美しい男鹿の海を美しいままに 豊かな秋田の海を豊かなままに アオコ放出の抑制と澄んだ水の蘇生を求めます!

署名活動の主旨

 かつて日本で2番目に大きな湖であった秋田県の八郎潟は海とつながった汽水湖で,今からおよそ60年ほど前に国営事業で干拓され,現在はその中心部に広大な耕地を持つ大潟村ができています。埋め立てと異なり,湖水を抜くことによって行われる干拓事業の結果,大潟村の周囲は堤防で囲まれ,陸地は海抜0m以下に存在しています。堤防の周りはかつての八郎潟の周辺市町村の河川等から流入する水と,大潟村で利用される農業用水によって満たされ,現在は八郎湖と呼ばれています。

 

 

 

写真1 大潟村とその周囲を囲む八郎湖

 

 

 

写真1 大潟村とそれを取り囲む八郎湖

 

 八郎湖は防潮水門によって日本海と隔てられ,淡水化しました。やがて干拓当時は予想できなかった事態が起きました。湖は河川等から流れ込む水の中に含まれる農業や林業,生活排水由来の栄養分等によって富栄養化し,2006(平成18)年にCOD(化学的酸素要求量)年平均値で全国ワースト3位になり,翌年指定湖沼となってしまいました。その栄養分を利用して「アオコ」が発生するようになっていきます(写真2)。

 

 

 

写真2 八郎湖の湖面を漂うアオコ

 

 

 

写真2 八郎湖の湖面を大量に漂うアオコ

 

 アオコは,ミクロキスティス属などの浮遊性植物プランクトンの総称ですが,大量に発生したアオコは異臭と発ガン性物質を含む毒素を発し,八郎湖内外の市町村にとって大きな問題となっています。特に干拓によって誕生した大潟村は飲料水を湖水に頼っているため,環境問題に敏感で,2001年には21世紀大潟村環境創造型農業宣言,2025年には東北の自治体で初めてネイチャーポジティブ宣言を行うなど,自然との共生,生物多様性の保護に乗り出し,その解決に努めています。

 アオコ問題は八郎湖に限ったことではなく,国内外を問わずに世界規模で起こっており,未だその解決に至った例はありません。これはとりもなおさず解決に大きな努力と予算が必要なことを物語っていますが,逆にいうとアオコ発生の原因に対する当該の自治体や個人の問題解決に対する本気度が不足している現れともいえます。

 八郎湖のアオコは雨水の増加に伴って,最終的に男鹿市船越水道にある防潮水門から日本海に放出されます(写真3)。放流水の中にはアオコだけでなく,代掻きや大雨等によって湖水に漂う泥や農薬,浮遊ごみなども含まれています。これらは日本海沿岸を北上する対馬海流によって,男鹿半島南岸を舐めるように北上し,澄んだ水を濁らせ,異臭を漂わせます。特に潮流が滞留するような港内や湾内では水中の視界がわずか10cm程度になるほど濁ります。

 

 

 

写真3 八郎湖から防潮水門を経て船越水道に流出するアオコ

 

 

 

写真3 八郎湖から防潮水門を経て船越水道に流出するアオコ

 

 泥が多く堆積するような場所では海藻が岩盤などの基質に固着できず,男鹿名物のギバサ(アカモク)などが生育できない状況が増えてきています。男鹿市は観光と漁業を中心的な産業とする自治体ですが,アオコが放出されると素潜り漁や沿岸での漁労,遊漁船の営業等に大打撃が加えられます。また,その異臭と濁った海の色,浮いたごみや泡による景観は,観光に少なからず風評被害を与えています。さらに近年では耐塩性を持つアオコ が出現していると見られ,船越水道に近い脇本漁港ではアオコが放出されていなくても海面にアオコが漂い,異臭を放っています(以下,アオコやゴミ,泡が漂う船川港,椿漁港の写真)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋田県では庁内に八郎湖環境対策室を設け,2007年から対策に乗り出してきました。さまざまな調査や対策を試験的に行い,普及活動にも力を入れてきました。しかし,20年ほどにわたる諸対策と10億円ほどの予算執行に関わらず,水質は改善せず,逆に男鹿半島沿岸での被害は加速度的に増しています。また,NPO団体や有志による団体も独自に水質改善に取り組んでいますが,目立った効果はあげられておらず,逆に科学的根拠を持たない方法で遺伝子混濁の危険性を孕むような実験を行ったこともあります。

