民放労連 放送スタッフユニオンJapan
Apr 18, 2025

会社が防止規程の改善協議に対応を誓約

署名にご協力いただいたみなさま
ご支援ありがとうございました。

2つのパワハラでNHK関連会社のNHKグローバルメディアサービス(略称・Gメディア)と元部⻑を訴えていた裁判が東京地裁(鈴木昭洋裁判⻑)で和解、3月31日に厚生労働記者会で記者会見を開き公表しました。

主な和解内容は次の2点です。
①会社は原告が指摘したハラスメント防止規程の問題点(別紙)の協議事項について、原告及び原告が加入する労働組合からの協議の申し入れがあれば誠実に対応することを誓約する。

②認知発言を認めた元部⻑は解決金として3万円の支払い義務があることを認める。 原告側代理人の⻘龍美和子弁護士(東京法律事務所)は「ハラスメント防止規程の見直し協議を会社が約束するなど、判決では得られない和解内容となった」と和解が実質的な勝利だと強調しました。

訴えていた同社の専門員原田勤さんは会見で次のような表明をしました。

職場を統括する元部⻑(元NHK記者)に、2022年4月に手を勢いよくピシッと払われる暴力を受け(本人は否定)その半年後には「認知だ、認知だ」と認知呼ばわりされるというパワハラを受けました。このため2023年9月に本人と会社に対し損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。結果3月25日、和解が成立したことをお知らせします。

和解条項は、「ハラスメント防止規程」について6項目に分けて指摘した改善要望の協議に誠実に対応との誓約は大きな成果で「勝利的和解」であると考えております。

私が加入した⺠放労連放送スタッフユニオンにはハラスメント直後から支えていただき、さらにNHKの現役・OBの皆さんで構成する「放送を語る会」の有志、新聞労連、中央大学部落問題研究会のOB、私の出身母体である埼玉新聞の現役・OBの皆さんらが9回に及んだ法廷を傍聴でいっぱいにしてくれました。また公正な裁判を求める署名もたくさん集めてくれました(紙とネットの署名合計872筆。3月17日裁判所に提出)
こうした運動が裁判所を動かしたと確信しています。何よりこの裁判をリードいただいた⻘龍先生のご指導こそが実質的な勝利を得るものとなりましたことに感謝いたします。

昨年12月までの口頭弁論は途中から、1人から3人の裁判官による合議体となり、法廷とは別に進行協議の中で鈴木裁判⻑から和解をすすめられました。「2つのハラスメントが事実と認められたとしてもそれが違法であるとの法的責任を問うのは難しい」と言われたのです。その上で希望を聞かれたので「会社のハラスメント規程を改善したい」と答えました。

「であれば、あなたの理想とする規程の見本があれば話は早い」とおっしゃったのです。そこで会社の規程の問題点を列記、また⻘龍先生からは人事院が策定した国家公務員のパワー・ハラスメント防止等の人事院規則とその運用を参考に改善項目をつくりあげました。

裁判⻑は、この改善要求を「別紙」として和解条項の第一項目に掲げてくれたのです。そして「提訴した意味が大いにあったと思います」とコメントしてくれました。

厚労省が改正パワハラ防止法(労働施策総合推進法)を施行した2020年6月1日にGメディアも「ハラスメント防止規程」を施行しています。
その後現在までほぼそのままだと思われます。また、NHK本体も同一同文です。

Gメディアは全従業員が430人余り、現在Gメディアを含むNHKの子会社5社で持ち株会社NHKメディアホールディングスをつくり統一的な経営理念で企業運営をしていくとしています。ハラスメント規程の改革議論は5社、合計で社員数約1,700人にとどまらず、NHK本体への波及も期待できると考えております。

●「調査、措置の機関を労使同数で構成」など協議6項目を提示
今後、協議となる6項目をGメディアの規程項目(斜体字)に逐条で紹介します。

(適用範囲)
第2条 この規程は、NHKグローバルメディアサービスの業務に従事する者(役員、社員、契約社員、契約社員(一般)、スタッフ就業規則で定義するスタッフ、嘱託および派遣労働者、雇用型専門委員)に適用する。
2 (他の項目名略)相談・調査に関わる事項は、(他の項目名略)窓口利用の日前1年以内にNHKグローバルメディアサービスの業務に従事していた者(上記1項と同文)にも適用する。

<改善要望>
(1)第2条(適用範囲)について
・第1項に、列挙されている従業員だけではなく、被告会社が雇用するアルバイトなどの労働者全員、また、被告会社が雇用する労働者に限らず、業務委託契約を締結している個人及び法人に雇用されている労働者にも適用を広げること。
・第2項について、ハラスメント相談窓口の利用等の日から遡って1年以内に被告会社の業務に従事していた者を適用対象としているが、ハラスメントにより精神障害を抱えている被害者等が被害を申告するまでには1年超の時間を要する場合もあるから、最低5年以内とすること。

(定義)
第3条 この規程において、職場における業務従事者に対する各ハラスメントを、次のように定義する。
(1) セクシャルハラスメントとは、相手方の望まない性的言動により、不利益を与えることまたは就業環境を害することをいう。また、相手の性的指向又は性自認の状況に関わらないほか、異性に対する言動だけでなく、同性に対する言動も該当する。

