昨日27日の衆議院・文部科学委員会で国際卓越研究大学法案が可決されてしまいました。さらに本日午後の本会議で可決されてしまいました。とはいえ、まだ、参議院があります。Change.orgで呼びかけが1万5千人を越える広がりを見せているほか、大手メディア各紙での報道など、これまでにない動きも始まっています。
今朝の『毎日新聞』朝刊に京都大学の藤原辰史さんのオピニオンで国際卓越研究大学についてもうやめませんか。失敗を繰り返すのは。研究者は書類書きと制度改革で疲労困憊です」と書いてくれました。
また、本日の20時~社民党 Official YouTube Channelでこの問題をとりあげ、呼びかけ人の指宿昭一さん、駒込武さんが出演されます(アーカイブも残されるはずです)。
6月15日の会期末までに参議院で採択がされなければ、法案は廃案か継続審議になります。現段階でやれることをやって法案の問題を社会に訴え、メディアとインターネット空間で反対の動きを広げていきましょう。そのことが、今後、各大学で、地道な運動を作り上げる前提ともなるはずです。
以下、昨日の委員会質疑の報告です。長文となりますので、お時間のある折りにお目通しください。
昨日の委員会質疑には、法案の廃案を求めるネットワークの呼びかけ人・指宿昭一弁護士、吉原ゆかりさん(筑波大学)、米田俊彦さん(お茶の水女子大学)を含めて6名が傍聴に参加されました。傍聴に参加された方々の観察も交えながら質疑のポイントについて紹介させていただきます。
なお、委員会質疑はこちらから視聴することが可能です。
○立憲民主党・坂本祐之輔議員は、わたしたちが声明文などで訴えてきた論点をかなりの程度とりあげてくれました。のらくりらりの政府答弁に対して「さら問い」ともいうべきツッコミがなされなかったのは残念でしたが、質疑の最後(00:50:00あたりから)に「スポーツ賭博と部活動 政府内で浮上する「奇妙な組み合わせ」」という記事をとりあげながら、賭博で得た利益で部活にかかわる人件費に充てるという発想の問題点を指摘し、大学ファンドで得た利益を研究費に充てるのと同じような構図で進められているとして、市場原理の外にあったことの市場化・ビジネス化を推進することの問題点を指摘しました。
○立憲民主党・白石洋一議員は、前半ではさまざまなお祭りが中止になることの問題をとりあげ、後半で国際卓越研究大学法案についてとりあげました。とりわけ重要なやりとりは国際卓越研究大学に新たに設置されるという「合議体」が教育研究にかかわるマイクロマネジメントには立ち入らないとされているが、それは「人事」や「シラバス」に立ち入らないということなのかと白石議員が質問したのかと「さら問い」をしたのに対して、これに対して研究振興局長が「シラバスには口を出さない」という点は明言しながらも、「(「合議体」は)学長の選考には当然関与するが、個々の学部などの人事に関しては全体を見て判断する」とお茶を濁した答弁をしました(01:33:16あたりから)。今後さらに追及を要する点です。
○立憲民主党・吉田はるみ議員は、ご自身、大学で教えられた経験も踏まえて、いかに大学教員が疲弊困憊に追い込まれているか、非常勤講師のみなさんがブラックすぎる労働条件のなかで生きておられるか、また、大学教員が言いたいこともいえないほどの恐怖のもとに置かれているかについて、素晴らしい滑舌でご発言いただきました。吉田議員が「少なくとも国立大学については授業料を上げないと言い切っていただきたい」と詰め寄りましたが大臣は「事業成長を拡大するために授業料を大きな財源するとは考えていない」と言うのみで、明言はしませんでした。(02:01:00あたり)。
昼休みには、Googleフォームで集めた1703人分の署名を、文部科学省 研究振興室 大学研究基盤整備課 企画指導係長 大久保雅史氏に手渡しました。記者には、7人ほど参加していただきました。署名の提出にあたっては、吉原ゆかりさんから、Change.orgの方での呼びかけでも13000筆ほど署名をいただいていることを報告するとともいに、「稼げる」ようになるために学費の値上げがありうることにつき、学生さんや保護者のみなさま、社会全体の関心が非常に高いことをお伝えし、大久保氏から「たしかに受け取りました、検討させていただきます」という、お官僚さまなお返事でした。
午後の質疑については、傍聴者から委員会の空気が次のように伝えられています。
「維新の議員が質問していましたが、自民党議員の皆さんは半数ちょっとくらい、居眠りをしていました。傍聴者はスマホをもちこめないので、残念ながら写せませんでした。国民民主党・西岡秀子議員の質疑になると、少しずつお目覚めし始めました。最後の日本共産党・宮本岳志議員の質疑になると、自民党の皆さんは全員しっかりと聞いていました。聞きごたえがありました。「チーム甘利」問題で文相がしどろもどろになると、議場全体が緊迫しました。筆頭理事が委員長席に集まって相談を始めた時は、ちょっと期待したのですが、ここまででした」。
○日本維新の会・三木圭恵議員が「寄付金をどのように増やしていくのか」という質問をしたのに対して、文部科学大臣は「産業界との連携体制の構築のために、特許戦略のための専門家集団の育成を考えている」と回答したのに対して、三木議員は「特許をどんどんとることが必要」という趣旨の回答をしていました(03:26:00あたり)。特許をとるということは研究成果の公開性・公共性に制約が加えられるということでもあることであり、とりわけ大学院生にとっては研究成果を自由に公表することが困難となるということでもあります。質問する側にも、回答する側にもそうした問題点をまったく考慮していない点は、逆説的にこの法案の本質的問題を浮き彫りにしているとも言えます。
○国民民主党・西岡秀子議員は、研究力向上のためには運営費交付金のような基盤的経費を充実させて「人への支援」を行うべきだと主張しました。この点は午前中の立憲民主党の議員もとりあげたところですが、文科省の側では「基盤的経費と競争的資金のデュアルサポートシステムで支援していきたい」という表現でかわすばかり。今回の法案が、「基盤的経費を増加する」という選択肢をあらかじめ排除した上での策であることをあらためて明確化しました。
○日本共産党・宮本岳志議員は、河野太郎自民党広報本部長がテレビ番組で防衛相時代に科研費を文科省と防衛省の共管にしようと働きかけたと語り、「防衛省の予算で研究しませんという大学は、科研費全部使えないよ」というようにすべきだと語った問題をとりあげ、文科省にそういうやりとりがあったのかと確認しました。文科省は、「科研費を担当する部署に確認したが、そのようなことはなかった」と回答しました。
※この点についてはブログを参照。
その上で、宮本議員は、今回の法案が「チーム甘利」による国政私物化の動きにほかならないことを鋭く指摘しました。文科大臣は「知りませんでした」と答えるだけなので、この点について後日、文科省として事実関係を確認することを求めました。端的な回答を求める短い質問を積み重ねながら、いかに不自然なことが生じているかを浮き彫りにする追及はスリリング、ぜひ委員会質疑そのものをご視聴ください。(04:54:00あたりから)
※しんぶん赤旗の記事はこちらから。
○質疑の中でさまざまな問題が明らかになったにもかかわらず、即採決。採決において立憲民主党と日本共産党は反対に回りましたが、自民・公明・維新・国民民主の賛成により可決されてしまいました。その後、付帯決議が自民・立民・維新・公明の4党からの提案で可決されました。この付帯決議に宮本議員は賛成しませんでした。
はじめにも書いたように、ようやくこの問題が広く知られるようになってきています。
参議院に向けてさらに広く法案の問題点を知らせていたきたいと思いますので、ご協力のほどをよろしくお願いします!