 私たちはこうした現状を憂い,実効性のある方法を模索してきました。現在八郎湖に生息する生き物による水質浄化法(写真4)や植物プランクトン食の動物(在来種)選定と湖内への移植方法の検討,アオコ発生を抑制し,同時に再生可能エネルギーを創出する方法などその内容は多岐にわたります。しかし,そのどれもが時間を要する方法で,今現在被害に喘ぐ男鹿の海,ひいては秋田の海や日本海をすぐに救える方法ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真4 アオコ投入直後の水槽(上)と貝類投入後一日目の水槽(下)のようす

 

 

 

写真4 アオコ投入直後の水槽(上)と貝類投入後一日目の水槽(下)のようす

 

 アオコの撲滅には様々な側面からの様々な取り組みと努力が必要です。一朝一夕に解決できる問題ではありません。しかし,今始めなければ少なくとも男鹿の海は早晩失われてしまいます。この署名活動は,以上の実態を踏まえ,その対応を求めるもので,行政並びに諸機関に以下の短期・中期・長期の具体的な方策への対応と早急で適切な実施を求めるものです。

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請願の内容

1 防潮水門からの湖水排出量の抑制

 秋田県八郎潟防潮水門管理条例施行規則第四条に記載の以下の規則は,1977(昭和52)年に制定されたものであり,現在でも当時の設定に従って運営されています。八郎湖周辺の堤防は,施工当時1,000年確率日雨量(1,000年に一度起きる確率の一日の最大雨量)200mmから導き出された標高+1.86mで計画されており,これに台風や豪雨などに対する安全性というマージンを考慮した上での数値と推測されます。しかしながら,規則設定から約50年が経過し,季節的な降雨量の変動や予報精度の飛躍的な進歩などにも関わらず,その見直しはなされていません。

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第四条 毎年七月一日から九月三十日までの間における調整池の制限水位は、次の各号に掲げるとおりとし、調整池の水位を洪水時を除き、これを超えて上昇させないものとする。

一 七月一日から八月十日まで 標高プラス一メートル

二 八月十一日から九月十日まで 標高プラス七十センチメートル

三 九月十一日から九月三十日まで 標高プラス五十センチメートル

第五条 かんがい用水等の供給のため確保すべき調整池の水位は、次の各号に掲げる日(以下この条において「基準日」という。)にあつては当該各号に掲げる水位、基準日以外の日にあつては当該日の直前の基準日の水位と直後の基準日の水位から等差的に算出される水位とし、調整池の水位をこれより低下させないようにするものとする。ただし、知事がかんがい用水等の供給に支障がないと認めるときは、この限りでない。

一 三月三十一日 標高プラス五十センチメートル

二 五月一日 標高プラス一メートル

三 八月十一日 標高プラス七十センチメートル

四 九月十一日 標高プラス五十センチメートル

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 また,第五条の最低水位は,かんがい用水として湖水を利用することにのみ本義が置かれ,海への放出にどのような影響がもたらされるかは考慮されていません。

 条例とその根拠になった堤防の設計を極めて単純にとらえれば,標高差最大1.86mまで対応できる堤防で,どの季節であろうと上限を1.86mまでにすることができるということになります。無論台風や線状降水帯などの豪雨に対するマージンは必要でしょうが,それでも季節ごとの上限を見直すことでアオコの海への放出は抑えられることになります。アオコの出現を予測できなかった50年前の制定で,安全最優先の数値であったことはやむを得ないとは思いますが,現状を考えればこの条例は見直してしかるべきと考えます。

