
署名を呼びかけてから、1ヶ月になります。
あらためて、署名に名前を書いてくださったみなさまに、お礼を申し上げます。
この1ヶ月の間に、17万人を超える方々が、自分の時間を使って署名に参加してくださいました。
誰かにこのことを伝えてくださった方、SNSで知らせてくださった方、コメントを寄せてくださった方もいます。
報道にも取り上げていただきました。
たくさんの人が、自分の名前を書き、自分の意思を示したこと。
その名前が、これだけ集まったこと。
そして、そのことが、社会の中に記録として残っていること。これら自体が、実現できた価値です。
この署名をきっかけに、ICCについて知ってくださった方も、たくさんいると思います。
ICCが、国連機関ではなく、条約に基づく国際機関であること。
ICCが対象とするのは、国家ではなく、個人であること。そして、その個人の刑事責任を判断する裁判所であること。
しかも、すべての国際犯罪を裁くのではなく、ジェノサイド、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪という、たった4つの限られた重大な犯罪だけを対象とすること。
いずれも、ICCに関する基本的なことです。しかし、少し前まで、これらを知る人は、国際司法に関わる特別な人を除けば、ごくわずかだったと思います。司法を生業にする私たち自身、つい数年前までは知りませんでした。
この点は、この1ヶ月で、大きく変わったと思います。もちろん、この理由は、署名にふれた方々の動きだけによるものではありません。でも、17万人を超える方々が、知り、調べ、考え、話し、発信することで、これらの理解が広がっていることは、確かなことだと思います。
アメリカによる制裁という大きなことを前にすると、これらを知る人が増えることは、ほんの小さなことに見えます。実際、そうかもしれません。しかし、知っている人が増えること、理解する人が増えることは、積み重なっていきます。
こうしたことを、特別な人だけの話にせず、ふだんの生活の中でも話せるようになること。それ自体が、法の支配や司法の独立を支える土台のひとつになるのではないかと思います。
他方で、署名を始めたときの状況は、本質的には、何も変わっていません。
大統領令に基づく制裁は、そのままです。
9月17日には、一般ライセンス12が失効しました。これは、制裁対象となった人に関係する一定の取引を終了・整理するために、30日間にかぎって認められていた、暫定的な許可です。その期限が、来ました。
アメリカによるICCへの制裁措置は続いています。日本政府は、今回の制裁について「大変残念」「我が国の立場と相いれない」と表明し、米国への働きかけも明らかにしていますが、制裁は、そのままです。
署名を呼びかける際に私たちが記載した内容は、今も、意味を失っていません。残念ながら。
だからこそ私たちは、まずは、この預かった署名を、きちんと届けることに責任を負っていると考えています。
誰に、いつ、どこで、受け取っていただくのか。
その場を、どのように持つのか。
事前に確認すること、当日持参するもの、それらを準備する段取り。
裏方として必要な役割は何で、誰が担うのか。
そうした具体的で実務的なことを、ひとつひとつ、できるだけ丁寧に進めています。
事後報告になることも、きっと多いと思います。
それでも、名前を預かった者として、みなさまひとりひとりから引き受けたものに対して、私たちなりに、応えていきます。
それから、もうひとつ。
この問題は、短い時間で何かが決着するものではありません。長い時間軸のもとにある物事です。
だから、ずっと同じ人が走り続けなくてもいいのではないか、とも思っています。
誰かが少し走る。
少し疲れたら、あるいは、少し飽きたら、別の誰かにバトンを渡す。
そして、自分の毎日に戻る。
また何かのきっかけで思い出したとき、できることがあれば、少し応答する。
そんなふうに、長い時間軸の中で、みなでつなぎながら、この問題と付き合っていけるといいと思っています。
私たちが今握っているのは、署名を届けるというバトンです。
そのためにできる具体的で実務的なことに、ひとつひとつ取り組みます。
たくさんの場所で、いろいろなバトンを握っている人がいると思います。
それぞれのバトンをつなぎ合いながら、それぞれの毎日を大切にしていきましょう。
JIRoLからのお礼と経過報告でした。