<改善要望>
(2)第3条(定義)について
・第1項について、ハラスメントには、直接の加害者だけではなく、相談対応にあたった者による二次加害もあり得る。そのため、ハラスメントの定義にこうした二次加害も追記すること。
・そこで、人事院規則10ー16「(パワー・ハラスメントの防止等)の運用について」の同別紙2「パワー・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」を参考に、被告会社においても相談対応の運用指針を策定すること。

(相談窓口の設置)
第5条 経営企画室(総務・人事)は、ハラスメントに関する相談・苦情の対応のため、相談窓口として職場窓口および外部窓口を設置する。

<改善要望>
(3)第5条(相談窓口の設置)について
・相談窓口には、当事者だけでなく、当事者の関係者(当事者から相談に対する同意を得た同僚や親族など)やハラスメントを目撃した者も相談することが可能であることを明記すること。
・相談窓口担当者の氏名を列挙・周知を明記すること。(他企業で周知している例あり)

(調査)
第6条 経営企画室(総務・人事)は、職場窓口および外部窓口からの報告に基づき、必要に応じて担当部署に通知するとともに、調査者を指名して調査を依頼し、または自ら調査を行う。

<改善要望>
(4)第6条(調査)について
・経営企画室(総務・人事)が通知する担当部署や調査者が、ハラスメントの加害者ではないことを担保する仕組みが必要である。本件でも、原告が所属する部署のトップが加害者であるM部⻑であるため、M部⻑が通知を受けたり調査者に指名される可能性は排除できない。そのため、経営企画室内でのハラスメントの担当者の氏名や、各部署の調査者となり得る候補者を予め列挙・周知を明記すること。(他企業で周知している例あり)
・調査のプロセスを図解(チャート図など)したものを追記すること。
・調査の結果に応じた措置の具体的内容を明記すること。
・調査及び調査結果による措置の検討をする機関のメンバーを、労使同数で構成すること。その場合、労働者代表は職場選挙により選出する。

(調査協力への義務)
第7条 調査協力の要請を受けた第2条各項目に該当する者は、正当な理由がない限り、調査に協力しなければならない。

<改善要望>
(5)第7条(調査協力への義務)について
・当事者(相談者及び行為者)は、調査協力者を指名することができるとすること。
(6)その他
・調査結果に異議がある場合に再調査を可能とすること。
・調査のプロセスをできるだけ透明化すること。(聴取した者の人数や判断に至った理由などを説明すること)
・ハラスメント防止規程の周知徹底(パンフ作成・配布、掲示、例えば、トイレに名刺様のものを設置する等)
・個人を特定しない範囲でのハラスメント事案の公表

以上


【お問い合わせ、ご相談、ご意見をお寄せください】
⺠放労連放送スタッフユニオン
staffunion@minpororen.jp

NHK職場で起こったパワハラ事件の経過

NHKの関連会社、NHKグローバルメディアサービスの非正規労働者で専門委員の原田勤さん(元埼玉新聞記者)は、上司であった元部長(元NHK記者)から2つのパワハラを受けたと元部長をハラスメント行為で、また会社を安全配慮義務違反で損害賠償を求め2023年9月に東京地裁に提訴しました。

1つのパワハラは2022年4月4日、NHK放送センター(渋谷)1階のデジタルニュース室で、ニュース原稿のチェック業務に当たっていた原田さんの元を訪れた部長(当時)が、すでに解決している用語問題を持ち出し原田さんをいきなり叱責、部長が指摘する用語プリントを探そうと引き出しに伸ばした原田さんの手を勢いよく払ったという暴力事件です。

裁判では元部長はその日原田さんが言う時間にその場を訪れた記憶はない、周囲の証言もないと主張。原田さんはコロナ明けで業務内容が新方式に変わる初日で、現場確認をする責任を部下に任せたとする部長の言い分は通らないなどと反論しました。さらに現場そば通路の身分証デジタルチェックの通過記録の提出を求めましたが、元部長は記録はすでに無いなど互いの言い分は平行線で結論は出ませんでした。

もう一つはその半年後の10月31日の部長による原田さんへの「認知呼ばわり」事件。放送センター5階の事務所で深夜帰宅のタクシー券の記入ミスの報告を始めた原田さんを、いきなり「認知だ、認知だ、あなたの言っていることは何を言っているかわからない」と罵倒、始末書の提出まで求めました。
原田さんは前日には記入ミスの事実経過を報告したことを主張し、ミス内容を知りながら罵倒した悪質な言動だとしましたが元部長はこの事実を無視。そのうえで「一度だけ優しく認知ではないですかと言った」「高齢者の多い職場で管理職間では『認知』という言葉はよく使われ、言い方が穏当であれば受忍すべき」と主張しましたが、原田さんは事件後の部長との「認知発言」をめぐる会話録音記録なども出し発言は罵倒と侮辱であり発言も複数回であったことを主張、和解交渉でも発言は複数回であったことを元部長も認めました。


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