  干拓による農業者と漁業者の対立は諫早湾を始め国内外の多くの場所で起きていますが,大潟村のようにすでに干拓の完成から60年余りが経過しても,その問題の解決にほとんど進展が見られないことは,先進国の取り組みとしては疑問を持たざるを得ません。もともと湖水は大潟村を中心に循環使用されることを前提として活用方針が立てられていますが,現状のように海が最終処分場のような形になり,漁業従事者だけが一方的に被害を被っている事実は極めて遺憾です。

 本署名活動においては,第四条並びに第五条またこれに関連する条例について専門家,研究機関等による再検討を行うことと,あわせて排出量の抑制に直結する臨機応変な排出方針と条例の改善を求めます。

 

2 八郎湖環境対策室への水利・水質専門職員の採用

 秋田県の公費が不正流用された食糧費問題以来,不正防止等の意味合いなどから県職員の人事異動は数年での定期的な異動が慣例となっています。この異動方針そのものは不正防止の観点からは有効であると思いますが,一方で職務に対する熱意が醸成される前に職員は異動を余儀なくされ,専門的な知識レベルの低下を招いています。先般県自然保護課ではツキノワグマ対策として専門の職員を採用しましたが,八郎湖環境対策室においても水利・水質を専門とする職員を採用し,継続的に業務に取り組むことができる体制を構築していくことを要望します。

 

3 発生の根本原因を抑制する農家の取り組みとそれに対する行政の支援

 アオコ問題は今や全世界で発生していますが,その解決に成功した事例はありません。しかし,アオコ自体の発生理由は単純で,湖沼の富栄養化によるものです。八郎湖の場合,富栄養化の原因は,大潟村及び周辺市町村から流入する水の中に含まれる栄養分であり,そのほとんどが農業や林業用の肥料由来となっています。これはとりもなおさず田畑や山林に過剰な施肥がなされ,その余剰分が河川等を通じて八郎湖に流入していることの証左です。

 もともと土壌中に含まれる栄養分には地域差がありますが,豊かな自然に恵まれている秋田県では近年冬鳥であるガンカモ類が,大潟村を中心に周辺市町村に数万羽単位で越冬しており(10~3月),これらが田畑の落穂等を食んだ結果排泄する糞による栄養分の量が各圃場ごとに違いを生じさせていることが大潟村干拓博物館の調査で判明しています。また,ガンカモ類のみならず田畑に数多く生息する生き物の種類や数によって土壌中の栄養分に違いが出ることも十分に予想されますが,こうした圃場ごとの土壌成分については,一部を除いてほとんど把握されておらず,多くの農家が農協等の指導に従って一律に同量の施肥を行っているのが現状です。

 近年のITや技術の進歩により,土壌中の無機栄養分や水量,水温等をリアルタイムで計測できる技術と検出器がすでに開発,一般販売されており,環境問題に敏感な地域や個人が使用しています。以下に,こうした先端技術を八郎湖周辺市町村の農家に使用してもらうことで生ずるメリットを挙げます。

  • 圃場ごとに適正な施肥が行われるようになり,余剰分が排出されなくなる。
  • 富栄養化の進行が鈍り,アオコの発生が抑制される。
  • 高騰する肥料代の節約になる。
  • 農業が生き物を支え,生き物が農業の役に立つという自然と人間の共存と循環,持続可能な農業の形ができる。
  • SDG’sにおける目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」,目標14「海の豊かさを守ろう」,目標15「陸の豊かさも守ろう」や,東北の自治体としては初めて大潟村が表明した「ネイチャーポジティブ宣言」につながっていく。
  • アオコ問題に正面から取り組む自治体として秋田県のイメージアップにつながると同時に県産農産物に付加価値をもたらす。

 今や世界的に「持続可能な世界」や「生物多様性」の重要性が叫ばれていますが,それに対する具体的な対応はあまりなされていません。この方法は先端技術を安価に取り入れた効果的な方法の一つと考えられますが,農家単体で取り組むには高齢化などもあって実施は容易なことではありません。

 そこで,秋田県農業試験場等の研究機関による適切な施肥量の指導と,その基本となる圃場ごとの土壌成分の把握を可能とする各種センサーの購入への県費からの補助を求めます。また,例えば大雨などによって圃場から肥料分が流出してしまった場合など想定外の事態に対応できるように,ドローン等を使用した現状把握,追加の施肥などが,農協などにより一元的・定期的に管理,実施されるよう関係諸機関の連携を求めます。

