署名活動についてのお知らせNHK「性暴力を考える」サイトを消さないで≪お知らせ≫総務省に要望書を提出しました
NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会 有志日本
2025/12/02

署名にご賛同くださった皆さま


2025年12月1日付で、下記の通り、総務大臣宛要望書を送付しました。今後、署名の提出につきましても、総務省とスケジュール調整を行ってまいります。提出日程が決まりましたら、皆さまにご報告させていただきます。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。


             〈NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会〉有志

 

==========


                               2025年12月1日

総務大臣 林 芳正 殿

「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」座長 三友 仁志 殿


             〈NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会〉有志


                  要望書

≪性暴力被害者が正しい情報を得ることのできるプラットフォームを維持するか、

維持できないのであれば、新しく構築してください。≫

 

 わたしたち〈NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会〉は、2025年9月19日より署名を開始しました。12月1日現在、1万8,440筆が集まっています。

 貴会が総務省ホームページに公開している議事録にもとづき、次のとおり要望します。

NHKプラスのなかに2019年に開設されたNHK「性犯罪を考える」サイトは、あらゆる視点から性暴力の問題を取り上げてきました。子どもたちの性被害、女性起業家へのセクハラ、SNS、AIを用いた性暴力など、さまざまなテーマについての丁寧な取材の蓄積により、これまで社会で見えにくかった性暴力の実態を明らかにし、性暴力の構造やトラウマについての正しい理解が進むきっかけを日本社会に与えました。

このサイトを訪れたことで、「自分が受けたことは性暴力だったのだ」「自分が悪かったのではない」と気が付くことができた人が多くいました。被害者だけではありません。被害者の家族や知人、弁護士は、被害にどう対応したらよいかを迷い悩みながら検索し、このサイトに辿り着くことで被害当事者からの社会の見え方、当事者が被害の「その後」を生きるうえでの課題について知ることができました。

加えて、このサイト自体が、被害者や記事を読んだ人がつながり、支えあう、大切な「場」となりました。丁寧な取材を通じ、被害そのものの実態だけでなく、被害後の困難の見えづらさや加害者が生み出される社会的構造を伝える記事には、多くのコメントが寄せられました。寄せられたコメントが次の報道につながることもありました。

このような「場」が生まれたことが法改正にもつながりました。同サイトが2022年に実施した実態調査アンケートには3万8千件をこえる回答が寄せられました。男性の性被害についてのアンケートには300人近い回答が寄せられ、「男性被害者の声がこれほど多く集まるのは初めてではないか」と専門家が指摘しています。このような規模のデータは世界的にも類を見ず、この膨大な証言とデータに基づく発信は、2023年の刑法改正にも寄与したとして、本年の放送文化基金賞を受賞しています。

またこのサイト自体が、重要な歴史の記録だと言えます。サイトが立ち上がった2019年は、性犯罪への4件の無罪判決をきっかけにフラワーデモが始まった年です。そこからの6年間で、多くの分野で声をあげた被害当事者たちによって、日本社会の性暴力への認識は少しずつ、しかし確実に変化してきました。このサイト自体が、そうした当事者たちの声が社会を動かした歴史の記録となっていました。

このようにして、「性暴力を考える」サイトはすでに、単なるニュースサイトではなく、あらゆる人たちが社会生活を維持するためにアクセスする、重要なプラットフォームとなっていました。しかし突然、閉鎖が発表され、9月30日に同サイトへのアクセスができなくなりました。今、このサイトを心のよりどころとしていた多くの被害者が驚き、戸惑っています。性暴力被害者が生きるために正しい情報を得ることのできる「場」、情報を得ることにより社会および民主主義のプロセスにつながることができる重要な「場」が失われてしまったからです。

本来、このようなプラットフォームは、未来のためにこそ必要なものであるはずです。性暴力についてみんなで考え、取材をし、取材をされ、言葉を贈り、贈られる場、そして3万8,383人という規模のアンケートを行うことが可能なプラットフォームは、過去からここまでの歴史をつくるために必要だっただけでなく、これからもわたしたちが性暴力について考え「つづけ」、必要なときには法律を改正したり、制度を整えたりし「つづける」ために、未来のためにこそ必要なプラットフォームであるはずです。

そして、これは「民業圧迫」とは異なる次元の話です。

「民業圧迫」という言葉は、貴会が総務省ホームページに公開している議事録によると、2022年9月12日に、寺田稔総務相(当時)が初めて使用しています。具体的には、「NHKのインターネット活用業務の在り方を考えるに当たっては、NHKの肥大化や民業圧迫に対する懸念の声にもしっかりと耳を傾ける必要があります」という形で、初めて議事録に登場します。

これに先立って、2022年2月16日 第五回検討会において、日本新聞協会 八谷委員長が「NHKさんについては(……)ネット業務を(……)やみくもにというか、情報があるからやってしまいましょうというのは、少しやはりいかがなものかというのが我々の立場でございます」「新聞・通信社としても(……)収益化という課題に直面するという問題が非常に大きく」と意見を述べています。しかし、実際にNHKの理解増進情報によって新聞にどのような影響がどのくらい出ているかという因果関係は示されませんでした。

この点については、奥構成委員が度々意見を述べています。具体的には、2023年8月31日には「「民業圧迫」という議論がかなり大きく話題になりました。(……)NHKと地方紙がカニバっているとは思えないのであります。(……)NHKのネット配信が活発になることが原因で、新聞社の様々なネット系のDX化が遅れているという因果がはっきりあるのでしょうか。私はそれはないと感じております」、「因果推論を行うには、(……)対になるものを競合と考えられる業態の方からいただく必要があります。それをセットにテーブルに並べて初めて議論ができると思うのです。(……)因果推論のスキルに基づいて、何が原因で何が結果かを議論できる、そういう会議体であってほしいと思います」と意見を述べています。しかしその後、数字を用いた検討がされた形跡は確認できませんでした。

