秩父宮ラグビー場の改築・改悪を止めるために、たくさんのご署名をありがとうございます。
微力ながら私の始めた活動は、予想以上に多くの市民の方々からご賛同をいただきました。大勢の人々の意見を無視した神宮外苑再開発はいったん立ち止まって考え直すべきです。市民参加型の社会のありようを求め、東京都に対して3月28日に要望書を提出いたしました。
さらにこの声を大きなものにするために、引き続き、ご協力をお願いいたします。
平尾剛
要望書の内容:
令和5年3月28日
東京都知事 小池百合子様
「ラグビーの聖地」である秩父宮ラグビー場を守ってください
移転・新築ではなく、リノベーションによる継続使用を求めます
秩父宮ラグビー場は、1947年に建てられて以来、日本代表戦をはじめとする数々の名勝負が行われ、たくさんのラグビーファンに愛されてきた専用球技場です。
ところが、この球技場が神宮外苑地区再開発計画の一環として取り壊され、新球場に建て替えられようとしています。この計画はラグビーファンの期待を裏切るものであり、神宮外苑の象徴ともいえるイチョウ並木を危機に陥れるなど、周囲の環境を破壊しかねないとの懸念が、都民やファン、関係者のあいだで広がっています。私が今年1月11日に開始した署名「秩父宮ラグビー場をこの地で継承したい。『ラグビーの聖地』の移転・改悪を止めよう。」では16000名を超える賛同者を得ています。
今回の再開発計画で私が訴え、都民、ラグビーファンや関係者から大いなる懸念が寄せられているのは、以下の点です。
1.青空の下での試合はなくなる。屋根は開閉しない。
天候をどう自分の味方につけるか、というのもラグビーの醍醐味のひとつです。冬の快晴のもとで、あるいは冷たい雨や小雪のなかの熱戦など、過去の名勝負も天候とともにみんなの記憶に刻まれている。こうした歴史を世代を超えて語り継ぐ豊かさも、新施設では失われてしまいます。
2.人工芝のグラウンドになる。
導入される人工芝は選手の安全性を保証しません。地面に倒れこむ場面が繰り返される激しい競技だけに、天然芝では生じ得ないヤケド傷や大きな怪我が増える蓋然性がある。また、マイクロ・プラスティック発生への懸念もあります。
3.観客席が大幅削減。2万5千人収容から4割減の1万5千人に。
座席数は4割も減らされ、半分近くの座席が削られる。現在、全国大会に入ればチケットが取りづらい試合が続くのに、1万席も削減される。これだけ収容人数を削減すれば、未来に向けてのラグビー普及に多大な影響を及ぼしかねません。
4.はたして新施設は、ラグビー場と呼べるのか?
新施設はライブ会場にもなり、バスケットボールの試合やアイスショーまで開催可能な仕様です。そのために北側スタンド席側に大きなスクリーンが設置されるといいます。多目的施設はたしかに便利で効率的ですが、そのような施設を日本ラグビーを象徴する「聖地」とは呼べません。巨額の費用をかけて新施設を作らずとも、現在の秩父宮を改修するべきです。秩父宮よりさらに古い阪神甲子園球場は、シーズンオフだけを利用した改修工事でみごとなボールパークに生まれ変わりました。これは伝統を大事にした革新です。いまここで見る景色はかつて先人たちが眺めてきた景色と変わらない。私たちの聖地・秩父宮も、甲子園のように改修することで次世代に継承したい。
5.秩父宮の移転から、神宮外苑の破壊がスタートする。
新施設が作られるエリアには「建国記念文庫の森」があり、樹齢100年の樹齢を誇る木々およそ150本を伐採し、森を破壊するところから工事は始まります。これだけ気候危機・環境危機が叫ばれている時代に樹木を伐採して「100年の森」を壊すことは、子供たちに誇れる行為なのでしょうか。今の秩父宮が移転したあとのエリアには、200メートル近い高層ビルや新・神宮球場が建つが、そのせいであの美しいイチョウ並木も枯れてしまう。秩父宮の東入場口にある18本のイチョウ並木は伐採予定で、環境破壊を伴う競技場の新設はスポーツ界の潮流からもずれています。
以上のように、問題山積みの秩父宮ラグビー場の移転・新築計画が、ラグビーファン、都民に詳細の事実も知らされず、リノベーションという対案の検討もなされないまま、強行されてしまうことになれば、計画を承認した小池都知事が「伝統ある秩父宮ラグビー球場を破壊した都知事」として皆の記憶に残ります。もし、この度の認可を取り消して計画をゼロベースで見直し、全てのステークホルダーが参加できるプロセスで「神宮外苑の未来を都民と共に考える仕組み」を作れば、ご自身が掲げるSDGs政策の実践者として高く評価されるに違いありません。
緑あふれるこの地は、何世代にもわたって受け継がれてきた「心のふるさと」です。いちど失われた歴史的球技場、そして神宮外苑「100年の森」は取り戻すことはできません。
都知事におかれましては、一般市民をスポーツから疎外するような神宮外苑開発計画への認可を取り消し、伝統ある秩父宮ラグビー場をリノベーションによって継続使用するための検討を事業者に求めていただくよう要望いたします。
以上