 スマート農業の目的は先端技術を利用した生産性の向上にあると思われますが,単なる自動操縦やロボットによる労力の軽減面だけでなく,先端技術を有効利用して環境に配慮する持続可能な農林業の形態を県全体で模索していくことは,秋田県に先進性とリーダーシップ,生産物への付加価値をもたらし,ひいては人口減少への歯止めにも繋がっていく可能性を生じさせるものと考えます。

                               以上

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 干拓前の八郎潟は,日本海とつながる汽水湖で,海と湖,川に生息する多種多様な生き物が棲む豊かな湖でした。また,湖を通じて日本海に流れ出る奥羽山脈由来の淡水は多くのミネラルを含み,美しい海に栄養と豊かな生態系をもたらしました。今,八郎湖の水は汚れ,男鹿の海もその美しさを失おうとしています。アオコ問題はすぐ解決できる問題ではありません。しかし,原因が私たち人間にあるのなら,その解決には時間をかけてでも人間の叡智を結集して臨むしかないでしょう。

 私たちは,今後もこの問題を県や国に丸投げするのではなく,八郎湖の周りに住む人間として一人ひとりが問題意識を持ち,自主的にその解決に向けて努力を続けていきます。賛同していただける方の署名を心からお願いいたします。

※なお,書面での署名活動にご協力いただける方は,お手数ですが下記のリンクからダウンロードの上ご利用ください。集まった署名に関しては下記の送り先に届けていただけますようお願いいたします。

▢リンク先

https://drive.google.com/file/d/1sQcy7csPEpJr4J82U8WGmqopvDN5_jvx/view?usp=share_link

▢署名届出先

 〒010-0532 秋田県男鹿市船川港椿家の後19ー2 椿釣具店

 〒010-0511 秋田県男鹿市船川港船川新浜町1-16 つりショップ海風

 

      アオコ問題を本気でなんとかしよう会代表 船木信一

 

11,752

署名活動の主旨

 かつて日本で2番目に大きな湖であった秋田県の八郎潟は海とつながった汽水湖で,今からおよそ60年ほど前に国営事業で干拓され,現在はその中心部に広大な耕地を持つ大潟村ができています。埋め立てと異なり,湖水を抜くことによって行われる干拓事業の結果,大潟村の周囲は堤防で囲まれ,陸地は海抜0m以下に存在しています。堤防の周りはかつての八郎潟の周辺市町村の河川等から流入する水と,大潟村で利用される農業用水によって満たされ,現在は八郎湖と呼ばれています。

 

 

 

写真1 大潟村とその周囲を囲む八郎湖

 

 

 

写真1 大潟村とそれを取り囲む八郎湖

 

 八郎湖は防潮水門によって日本海と隔てられ,淡水化しました。やがて干拓当時は予想できなかった事態が起きました。湖は河川等から流れ込む水の中に含まれる農業や林業,生活排水由来の栄養分等によって富栄養化し,2006(平成18)年にCOD(化学的酸素要求量)年平均値で全国ワースト3位になり,翌年指定湖沼となってしまいました。その栄養分を利用して「アオコ」が発生するようになっていきます(写真2)。

 

 

 

写真2 八郎湖の湖面を漂うアオコ

 

 

 

写真2 八郎湖の湖面を大量に漂うアオコ

 

 アオコは,ミクロキスティス属などの浮遊性植物プランクトンの総称ですが,大量に発生したアオコは異臭と発ガン性物質を含む毒素を発し,八郎湖内外の市町村にとって大きな問題となっています。特に干拓によって誕生した大潟村は飲料水を湖水に頼っているため,環境問題に敏感で,2001年には21世紀大潟村環境創造型農業宣言,2025年には東北の自治体で初めてネイチャーポジティブ宣言を行うなど,自然との共生,生物多様性の保護に乗り出し,その解決に努めています。

