制度理解の難しさを踏まえた、署名活動休止のご報告

やはり本署名活動については、現時点では一旦休止する判断も必要ではないか、
という点についてお伝えいたします。
実は私自身、これまで本署名活動の趣旨について丁寧に説明してきたつもり
ではありましたが、JRの障害者割引制度そのものが非常に複雑であるため、
新聞社の方々でさえ内容の理解に戸惑われる場面が少なくありませんでした。
本署名活動においても、
「第二種でも特急券が割引になればよい」といった、本来の制度とは異なる
期待を抱いたまま、十分な理解がないままご賛同いただいた方が
一定数おられた可能性は否定できないと感じています。
私自身、複数の新聞社に対して投書も行いましたが、
残念ながら現時点では取り上げられるには至っておりません。
また、国土交通省鉄道局にも意見を送付しておりますが、
現在のところ具体的な反応は得られていない状況です。
こうした状況を踏まえ、
誤解を含んだまま署名数のみが積み上がっていくことを避けるためにも、
一旦、本署名活動を休止することが適切ではないか、
そのように考えるに至りました。
何卒ご理解を賜れましたら幸いです。
最後にはなりますが、私がメディア向けにまとめた提言文をご紹介して
締めくくりたいと思います。
「急行はないのに急行割引だけ残る」JR障害者割引制度の矛盾
― 特急券は割引対象外のまま、制度と実態の乖離が放置されている ―
第一種・介護者同伴利用者ほど負担が重くなる逆転構造
発信者:高森 謙児(筆名)
(身体障害者・第一種/旅行業・私鉄勤務経験/総合旅行業務取扱管理者試験合格済)
※本件に関するオンライン署名には15,797名が賛同(2026年1月27日現在)
■ 要旨(概要)
JR各社の障害者割引制度では、乗車券および普通急行券には割引規定がある一方、
現在の主要な移動手段である特急券・新幹線特急券は従前から割引対象外と
なっています。
しかし現在、定期運行の急行列車は全国的に事実上消滅しており、
割引規定が実態に対応していない状態が続いています。
本件について、JR各社に制度見直しの意見を届けたところ、
「制度は国鉄時代の枠組みを引き継いでいる」「臨時急行が設定された場合には
割引を適用する」「公共割引は社会福祉政策として国などの負担で実施されるべき」
「現時点で割引拡大は検討していない」との回答がありました。
一方、国土交通省鉄道局に対しても制度見直しの必要性を伝え、
15,788名の署名を提出しましたが、現時点で明確な回答は得られていません。
制度の合理性を誰が検証し、誰が更新責任を負うのかが不明確なまま、
利用者の不利益が放置されている構造的課題が浮き彫りになっています。
■ 現行制度の整理(JR各社共通)
【1】乗車券(運賃)
第二種 または 第一種単独利用の場合
→ 営業キロ100kmを超える区間が50%割引
第一種で介護者同伴の場合
→ 本人・介護者ともに距離を問わず50%割引
【2】普通急行券
第一種で介護者同伴の場合
→ 本人・介護者ともに距離を問わず50%割引
※現在、定期運行の急行列車は事実上存在せず、制度は実質的に機能していません。
【3】特急券・新幹線特急券
従前から割引なし(対象外)
■ 問題点:制度と実態の乖離、および負担逆転
現在の鉄道移動は、在来線特急および新幹線が中心です。
しかし、割引規定が残るのは「普通急行券」であり、日常的に利用される特急券は
対象外のままです。
その結果、第一種で介護者同伴が必要な利用者ほど、特急利用時の経済的負担が
重くなるという逆転構造が生じています。
乗車券は本人・介護者とも50%割引となる一方、特急券は双方とも割引対象外となり、
結果として2名分の特急料金を全額負担することになります。
これは、介護を必要とする重度利用者ほど負担が増える制度設計上の矛盾です。
■ 負担の具体例
例:東京-新大阪間を新幹線で移動する場合
・乗車券(本人+介護者): 17,600円 → 割引後 8,800円
・新幹線特急券(本人+介護者): 10,560円 → 割引なし(全額負担)
→ 合計 19,360円(乗車券の割引効果が特急料金で相殺される)
※通常期・指定席利用を想定した参考例
■ JR各社の見解(要旨・回答内容の要約)
JR各社からは、以下の趣旨の回答が示されています。
障害者割引制度は国鉄時代の制度を引き継いでいる
定期急行は存在しないが、臨時急行運行時は割引を適用する
公共割引は社会福祉政策として国などの負担で実施されるべき
現時点で割引拡大は検討していない
制度が実態に合致していないことを認めつつ、改善主体を国に委ね、
自社としては見直しを行わない姿勢が示されています。
■ 国土交通省の対応
国土交通省鉄道局に対しても制度見直しの必要性を伝えましたが、
現時点で明確な回答は得られていません。
制度の更新責任の所在が曖昧なまま、課題が放置されている状況です。
■ 当事者コメント
私は第一種の身体障害者として、介護者同伴で特急列車を利用する機会があります。
現行制度では、実態として利用の中心である特急券には割引がなく、
急行券にのみ割引規定が残っています。
その結果、介護が必要な利用者ほど負担が重くなる逆転が生じています。
求めているのは特別扱いではなく、現実の移動手段に即した、公平で合理的な
制度への更新です。
■ 本リリースで提起したい論点
急行列車が事実上存在しないにもかかわらず、急行券割引だけが残存している合理性
特急券・新幹線特急券が割引対象外であることの妥当性
「公共割引は国の負担」とするなら、国がどのように制度更新責任を果たすのか
第一種・介護者同伴利用者に生じている負担逆転の是正
■ 参考資料・連絡先
JR回答文
この度は弊社ホームページよりご意見ご要望を賜り、誠にありがとうございます。
普通急行料金の割引を含め、障害者割引の制度につきましては、
国鉄時代に設定されたものを当社が引き継いでおります。
現在、定期運行の急行列車はございませんが、臨時列車等で運転する場合には
普通急行券を発売し、割引条件を満たす際には割引を適用しております。
なお、障害者割引をはじめとする公共割引については、社会福祉政策の一環として
国などの負担により実施されるべきと考えており、
現時点で割引の拡大は検討しておりません。
今後ともご理解賜りますようお願い申し上げます。