財務省は、セクハラ告発の女性に名乗り出ることを求める調査方法を撤回してください!!

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1 セクハラ被害者に名乗り出ることを求める調査は問題です

 財務省は、本年4月16日、福田事務次官が女性記者に対してセクハラ発言をしたと報道されていることにつき(※1)、セクハラ発言をされた女性記者がいれば調査に協力するよう、マスコミ各社に周知を要請しました(※2)。

 しかしその連絡先は、加害者であると告発された本人がトップの職を務める財務省が委託した弁護士らとなっており、第三者性が担保されていません。

 匿名で申告できるとの記載もなく、調査方法の趣旨、結果がどのように利用されるか、及び被害告発者のプライバシーが十分に守られるのかが不明で、コンプライアンス上も問題があります(※3)。

2 セクハラ被害告発者にかかる圧力

 そもそも財務省は、官庁の中の官庁といわれるほど圧倒的なパワーを持っており、記者は、財務省と報道機関、報道機関とそれに雇用されている記者、という二重の権力関係のなかにあります。このため、実名での告発は、記者生命と引き換えになりかねないことと思われ、そのことを福田次官も財務省も十分承知していることでしょう。

 また、福田次官は、報道が自らに対する名誉棄損であって、週刊新潮の出版社に対する提訴を準備していると発言しており、女性記者が名乗り出た場合、自分も訴えられるかもしれないと恐れを抱くのは当然のことです。

 このような状況下において被害者が名乗り出ることができないことは当然のことであり、申し出がなかったからといって事実関係を確認できないとすることは決して許されません。

3 財務省のハラスメント隠蔽体質を疑わざるを得ません

 これらの報道について麻生財務相は、本年4月12日の参院財政金融委員会で調査や処分を行わない考えを示していました。当初は事実確認すらも行わないとしていたこと自体、財務省のハラスメント隠蔽体質を示しており、女性の尊厳を軽視していると言わざるを得ません。

 さらに、加害者とされる当事者の一方的な言い分を財務省名で公表することは、そのこと自体、被害告発者への圧迫となります。

 安倍政権は「女性活躍」を謳っていますが、女性の尊厳を著しく傷つけ、「活躍」を阻害するセクシャルハラスメントについてこのように鈍感で無理解な態度をとるとは、政権が目指している「女性活躍」とは一体どういうものなのか、疑問を抱かずにいられません。

4 被害告発者に名乗り出ることを求める調査方法を撤回してください

 以上のとおり、本件に関しては少なくとも、被害告発者が匿名でも十分な保護の下で被害申告をすることができる相当な調査方法が必要です。被害告発者に名乗り出ることを求める調査方法はむしろ有害であり、財務省に対し、このような調査方法を撤回するよう求めます。

 私たちは、財務省に対し、被害告発をした女性を守りながら福田次官の発言について適切な調査を行い、ひいては、性別にかかわらず個人の尊厳が守られる社会の実現のために尽力することを求めます。

2018年4月17日

呼びかけ人(順次追加する予定です)

弁護士 早田 由布子

弁護士 太田 啓子

弁護士 打越 さく良

弁護士 今泉 義竜

弁護士 内山 宙

弁護士 角田 由紀子

弁護士 上谷 さくら

弁護士 佐々木 亮

弁護士 渡辺 輝人

弁護士 足立 悠

※1 週刊新潮が公開した音声データ
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04131400/?all=1&page=2

※2 財務省が公表した調査結果及びマスコミ各社への要請文
https://www.mof.go.jp/public_relations/ohter/20180416chousa.html

※3 コンプライアンス上の問題
厚労省は、職場でのセクハラについての相談対応につき、使用者は、相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者に対して周知しなければならないことを定めた指針を出しています(平成18年厚生労働省告示第615号)。また、人事院規則は、セクハラ苦情相談対応につき、関係者のプライバシーや名誉その他の人権を尊重するとともに、知り得た秘密を厳守することを定めています(平成10年11月13日職福—442)。これらの趣旨は本件においても妥当しますが、今回の財務省の対応は上記趣旨をまったくふまえていません。

 

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