排出量)の増大

 水洗トイレの汚水は浄化槽に集められますが、浄化槽を稼働させ続けなければならないため、2020年8月現在、新たに導入された大型の発電機の燃料使用量は昨年比で20倍(高谷池ヒュッテスタッフからの聞き取り)とのことです。温暖化の影響は、日本では最初に北海道のような寒冷地や本州の高山帯におよぶと言われています。世界でも最も寒冷な環境に適応しているライチョウは、このまま温暖化が進めば2100年までには日本の生息域の面積は現在の1%ほどにまで減少すると予測されています(Hotta et al. 2019)。

妙高市は生命地域妙高を標榜し、国立公園妙高の鳥としてライチョウを指定し、登山者からは入域料を徴収してライチョウを守っていくとしています。また、ゼロカーボン推進宣言をして2050年までにCO₂排出量実質ゼロを目指し、更なる地球温暖化対策に取り組むこととする、ともしています。トイレの水洗化は、発電機の使用増に伴う温室効果ガス排出量の増大をもたらし、こうした政策と大きく矛盾します。さらに、国連サミットにて採択されたSDG’s(持続可能な開発目標)の達成が叫ばれている昨今、高山環境への負荷が大きい水洗トイレ化は世界の流れに逆行するものです。

 

4)高谷池ヒュッテ利用者受け入れ制限・困難の可能性

 トイレだけではなく、食事(水)の提供ができなくなるために、宿泊者自体を受け入れられなくなる可能性があります。すでに水使用制限が始まっています。

<水持参についての案内>

・ヤマケイ オンライン 高谷池ヒュッテからの現地情報

・高谷池ヒュッテ Facebook

日本百名山にも選ばれている火打山と妙高山には、全国から多くの登山者が訪れています。一般の登山者はもちろんのこと、各種調査や登山道維持管理などのベースにもなり、さらに避難小屋として、緊急時に対応する役割などを担っているのが高谷池ヒュッテです。その利用が困難になれば、登山の安全面、各種調査や登山道維持管理においても大きなマイナスになります。また、水洗トイレで池の水を大量に使用していることが原因で高谷池の水位が下がり、結果的に宿泊者を受け入れられなくなった、という理由が一般利用者にまで伝われば、運営体制だけでなく、山域そのもののイメージが悪化します。

 

5)エコツーリズムへのマイナスの影響

 前述のように、高谷池はアメリカCNNが「日本の最も美しい場所31選」にも選んだところです。日本・海外を問わず多くの人に、素晴らしい高谷池や火打山の自然を楽しんでもらえる可能性をみすみすつぶしてしまうことになりかねません。自然環境を保全しつつ観光振興もとげるエコツーリズムの実現には最適の場所であるはずの高谷池が、残念な場所になってしまうかもしれない瀬戸際なのです。

 

そこで、ぜひとも皆さんの力を貸してください。

町に近い宿泊施設での水洗トイレは何ら問題ありませんが、以上のように、高谷池ヒュッテでのトイレ水洗化は環境に対するマイナスの影響が大きいです。したがって、速やかにバイオトイレや循環型の水洗トイレなど環境への負荷が少ないものへ戻していただくように要望します。

みなさんから集めた署名は、

1.高谷池ヒュッテのトイレ水洗化を実施した妙高市長

2.高谷池ヒュッテのトイレ水洗化を許可した環境省

宛に提出します。

できるだけ早く、高谷池の水源保全問題を解決したいと考えていますので、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。