銃と3Dプリンターを関連付けた記事を撤回することを講談社に求めます

銃と3Dプリンターを関連付けた記事を撤回することを講談社に求めます

開始日
2022年7月8日
現在の賛同数:2,818次の目標:5,000
声を届けよう

この署名で変えたいこと

署名の発信者 Nakamura Kenta

2022年7月8日、安倍晋三元首相が凶弾に倒れたその日、講談社の一部門である、週刊現代から
安倍元首相を狙撃した銃は「3Dプリンター製改造銃」の可能性…専門家の分析は - 工業高校レベルの知識で作れてしまう
と題した記事が公開されました。


この記事を読んで私が想起したのは、1923年の関東大震災の後に起きた朝鮮人虐殺事件につながった、東京日日新聞(現在の毎日新聞の前身)を始めとする新聞各社が流布したフェイクニュースです。それは震災の混乱の最中に「朝鮮人や共産主義者が井戸に毒を入れた」等という事実無根の内容でしたが、多くの人がそれを信じ朝鮮人が虐殺されました。誰しもが習う我が国の暗黒の歴史であり、まさに不正なマスメディア、不正な人文の為せる残虐性の教訓です。当時の新聞記者は発行部数を伸ばしたいばかりに、あるいはちょっとした出来心でジャーナリストの規範に反し、あるいは人々の不安に付け込み、事実無根の憶測を検証もせずに扇情的な記事に仕立て上げたのかもしれません。それがどのような重大な帰結をもたらすことになるのか、考えることもせずに。

それから100年近くが経ち、我々はそんな歴史から多くの教訓を得て生きているはずなのですが、今わたしは学習しない人類の醜態を目の当たりにしています。

少しだけ冷静に考えましょう。言うまでもなく、銃を製造できる工作機械、技術は少なからず古くからあり、人類は昔から銃を何億丁と作ってきました。銃を作ろうと思えば、人類は3Dプリンターといった新しい技術の有無に関わらず、銃を作れるのです。そのような当たり前の事実にも関わらず、また、今回の事件で犯人がどのように銃を調達したのかも記事の執筆時点日の時点では公表されていなかったにも関わらず、週刊現代の記者は、事実無根の憶測をし、凶悪犯罪が起きた背景に新奇な技術の寄与があったと仄めかすような扇情的な記事を書きました。日本にも少数ながらいる3Dプリンターのメーカーやプリント業者、その従事者、多くのホビイストにどのような嫌がらせが起き得るか、また無益な規制が作られ産業の発展が邪魔され得るのか等も全く考えずに。

そもそも、銃犯罪の原因に工作機械でしかないものを関連付けるなど、まったくもって突拍子もなく、頓珍漢で軽薄な言論でしょう。あまつさえ、それが日本を代表する大手の出版社から開陳されたのはあまりにも低劣で見るに堪えないものがあります。まさにこの状況そのものが、社会の荒廃が続くことの真因は科学技術ではなく、ひとえに退廃した人文とリテラシーの低さにあるということを、自明にしているのでないでしょうか。

これは看過ならない醜態です。私は3Dプリンターに関わる仕事をしていますが、このようなことがあったのは一度目ではなく、同様な意味不明なレッテルを貼ろうとする報道にはもううんざりしており、怒りを覚えています。特に今回起きた暗殺事件は重大であり、それと不当に関連付けられてしまった技術がこの先人々にどのように受け取られるのか分からず、不安を感じます。

以上のことから、私は係る記事が社会にとって極めて有害であるものと考え、講談社に内容や記事見出しを直ちに撤回、あるいは修正し、謝罪文を発表した上、今後の事業活動を継続する前にその自らのジャーナリズムの退廃に気付き反省することを求めます。

声を届けよう
現在の賛同数:2,818次の目標:5,000
声を届けよう