また、奥構成員は、英発祥のプロミネント・ルールにもとづいて健全な情報空間を維持するためにも理解増進情報の公開が重要であり、それは音声か映像かテキストかという問題ではないという意見を述べています。具体的には、2023年10月12日に「理解増進情報について(……)かなり制限するという方向性が示されております。(……)オープンな環境においてネット空間に情報がなければならないのではないか(……)これを全うできるのは、NHKのほかにないと思うのですが、ここは実現しなくていいのでしょうか。インフォメーションヘルス、あるいは健全な情報空間という話が常にこの会合の中でキーワードになっているときに、NHKが発信する情報は欠かせないと思います」、「理解増進情報については、意見が分かれています。多くのメディア事業者さんは「なし崩し」という言葉を使って廃止に賛成です。一方(……)一般の方から廃止に反対だとおっしゃっています。(……)ここに大きな分水嶺があって(……)情報を映像と音声とテキストに分ける議論は、ユーザー目線から見るとあり得ない」と意見を述べています。しかしその後2024年1月に能登半島地震が起きて以降は、この点について検討された形跡を確認できません。

わたしたち〈NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会〉は、奥構成員が喚起した論点について、ひきつづき検討を行ってほしいと考えております。その理由は、フェイクニュースが溢れる現代社会においては、性暴力被害者がその後の人生を生きるために、また健全な心身を取り戻して民主主義のプロセスおよび社会活動に参加するために、取材に裏付けされた正しい情報が必要不可欠だからです。

性暴力は、日本人女性の少なくとも13人に一人が生涯において経験するという調査結果があります。さらに、女性以外の被害者にとっては、助けを求めることがより困難な実態があるとされています。しかしながら現代社会はフェイクニュースにあふれ、性暴力被害者にとっては、正しい情報を得ることができるかどうかが、文字通り生死を分ける現実があります。このように日常生活の継続に重大な困難をもたらす性暴力を「災害」として考えるとき、公共的なプラットフォームによって、取材に基づいた正しい情報が更新されつづけ、プロミネントに掲示されつづけていることが、「被災者」としての性暴力被害者がその後の人生を生きるために、必要不可欠なことだと気が付くはずです。

丁寧な取材から生まれる記事は、ひとつひとつがオリジナルのものです。書き手がどの報道機関に属しているかではなく、それがフェイクニュースではなく、オリジナルの記事であればこそ、わたしたちは生きるために、その記事を読む必要があると考えるのです。個別の記事、およびその集積としてのサイトが、同じように丁寧に取材している他の新聞社、および丁寧に取材された記事を圧迫するとは、到底考えることができません。

「情報があるからといってNHKがネット業務をやみくもにやってしまうのは、いかがなものか」ということですが(2021年2月16日 貴会議事録より)、「性犯罪の被害は,PTSD(心的外傷後ストレス障害)や鬱状態,自殺既遂や自殺未遂などを引き起こし,長期にわたって社会生活・対人関係に深刻な影響を及ぼし得る重大な被害である」とされました(2022年5月 法務省「性犯罪に関する刑事法検討会」報告書より)。このような被害についての生存、回復、対処のための「情報がある」のであれば、報道機関としても、公共放送としても、むしろ積極的に公表することが求められるはずです。

性暴力被害者は、こうした必要不可欠な情報、そして正しい情報を報道してもらう必要性を感じ、2016年3月から報道関係者と継続的な対話を行いました。社会的にどのような報道が必要なのか、またその際の取材にはどのようなルールが必要かといったことを話し合い、その対話に基づいて、「性暴力取材のためのガイドブック」を報道関係者とともに作成しました。報道の使命は弱者の声を掬い上げ、広く議論を喚起し、社会をより良く変えていくことにあります。この点で被害者と報道が話し合い、10年間試行錯誤しながら、性暴力報道を作り上げてきました。それは現在の社会の足場であり、不作為によって失われてよいものでは決してありません。この歴史的事実を、貴会に参加する構成委員の方々、および新聞・民放の方々に正しく理解していただきたいと考えております。

わたしたち〈NHK「性暴力を考える」サイト存続を求める会〉は、これまで同サイトの取材に協力してきた性暴力被害者及び専門家によって構成されています。当事者としては、声をあげることに対し、迷う気持ちがなかったわけでは決してありませんでした。しかし、このサイトの継続が必要だと考える理由だけでも伝えなければならないと考え、わたしたち自身の意思によって、この署名を立ち上げました。

どのような人でも、性暴力被害にあう可能性があります。性別にかかわらず、年齢にかかわらず、職業にかかわらず、強さ弱さにかかわらず、「性暴力にあってもいい人」、「被害にあっても救われなくてもいい人」など一人もいません。不幸にして被害にあった人のために、正しい情報をプロミネントに表示しつづけてください。これまでのプラットフォームが使用できないのであれば、新しく構築し、わたしたちが健全な心身を取り戻し、生活しつづけ、民主主義のプロセスおよび社会活動に参加しつづけられるよう、健全な情報空間を実現してください。わたしたちは、構成委員の皆さまには、それを実現するお力があると信じております。

                                    以上

 

今週は61人が賛同しました
今すぐ賛同
リンクをコピー
Facebook
WhatsApp
X(旧:Twitter)
Eメール