 アオコ問題は八郎湖に限ったことではなく,国内外を問わずに世界規模で起こっており,未だその解決に至った例はありません。これはとりもなおさず解決に大きな努力と予算が必要なことを物語っていますが,逆にいうとアオコ発生の原因に対する当該の自治体や個人の問題解決に対する本気度が不足している現れともいえます。

 八郎湖のアオコは雨水の増加に伴って,最終的に男鹿市船越水道にある防潮水門から日本海に放出されます(写真3)。放流水の中にはアオコだけでなく,代掻きや大雨等によって湖水に漂う泥や農薬,浮遊ごみなども含まれています。これらは日本海沿岸を北上する対馬海流によって,男鹿半島南岸を舐めるように北上し,澄んだ水を濁らせ,異臭を漂わせます。特に潮流が滞留するような港内や湾内では水中の視界がわずか10cm程度になるほど濁ります。

 

 

 

写真3 八郎湖から防潮水門を経て船越水道に流出するアオコ

 

 

 

写真3 八郎湖から防潮水門を経て船越水道に流出するアオコ

 

 泥が多く堆積するような場所では海藻が岩盤などの基質に固着できず,男鹿名物のギバサ(アカモク)などが生育できない状況が増えてきています。男鹿市は観光と漁業を中心的な産業とする自治体ですが,アオコが放出されると素潜り漁や沿岸での漁労,遊漁船の営業等に大打撃が加えられます。また,その異臭と濁った海の色,浮いたごみや泡による景観は,観光に少なからず風評被害を与えています。さらに近年では耐塩性を持つアオコ が出現していると見られ,船越水道に近い脇本漁港ではアオコが放出されていなくても海面にアオコが漂い,異臭を放っています(以下,アオコやゴミ,泡が漂う船川港,椿漁港の写真)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 秋田県では庁内に八郎湖環境対策室を設け,2007年から対策に乗り出してきました。さまざまな調査や対策を試験的に行い,普及活動にも力を入れてきました。しかし,20年ほどにわたる諸対策と10億円ほどの予算執行に関わらず,水質は改善せず,逆に男鹿半島沿岸での被害は加速度的に増しています。また,NPO団体や有志による団体も独自に水質改善に取り組んでいますが,目立った効果はあげられておらず,逆に科学的根拠を持たない方法で遺伝子混濁の危険性を孕むような実験を行ったこともあります。

 私たちはこうした現状を憂い,実効性のある方法を模索してきました。現在八郎湖に生息する生き物による水質浄化法(写真4)や植物プランクトン食の動物(在来種)選定と湖内への移植方法の検討,アオコ発生を抑制し,同時に再生可能エネルギーを創出する方法などその内容は多岐にわたります。しかし,そのどれもが時間を要する方法で,今現在被害に喘ぐ男鹿の海,ひいては秋田の海や日本海をすぐに救える方法ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真4 アオコ投入直後の水槽(上)と貝類投入後一日目の水槽(下)のようす

 

 

 

写真4 アオコ投入直後の水槽(上)と貝類投入後一日目の水槽(下)のようす

 

 アオコの撲滅には様々な側面からの様々な取り組みと努力が必要です。一朝一夕に解決できる問題ではありません。しかし,今始めなければ少なくとも男鹿の海は早晩失われてしまいます。この署名活動は,以上の実態を踏まえ,その対応を求めるもので,行政並びに諸機関に以下の短期・中期・長期の具体的な方策への対応と早急で適切な実施を求めるものです。

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請願の内容

1 防潮水門からの湖水排出量の抑制

 秋田県八郎潟防潮水門管理条例施行規則第四条に記載の以下の規則は,1977(昭和52)年に制定されたものであり,現在でも当時の設定に従って運営されています。八郎湖周辺の堤防は,施工当時1,000年確率日雨量(1,000年に一度起きる確率の一日の最大雨量)200mmから導き出された標高+1.86mで計画されており,これに台風や豪雨などに対する安全性というマージンを考慮した上での数値と推測されます。しかしながら,規則設定から約50年が経過し,季節的な降雨量の変動や予報精度の飛躍的な進歩などにも関わらず,その見直しはなされていません。

