
「再生可能エネルギー」不都合な真実
(週刊スパ11月6日号 記事より一部抜粋)
太陽光パネルやバイオマスによる発電など「再生可能エネルギー」の普及のため、電気代から徴収されている「再エネ促進賦課金」。1世帯あたり年間約1万円を負担している。このお金が、まったく「再生可能」ではないニセモノの事業にも流れていた!
房総半島南東部に位置する、千葉県鴨川市。温暖な気候で、海と山に囲まれ、都心からの移住者や観光客も多い。その土地に、事業用地は約250ha、東京ドーム32個分(約150ha)の森林を伐採、太陽光パネル50万枚(推定)を敷き詰めるという大規模なメガソーラー計画が持ち上がっている。
建設予定地に行ってみると、鴨川有料道路沿いに「ようこそ鴨川へ」の看板が見える。計画に反対する地元住民の勝又國江さん(鴨川の山と川と海を守る会代表)は、「この道路の右側の山々が削られ、約10万本の木が伐られてしまうと言われています」と語る。
「山を60m削り、沢を80m埋めて平坦にし、ソーラパネルを並べるという計画です。森林破壊・生態系の破壊だけではなく、予定地の8割ほどが、千葉県から『崩壊土砂流出危険地区』に指定されている。そのほか、地下水にも影響が出てくるでしょうし、さまざまな問題(左表を参照)が懸念されているんです。これだけ広大な規模なのに、環境アセスの対象にもなっていない」
事業者は都内の会社 しかしその実体は不明
「鴨川の豊かな自然が気に入って都内から移住してきた」と語る藤井輝久さんは、「突然こんな計画が出てきて、びっくりしました。でも、事業者はほとんど説明をしてくれない」と語る。
事業者は「AS鴨川ソーラーパワー合同会社」(東京都千代田区)。その中心は、地権者で太陽光発電事業者の「A-スタイル」(埼玉県川口市)と、建設会社の「大蓉工業」(同)。しかし、その実態は明らかにされていない。
「地元説明会にも、会社の責任者を名乗る人は現れませんでした。地域に属さない事業者が開発だけして転売したり、儲からなくなったら放り出してしまったりする可能性もあり、不安だらけです」(鴨川の山と川と海を守る会事務局・今西徳之さん)
事業者には、自然の回復は義務づけられていない。放り出された場合は、広大なはげ山とパネルが放置されてしまう可能性もあるのだ。九州電力は10月13日から、太陽光など再生可能エネルギーの発電事業者に一時的な発電停止を求める「出力抑制」を実施している。再生可能エネルギー優遇の固定価格買い取り制度(FIT)も、いつまでも続くとは限らない。
しかし、地権者はこの豊かな自然が破壊されることに何の抵抗もしなかっのだろうか。
「予定地は40数年前、5つの集落の入会地がそっくり買われた、この間、産物処理場・ゴルフ場・リゾート開発等が造成しないまま頓挫し、転売を繰り返してきた土地です。地権者が少なく、まとまった土地があることで、メソーラー業者に目をつけられたのでしょう」(勝又さん)
メガソーラーの場合は 自然環境は永遠に戻らない
メガソーラー建設の悪影響をシンポジウムなどで訴えている、高田宏臣さ(高田造園設計事務所・代表取締役)はこう解説する。
「山地に造られるメガソーラーの最大の問題は、自然本来の地形を、これまでにない規模で根こそぎ削って平らにしてしまうこと。例えばゴルフ場も森の貯水機能を大きく奪いますが、地形が残っている限り、環境の再生は可能。しかし、メガソーラーの場合は自然環境の力は未来永劫戻ってきません」
さらに高田さんは「自然の地形には意味があるんです」と語る。
「環境上あるいは防災上の要の地が、山頂部尾根筋や谷筋です。だからこそかつては、集落の裏山の山頂部に祠を置いて一帯を鎮守の社として守り、そして水の湧き出す谷筋には龍神様を祀って、触れない場所を設けてきました。現代はそうした先人の叡智が忘れ去られ、守るべき健康な自然環境も蹂躙されて顧みられず、その結果として水害土砂災害を増幅させている、その果ての際たるものがメガソーラーと言えるでしょう。これは何としてもめなければなりません」
太陽光発電は、再生可能エネルギーの主役といった良いイメージだが、一般家庭の太陽光パネルとメガソーラーは大違いなのだ。