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第四条 毎年七月一日から九月三十日までの間における調整池の制限水位は、次の各号に掲げるとおりとし、調整池の水位を洪水時を除き、これを超えて上昇させないものとする。

一 七月一日から八月十日まで 標高プラス一メートル

二 八月十一日から九月十日まで 標高プラス七十センチメートル

三 九月十一日から九月三十日まで 標高プラス五十センチメートル

第五条 かんがい用水等の供給のため確保すべき調整池の水位は、次の各号に掲げる日(以下この条において「基準日」という。)にあつては当該各号に掲げる水位、基準日以外の日にあつては当該日の直前の基準日の水位と直後の基準日の水位から等差的に算出される水位とし、調整池の水位をこれより低下させないようにするものとする。ただし、知事がかんがい用水等の供給に支障がないと認めるときは、この限りでない。

一 三月三十一日 標高プラス五十センチメートル

二 五月一日 標高プラス一メートル

三 八月十一日 標高プラス七十センチメートル

四 九月十一日 標高プラス五十センチメートル

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 また,第五条の最低水位は,かんがい用水として湖水を利用することにのみ本義が置かれ,海への放出にどのような影響がもたらされるかは考慮されていません。

 条例とその根拠になった堤防の設計を極めて単純にとらえれば,標高差最大1.86mまで対応できる堤防で,どの季節であろうと上限を1.86mまでにすることができるということになります。無論台風や線状降水帯などの豪雨に対するマージンは必要でしょうが,それでも季節ごとの上限を見直すことでアオコの海への放出は抑えられることになります。アオコの出現を予測できなかった50年前の制定で,安全最優先の数値であったことはやむを得ないとは思いますが,現状を考えればこの条例は見直してしかるべきと考えます。

  干拓による農業者と漁業者の対立は諫早湾を始め国内外の多くの場所で起きていますが,大潟村のようにすでに干拓の完成から60年余りが経過しても,その問題の解決にほとんど進展が見られないことは,先進国の取り組みとしては疑問を持たざるを得ません。もともと湖水は大潟村を中心に循環使用されることを前提として活用方針が立てられていますが,現状のように海が最終処分場のような形になり,漁業従事者だけが一方的に被害を被っている事実は極めて遺憾です。

 本署名活動においては,第四条並びに第五条またこれに関連する条例について専門家,研究機関等による再検討を行うことと,あわせて排出量の抑制に直結する臨機応変な排出方針と条例の改善を求めます。

 

2 八郎湖環境対策室への水利・水質専門職員の採用

 秋田県の公費が不正流用された食糧費問題以来,不正防止等の意味合いなどから県職員の人事異動は数年での定期的な異動が慣例となっています。この異動方針そのものは不正防止の観点からは有効であると思いますが,一方で職務に対する熱意が醸成される前に職員は異動を余儀なくされ,専門的な知識レベルの低下を招いています。先般県自然保護課ではツキノワグマ対策として専門の職員を採用しましたが,八郎湖環境対策室においても水利・水質を専門とする職員を採用し,継続的に業務に取り組むことができる体制を構築していくことを要望します。

 

3 発生の根本原因を抑制する農家の取り組みとそれに対する行政の支援

 アオコ問題は今や全世界で発生していますが,その解決に成功した事例はありません。しかし,アオコ自体の発生理由は単純で,湖沼の富栄養化によるものです。八郎湖の場合,富栄養化の原因は,大潟村及び周辺市町村から流入する水の中に含まれる栄養分であり,そのほとんどが農業や林業用の肥料由来となっています。これはとりもなおさず田畑や山林に過剰な施肥がなされ,その余剰分が河川等を通じて八郎湖に流入していることの証左です。

 もともと土壌中に含まれる栄養分には地域差がありますが,豊かな自然に恵まれている秋田県では近年冬鳥であるガンカモ類が,大潟村を中心に周辺市町村に数万羽単位で越冬しており(10~3月),これらが田畑の落穂等を食んだ結果排泄する糞による栄養分の量が各圃場ごとに違いを生じさせていることが大潟村干拓博物館の調査で判明しています。また,ガンカモ類のみならず田畑に数多く生息する生き物の種類や数によって土壌中の栄養分に違いが出ることも十分に予想されますが,こうした圃場ごとの土壌成分については,一部を除いてほとんど把握されておらず,多くの農家が農協等の指導に従って一律に同量の施肥を行っているのが現状です。

 近年のITや技術の進歩により,土壌中の無機栄養分や水量,水温等をリアルタイムで計測できる技術と検出器がすでに開発,一般販売されており,環境問題に敏感な地域や個人が使用しています。以下に,こうした先端技術を八郎湖周辺市町村の農家に使用してもらうことで生ずるメリットを挙げます。

  • 圃場ごとに適正な施肥が行われるようになり,余剰分が排出されなくなる。
  • 富栄養化の進行が鈍り,アオコの発生が抑制される。
  • 高騰する肥料代の節約になる。
  • 農業が生き物を支え,生き物が農業の役に立つという自然と人間の共存と循環,持続可能な農業の形ができる。
  • SDG’sにおける目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」,目標14「海の豊かさを守ろう」,目標15「陸の豊かさも守ろう」や,東北の自治体としては初めて大潟村が表明した「ネイチャーポジティブ宣言」につながっていく。
  • アオコ問題に正面から取り組む自治体として秋田県のイメージアップにつながると同時に県産農産物に付加価値をもたらす。

 今や世界的に「持続可能な世界」や「生物多様性」の重要性が叫ばれていますが,それに対する具体的な対応はあまりなされていません。この方法は先端技術を安価に取り入れた効果的な方法の一つと考えられますが,農家単体で取り組むには高齢化などもあって実施は容易なことではありません。

 そこで,秋田県農業試験場等の研究機関による適切な施肥量の指導と,その基本となる圃場ごとの土壌成分の把握を可能とする各種センサーの購入への県費からの補助を求めます。また,例えば大雨などによって圃場から肥料分が流出してしまった場合など想定外の事態に対応できるように,ドローン等を使用した現状把握,追加の施肥などが,農協などにより一元的・定期的に管理,実施されるよう関係諸機関の連携を求めます。

 スマート農業の目的は先端技術を利用した生産性の向上にあると思われますが,単なる自動操縦やロボットによる労力の軽減面だけでなく,先端技術を有効利用して環境に配慮する持続可能な農林業の形態を県全体で模索していくことは,秋田県に先進性とリーダーシップ,生産物への付加価値をもたらし,ひいては人口減少への歯止めにも繋がっていく可能性を生じさせるものと考えます。

                               以上

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 干拓前の八郎潟は,日本海とつながる汽水湖で,海と湖,川に生息する多種多様な生き物が棲む豊かな湖でした。また,湖を通じて日本海に流れ出る奥羽山脈由来の淡水は多くのミネラルを含み,美しい海に栄養と豊かな生態系をもたらしました。今,八郎湖の水は汚れ,男鹿の海もその美しさを失おうとしています。アオコ問題はすぐ解決できる問題ではありません。しかし,原因が私たち人間にあるのなら,その解決には時間をかけてでも人間の叡智を結集して臨むしかないでしょう。

 私たちは,今後もこの問題を県や国に丸投げするのではなく,八郎湖の周りに住む人間として一人ひとりが問題意識を持ち,自主的にその解決に向けて努力を続けていきます。賛同していただける方の署名を心からお願いいたします。

※なお,書面での署名活動にご協力いただける方は,お手数ですが下記のリンクからダウンロードの上ご利用ください。集まった署名に関しては下記の送り先に届けていただけますようお願いいたします。

▢リンク先

https://drive.google.com/file/d/1sQcy7csPEpJr4J82U8WGmqopvDN5_jvx/view?usp=share_link

▢署名届出先

 〒010-0532 秋田県男鹿市船川港椿家の後19ー2 椿釣具店

 〒010-0511 秋田県男鹿市船川港船川新浜町1-16 つりショップ海風

 

      アオコ問題を本気でなんとかしよう会代表 船木信一

 

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